SNS運用ガイドラインの作り方は?制定しておくべき項目や事例を解説!

SNS運用ガイドラインの作り方は?制定しておくべき項目や事例を解説!

記事更新日: 2024/05/22

執筆: 高浪健司

SNS運用はリスクと隣り合わせです。

企業はSNS運用ガイドラインを作り、万が一のトラブルに備える必要があります。

この記事では、SNS運用ガイドラインを作るときのポイントを、制定しておくべき10項目とともに解説します。

企業のSNS運用ガイドラインの事例も紹介していますので、参考にしながらSNS運用のトラブルを未然に防ぐガイドラインを作成しましょう。

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SNS運用ガイドラインで守るべきルール

企業や組織がSNSを活用し、適切かつ効果的に運用するためには、きちんと運用ガイドラインを策定することが重要です。

運用ガイドラインは、大きく「ソーシャルメディアポリシー」「コミュニティーガイドライン」「ソーシャルメディアガイドライン」の3種類があります。

まずは、運用ガイドラインの基礎知識や、各種ガイドラインの特徴・目的について、きちんと理解を深めましょう。

ソーシャルメディアポリシー

企業がSNSを利用する際に、遵守すべきルールや方針を定めた文書で、社内向け・社外向けの2種類を作成するのが一般的です。

社内向け

企業として公式アカウントを運用する際、社内向けに定める指針やルールで、企業の評判や情報セキュリティを保護することが目的です。

具体的には、運用目的や基本方針、投稿内容の基準、コンプライアンス遵守、リスク管理などに関する内容が該当します。

社外向け

法令遵守を徹底し、企業のブランドイメージと評判を守り、顧客との信頼関係を築くことを目的としています。

具体的には、基本理念・利用目的・情報の取り扱い・投稿時のルール・トラブル発生時の対応などを定めるのが一般的です。

コミュニティーガイドライン

公式アカウントを利用する全ユーザーを対象に、免責・禁止事項・トラブルが生じた場合の削除方針などを定めた文書です。

SNSの利用ルールを明確にすることで、ユーザーの安全性や安心感を守り、健全なコミュニケーションを促進します。

ソーシャルメディアガイドライン

従業員が公式アカウントを利用する際、遵守すべきルールや指針を明確に定めた文書です。

投稿内容やハッシュタグの使い方、承認フロー、トラブル時の対応など、運用に関する手順や注意点などを、運用担当者に向けて策定します。

ソーシャルメディアガイドラインの策定は、企業のブランドイメージを守り、一貫性を保った運用を行ううえで、とても重要です。

SNS運用の基礎について知りたい方はこちらの記事もチェック!

そもそもSNS運用ガイドラインはなぜ必要なのか?

SNSは、だれでも手軽に情報発信ができ、拡散力に優れるというメリットがある一方で、不適切な投稿や炎上などのトラブルに発展する可能性もあります。

とくに、企業や団体が公式SNSアカウントを運用する際には、運用方法やルールに関するガイドラインの策定が必要です。

SNS運用ガイドラインを定めることで、主に以下の3つを実現できます。

企業の信用や利益を守る

近年、SNSの普及により、企業と消費者との関係性が密接なものとなりました。

こうした傾向は、企業の認知を拡大させるうえでとても有効ですが、同時に炎上や乗っ取りなどのリスクも増加させます。

SNS上のトラブルによる誤解は、企業の信用や利益低下につながりやすいため、明確なガイドラインの策定と運用が必要です。

トラブルを防止するためのルールを定めることで、企業の信用や利益を守ることにつながります。

SNS運用の属人化を防ぐ

投稿の基準や表現の仕方、マナー、トラブル時の対応手順など、SNS運用ガイドラインには具体的な運用方針・ルールが明記されています。

これにより、組織全体における一貫性の確保が実現できるでしょう。

また、運用ガイドラインを社内共有することで、SNS運用に関する知識やスキルを複数人が身につけられます。

したがって、SNS運用ガイドラインがあることで、属人化や混乱を防ぎ、効率的かつ効果的な運用が可能です。

投稿の質やクオリティを維持できる

投稿内容やターゲット層、投稿頻度、表現方法、禁止事項など、コンテンツに関するルールを明確に定めることで、投稿の質やクオリティが維持できます。

投稿に関するルールが定められていれば、だれでも迷わずコンテンツの投稿ができるため、運用の効率化にもつながるでしょう。

投稿内容の一貫性と品質の維持は、企業やブランドのイメージ向上につながる重要な要素であるため、ガイドラインを明確にし、周知徹底することが重要です。

SNSでファン獲得や知名度向上につながった企業の成功事例は、こちらの記事をチェック

SNS運用ガイドラインで制定しておくべき10項目

企業がSNS運用をトラブルなく行うために、SNS運用ガイドラインは欠かせません。

SNS運用ガイドラインの押さえておきたい10項目は以下のとおりです。

1.基本方針・原則

ガイドラインの基本となる「どのような姿勢でSNSを取り扱い、向き合うのか」という企業の基本的な考え方を定めます。

2.機密情報の保護

自社の経営に関する情報や非公開にすべき企業情報、従業員・顧客の個人情報などをSNSで外部に発信しないことを定めます。

3.知的財産権の保護

第三者の著作権や肖像権、商標権などを尊重し、コンテンツで二次的に利用する場合は、関係法令を順守することを定めます。

4.顧客・取引先等の情報の保護

顧客や取引先の情報はもちろんのこと、顧客や取引先が特定されるような情報や機密情報をSNSで発信しないことを定めます。

5.自社に関わる情報発信のルール

自社の情報を発信するときの発信方法や内容などは、管轄部署・人物の指示に従うことを定めます。

6.誹謗中傷の禁止

特定の個人、集団や宗教、政治など第三者や企業に対する侮辱、名誉棄損、攻撃的かつ差別的な発言、性的発言を行わないことを定めます。

7.真偽不明の情報発信の禁止

真偽を確認できない情報を、まるで本当にそうであるかのように SNSで発信しないことを定めます。

8.ステルスマーケティングの禁止

消費者に広告だと気づかれないように商品やサービスを宣伝し、販売促進を狙うステルスマーケティングの禁止を定めます。

9.責任元の明確化

従業員が個人的に使用するSNSの責任は全て本人にあり、企業は一切関係ないことを定めます。

10.SNSの特性の理解

インターネット上に発信された情報は、世界中に公開され、一度、拡散された情報は取り消せません。

インターネットの特性を理解したうえで、誠実な気持ちと姿勢でSNSを利用することを定めます。

SNS運用ガイドライン作成時のポイント

SNS運用ガイドラインの必要性を理解したところで、続いてはSNS運用ガイドラインを作成する際のポイントを解説します。

運営方針・目的の明確化

まず「SNSをなぜ運用するのか」といった、目的を明確にする必要があります。

企業やブランドの認知度向上・ブランディング・顧客とのコミュニケーションなど、SNS運用の目的は企業によってさまざまです。

目的を明確にすることで方向性が定まり、効果的な運用につながります。

また、SNSを活用するにあたっての考え方や向き合い方など、運営方針として定めることも重要です。

ガイドラインの対象を明確にする

SNS運用ガイドラインは、企業の公式アカウント運用に係わるすべての従業員を対象とするのが一般的です。

しかしながら、すべての従業員を対象とした場合、内容が多岐にわたってしまい、対象者が理解しづらくなる可能性があります。

運用ガイドラインを作成する際には対象を明確にし、必要な内容だけを簡潔にまとめると、理解しやすく、遵守しやすくなるでしょう。

基本方針の確認

基本方針とは、企業の経営理念やビジョン、社会的責任など、企業が目指す姿や価値観などを示したものです。

SNS運用ガイドラインは、企業の基本方針に基づいて作成する必要があり、きちんと理解していないと運用に混乱が生じる可能性があります。

SNS運用ガイドラインを作成する際には、企業の基本方針を確認し、どのように反映させるべきかを、きちんと考慮することが重要です。

起こり得るリスクを洗い出す

SNS運用ガイドラインを作成するにあたり、あらかじめ起こり得るリスクを洗い出しておきましょう。

考えられるリスクとしては、具体的に次のようなものがあげられます。

  • 誹謗中傷や差別的発言、誤情報の拡散による炎上
  • 情報漏えいによる個人情報の流出
  • 著作権や肖像権などの侵害
  • なりすましや不正アクセスによるアカウントの乗っ取り
  • ステルスマーケティングやインフルエンサーマーケティングのトラブル

SNSを効果的に運用するには、リスクマネジメントが欠かせませんので、起こり得るリスクをきちんと洗い出し、適切な対策を講じておくことが重要です。

投稿時のルールと注意点を決める

SNSは、だれでも気軽に情報発信ができる一方で、誤った情報や不適切な発信などによって、企業の信頼喪失につながる可能性があります。

そのため、SNS運用ガイドラインの作成時には、投稿時のルールと注意点を明確に定めることが重要です。

以下は、投稿時のルールと注意点の一例です。

  • 不適切な表現や攻撃的な言葉を使用しない
  • 投稿する時間帯や頻度を守る
  • 情報の正確性と誠実性を保つため、投稿前に事実関係を確認する
  • ハッシュタグの使い方やメンションの対象を明確に定義する
  • 他人の著作物を無断で使用しない など

なお、投稿時のルールと注意点は、企業によってそれぞれ異なりますので、自社にあわせて慎重に検討する必要があります。

禁止事項を定める

禁止事項を定めることで、企業イメージの維持・向上はもちろん、トラブルや炎上といったリスクの回避などに有効です。

禁止事項として定める項目は企業によって異なりますが、一般的な例としては、以下のようなものがあげられます。

  • 個人情報の取り扱いに関して規定に違反する行為
  • 誹謗中傷や差別的発言
  • 虚偽や誤解を招く情報の発信
  • 法令や社内規則に違反する行為
  • 著作権や肖像権などを侵害する行為 など

禁止事項は、SNSの利用状況や社会情勢の変化などにあわせ、必要に応じて見直すことが重要です。

SNS上での対応方針を決める

SNSは、一方的な情報発信だけでなく、ユーザーとのコミュニケーションも活発に行われるプラットフォームです。

そのため、投稿した内容に対し、ユーザーから寄せられたコメントや質問などへの対応も求められます。

SNS上での対応方針を決める場合は、以下の点を考慮するとよいでしょう。

  • ユーザーとのコミュニケーション方法
  • 誹謗中傷や差別発言など、不適切な投稿があった際の対応
  • ユーザーからのコメントや質問への対応 など

SNS上での対応方針を定めておくことで、ユーザーからの信頼を獲得できるだけでなく、トラブル発生時も迅速かつ適切な対応がとれるでしょう。

炎上時の対処方法を決める

SNSでの炎上は、企業のイメージや信用を大きく損なう可能性があります。

炎上の未然防止対策を講じることが大切ですが、万が一炎上してしまった際の対処方法を決めておくのも重要です。

具体的には、炎上時の連絡体制・事実確認と原因の調査・謝罪および訂正の文言・炎上拡大防止対策などを盛り込むとよいでしょう。

炎上が発生した際も、対処方法をあらかじめ決めておけば、慌てることなく適切な対応が取れるため、被害を最小限に抑えられます

現場へのヒアリング

SNS運用ガイドラインは、現場へのヒアリングを行ったうえで作成することが重要です。

担当者の声を反映させることで現場のニーズを満たしたガイドラインとなり、スムーズな運用が実現できます。

また、ヒアリングを介して、運用状況や課題点、改善点などの現状も正確に把握できるので、ガイドラインのアップデートにも有効です。

現場の声を反映した運用ガイドラインを作成することで、より効果的なSNS運用が期待できます。

共有と周知

SNS運用ガイドラインの作成後は、共有と周知を徹底することで内容に対する理解が深まり、運用への統一が図れます。

共有と周知の手段としては、運用担当者向けの説明会・勉強会、研修のほか、社内ポータル・イントラネットへの掲載などが一般的です。

いずれにしても、共有と周知の徹底は、SNS運用ガイドラインの効果的な活用と、SNS運用の品質向上につながります。

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企業のSNS運用ガイドライン事例

この章では、企業の事例から作成ポイントを紹介しています。

炎上リスクを抑えるためにも、ソーシャルメディアポリシーやコミュニティガイドラインを参考にして作成してみてください。

ザ コカ・コーラ カンパニー

ザ コカ・コーラ カンパニーのSNS運用ガイドラインは、大きく分けて「アルコールに関するSNSコミュニティガイドライン」と「責任あるデジタル・メディア指針」の2種類です。

「アルコールに関するSNSコミュニティガイドライン」の概要

同社が販売する、アルコール飲料に関するSNS利用について定めたガイドラインです。

アルコールの適切な摂取を促進し、未成年者へのアルコールの販売や飲酒を助長するような行為や投稿の防止を目的としています。

ガイドラインの対象は、同社の従業員をはじめ、パートナー企業、SNSでの発信を行う一般ユーザーです。

参考:ザ コカ・コーラ カンパニーのアルコールに関するSNSコミュニティガイドライン

「責任あるデジタル・メディア指針」の概要

同社がデジタル・メディアを利用する際、遵守すべき基本的な考え方や行動指針を定めたガイドラインです。

適切な表現やコミュニケーションを心がけ、多様性を尊重し、SNSの特性や影響力を考慮した上での利用を目的としています。

同社の従業員およびパートナー企業の従業員を対象としたSNS運用ガイドラインです。

参考:責任あるデジタル・メディア指針

味の素冷凍食品株式会社

味の素冷凍食品株式会社は、X(旧Twitter)をはじめ、Facebook、Instagram、YouTubeなどの主要SNSを積極的に活用している企業です。

同社のSNS運用ガイドラインでは、主に以下の7項目で構成されています。

  1. 利用にあたって(アカウントの利用目的や利用規約への同意を求める内容)
  2. 運営について(アカウント運営における基本的な姿勢やルールの定め)
  3. 返信および問い合わせへの対応(返信対応や方法についての説明)
  4. フォローについて(フォローに関するルールの定め)
  5. 注意事項
  6. 禁止事項
  7. 準拠法・裁判管轄について

参考:ソーシャルメディアガイドライン

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社が運営する主なSNSは、X(旧Twitter)・Facebook・Instagram・YouTube・Threads・Pinterestの6種類です。

同社は複数のSNSを積極的に活用し、ユーザーとのコミュニケーションを深め、ブランド価値の向上を目指しています

同社のSNS運用ガイドラインでは、主に以下の6項目で構成されています。

  1. 基本情報へのアクセスについて
  2. 投稿やコメントへの返信について
  3. 禁止事項について
  4. 免責事項について
  5. 個人情報の取り扱いについて
  6. 準拠法および裁判管轄

参考:ソーシャルメディア利用規約

メルセデス・ベンツ日本株式会社

メルセデス・ベンツ日本株式会社が運営する主なSNSは、X(旧Twitter)・Facebook・Instagram・YouTubeの4種類です。

ユーザーとの円滑なコミュニケーションとブランドイメージの維持・向上を実現するため、「コミュニティ・ガイドライン」を策定しています。

ガイドラインの構成は主に「公式アカウントの利用目的」「投稿やコメントに関する注意・禁止事項」「準拠法・裁判管轄」の3つです。

参考:コミュニティ・ガイドライン

まとめ

SNS運用ガイドラインは、企業・団体がSNSの運用を行う際に、厳守すべきルールや指針などを定めた文書です。

SNSは、ブランドイメージの向上など、企業にとって大きな宣伝効果をもたらしますが、同時に炎上リスクも伴います

SNS運用ガイドラインは、企業のSNS活動を成功に導くための重要な基盤です。

ぜひ、自社にあったSNS運用ガイドラインを策定し、安全かつ効果的なSNS活動を実現しましょう。

画像出典元:O-DAN

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