主にPR事業を展開する「ベクトル」の決算を見ていきます。
2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収、営業利益ベースで増益となっています。なお、当第3四半期より「ニュースリリース配信事業」は「プレスリリース配信事業」とセグメント名称が変更されています。
積極的なM&Aと投資により急成長を遂げたベクトルは、さまざまな事業を展開しています。
まずは、当第3四半期末時点での売上高構成比を見てみましょう。売上高の半分近くがPR事業で占められています。次に、物品のオンライン販売を中核とするダイレクトマーケティング事業が約2割。HR事業(あしたのチーム)も1割と伸びています。
次に売上高推移を見ると、メディア事業以外のすべての事業が前年同期比で増収となっています。メディア事業は、前期の上期に生じた検索エンジンの表示順位変更等による業績不振からの立て直しを進めている最中です。
営業利益に関しては、増益に寄与したのはプレスリリース配信事業とその他事業。プレスリリース配信事業においては、積極的な広告投下が寄与し、利用企業社数が順調に推移。2019年11月には利用企業社数が34,000社を突破しました。
その他事業においては、サイネージ事業が順調に拡大していることに加え、一部株式の売却によりセグメント利益は前年同期比で約8倍と大きく成長。サイネージ設置台数は1万台を突破し、第4四半期もサイネージ事業は順調に拡大する見込みです。
一方、メディア事業とHR事業は赤字。メディア事業は、新規事業への先行投資が響いたようです。HR事業(あしたのチーム)はリストラクチャリングの最中ですが、拠点閉鎖などによる販管費の削減により、第3四半期においては四半期ベースで黒字化を達成しています。
ベクトルは、インベストメントベンチャー活動(ベンチャー企業等への出資)を行っていますが、3社が東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。
なお、通期の業績予想は10月に下方修正して以降、変更はありません。
画像出典元:「株式会社ベクトル」決算説明資料
2020年2月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益、最終6億7,900万円の赤字となっています。売上高は+39.7%成長し過去最高となったものの、利益はすべての項目で大幅な減益。最終10億円の黒字予想が一転、赤字で着地しました。
増収の主な要因は、主力のPR事業、ニュースリリース事業、ビデオリリース事業、ダイレクトマーケティング事業がそれぞれ前年同期比で2桁増収と好調に推移したことによるものです。
営業利益は、全社的に販管費が増加したことにより前年同期比で2桁減益に。累計では減益ですが、第2四半期としては過去最高の営業利益となっています。
【グラフ】連結営業利益推移
一方、営業外費用や特別損失を計上したことにより最終赤字で着地。ベクトルはM&Aや投資を通じて急成長してきましたが、ここに来てその戦略が好調な本業の足を引っ張るかたちとなっています。
具体的には、営業外費用として投資有価証券評価損を5億1,300万円、持分法投資損失を1億円計上。さらに、のれんの減損損失3億7,100万円を計上し、その他の固定資産に関わる減損損失とあわせて特別損失として減損損失を4億5,300万円計上しています。
セグメント別の業績を、赤字の子会社を中心に見ていきましょう。
なお、今期よりセグメントの区分を変更し、従来「PR事業」に区分していたスマートメディア及びラグルは「メディア事業」に、ニューステクノロジーは「その他」に。また、「その他」に区分していた、あしたのチーム及びその子会社4社は「HR事業」となっています。
① PR事業
主力のPR事業は順調に推移したものの、一部子会社の収益性が低下し前年同期比で増収減益に。
② ニュースリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるニュースリリース配信事業は、利用企業社数が順調に推移し32,000社を突破した結果、前年同期比で2桁増収増益。好調です。
③ ビデオリリース配信事業
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、売上は伸長したものの、広告費や人件費の増加により前年同期比で増収減益に。
④ ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパンが手掛けるダイレクトマーケティング事業は、主力商品のビタブリッドCの販売が順調に推移し、売上高は前年同期比46.0%増、営業利益は3倍に。絶好調です。
⑤ メディア事業
ベクトルは、Webメディアを運営する株式会社スマートメディア(当時株式会社OPENERS)を2017年に、Webメディア構築CMS「Clipkit(クリップキット)」を開発・運営するラグル株式会社を2018年に子会社化しています。
メディア事業においては、のれんの減損損失を計上していますが、業績も思わしくありません。一部のSEOメディアにおいて収益性が低下したこと、新規事業への先行投資を行ったことにより、前年同期比で減収減益、営業損失△1億8,000万円(前年同期は△8,400万円の営業損失)と赤字幅が拡大。
【グラフ】メディア事業の業績推移
⑥ HR事業
ベクトルは2018年に、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開するあしたのチームを子会社化しています。
【グラフ】HR事業の業績推移
第2四半期に受注が伸びたことに加え、不採算拠点の閉鎖、広告宣伝費や販売促進費の削減等のリストラクチャリングの効果もあり、第1四半期に比べ赤字幅は縮小。8月度に単月黒字化を達成。
⑦ その他事業
その他事業は報告セグメントに含まれない事業セグメントで、タタクシーサイネージネットワーク事業や投資事業が含まれています。
サイネージ事業が好調な上、一部株式の売却を実施したことにより前年同期比で増収増益に。
足元の業績動向を踏まえ、通期の業績予想を下方修正しました。2020年2月期は前期に対し増収増益となるものの、当期純利益は0円となる見込みです。
経常利益は、インベストメントベンチャー事業における投資有価証券評価損を過少に見積もっていたため、期首予想より32.8%下方修正。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を過少に見積もっていたこと、のれんやソフトウェア等の減損損失、あしたのチーム社の地方拠点閉鎖に関わる事業整理損等の特別損失が発生したことにより、24億円の黒字予想から0円に下方修正。
ベクトルは現在、業績の回復を優先するとし、新規のM&Aおよび投資を凍結しています。2019年4月にベンチャー投資を行って以降、新規の投資を凍結しているため、2021年2月期以降は多額の投資有価証券評価損は発生しないとのこと。業績不振の子会社をどのように立て直していくのか、今後に注目です。
画像出典元:「株式会社ベクトル」決算説明資料
PR事業を展開する「ベクトル」の2020年2月期第1四半期の決算を見ていきます。
売上高は、前年同期比で38.7%増と大きく成長しています。一方、営業利益、経常利益はともに減益となり、最終3億100万円の赤字となっています。
赤字の要因は2つ挙げられます。
1つは、2018年に子会社化した、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開する「株式会社あしたのチーム」のリストラクチャリング。
あしたのチームは、代表取締役の交代など事業体制の整備と最適化に取り組んでいる段階であるため運営費用が先行し、5.4億円の営業損失を計上しています。これが業績を下振れさせる主な要因となっています。
なお、前期では、あしたのチームは「その他」に区分されていましたが、今期よりあしたのチーム及びその子会社4社は「HR事業」に区分されています。
【グラフ】HR事業(あしたのチーム)の業績推移
もう1つの要因は、PR事業、ビデオリリース配信事業、メディア事業における先行投資です。具体的には、PR事業では営業人員の強化を実施、ビデオリリース配信事業では広告宣伝費を先行して投下、メディア事業では新規事業への先行投資を行いました。
先行投資があったものの、あしたのチームを除く事業に関わる営業利益は前年同期比45.9%増の9.4億円と好調に推移していることから、あしたのチームの収益化が今後の業績の鍵を握っていると言えるでしょう。
2020年2月期の業績予想に変更はありません。
第1四半期は赤字となりましたが、第2四半期では黒字に転換する見込みとなっています。
先行投資による成長に加え、あしたのチームの黒字化が今期中に達成すると見られます。あしたのチームは成長が期待される分野だけに、黒字化する時期に注目したいです。
画像出典元:「株式会社ベクトル」決算説明資料
2019年2月期 通期の業績は、PRなどの本業が順調に事業を拡大し、前期に対し+50.0%と大幅な増収となりました。
一方、買収により子会社化した17社のうちの一部事業の業績が低迷したこと、また投資活動に関して一部想定を下回る結果となったことなどにより、純利益は前期に対し△98.0%と大幅な減益となりました。
なお、業績予想は決算発表直前に純利益を19億円から2,800万円に下方修正されました。
① M&Aに伴うのれん償却費の影響、及び一部事業の計画未達
② のれんの評価による減損損失の計上
③ 損金不算入による法人税等合計の増加
「一部事業」とは、PR事業におけるWebメディアと、その他事業における、あしたのチームのことです。
のれんの評価により、減損損失を計上したことで、のれんの全体金額が減少し、2020年2月期ののれん償却費(予定)は11.8億円から8.8億円に減額しました。
モノを広めるプロフェッショナルであるベクトルの報告セグメントは、「PR事業」「ニュースリリース配信事業」「ビデオリリース配信事業」「ダイレクトマーケティング事業」「その他事業」で構成されています。
PR事業は、PR事業とWebメディア事業で構成されています。PR事業は、引き続き安定的に案件を獲得し順調に推移しました。
一方、Webメディア事業においては、上期に生じた検索エンジンの表示順位変更により広告収入が想定を下回りました。さらに、M&Aにより生じたのれんの償却額が前年度を大きく上回り、営業利益は前年度を下回る結果となりました。
今後は、不採算メディアの売却や体制の見直し等に取り組むことで、業績回復を見込んでいます。
株式会社PR TIMESが手掛けるニュースリリース配信事業においては、ニュースリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにニュースリリースを配信・掲載し、1年間で7,000社近くの新規顧客を獲得し、2019年2月には利用企業社数が28,000社を突破しました。
株式会社PR TIMESは、2018年8月29日付で株式の上場市場を東京証券取引所市場第一部へ変更しました。
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、アドテクノロジーを活用した動画コンテンツ配信サービス「NewsTV」が引き続き順調に業績を積み上げました。
株式会社ビタブリッドジャパンが手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、「ビタブリッドC」の販売が順調であり、売上高は前期比で130%を超える成長率を達成しました。
営業利益に関しても、広告宣伝の効果もあり前期比で110%を超える成長率を達成しました。
2018年7月に株式会社あしたのチームを子会社化しましたが、当期においては積極的な拡大戦略を行ったことで運営費用が先行するかたちとなり、業績は想定を大きく下回る結果となりました。
また、同社の子会社化により生じたのれんの償却も業績を下振れさせる要因となりました。
あしたのチームは、2018年9月1日から連結対象となり、当期は6ヶ月間の連結となります。
政府による「働き方改革」の推進などもあり、企業の人事分野に対する関心とともにサービスへの需要も高まっています。そのような環境下、運営体制の強化や効率化を推し進めることで、業績の早期回復を図っていく予定です。
これまで130 社を超えるベンチャー企業等への出資を行ってきましたが、当期においては2社が株式を上場し、2019年3月には1社が上場しました。
その結果、これまでに合計9社が株式上場を達成し、出資先に対するPRやIRもあわせたサポートを提供する案件の獲得にもつながっています。
東京オリンピック・パラリンピックを間近に控え、企業の広告やPRを含むマーケティング活動はますます活発になると思われます。また、低迷した事業分野についても、リストラクチャリングを推し進めることで回復に向かい、2020年2月期は大幅な増収増益となる見込みです。
ベクトルは、「戦略PR」を主軸としたコミュニケーション戦略の企画立案・実行を担う総合PR会社です。PRとは、企業の商品やサービスがメディアにニュースとして報道・掲載され、世の中に広まるよう様々な企画やアプローチを行うマーケティング手法です。
また積極的なM&A、ベンチャー企業への投資(インベストベンチャー事業)も行い、事業を拡大させてきました。
PR・Webメディア
広報業務に加え、広告・宣伝分野でPRを活用する「戦略PR」を通じ、企業の広報活動の支援やコンサルティング業務を実施
業務の大半はグループ会社を通じて顧客企業に対して提供されており、それぞれのグループ会社では、既存メディア、ブログやソーシャルメディアなど得意なメディア領域や、日本国内、中国やASEAN等展開エリアをすみ分けて事業を展開しています。
株式会社PR TIMES
クライアントからのパブリシティの依頼に基づき、顧客商品・サービスに関する情報をニュースリリースとして配信し、企業と生活者をニュースでつなぐプラットフォーム事業を展開
株式会社NewsTV
顧客の「企業」「商品」「サービス」に関するニュースを動画コンテンツ化し、ターゲットに限定してインターネットで動画配信をする事業を展開
株式会社ビタブリッドジャパン
健康美容関連商品及びサービスの開発販売事業を展開
あしたのチーム等
企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開
画像出典元:「株式会社ベクトル」決算説明資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高46.7%増と順調に推移しましたが、営業利益は10.9%減となりました。
中核事業である戦略PRサービスが安定的に業績を積み上げ、またビデオリリース配信事業を含むデジタル領域のサービスは特に大きな成長を遂げました。ダイレクトマーケティング事業についても期初に重点的に投入した広告宣伝費をこなして大きな成長を達成しました。
一方、Webメディア分野においての広告収入や、2018年7月に子会社となった株式会社あしたのチームの事業分野が想定を下回りました。M&Aによるのれんの償却の影響もあり、利益面においては前年同期を下回る水準となりました。
通期連結業績の見通しは、ビタブリッドジャパンやブランドコントロールが業績を上回る見込みであることと、その他事業も順調に推移していることもあり、ほぼ計画通りの予定です。
PR事業全体では、売上高130億9,500万円(前年同期比21.1%増)、営業利益13億7,500万円(同23.0%減)となりました。Webメディア以外のPR事業は堅調に推移しました。
営業利益が前期より低下している理由は以下のとおりです。
なお、検索エンジンの表示順位変更による影響は回復基調となっています。今後はオウンドメディア事業を主軸に事業拡大を図っていきます。
ニュースリリース配信事業の売上高は16億9,000万円(前年同期比34.1%増)、営業利益は4億1,000万円(同43.1%増)となりました。
株式会社PR TIMESが手掛けるニュースリリース配信事業は、ニュースリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにニュースリリースを配信・掲載し、2018年11月には利用企業社数が26,000社を突破しました。上場企業のうち34%が利用しています。
ビデオリリース配信事業の売上高は12億7,800万円(前年同期比58.0%増)、営業利益は3億1,100万円(同59.4%増)となりました。
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、アドテクノロジーを活用した動画コンテンツ配信サービス「NewsTV」が引き続き順調に業績を積み上げ、ビデオリリースの配信実績は574本(前年同期比32%増)となりました。
ダイレクトマーケティング事業の売上高は44億1,000万円(前年同期比124.3%増)、営業利益は3億2,700万円(同86.1%増)となりました。
株式会社ビタブリッドジャパンが手掛けるダイレクトマーケティング事業は「ビタブリッドC」の販売が順調で、売上高は前年同期比で130%を上回る成長率を達成しました。営業利益も、期初に重点的に広告宣伝費を投入したことから当第3四半期連結累計期間では前年同期比で80%を超える成長率を達成しました。
その他事業の売上高は11億4,300万円、営業損失は2億4,800万円となりました。
ベクトルは、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開する株式会社あしたのチームを2018年7月に子会社化しました。
同社は、2018年3月までにすべての都道府県に営業拠点の設置を完了しましたが、当第3四半期連結累計期間においては営業拠点の体制整備を含めた運営費用が先行するかたちとなりました。また、同社の子会社化により生じるのれんの償却も業績を下振れさせる要因となりました。
現在、株式会社あしたのチームは、運営体制の強化と効率化が順調に進展し、各拠点の人員の拡充を含む営業体制についても整備され、2018年11月は単月での営業利益黒字化を達成しました。
政府が推進する「働き方改革」も本格化し、将来的には主要な収益源としての貢献が期待できます。
2018年11月、みんなのタクシー株式会社とタクシー車両における後部座席IoTサイネージ事業に関するパートナー意向確認書を締結したことを発表しました。みんなのタクシーに参画するタクシー会社5社が所有するタクシー車両の後部座席IoTサイネージ事業をベクトルが担当し、新型IoTサイネージ端末設置、メディア運営、広告枠販売までサービス提供を行います。
独自の広告メニューの展開・販売を通じて、東京都内最大規模の1万台を超えるタクシーサイネージネットワークを創出していく予定です。
画像出典元:「ベクトル」決算説明資料
早速、ベクトルの2019年2月期、第2四半期決算の結果を見てみましょう。
前年同期に比べ業績は大きく伸び、当期は、増収増益の結果となりました。
続いて、ベクトル通期決算の推移と、2019年2月期の業績予想を見ていきます。
ベクトルは、これまで安定した成長率をキープ。株式上場以来、8年連続で右肩上がりに業績を伸ばしてきました。2018年2月期には、売上高200億円・営業利益30億円を達成しています。
2019年2月期通期決算の業績予想は以下の通りです。
検索エンジンの表示順位変更に伴い、メディア事業の営業利益の成長率が低下、第2四半期時点での目標は2億円の未達となりました。
現在、ベクトルが運営しているメディアたち
一方で、PR事業そのものは好調、通期での目標達成を見込める状態となっています。
また、ダイレクトマーケティング事業においては、先行投資した広告宣伝費7.4億円に伴う、第1四半期の赤字が影響し、当期は前年同期の営業利益を下回る結果となりました。
一方で、こちらも、新規顧客獲得が順調であるため、年間事業目標2.7億円は達成できる見込みでいるようです。
ベクトルの営業利益は、メインのPR事業が約70%、続いて、ニュースリリース事業が約12%を占めており、残りの事業は全て10%以下となっています。
順調な成長を見せているベクトル、実際のところ、現在の企業としての健全性はどうなっているのでしょうか。
貸借対照表から見てみましょう。
まずは、ベクトルの支払能力の有無について確認していきます。
グラフからは、3年連続で、流動資産および流動負債が共に増加、また、流動比率100%超えをキープしていることが読み取れます。
2019年2月期第2四半期の結果は以下の通りです。
前年同期に比べ、流動負債が154.6%と大幅に増加、これに伴い、流動比率は前年同期の173.8%から110.9%へと大幅に低下しました。
流動比率の平均は120〜150%、理想は200%以上とされており、ベクトルの支払能力が平均を下回ったことが読み取れます。
続いて、ベクトルの会社としての体力の程度を確認していきましょう。
会社は、純資産比率が40%を超えると、しばらくは潰れる心配がないと言われています。ベクトルの当期の純資産比率は49.8%、会社としての体力は十分であることが読み取れます。
以上のことから、ベクトルの健全性は、平均より高めであると言えるでしょう。
ベクトルは、2012年3月27日のマザーズ上場以来「いいモノを世の中に広め人々を幸せに」という経営理念に沿ってさまざまな事業を展開してきました。
現在の組織図は以下のようになっています。
ベクトルのメインであるPR事業は、PRコンサルティングを中心として、ベクトルグループのサービスと組み合わせ、横展開してきました。
既に成果は現れており、顧客数・顧客単価が共に増加、高い成長率を維持しながらメキメキと売上を伸ばしています。
PR事業は、今後も、事業基盤となるリテナークライアントの獲得に注力していく方針です。
また、サブメインであるニュースリリース事業においても、PR事業と同様、顧客数増加に伴い、順調に売上を伸ばしているようです。
ニュースリリース事業を担っているのは、株式会社PR TIMES
2018年8月、株式会社PR TIMESが運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」は、自社メディアで利用企業数2万4000社突破を報告しました。
顧客数増加に伴い、国内上場企業3739社の内、全体の33%に当たる1239社が顧客企業となっています。
「PR TIMES」は、2007年4月にサービスを開始、現在2018年には、プレスリリースニュースメディアとして、国内No.1のシェアを誇るまでに成長しました。
国内PR業界No.1を目指し、目標達成を果たしたベクトル。現在、次なる目標として、広告業界のFAST COMPANYを掲げています。
FAST COMPANYを支えるのは、「情報伝達インフラ」と「アドテクノロジー」をベースに、ターゲットへ「コンテンツ」を直接届けていく、次世代型のコミュニケーション。
FAST COMPANYの提供するサービスは、
サービスの完成度を高めれば、従来のコストから、10分の1以下でモノを広められるようになります。
また、ベクトルは、中期ビジョン「営業利益100億円」実現に向け、FAST COMPANYによるサービス領域拡大・グループ拡大を戦略的に進めていく方針を示しました。
既存PR事業で70億円、新規事業及びM&Aで30億円、合わせて100億円の営業利益になる予定です。
それぞれの詳しい戦略内容を見ていきましょう。
サービス領域拡大の戦略は「タレント戦略」「メディア戦略」「デジタル戦略」の3つから構成されています。
現在、ベクトルのタレントキャスティング実績は100件、これを1,000件にまで拡大するとしています。
広告市場は6兆円、内メディアが占める割合は7〜8割。ベクトルは、累計月間1億5,000万PVを超える既存のメディアプラットフォームを活用し、企業ニュースおよびコンテンツを生成・流通していく方針です。
既存の事業サービスをデジタル化する、デジタルプラットフォームを2019年3月にリリース予定。
グループ拡大の戦略は「M&A戦略」「インベストメントベンチャー事業」の2つから構成。
HR領域やデジタル領域、メディア領域に強い企業の「M&A」を実施。ベクトル経済圏を活用することで、ベクトルグループのさらなる成長に繋げていきます。
投資とPR・IR支援で企業の成長をバックアップ。ベンチャー企業100社の支援を実現。ベクトルからも10社のIPOを目指します。
ベクトルは、PR業務を中心としたマーケティング企業グループです。1998年から本格的にPR事業を始め、10年ほどで業界トップクラスの業績を叩き出しました。
それから、20年が経った現在、ベクトルは、TV・雑誌をはじめとする通常の広報活動だけでなく、自ら勉強し、最先端の戦略・手法を取り入れ続けています。
2018年10月17日には、新たにカジノ関連のブロックチェーン技術に特化した「CASINO Blockchain Lab」を設立。ブロックチェーン技術を活用し、高い透明性と信頼性を担保したエンターテインメントのシステム開発に注力していく方針です。
トップの座に甘んじず、経営理念の実現に向け、積極的に挑戦していくベクトル、わたしたちもその姿勢を見習わなければなりませんね。
いいモノを広め人々を幸せに。今後もベクトルの活動が順調に実を結んでいくよう、わたしも陰ながら応援しています。
画像出典元:「ベクトル」決算説明会資料・公式HP
営業黒字転換!3Qは消費増税と暖冬の影響を受けた「RIZAPグループ」の第3四半期決算
セ・リーグに所属する球団運営会社とその親会社の決算をまとめてみました!
出版社発マンガアプリサービスを中心に急成長する「Link-U」の第2四半期決算
事業拡大期で黒字を継続している「ツクルバ」の第2四半期決算
マザーズ上場へ!電子マネー決済やQRコード決済等、消費者ニーズに合わせた決済手段を提供「GMOフィナンシャルゲート」の第21期決算
世界最速でiPS細胞の具現化を目指すバイオベンチャー「ヘリオス」の通期決算
インフルエンサーマーケティングやMimiTVも好調の「トレンダーズ」の第3四半期決算
マザーズ上場へ!「ヒト.モノ.コト」の正しさを認証、セキュリティシステムで証明、サービスの信頼性を支える「サイバートラスト株式会社」の第19期決算
LINEがグループで300億円出資を決定!巣ごもり消費で需要拡大が期待される「出前館」の第2四半期決算
最終27億円の赤字!新型コロナ追い討ちで資金繰りが悪化している「ペッパーフードサービス」の通期決算