スナック菓子とシリアル食品を製造・販売する「カルビー」の決算を見ていきます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収、営業利益ベースで2桁増益となっています。
増収となった主な要因は、国内事業、海外事業ともに好調に推移したことによるものです。なかでも海外事業は2桁増収、売上高構成比も前年同期から2.4ポイント増の17.7%に拡大。これは、英国での事業買収が貢献したほか、中華圏やインドネシアにおいて売上が伸長したため。一方、北米は伸び悩んでいます。
国内事業においては、値上げしたポテトチップス定番品の売上は減少するも、それ以外のスナック菓子の需要が増え、国内スナック菓子の売上が伸長。特に、かっぱえびせんとサッポロポテトが好調です。
営業利益は、国内事業において原価等のコストが改善したことと、海外事業において英国の売上拡大と台湾子会社の清算が増益に貢献したことで2桁増益に。営業利益率は前年同期比で0.9ポイント改善し、10.6%となりました。
経常利益は、為替差損5億4,400万円計上したことにより前年同期比2.1%増にとどまりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に連結子会社の株式譲渡による関係会社株式売却益 23億7,800万円を特別利益に計上していたことから、前年同期比で減益となりました。
カルビーは10月29日、カルビーの子会社である Calbee America, Inc.が、米国の製菓会社 Warnock Food Products, Inc の事業を買収することを目的として、10月25日付でWarnock社の発行済株式の80%を取得したと発表。
Warnock社は1986年に創業し、ポテトチップス、トルティーヤ、パフスナックなど多岐にわたるスナック菓子の受託製造を行う米国スナック菓子メーカー。今後は、世界最大のスナック菓子市場である米国において、Calbee North America, LLCとの協業により、北米事業を拡大させていくとのこと。
なお、事業買収が業績予想に与える影響は軽微であり、通期の業績予想に変更はありません。前期比で増収、営業利益ベースで増益を見込んでいます。
カルビーの株価推移
画像出典元:SBI証券
海外売上高を5年で2倍にすることを目標にしているカルビー、営業利益が計画を上回っていることもあり、株価も堅調です。
画像出典元:「カルビー株式会社」決算説明会資料
スナック菓子とシリアル食品を製造・販売する「カルビー」の決算を見ていきます。
2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し増収、営業利益ベースでは2桁増益となっています。
増収となった主な要因は、海外事業の拡大によるものです。英国での事業買収が増収に貢献したほか、中華圏やインドネシアにおいても売上が伸長しています。
一方、国内事業においては、販売促進ツール関連事業を行う連結子会社カルネコの全株式を譲渡したことにより、前年同期比で減収に。
営業利益は、国内事業において物流費は引き続き上昇傾向にあるものの、前期にポテトチップス増量キャンペーンを行った影響で悪化していた原価等のコストが改善したことに加え、海外事業において英国や中華圏での売上が拡大したことが貢献し大幅な増益に。
なお、経常利益が前年同期比で減少しているのは、為替差損4億3,300万円を計上したことによるものです。
国内事業と海外事業の業績をもう少し詳しく見ていきましょう。
国内事業の売上高は、連結子会社売却の影響で減収となりましたが、実質ベースでは前年同期比0.2%増となっています。
値上げされたポテトチップスの売上は減少したものの、じゃがりこ・サッポロポテト等のスナック菓子が好調に推移。
じゃがりことさけるチーズで作る「じゃがアリゴ」がSNSで話題となり、一時は各地でじゃがりこやさけるチーズの売り切れが続出するという現象も。サッポロポテトは、コラボレーション企画商品が好調です。
フルグラに関しては、定番品の売上は減少していますが、「フルグラ糖質オフ」や、新ブランドとして発売した栄養機能食品「Granola+(グラノーラプラス)」が売上に貢献。
海外事業については、北米は不振ですが、中華圏・英国・インドネシアで売上が伸長したことにより売上高は前年同期比で12.3%増。為替影響を除くと実質伸び率は14.1%増となっています。2桁増収となりましたが、第1四半期の海外増収率計画を下回っての推移となりました。
「Harvest Snaps」の需要低迷により減収減益、赤字で着地。
「フルグラ」販売拡大により増収に。特に、一般Eコマースが好調です。商品ラインナップが拡充したことに加え、アリババなどで大型イベントを活用した販促強化により売上・利益ともに好調に推移。
2018年10月にSeabrook社を事業買収したことにより、大幅な増収に。利益面では、連結されたSeabrook社の利益に加え、人件費等のコスト削減により黒字化を達成。
ポテトチップスの売上拡大により大幅な増収となりましたが、新商品発売の導入費計上により赤字に。
なお、通期の業績予想に変更はありません。
画像出典元:「カルビー株式会社」決算説明会資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し減収増益となりました。
カルビーは2018年4月、セブン-イレブンのオリジナルパンを製造・販売しているガーデンベーカリー株式会社の株式66.6%を昭和産業に譲渡しています。
ベーカリー子会社売却の影響を除くと、売上高は実質+4.3%の成長となります。実質増収となった要因は、国内ポテトチップスの需要増、海外スナックおよび海外フルグラが拡大したことによるものです。
営業利益は、国内の原材料費、物流費等のコスト悪化により前年並みに。
当期純利益は、連結子会社のカルネコ株式会社の全株式譲渡による特別利益を計上したことにより増益となりました。
【グラフ】業績推移(連結)
営業利益率は前期比0.1ポイント上昇し10.8%、ROEは前期比0.2ポイント上昇し13.2%に。
カルビーは、ダイバーシティ経営や女性活躍推進に積極的に取り組んでいます。その結果、2010年において5.9%であった女性管理職比率が2018年4月には26.4%まで向上。
その取り組みが評価され、経済産業省・東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」に女性活躍推進に優れた企業として6年連続で選ばれました。2020年度までに女性管理職比率30%を目指すとしています。
国内事業は、前期に対し減収減益となりましたが、ベーカリー子会社売却の影響を除くと売上高は+1.7%の成長となりました。
スナック菓子においては、前年第1四半期において馬鈴しょ不足から販売アイテムの調整を行った影響もあり、ポテトチップスなどのポテト系スナックの売上が伸びました。一方、かっぱえびせんなどの小麦粉系スナックおよびコーン系・豆系スナックは減収となりました。
シリアル食品においては、顧客層の拡大に向けた「フルグラ」のSサイズや50gサイズのラインアップ拡大、期間限定品の投入を行ったものの、新規需要には繋がらず。国内菓子市場は拡大傾向にあるものの、国内シリアル市場は2016年をピークに縮小しています。
利益面においては、物流費の上昇、原材料費、動力費等の高騰によるコスト悪化により減益となりました。
物流費や原材料価格等のコスト増に加え、今後の消費税率引き上げによる消費マインドへの影響を理由に、ポテトチップスをはじめとする一部商品について5月より順次値上げや内容量減を進めています。
また、フードロス削減と作業効率改善に向け、ポテトチップス商品について、賞味期限の延長および、「年月日」から「年月」表示への変更を6月1日製造分から順次実施。
変更後は、1〜2ヵ月賞味期限が延長されます。
海外事業は、前期に対し大幅な増収、赤字幅は縮小しました。
スナック菓子においては、2018年10月に英国の製菓会社Seabrook Crisps Limitedの事業を買収したこと、および豪州とインドネシアでの販売が好調だったことにより増収。シリアル食品においては、中華圏で売上が拡大しました。
一方、韓国では販売不振が継続し、売上が減少。
利益面においては、北米のコスト改善、中国向けフルグラ拡大により赤字幅が縮小しました。
カルビーは、「中期経営計画(2020年3月期-2024年3月期)」を策定し、2024年3月期に売上高3,100億円、営業利益400億円を経営目標に掲げています。
2024年3月期 経営目標
中期経営計画の初年度となる2020年3月期は、国内既存事業の強化、海外事業の拡張に取り組む予定です。具体的には、国内事業においては、自動化、省人化、AIの活用等の推進による生産活動の効率改善。
海外事業においては、北米・中華圏・英国・インドネシアを重点4地域として展開を強化し、海外売上高を5年で2倍、800億円にまで拡大するとしています。
2020年3月期は
を見込んでいます。
画像出典元:「カルビー株式会社」決算説明会資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。国内事業においてはスナック菓子が、海外事業においてはシリアル食品、スナック菓子が売上を伸ばしました。
国内では、台風による馬鈴しょ不足の影響があった前年同期に対し、ポテトチップスの売上が大きく伸びました。
国内スナック菓子の製品別売上高
利益面では、国内においてはポテトチップスの売上増加と工場稼働率の回復による原価改善が、海外においては北米での廃棄ロス削減と生産性改善による原価低減や、中国向け「フルグラ」の販売拡大が貢献しました。
累計では増益ですが、第3四半期では物流費・原材料費の悪化等のコスト上昇を吸収しきれず減益となりました。
2019年3月期通期の業績予想を下方修正しました。
大幅な増収を見込んでいた北米やインドネシアでのスナック菓子の販売拡大の進捗が遅れたことや、国内事業において、シリアル食品「フルグラ」の売上の伸び悩みにより、売上高は前回発表予想額を下回る見込みです。
加えて、物流費の上昇、食油や包材等の原材料価格高騰によるコスト上昇を踏まえ、営業利益、経常利益に関しても下方修正しました。
当期純利益は、第2四半期において連結子会社の全株式譲渡による特別利益を計上したこと等により、変更はありません。
ご存じのとおり、カルビーは国内外でスナック菓子、シリアル食品等の製造・販売を行っています。国内のスナック菓子市場では圧倒的なシェアを誇っており、さらなる国内マーケットシェア拡大を目指しています。
(国内食品製造販売事業)
(海外食品製造販売事業)
北米・中華圏(中国、台湾、香港)・韓国・その他アジア(タイ、フィリピン、シンガポール、インドネシア)・オーストラリア・欧州
物流事業、販売促進ツール関連事業
カルビーのルーツは、1949年に広島で設立された松尾糧食工業にあります。その後、1955年に社名を「カルビー製菓」に変更。
カルビーの社名の由来は、カルシウムの「カル」と、ビタミンB1 の「ビー」を組み合わせた造語です。健康に役立つ商品づくりを目指して名づけられました。1973年に本社を東京に移し、社名を「カルビー」に変更。
1964年に「かっぱえびせん」 、1975年に「ポテトチップス(現在のうすしお味)」、1991年「にフルーツグラノーラ」を発売しました。
国内だけにとどまらず、海外への展開も拡大しており、欧州・オーストラリア・アジア広域などへの市場拡大を目指しています。
画像出典元:「カルビー株式会社」決算説明会資料
2019年上半期は、馬鈴しょ(じゃがいも)の確保が需要に追いついたことより増収・増益となりました。国内のスナック事業は計画を上回った一方で、国内のフルグラ事業の需要低迷と北米の不振によって上半期の目標には達成しませんでした。
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