文具、事務用品、オフィス家具などを製造・販売する「コクヨ」の決算を見ていきます。
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となっています。
増収となった主な要因は、オフィス家具販売が好調に推移したことによるものです。一方、原材料価格高騰による売上総利益率悪化や物流費増等の影響により前年同期比で減益に。
コクヨは第1四半期決算時に業績予想を下方修正していますが、下方修正後の計画に対しては順調に進捗しています。
コクヨは11月15日 、ぺんてるの連結子会社化を目指すと突如発表。これに対し、ぺんてるは反発。公式ホームページ上で応酬を繰り広げる事態となっています。
一時は業務提携契約の締結に向けて協議を行っていたにもかかわらず、大手オフィス用品メーカーのプラスも巻き込み、ぺんてる争奪戦へと発展。
ぺんてるは非上場企業で、株式を譲渡する場合は取締役会の承認が必要です。にもかかわらず、なぜこのような争いへと発展していったのでしょうか。発端は、ぺんてるのお家騒動まで遡ります。
1. ぺんてるお家騒動
2012年の取締役会において、定年を過ぎた役員の退任を求めた創業者・孫の堀江圭馬社長は、逆に業績不振を理由に解任に追い込まれる事態に。再びトップの座への返り咲きを試みるも支持を得られず、2018年に保有するぺんてる株をマーキュリアインベストメント傘下のファンド(PI投資事業有限責任組合)に売却。
PI投資事業有限責任組合はぺんてる株の受け皿として2017年12月に組成されたもので、ぺんてる株37.45%保有する筆頭株主となりました。
2. コクヨが間接株主に
ところが2019年5月10日、コクヨが突如「PI投資事業有限責任組合の有限責任組合員としての持分すべてを取得する」と発表。コクヨは101億円をファンドに出資し、ぺんてるの株式を間接保有することに。
持分売却を検討していたマーキュリアインベストメントと、海外売上比率65.8%と海外に強みを持つぺんてるを取り込みたいコクヨの思惑が合致したようです。一方で、プラスとぺんてるが提携するのを阻止したかったのだろうという見方もされています。
3. 持分法適用関連会社へ
プラスとの提携を考えていた、ぺんてるにとっては寝耳に水。ぺんてるは猛反発しましたが、協議を重ねた結果、ぺんてるの取締役会にてPI投資事業有限責任組合からコクヨへのぺんてる株譲渡が承認され、9月24日にぺんてるはコクヨの持分法適用関連会社となりました。
4. 敵対的買収へ
これで業務提携に向けた協議が加速すると思いきや、ぺんてる側が協議に消極的になったこと、また第三者との間で大規模な資本業務を画策としていることが明らかになったとし、コクヨはぺんてるの連結子会社化に乗り出すことに。
なお、第三者とはプラスのこと。プラスはアスクルの元親会社で、ヤフーとアスクルの対立時にはヤフー側につき、アスクルの岩田社長を退陣に追い込んだことは記憶に新しいのではないでしょうか。以下、3社の比較です。
コクヨは11月20日、普通株式1株につき3,500円だった買付価格を3,750円に変更すると発表。さらに、29日には買付価格を4,200 円に引き上げました。
これは、プラスが設立したコンソーシアム(ジャパンステーショナリーコンソーシアム合同会社)が1株当たり3,500円でぺんてる株式を買い受ける旨の文書がぺんてる株主に対して送付されたとの情報を得たことによるものです。
買付期間は11月15日から12月15日までで、発行済株式総数の50%以上の取得を目指しています。
通期の業績予想は4月に下方修正された以降、変更はありません。前期に対し増収となるも、営業利益ベースでは減益となる見込みです。
空間価値ドメインの国内事業における先行きの不透明感、グローバルステーショナリードメインの国内市場における需要の低迷が続くとし、第1四半期の決算発表時に業績予想は下方修正されています。
なお、中期経営計画の目標として、2030年には売上高4,500億円〜5,000億円を目指すとしています。やや成長が鈍化しているコクヨ、ぺんてるの連結子会社化で再び成長軌道に乗れるか注目です。
創業は1905年(明治38年)、故黒田善太郎氏が和式帳簿の表紙を製造する「黒田表紙店」を開業したのが始まり。以降、洋式帳簿、伝票、便箋、複写簿、フラットファイルなど次々と製造。
1961年に社名をコクヨ株式会社に変更し、1971年に東京・大阪証券取引所第二部に上場。翌1972年に東京・大阪証券取引所第一部に市場を変更し、コクヨの代表商品であるキャンパスノートを1975年に発売。
文具業界では長年、圧倒的な売上高1位を誇っていましたが、今やアスクルに逆転され、しかも突き放されています。
報告セグメントは従来、「ステーショナリー関連事業」「ファニチャー関連事業」「通販・小売関連事業」の3つを報告セグメントとしていましたが、2019年12月期より「空間価値ドメイン」「ビジネスサプライドメイン」「グローバルステーショナリードメイン」に変更されています。
オフィス用品の仕入れ、販売
文具の製造、仕入れ、販売
報告セグメントに含まれないアウトソーシングサービス、アンテナショップ等
画像出典元:「コクヨ株式会社」 決算説明会資料
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