コンシューマーゲームやアーケードゲームの開発・販売を行う「カプコン」の決算を見ていきます。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収となったものの、すべての利益項目で2桁増益となっています。
減収となった主な要因は、販売形態をパッケージ版からダウンロード版に転換したことなどによるものです。
一方、利益面においては、ダウンロード販売中心の「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のヒットに加え、リピートタイトルにおいても利幅が大きいデジタル販売比率の向上等によりすべての利益項目で過去最高益を達成。
1月28日時点で、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」は累計450万本突破、「モンスターハンター:ワールド」 は累計1,500万本達成。「バイオハザード RE:2」は累計500万本突破と絶好調です。
足元の業績を踏まえ、通期の業績予想を修正。売上高は下方修正されましたが、利益に関しては上方修正されました。
売上高については、販売本数はほぼ前年並みながら、販売方法に関してパッケージ販売からダウンロード販売への転換を促進したことなどにより、前回の予想を下回る見込み。
一方、利益面については、「モンスターハンター:ワールド」や「バイオハザード RE:2」「デビル メイ クライ 5」等の好採算リピートタイトルが順調に推移したほか、パチスロ機部門において、今年3月発売予定の「新鬼武者 DAWN OF DREAMS」が受注好調のため、当初計画より上振れする見込みです。
なお、シリーズ最新作「バイオハザード RE:3」は2020年4月に発売予定。
画像出典元:「株式会社カプコン」公式HP
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収となったものの、すべての利益項目で2桁増益となっています。同期間で過去最高益を達成。
減収となった主な要因は、コンシューマゲームの販売形態をパッケージ版から単価の低いダウンロード版へシフトしたことによるものです。また、第2四半期で主要旧作タイトルをセール販売したことも響きました。
一方、好採算のダウンロード販売の拡大、収益性の高いリピート販売の伸長により売上原価が前年同期比40%減、額にして99億円減と大幅な売上原価低減に成功したことより過去最高益を達成。
ただ、第1四半期ほどの伸びが見られなかったためか、10月29日の決算発表後、株価は急落しています。
カプコンの株価推移
画像出典元:SBI証券
セグメント別の業績を見ると、デジタルコンテンツ事業は減収増益となりましたが、デジタル販売比率の上昇により2017年9月期では19.0%だった営業利益率が2年で49.7%にまで上昇。収益性が高まっています。
なお、9月6日に発売された「モンスターハンター:ワールド」の超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターワールド:アイスボーン」 は9月末までに全世界で280万本出荷、「モンスターハンター:ワールド」 は累計1,400万本を突破しています。一方、モバイルコンテンツは苦戦しています。
アミューズメント施設事業は既存店が好調に推移し増収増益、上期には2店舗をオープンし施設数は39店舗に。アミューズメント機器事業は、パチスロ機部門において新機種の投入がなかったもののライセンス収入により小幅ながらも黒字に転換。
その他事業においては、eスポーツは費用が先行するも、ライセンス収入の増加により増収増益となっています。
下期には「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のPC版投入を予定。
なお、通期の業績予想に変更はありません。モバイルにおいては利益見通しを若干引き下げるものの、コンシューマにおけるデジタル販売の貢献により、7期連続の営業増益および全利益項目で過去最高を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社カプコン」公式HP
コンシューマーゲームやアーケードゲームの開発・販売を行う「カプコン」の決算を見ていきます。
2020年3月期第1四半期の連結業績は、売上高は前年同期に対し+4.3%成長、利益項目はすべて2桁増益となり、第1四半期決算として過去最高益を達成しています。
これは、売上の8割近くを占めるデジタルコンテンツ事業において、リピートタイトルが貢献したことによるものです。新作タイトルの投入はなかったものの、前年度にヒットした「バイオハザード RE:2」や「デビル メイ クライ 5」がユーザー層の拡大により続伸。
「バイオハザード RE:2」
2017年度に投入した「モンスターハンター:ワールド」も根強い人気に支えられ息の長い売行きを示しています。当第1四半期において、「モンスターハンター:ワールド」は60万本出荷、累計1,300万本を突破。
大幅な増益となったのは、好採算のダウンロード販売が伸長したことによるものです。
カプコンの強みは、海外で人気のあるタイトルを多数保有していることに加え、ダウンロード版が伸長していることです。当第1四半期では、コンシューマーゲームの販売本数は前年同期比横ばいの435万本でしたが、海外比率は87.4%、ダウンロード比率は73.6%に。
以下の表は、デジタルコンテンツ事業の概況です。ダウンロード版の伸長が著しいことがわかります。2年前と比較すると、ダウンロード版は約4倍に拡大、売上高比率は75%に。それに伴い、デジタルコンテンツ事業の営業利益率は21.8%から55.3%へと大幅に上昇。
ダウンロード版はパッケージの製造コストや、流通段階でのマージン等が不要なため、ダウンロード版の増大は売上原価の減少につながり、利益が拡大したというわけです。
デジタルコンテンツ事業の概況
なお、2020年3月期の業績予想に変更はありません。9月には、超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターワールド:アイスボーン」が発売予定となっています。
画像出典元:「株式会社カプコン」カンファレンスコール資料・公式HP
2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収増益となりました。
デジタルコンテンツ事業におけるコンシューマ(家庭用ゲーム)の貢献により、全ての利益項目で過去最高を更新、営業利益は6期連続の増益となりました。
営業利益率は18.1%、自己資本利益率(ROE)は 14.4%、現金・預金は第4四半期における大型タイトルの発売に伴い64億6,500万円増加しました。
中期的な経営目標「毎期、営業増益を目指す」を実現中
モバイルゲーム市場は減速しましたが、家庭用ゲーム市場は成熟化傾向でありながらも堅調に推移しています。
ゲーム総合情報メディア「ファミ通」の調べによると、2018年の国内家庭用ゲーム市場は4,343億円、ソフト市場は前年比108.2%で2年連続プラス成長、DL版を含めた年間ソフト首位はカプコンの「モンスターハンター:ワールド」という結果に。
世界のゲームソフト市場も拡大しており、2023年には2,000億ドルを突破する見込みです。
世界のゲームソフト市場
デジタルコンテンツ事業はダウンロード販売がグローバルで伸長し、売上高829億8,200万円(前期比11.9%増)、営業利益233億1,500万円(前期比22.0%増)と大幅な増収増益となりました。
「モンスターハンター:ワールド」は出荷本数が1,200万本を突破し、単一タイトルとしては過去最高記録を更新。
また、「バイオハザード RE:2」は400万本を超える大ヒットとなり、「デビル メイ クライ 5」も海外で定着した人気により200万本を出荷しました。
「モンスターハンター:ワールド」
効率的な運営により収益性が改善し、売上高110億5,000万円(前期比8.0%増)、営業利益10億9,600万円(前期比24.6%増)と増収増益になりました。
当期は、2店舗をオープン、1店舗を閉鎖し、施設数は37店舗に。新機軸として、昨年11月からスマートフォンやパソコンの遠隔操作によるオンラインクレーンゲーム「カプコンネットキャッチャー カプとれ」を開始しました。
市況の停留に伴うパチスロ機販売台数減により、売上高は34億2,200万円(前期比56.1%減)、営業損失26億6,800万円(前期は営業損失7億6,400万円)と大幅な減収となり、赤字幅が拡大しました。
ライセンス許諾によるロイヤリティ収入やキャラクターグッズなどの物品販売で、売上高25億7,500万円(前期比10.2%増)、営業利益8億100万円(前期比28.0%減)と増収減益になりました。
注力事業のeスポーツでは、2019年2月に「ストリートファイターリーグ powered by RAGE」を開幕するなど、新たな事業領域を開拓するため積極的に布石を打ちました。
2020年3月期は、減収増益となる見込みです。コンシューマにおけるデジタル販売への注力、及びアミューズメント機器事業の改善等により、前期比で減収となるものの7期連続の営業増益を目指します。
カプコンでは、開発体制を充実させることを重要視しており、優秀なクリエイターを育てるため8年間、毎年100名以上の新卒開発者の採用を行っています。
その結果、若手が戦略化し主力タイトルである「モンスターハンター」「バイオハザード」の開発に貢献。今後は、eスポーツ分野においてのキーパーソンとなることにも期待されています。
2020年3月期は、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」 を新規投入、アミューズメント施設事業においては新業態を展開、eスポーツにおいてはビジネス展開の積極化を図るとしています。
画像出典元:「株式会社カプコン」決算短信補足資料・事業戦略資料・公式HP
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益、純利益は2倍となりました。デジタルコンテンツ事業のコンシューマー部門が牽引し、全ての利益項目で過去最高益を達成しました。
昨年市場を席巻した「モンスターハンター:ワールド」は、発売1年で全世界出荷本数が1,200万本を突破。シリーズ最高記録を更新し、日本ゲーム大賞2018において大賞を受賞しました。
また、「ロックマン11 運命の歯車!!」「バイオハザード RE:2」「デビル メイ クライ 5」はフューチャー部門に選出されました。「モンスターハンター」「ロックマン」は、ハリウッドでの実写映画化を発表しました。
デジタルコンテンツ事業は9割がコンシューマー、つまりプレイステーション、Nintendo Switch、Xbox Oneなどの家庭用ゲーム機用のゲームが占め、底堅く推移しています。一方、モバイルコンテンツは減速傾向にあります。
アミューズメント機器事業は、パチスロ機部門での市場縮小などがあり赤字となりました。
通期業績予想に変更はありません。デジタルコンテンツ事業での成長により、最高益ならびに6期連続の営業増益を見込んでいます。
カプコンは大阪に本社を置くゲームソフトメーカーです。カプコンおよび関係会社を合わせて15社で構成されており、デジタルコンテンツ事業・アミューズメント施設事業・アミューズメント機器事業・その他事業を行っています。
これらの事業はカプコンの事業戦略の一つである「ワンコンテンツ・マルチユース展開」に基づいて運営されています。
「ワンコンテンツ・マルチユース展開」とは、開発する人気オリジナルコンテンツを家庭用ゲームだけでなく、キャラクターグッズや映画などの近接事業へ幅広く展開することにより、収益の最大化を図る戦略です。
売上構成比:78.4%(2018年3月期)
家庭用テレビゲームソフト、オンラインゲームおよびモバイルコンテンツの企画・開発・販売
売上構成比:10.8%(2018年3月期)
国内でアミューズメント施設「プラサカプコン」を運営
売上構成比:8.3%(2018年3月期)
売上構成比:2.5%(2018年3月期)
版権ビジネスを推進。映画化やアニメ化、音楽CD・キャラクターグッズなどを展開するライセンスビジネスに加えて、eスポーツビジネスにも注力。
カプコンのキャラクター
画像出典元:「株式会社カプコン」決算説明会資料・公式HP
営業利益は前年比+110.1%と業績は好調です。
理由としては、
などが挙げられます。
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