株式会社アンビスホールディングスの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

祝JASDAQ上場!医療施設型ホスピス事業で急成長する「アンビスホールディングス」の通期決算

2019年9月期 通期決算

  • 売上高:53億6,900万円(前期比+73.0%)
  • 営業利益:9億900万円(前期比+113.0%)
  • 経常利益:8億6,400万円(前期比+110.0%)
  • 当期純利益:6億200万円(前期比+109.7%)

慢性期・終末期の看護・介護ケアに特化した医療施設型ホスピス事業を展開する「アンビスホールディングス」の決算を見ていきましょう。なお、アンビスホールディングスは、2019年10月9日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場しています。

2019年9月期通期の業績は、前期に対し大幅な増収増益となっています。売上高は1.7倍、営業利益・経常利益・当期純利益はそれぞれ2.1倍と好調に推移し、予想を上振れて着地。これは、施設数及びサービス利用者の増加によるものです。

アンビスホールディングスは、慢性期・終末期の看護・介護ケアに特化した医療施設型ホスピス「医心館」を運営し、医療依存度が高い方々の受け皿を提供しています。2019年9月期には新たに医心館7施設(定員合計321名)を出店し、2019年9月末時点で1都9県に20施設(定員累計841名)となりました。

新規開設した施設の稼働率の上昇が想定以上であったことが寄与し、売上高は前期比で7割増を達成。創業以来、急成長を続けています。

【グラフ】業績推移

営業利益は、人件費などのコスト増を増収効果で吸収し前期比で2.1倍に。

売上高は、保険売上と保険適用外売上に大別されますが、いずれも入居者数と単価が重要なインディケーターとなります。入居者数においては、2019年9月期の新規入居者数は1,144名、看取り者数は743名と高齢化社会を背景に伸長しています。

【グラフ】「医心館」定員数に対する入居者数と看取り数の推移

業績は順調に成長していますが、運転資金及び新規出店の設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しているため、2019年9月期末の有利子負債残高は50億5,000万円、有利子負債自己資本比率は471.9%となっています。

資金調達

上場の目的の理由の一つとして、資金調達手段を多様化・円滑化することで財務体質を強化することが挙げられていますが、上場により30億円超の資金調達を行っています。なお、株価は公開価格2,800円に対し初値4,260円を付け、その後も上昇しています。

アンビスホールディングスの株価推移

画像出典元:SBI証券

また追加で、野村證券を割当先とした普通株式16万5,000株の第三者割当増資による募集株式の発行より4億2,504万円の資金調達を実施。

調達した資金の使途は、設備資金として「医心館事業」の新規開設に係る資金に、運転資金として従業員採用費、ネットワークシステム構築及び各種業務システム整備等の費用に、借入金返済資金として債務返済等に充当する予定とのこと。

2020年9月期の業績予想

2020年9月期は、前期比で2桁増収増益となる見込みです。

  • 売上高:83億8,600万円(前期比+56.2%)
  • 営業利益:15億円(前期比+64.9%)
  • 経常利益:13億9,000万円(前期比+60.2%)
  • 当期純利益:10億300万円(前期比+66.4%)

今後は高齢者だけではなく、医療依存度の高い障害者や小児へもサービスを拡大していくとのことです。医療依存度の高い障害者や小児の行き先問題は将来大きな社会課題になるはずで、そこを解決していこうという取り組みは当事者やその家族にとってはありがたいことだと思います。

既に、障害者と児童発達支援、放課後等デイ事業を試験的に実施しており、将来的に終末期・慢性期患者向け医心館事業との連携を図っていくそうです。

ビジネスモデル

グループは、アンビスホールディングスと連結子会社2社で構成され、アンビスホールディングスは持株会社です。

中核事業は、子会社のアンビスに対する、有料老人ホームの運営及び経営に係るコンサルティング、有料老人ホームの用に供するための土地及び建物の賃借の実施であり、アンビスが主たる収益源。

そのアンビスの中核事業は医療施設型ホスピス事業で、これを「医心館事業」と称しています。アンビスの売上高は、サービスの提供を通じて社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等の審査支払機関から得る診療報酬・介護報酬等の保険売上と、入居者から得るホテルコスト(家賃、食費、水道光熱費・管理費等)等の保険適用外売上により構成されています。

なお、グループの報告セグメントは医心館事業のみの単一セグメントで、医心館事業で提供する各サービスの内容は以下のとおりです。

① 訪問看護/介護予防訪問看護
② 訪問介護/介護予防・日常生活支援総合事業
③ 居宅介護支援
④ 居宅介護/重度訪問介護

画像出典元:「株式会社アンビスホールディングス」決算説明会資料

 

 

第2期決算公告(19年10月更新)

  • 営業収益:4億841万円
  • 経常利益:1億1,696万円
  • 当期純利益:1億580万円

となりました。

業績推移

決算期
(百万円)
17/09
(第1期)
18/09
(第2期)
営業収益 39 408
経常利益 △22 117
当期純利益 △22 105

事業内容

住宅型有料老人ホーム「医心館」の運営及び、経営に関わるコンサルティングや住宅型有料老人ホーム等用の土地及び建物の賃借を行っています。
また「医心館」施設内における訪問看護、訪問介護、居宅介護支援及び障害者を対象とした居宅介護など、各種サービスの提供と施設運営、医療施設型ホスピス事業を行っています。

医心館

1

看護師の24時間安心・安全ケアを 約束する在宅型の病床

慢性期・終末期の病床を、地域の医療従事者で、 シェアリングする在宅型の病床です

2

多職種地域連携によって 医療の公平性、透明性を担保

各専門の医師や薬剤師など地域医療との 連携によって必要な医療を必要に応じて提供し、 質の高い在宅療養を実現します

3

治療(キュア)を終えてなお ケアが必要な方にプライバシーの 保たれた安寧の時間を提供

医療療的ケアが必要で、 受け入れ先を見つけるのが難しかった方、 終末期の方のニーズに迅速に応えます

JASDAQスタンダード上場へ

2019年9月3日、東京証券取引所JASDAQスタンダード市場への新規上場が承認されました。

上場日は2019年10月9日の予定です。

会社概要

会社名 株式会社アンビスホールディングス
事業内容 ・有料老人ホーム事業 / 22施設 〔2019年11月20日時点〕
・訪問看護、訪問介護、居宅介護支援等、その他付随事業
所在地 東京都中央区八重洲一丁目9番8号 ヤエスメッグビル
設立日 2016年10月
代表 柴原慶一
資本金 13億2,800万円(2019年10月末時点)
kigyolog_kessanの最新記事をチェック

この記事に関連するラベル

他企業の情報

ページトップへ