株式会社ベクトルの決算/売上/営業利益を調べ、世間の評判を徹底調査

記事更新日: 2019/01/20

執筆: 山中恵子

経常利益100億円に向けてM&Aとベンチャー支援で年25%拡大中の「ベクトル」の第3四半期決算

2019年2月期 第3四半期 累積業績

  • 売上高:212億2,200万円(前年同期比+46.7%)
  • 営業利益:21億7,600万円(前年同期比-10.9%)
  • 経常利益:27億6,100万円(前年同期比+7.7%)
  • 四半期純利益:11億8,200万円(前年同期比-18.0%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高46.7%増と順調に推移しましたが、営業利益は10.9%減となりました。

中核事業である戦略PRサービスが安定的に業績を積み上げ、またビデオリリース配信事業を含むデジタル領域のサービスは特に大きな成長を遂げました。ダイレクトマーケティング事業についても期初に重点的に投入した広告宣伝費をこなして大きな成長を達成しました。

一方、Webメディア分野においての広告収入や、2018年7月に子会社となった株式会社あしたのチームの事業分野が想定を下回りましたM&Aによるのれんの償却の影響もあり、利益面においては前年同期を下回る水準となりました。

通期連結業績の見通しは、ビタブリッドジャパンやブランドコントロールが業績を上回る見込みであることと、その他事業も順調に推移していることもあり、ほぼ計画通りの予定です。

各セグメントの業績

PR事業全体では、売上高130億9,500万円(前年同期比21.1%増)、営業利益13億7,500万円(同23.0%減)となりました。Webメディア以外のPR事業は堅調に推移しました。

営業利益が前期より低下している理由は以下のとおりです。

  • 前年同期は選挙関連に伴う大型案件受注による特殊要因があった
  • M&Aにより生じたのれんの償却額が前年度を大きく上回った
  • 上期に生じた検索エンジンの表示順位変更により広告収入が想定を下回った
  • ブロックチェーン等の新規サービスの先行投資を行った結果、スマートメディアの収益が悪化

なお、検索エンジンの表示順位変更による影響は回復基調となっています。今後はオウンドメディア事業を主軸に事業拡大を図っていきます。

ニュースリリース配信事業の売上高は16億9,000万円(前年同期比34.1%増)、営業利益は4億1,000万円(同43.1%増)となりました。

株式会社PR TIMESが手掛けるニュースリリース配信事業は、ニュースリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにニュースリリースを配信・掲載し、2018年11月には利用企業社数が26,000社を突破しました。上場企業のうち34%が利用しています。

ビデオリリース配信事業の売上高は12億7,800万円(前年同期比58.0%増)、営業利益は3億1,100万円(同59.4%増)となりました。

株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、アドテクノロジーを活用した動画コンテンツ配信サービス「NewsTV」が引き続き順調に業績を積み上げ、ビデオリリースの配信実績は574本(前年同期比32%増)となりました。

ダイレクトマーケティング事業の売上高は44億1,000万円(前年同期比124.3%増)、営業利益は3億2,700万円(同86.1%増)となりました。

株式会社ビタブリッドジャパンが手掛けるダイレクトマーケティング事業は「ビタブリッドC」の販売が順調で、売上高は前年同期比で130%を上回る成長率を達成しました。営業利益も、期初に重点的に広告宣伝費を投入したことから当第3四半期連結累計期間では前年同期比で80%を超える成長率を達成しました。

その他事業の売上高は11億4,300万円、営業損失は2億4,800万円となりました。

ベクトルは、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開する株式会社あしたのチームを2018年7月に子会社化しました。

同社は、2018年3月までにすべての都道府県に営業拠点の設置を完了しましたが、当第3四半期連結累計期間においては営業拠点の体制整備を含めた運営費用が先行するかたちとなりました。また、同社の子会社化により生じるのれんの償却も業績を下振れさせる要因となりました。

現在、株式会社あしたのチームは、運営体制の強化と効率化が順調に進展し、各拠点の人員の拡充を含む営業体制についても整備され、2018年11月は単月での営業利益黒字化を達成しました。

政府が推進する「働き方改革」も本格化し、将来的には主要な収益源としての貢献が期待できます。

タクシーサイネージ事業に新規参入

2018年11月、みんなのタクシー株式会社とタクシー車両における後部座席IoTサイネージ事業に関するパートナー意向確認書を締結したことを発表しました。みんなのタクシーに参画するタクシー会社5社が所有するタクシー車両の後部座席IoTサイネージ事業をベクトルが担当し、新型IoTサイネージ端末設置、メディア運営、広告枠販売までサービス提供を行います。

独自の広告メニューの展開・販売を通じて、東京都内最大規模の1万台を超えるタクシーサイネージネットワークを創出していく予定です。

画像出典元:「ベクトル」決算説明資料

 

 

2019年2月期 第2四半期決算

早速、ベクトルの2019年2月期、第2四半期決算の結果を見てみましょう。

  • 売上高:128億3,400万円(前年同期比45.0%増)
  • 営業利益:14億5,400万円(前年同期比11.8%増)
  • 当期純利益:10億0,000万円(前年同期比25%増)

前年同期に比べ業績は大きく伸び、当期は、増収増益の結果となりました。

続いて、ベクトル通期決算の推移と、2019年2月期の業績予想を見ていきます。

ベクトルは、これまで安定した成長率をキープ。株式上場以来、8年連続で右肩上がりに業績を伸ばしてきました。2018年2月期には、売上高200億円・営業利益30億円を達成しています。

2019年2月期通期決算の業績予想は以下の通りです。

  • 売上高:240億円(前年同期比19.5%増)
  • 営業利益:38億円(前年同期比25.6%増)
  • 当期純利益:19億円(前年同期比33.3%増)

検索エンジンの表示順位変更に伴い、メディア事業の営業利益の成長率が低下、第2四半期時点での目標は2億円の未達となりました。

現在、ベクトルが運営しているメディアたち

一方で、PR事業そのものは好調、通期での目標達成を見込める状態となっています。

また、ダイレクトマーケティング事業においては、先行投資した広告宣伝費7.4億円に伴う、第1四半期の赤字が影響し、当期は前年同期の営業利益を下回る結果となりました。

一方で、こちらも、新規顧客獲得が順調であるため、年間事業目標2.7億円は達成できる見込みでいるようです。

ベクトルの営業利益は、メインのPR事業が約70%、続いて、ニュースリリース事業が約12%を占めており、残りの事業は全て10%以下となっています。

ベクトルの現在

順調な成長を見せているベクトル、実際のところ、現在の企業としての健全性はどうなっているのでしょうか。

貸借対照表から見てみましょう。

まずは、ベクトルの支払能力の有無について確認していきます。

グラフからは、3年連続で、流動資産および流動負債が共に増加、また、流動比率100%超えをキープしていることが読み取れます。

2019年2月期第2四半期の結果は以下の通りです。

  • 流動資産:131億8,600万円(前年同期比62.4%増)
  • 流動負債:118億9,500万円(前年同期比154.6%増)
  • 流動比率:110.9%

前年同期に比べ、流動負債が154.6%と大幅に増加、これに伴い、流動比率は前年同期の173.8%から110.9%へと大幅に低下しました。

流動比率の平均は120〜150%、理想は200%以上とされており、ベクトルの支払能力が平均を下回ったことが読み取れます。

続いて、ベクトルの会社としての体力の程度を確認していきましょう。

  • 純資産:134億4,800万円(前年同期比34.6%増)
  • 総資産:269億8,000万円(前年同期比81.2%増)
  • 純資産比率:49.8%

会社は、純資産比率が40%を超えると、しばらくは潰れる心配がないと言われています。ベクトルの当期の純資産比率は49.8%会社としての体力は十分であることが読み取れます。

以上のことから、ベクトルの健全性は、平均より高めであると言えるでしょう。

ベクトルは、2012年3月27日のマザーズ上場以来「いいモノを世の中に広め人々を幸せに」という経営理念に沿ってさまざまな事業を展開してきました。

現在の組織図は以下のようになっています。

ベクトルのメインであるPR事業は、PRコンサルティングを中心として、ベクトルグループのサービスと組み合わせ、横展開してきました。

既に成果は現れており、顧客数・顧客単価が共に増加、高い成長率を維持しながらメキメキと売上を伸ばしています。

PR事業は、今後も、事業基盤となるリテナークライアントの獲得に注力していく方針です。

また、サブメインであるニュースリリース事業においても、PR事業と同様、顧客数増加に伴い、順調に売上を伸ばしているようです。

ニュースリリース事業を担っているのは、株式会社PR TIMES

2018年8月、株式会社PR TIMESが運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」は、自社メディアで利用企業数2万4000社突破を報告しました。

顧客数増加に伴い、国内上場企業3739社の内、全体の33%に当たる1239社が顧客企業となっています。

「PR TIMES」は、2007年4月にサービスを開始、現在2018年には、プレスリリースニュースメディアとして、国内No.1のシェアを誇るまでに成長しました。

ベクトルのこれから

国内PR業界No.1を目指し、目標達成を果たしたベクトル。現在、次なる目標として、広告業界のFAST COMPANYを掲げています。

FAST COMPANYを支えるのは、「情報伝達インフラ」と「アドテクノロジー」をベースに、ターゲットへ「コンテンツ」を直接届けていく、次世代型のコミュニケーション。

FAST COMPANYの提供するサービスは、

  • ①タレントキャスティング
  • ②ニュースリリース
  • ③PRコンサルティング
  • ④ビデオリリース
  • ⑤インフルエンサー
  • ⑥メディア
  • ⑦WEB/リスクマネジメント
  • ⑧コンテンツデリバリー、以上8つの領域によって構成。

 

サービスの完成度を高めれば、従来のコストから、10分の1以下でモノを広められるようになります。

また、ベクトルは、中期ビジョン「営業利益100億円」実現に向け、FAST COMPANYによるサービス領域拡大・グループ拡大を戦略的に進めていく方針を示しました。

既存PR事業で70億円、新規事業及びM&Aで30億円、合わせて100億円の営業利益になる予定です。

それぞれの詳しい戦略内容を見ていきましょう。

サービス領域拡大の戦略は「タレント戦略」「メディア戦略」「デジタル戦略」の3つから構成されています。

1

タレント戦略

現在、ベクトルのタレントキャスティング実績は100件、これを1,000件にまで拡大するとしています。

2

メディア戦略(スマホ向け)

広告市場は6兆円、内メディアが占める割合は7〜8割。ベクトルは、累計月間1億5,000万PVを超える既存のメディアプラットフォームを活用し、企業ニュースおよびコンテンツを生成・流通していく方針です。

3

デジタル戦略

既存の事業サービスをデジタル化する、デジタルプラットフォームを2019年3月にリリース予定

グループ拡大の戦略は「M&A戦略」「インベストメントベンチャー事業」の2つから構成。

1

M&A戦略

HR領域やデジタル領域、メディア領域に強い企業の「M&A」を実施。ベクトル経済圏を活用することで、ベクトルグループのさらなる成長に繋げていきます。

2

インベストメントベンチャー事業

投資とPR・IR支援で企業の成長をバックアップ。ベンチャー企業100社の支援を実現。ベクトルからも10社のIPOを目指します。

ベクトルは、PR業務を中心としたマーケティング企業グループです。1998年から本格的にPR事業を始め、10年ほどで業界トップクラスの業績を叩き出しました。

それから、20年が経った現在、ベクトルは、TV・雑誌をはじめとする通常の広報活動だけでなく、自ら勉強し、最先端の戦略・手法を取り入れ続けています。

2018年10月17日には、新たにカジノ関連のブロックチェーン技術に特化した「CASINO Blockchain Lab」を設立。ブロックチェーン技術を活用し、高い透明性と信頼性を担保したエンターテインメントのシステム開発に注力していく方針です。

トップの座に甘んじず、経営理念の実現に向け、積極的に挑戦していくベクトル、わたしたちもその姿勢を見習わなければなりませんね。

いいモノを広め人々を幸せに。今後もベクトルの活動が順調に実を結んでいくよう、わたしも陰ながら応援しています。

画像出典元:「ベクトル」決算説明会資料・公式HP

会社概要

会社名 株式会社ベクトル
事業内容 PR業務を中心としたマーケティング事業を展開
所在地 東京都港区赤坂4-15-1
設立日 1993年3月30日
代表 西江肇司
資本金 20億4,800万円

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