CRMのメリットと活用法とは?部門別の活用方法や注意点を解説

CRMのメリットと活用法とは?部門別の活用方法や注意点を解説

記事更新日: 2025/06/30

執筆: 遠藤亜美

顧客情報を適切に管理して有効活用できれば、顧客満足度が向上し、大幅な売上アップが期待できます。

しかし、顧客情報は煩雑でどのように管理すればよいかわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。

ましてやその情報を活用するとなると、さらに難しく感じるかもしれません。

そこでおすすめするのが、CRM(顧客管理システム)です。

本記事では、CRMのメリットや部門ごとの活用方法、導入にあたっての注意点について解説します。

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CRM(顧客管理システム)のメリットとは?

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係性を主軸として顧客管理を行うシステムです。

既存顧客との関係性を深め、新規顧客を獲得するうえで効果的です。

CRMを導入するメリットは、以下の5点です。

  • 営業・マーケティングの業務効率化
  • 顧客満足度の向上
  • リード管理が可能
  • 顧客情報を安全に管理
  • 組織全体でのナレッジ共有

それぞれについて詳しく解説します。

営業・マーケティングの業務効率化

CRMは、顧客の属性や取引履歴などの情報を一元管理することにより、営業やマーケティングを効率化できます。

営業担当者は、外出先で顧客の情報を確認し、日報の書き込みや連絡履歴の自動書き込みなども可能になります。

蓄積した顧客情報を活用してターゲットを絞り、メールマガジンやSMSを配信するなど、マーケティングの効率化にも役立ちます。

ニーズの拡大や掘り起こしを狙ったキャンペーン、商品ラインナップの見直しなど、重要な意思決定もサポートします。

顧客満足度の向上

CRMは、顧客からの電話やメール、チャットなど様々なチャネルを通じた問い合わせやクレームを記録し、対応履歴も含めて管理できます。

属性や取引履歴を活用して、顧客にマッチしたアプローチ方法を選択できるため、顧客満足度とロイヤリティの向上が図れます。

さらに、顧客が企業にもたらす総利益を示すLTV(顧客生涯価値)も向上し、売上増加が期待できるでしょう。

リード管理が可能

CRMは、見込み客へのアプローチを効率化するリード管理にも役立ちます。

セミナーや展示会、アンケート、サイトの閲覧といった行動履歴などのデータから購入意欲を評価し、見込み客一人ひとりに合った働きかけが可能になります。

顧客情報を安全に管理

CRMには、顧客の氏名、住所、年齢、職業、購入履歴といった重要データが蓄積されます。

これらが漏洩したり、不正アクセスにより改ざんやシステムダウンが発生したりすると、顧客に多大な損害を与えるだけでなく、社会的信用を失いかねません。

セキュリティ機能の高いCRMを利用すれば、顧客情報の漏洩やサイバー攻撃を高い確率で防止できます。

組織全体でのナレッジ共有

CRMに蓄積された情報は、マーケティング部門、営業部門、商品開発部門、カスタマーサポート部門など、組織全体で共有できます。

商品開発部門では、年齢や性別などの属性や購入履歴と紐づければ、新サービスや新商品の開発につなげることが可能です。

カスタマーサポート部門では、顧客から問い合わせやクレームがあった場合に、過去のデータを迅速に確認することで適切な対応が行えます。

その対応履歴をさらにCRMで管理すれば、営業部門やマーケティング部門にもナレッジを共有できるでしょう。

【部門別】CRMの活用方法

CRMが実際にどのように活用できるのか、「営業部門」「マーケティング部門」「コールセンターなどの顧客対応部門」の3部門に分けて解説します。

営業部門

営業部門でCRMを活用すると、業務効率化・顧客との関係強化が進み、売上向上につながります

【業務効率化】

  • 営業日報を手書きせずに、都合のよい時間・場所で入力が可能
  • いつでも顧客情報を確認でき、営業プロセスが短縮される
  • オンラインタスクにより帰社の必要がなくなり、テレワークもしやすくなる
  • 新たな営業先を開拓する時間が確保できる

【顧客との関係強化】

  • 購入履歴や問い合わせ履歴などの情報をもとに、各顧客に合った対応ができる
  • 顧客情報の分析により、よりパーソナライズした提案が可能になり、顧客満足度が向上する

さらに、すべての営業担当者が同じ顧客情報を共有できるため、属人化の解消と営業力の平準化が図れます。

マーケティング部門

マーケティングを成功させるには、ターゲットを明確にして、そのニーズに合った戦略を立てる必要があります。

CRMを活用すれば、顧客情報を収集・管理・分析することによって、以下のようなマーケティング手法を展開できます。

  • ペルソナを設定して、ターゲットにマッチした商品提供や新商品開発ができる
  • 市場を細分化し、狙うべき顧客層を選択、競合他社との差別化を図るSTP分析ができる
  • 「商品」「価格」「流通」「プロモーション」の観点から商品やサービスの提供方法を決定する4P分析ができる

ターゲットが明確になれば、メールや電話、SMS、広告配信といったアプローチ方法が見えてきます。

分析結果によっては、無理にターゲットを広げるよりも、LTV(顧客生涯価値)を高めるために、既存顧客に向けたアップセルやクロスセルに注力する方がよい場合もあります。

コールセンターなどの顧客対応部門

コールセンターのように顧客に直接対応する部門では、CRMの顧客情報が有効に活用できます。

顧客からの電話を受けるインバウンドコールセンターでは、着電と同時に属性や購入履歴、対応履歴などが画面表示されるため、その内容をもとに最適な対応が可能になります。

顧客や新規ターゲットに電話をかけるアウトバウンドコールセンターでも、顧客情報やアンケート情報、問い合わせ履歴をもとに最適な提案ができます。

電話やファックスとコンピューターシステムを統合するCTIとの併用により、より高度な顧客対応が実現します。

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CRM活用の際に注意すべきこと

CRMの活用にあたって注意すべきことは以下の5点になります。

  • CRM導入の目的を明確にしておく
  • 導入後すぐに効果が表れないことを理解する
  • 顧客情報はリアルタイムで更新する
  • データは「保存」ではなく「活用」する
  • セキュリティ対策を怠らない

それぞれについて解説します。

CRM導入の目的を明確にしておく

CRMの導入効果を享受するには、以下のように目的を明確にしておく必要があります。

  • 外出先で顧客情報を確認したい
  • リード(見込み客)へのアプローチを強化したい
  • 業績を牽引するような新商品を開発したい
  • アウトバウンドコールでリピーターを増やしたい

CRMサービスには様々なタイプがあります。

目的を明確にすると、どのようなサービスにすればよいかが絞られるので、導入に向けて動きやすくなるでしょう。

導入後すぐには効果が表れないことを理解する

CRMを導入したからといって、すぐに効果が現れるとは限りません。

CRMは、あくまで顧客情報を管理するシステムであるため、まずデータの蓄積を行い、そのデータをマーケティング戦略に落とし込むまでには一定の期間(数ヶ月単位)を要します

また、売上の向上に直結するというよりは、顧客との関係性を見直したり、改善させたりといった効果の方が期待できます。

例えば、ある商品における開発時のターゲット層と、実際に購入されているセグメント層にギャップがあるケースがあります。

こうした現状を把握し、分析することにより、ターゲット層へのアプローチ法を変えることができます。

PDCA(計画・実行・効果検証・改善)を繰り返しながら適切な解決策を探る必要があるでしょう。

顧客情報はリアルタイムで更新する

顧客情報に誤りがあれば、営業、マーケティング、コールセンターなど、CRMを活用するすべての部門に支障をきたすリスクが生じます。

例えば、複数の商品を利用中の顧客が、前年度にAという商品を大量に購入していたとします。

しかし、不良品が見つかったことで注文数がストップしたところに、それを知らない別の担当者がリピート目的の営業を行ったらどうなるでしょう。

関係性が悪化するだけでなく、他の商品への注文にも悪影響が及びかねません。

こうした事態を防ぐためにも、顧客情報はリアルタイムで更新しておく必要があります。

データは保存ではなく「活用」する

CRMで収集した顧客情報は、保存ではなく活用してこそ意味をなします。

例えば、ある化粧品が30代よりも50代によく売れているというデータがあるとします。

販売数を確認するだけでは、単なる数字でしかありません。

そこに「アンチエイジング効果への期待が大きかった」「CMに起用したタレントが50代以上に人気がある」など、データに隠されたリアルな顧客心理や消費行動を突き止められれば、マーケティングに活用できるでしょう。

こうしたデータの検証力や分析力をいかに備えられるかがCRM導入の成否を分けます。

そのためにも、紐付けに有効なデータの取り方や効果の検証方法を精査し、研究しなければなりません。

最近では、この点をサポートする目的でAIが搭載されたCRMも登場しているので、利用を検討してみるのもよいでしょう。

セキュリティ対策を怠らない

CRMでは、機密性の高い顧客情報を管理しているため、以下のような方法でセキュリティ対策を万全にしておく必要があります。

  • データベースの情報を暗号化し、不正アクセスで盗まれても解読できないようにする
  • 外部システムとデータのやり取りをする場合は、SSLやTLSなどの暗号化プロトコルを使用する
  • 従業員のセキュリティ意識を高め、ログの記録やアクセス制限を徹底する

CRM導入の際には、提供されるセキュリティ機能と、自社で実施すべき対策をしっかりと確認しましょう。

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失敗しないCRMの選び方

CRMには、さまざまなタイプがあります。

せっかく導入しても期待した効果が得られなければ意味がありません。

そこで、失敗しないCRMの選び方について、以下の5つの項目に分けて解説します。

  • 自社の目的に合う機能が備わっているか
  • 他システムの連携が可能か
  • 使いやすさ
  • セキュリティ対策が万全か
  • サポート体制が充実しているか

自社の目的に合う機能が備わっているか

CRMの導入を検討している企業の場合、すでにExcelなどを活用して顧客管理を行っているケースが多いと考えられます。

そのため、導入にあたってはCRMでしか得られない機能が備わっていることが前提です。

例えば、以下のような目的があれば、その実現が可能かどうかという観点でCRMを選択しやすくなるでしょう。

  • 日報の自動書き込みにより外出先の営業担当者の負担を減らしたい
  • 問い合わせ履歴を分析して見込み客を取り込みたい
  • コールセンターで着電と同時に顧客情報を確認できるようにしたい
  • 購入後のお礼メールや、一定期間利用のない顧客への宣伝メールを自動送信したい

他システムの連携が可能か

CRMは、他システムとAPI連携できれば、機能性と独自性が大幅に広がります。

例えば、SFA(営業支援)と連携すると、より細かな顧客情報をCRMに反映し、顧客ごとにより踏み込んだ営業活動が可能になります。

MA(マーケティングオートメーション)と連携すれば、見込み客に対するアクションを自動化・効率化できるため、短期でのリード獲得に役立つでしょう。

API連携は、顧客データの保存ではなく「活用」を積極化するうえで欠かせないため、CRM選択に際して無視できない要素です。

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使いやすさ

CRMは、いくら優秀な機能が搭載されていてもUIが複雑だと実用性に欠けます。

ある程度の研修やサポートで誰でも使える操作性の良さが重要です。

CRMは、単独というより複数の部門で共有するケースが多いため、一部の担当者だけで決めず、該当部署の担当者にも操作性の可否について確認するのがおすすめです。

セキュリティ対策が万全か

CRMでは、機密性の高い情報を取り扱います。

そのため、情報漏洩や悪意のあるデータ改ざんを防止しなければなりません。

顧客データの暗号化や、外部システムとデータをやり取りする際は、暗号化プロトコルを使用するなどの対策が可能か、事前に確認する必要があります。

サポート体制が充実しているか

CRMが使えなくなったり、誤った操作をしたりすると業務に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、サポート体制が手厚いサービスを選ぶのがおすすめです。

電話やメール、チャットなど複数の方法で連絡ができるか、サポートの時間帯や曜日、専門の担当者が駆けつけてくれるかといった点について確認してください。

CRMの費用相場

CRMは、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けられます。

それぞれの費用相場は以下の通りです。

クラウド型 初期費用:無料〜10万円前後
月額費用:1ユーザーにつき2,000〜10,000円前後
オンプレミス型 初期費用:50〜200万円前後
月額費用:1ライセンスあたり5〜10万円前後


クラウド型は、パソコンと通信環境があれば短期間で導入できるうえ、アップデートはベンダーが行うので非常に便利です。

一方、オンプレミス型はセキュリティが強化されており、より安全性が高いですが、自社に設備を構築するためコストがかかります。

アップデートも自社で行わなければならないため、専門的な人材の確保が必要です。

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まとめ

CRMは、顧客との関係を深め、売上アップを目指すうえで非常に有効なサービスです。

営業だけでなく、マーケティング、コールセンターなど複数の部門で共有できるため、全社でDXを推進したい企業にとって強力な味方となります。

自社に合ったCRMを選択し、さらなる顧客満足度の向上と競争力強化に取り組んでみてください。

画像出典元:photoAC、Pixabay

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