シャープ株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/05/31

執筆: 山中恵子

量から質へで純利益5.7%増!米中貿易摩擦で売上高は計画未達となった「シャープ」の通期決算

2019年3月期 通期決算

  • 売上高:2兆4,000億円(前年比△1.1%)
  • 営業利益:841億円(前年比△6.6%)
  • 経常利益:690億円(前年比△22.7%)
  • 当期純利益:742億円(前年比+5.7%)

2019年3月期通期(2018年度)の業績は、売上高、営業利益、経常利益ともに前年を下回りましたが、最終利益は前年に対し+5.7%となりました。

米中貿易摩擦や大手顧客と見られるアップルの減速などを踏まえ、業績予想を下方修正しましたが、年度末にかけ想定以上に厳しい市場環境となり下方修正した予想をも下回る結果となりました。

一方、「量から質へ」の転換を進めたこともあり、 前年度を上回る最終利益と最終利益率を確保。2016年度 第3四半期以降、10四半期連続で最終黒字を継続しています。

 

各セグメントの業績

セグメント別では、スマートホームが順調に伸長した一方で、 アドバンスディスプレイシステムが 全体を押し下げました。

 

スマートホーム

  • 売上高:6,969億円(前年比+14.6%)
  • 営業利益:480億円(前年比+9.8%)

エアコンや洗濯機、冷蔵庫の販売が増加。また、2018年10月にDynabook(株)を連結子会社化した効果もありました。

スマートビジネスソリューション

  • 売上高:3,204億円(前年比+0.7%)
  • 営業利益:216億円(前年比△1.2%)

海外の複合機などの販売が増加しました。

IoTエレクトロデバイス

  • 売上高:4,990億円(前年比△1.1%)
  • 営業利益:28億円(前年比△13.1%)

半導体は伸長したものの、センサモジュールなどの販売が減少しました。

アドバンスディスプレイシステム

  • 売上高:9,596億円(前年比△11.7%)
  • 営業利益:270億円(前年比△26.9%)

「量から質へ」の転換を図るために中国でテレビの販売を抑制し、液晶テレビの売上が減少。また、 スマートフォン用パネルの売上も減少しました。

 

2020年3月期の業績予想

2020年3月期(2019年度)は、大幅な増収増益を見込んでいます。

  • 売上高:2兆6,500億円(前年比+10.4%)
  • 営業利益:1,000億円(前年比+18.8%)
  • 経常利益:950億円(前年比+37.7%)
  • 当期純利益:800億円(前年比+7.8%)

2018年度は、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下でのV字回復にブレーキがかかりましたが、2019年度も米中貿易摩擦激化やアップル減速などの影響が継続し、 第1四半期は厳しいものになると考えられます。

親会社の鴻海もアップル減速の影響を受けており、加えて会長を務める郭台銘氏は台湾の総統選挙に出馬を表明。

混沌とするなかでも、8K+5G EcosystemとAIoTの最先端技術を核に新規事業を創出するとともに、グローバルブランドの強化を図ることで、2019年度は売上高・各利益とも前年度を上回る予想としています。

また、さらなるコストダウンにも取り組むとのこと。今後、どのようにシャープが成長軌道に回復してくるか注目です。

画像出典元:「シャープ株式会社」プレゼンテーション資料

 

 

2019年3月期 第3四半期 累積業績(19年3月更新)

  • 売上高:1兆7,715億円(前年同期比△3.2%)
  • 営業利益:682億円(前年同期比△3.0%)
  • 経常利益:620億円(前年同期比△12.8%)
  • 四半期純利益:630億円(前年同期比+13.9%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、売上高、営業利益、経常利益ともに前年同期を下回りましたが、最終利益は前年同期に対し+13.9%となりました。

減収の主な要因は、米中貿易摩擦によるデバイスの需要変動と中国においてテレビ販売を抑制したことによるものです。

中国市場では「質より量」の戦略で格安テレビを販売してきましたが、それがブランドイメージの低下を招きました。ブランドイメージの立て直しを図るため、「量から質へ」の転換に向けた取り組みの一環として従来モデルの販売を意図的に抑制しました。

米中貿易摩擦による市況の悪化や大手顧客とみられる米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の不振により、スマートフォン用部品の販売減少も響きました。

一方、継続的に体質改善を推進している効果もあり、第1四半期から第3四半期までの累計の最終利益率は、四半期開示を開始して以来、過去最高となりました。

各セグメントの業績

2019年第3四半期連結累計期間の各セグメントの売上高は

  • スマートホーム:4,792億円(前年同期比+9.0%)
  • スマートビジネスソリューション:2,377億円(前年同期比+2.6%)
  • IoTエレクトロデバイス:3,885億円(前年同期比△1.1%)
  • アドバンスディスプレイシステム:7,255億円(前年同期比△13.2%)

IoTエレクトロデバイスとアドバンスディスプレイシステムの2部門が全体を押し下げました。

スマートホームは好調に推移しました。エアコンやエネルギーソリューションの海外EPC事業が大きく伸長し、掃除機や洗濯機などの白物家電も好調でした。昨年10月にDynabook株式会社を連結子会社化した影響もありました。

IoTエレクトロデバイスは、大手顧客用のスマートフォン用センサーモジュールやカメラモジュールなどが前年同期を下回りました。

アドバンスディスプレイシステムは、中国でのテレビ販売抑制や大手顧客のスマートフォン用パネルの需要変動がありました。

通期業績予想を下方修正

米中貿易摩擦の影響などにより、デバイスを中心に顧客需要に変動が生じたことなどから今期2度目の業績予想の修正をしました。

  • 売上高:2兆6,900億円から2兆5,000億円に下方修正(△1,900億円)
  • 営業利益:1,120億円から1,070億円に下方修正(△50億円)
  • 経常利益:1,010億円から960億円に下方修正(△50億円)
  • 当期純利益:900億円から変更なし

親会社株主に帰属する当期純利益については、「量から質へ」の転換を図っており、体質改善も進んでいることから上期の決算発表時に上方修正した前回予想を達成できる見通しです。

最終利益率は、平成の30年間で過去最高となる見込みです。

シャープの事業内容

シャープという社名は、創業者である早川徳次氏が「早川式繰出鉛筆(初代シャープペンシル)」を発明したことに由来し、1970年に早川電機工業株式会社からシャープ株式会社に社名変更しました。

日本有数の大手電気機器メーカーに成長しましたが、2015年、2016年には2,000億円を超える赤字を抱え、経営危機に陥りました。

2016年には台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業に買収され、東証2部に降格。その後、鴻海(ホンハイ)の支援により業績はV字回復し、わずか1年4ヶ月で東証1部に復帰しました。

現在は、「8KとAIoTで世界を変える」という事業ビジョンのもと、超高精細映像技術「8K」と、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせた「AIoT」を中心とした事業を展開しています。

1

スマートホーム

携帯電話機、電子辞書、電卓、ファクシミリ、電話機、ネットワーク制御ユニット、冷蔵庫、過熱水蒸気オーブン、電子レンジ、小型調理機器、エアコン、洗濯機、掃除機、空気清浄機、扇風機、除湿機、加湿機、電気暖房機器、プラズマクラスターイオン発生機、理美容機器、太陽電池、蓄電池等

2

スマートビジネスソリューション

POSシステム機器、電子レジスタ、業務プロジェクター、インフォメーションディスプレイ、デジタル複合機、各種オプション・消耗品、各種ソフトウェア等

 

3

IoTエレクトロデバイス

カメラモジュール、カメラモジュール製造設備、センサモジュール、近接センサ、埃センサ、CMOS・CCDセンサ、半導体レーザ、車載カメラ、FA機器、洗浄機等

4

アドバンスディスプレイシステム

液晶カラーテレビ、ブルーレイディスクレコーダー、IGZO液晶ディスプレイモジュール、CGシリコン液晶ディスプレイモジュール、アモルファスシリコン液晶ディスプレイモジュール等

画像出典元:「シャープ株式会社」プレゼンテーション資料

 

 

2019年第2四半期 連結業績(18年10月更新)

  • 売上高:1兆1,290億円(前年比+1.2%)
  • 営業利益:470億円(前年比+15.9%)
  • 経常利益:432億円(前年比+5.1%)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益:409億円(前年比+17.8%)

セグメント別の売上高(上半期)

  • スマートホーム:3,006億円(前年比+3.4%)
  • スマートビジネスソリューション:1,584億円(前年比+2.6%)
  • loTエレクトロデバイス:2,508億円(前年比+25.1%)
  • アドバンスディスプレイシステム:4,582(前年比-12.1%)

会社概要

会社名 シャープ株式会社
事業内容 電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売等
所在地 大阪府堺市堺区匠町1番地
設立日 1935年5月
代表 戴正呉
資本金 50億円
kigyolog_kessanの最新記事をチェック

この記事に関連するラベル

他企業の情報

ページトップへ