人事管理にエクセルを活用することで、導入コストを抑えつつ、手軽に管理業務を行うことができます。
しかし、効率面での課題や入力ミスが起こりやすいなどのデメリットもあるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
本記事では、エクセルによる人事管理のメリットとデメリットを解説します。
エクセルで管理できる内容や運用時の注意点、より効率的な運用方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
まずは人事管理の基礎知識について紹介します。
エクセルによる人事管理を始める前に、その目的や役割、重要性を理解しておきましょう。
人事管理とは、従業員が最大限の成果をあげられるように体制を整えることです。
採用や育成、配置、退職など、人材に関するすべての業務を管理します。
人材は重要な経営資源の一つであり、その能力を引き出して企業の業績向上や競争力強化を図ることが目的です。
そのため人事管理では、働き方や職場環境の整備に加え、制度やルールを整えたうえで、適切に運用することが求められます。
人事管理に注力することで、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、優秀な人材の確保と定着につなげることが可能です。
組織全体の生産性を高めるためには、人材を最大限活用できる仕組みを構築することが重要です。
しかし、現在は労働人口の減少によって、必要な人材の確保が難しくなっています。
そのような状況下で、従業員から選ばれる企業になるためには、一人ひとりに対する丁寧な人材育成やマネジメントが必要です。
そのため、人材の流動化や働き方改革の推進にあわせて、労働環境の整備に注力する企業が増加しています。
エクセルで人事管理を行うことは可能です。
人事管理は業務内容が多岐にわたりますが、どのような内容をエクセルで管理できるのか見ていきましょう。
エクセルで対応できる人事管理の具体的な内容を、以下の5つの項目に分けて紹介します。
労働基準法では、人事台帳の作成・保存が義務付けられています。
定められた記載項目を入力することで、エクセルでの作成が可能です。
人事台帳は、紙または電子データのいずれかで保存できます。
エクセルファイルでの保存も認められているため、紙に印刷する必要はありません。
応募者の基本情報やスキルなどをエクセルに入力して管理します。
選考中、内定、不合格などの選考ステータスの項目を設定することで、進捗状況の可視化が可能です。
面接日や結果連絡日も入力することで、連絡漏れが発生しにくくなります。
面接結果を評価シートとしてエクセルにまとめておくことで、公正な採用判断に役立ちます。
従業員の出勤・退勤時間を、エクセルに入力して管理します。
自社の労働形態や労働時間制にあわせて、柔軟にカスタマイズできる点がメリットです。
計算式や関数を設定すれば、勤怠時間や残業時間などを自動で計算できます。
一方で、勤怠情報の改ざんリスクや法律改正への対応が難しい点には注意が必要です。
従業員ごとにエクセルシートを作成して、給与・賞与の管理をします。
計算式や関数を設定することで、支給額の自動計算が可能です。
健康保険や社会保険などの控除額についても、項目を用意して管理するとよいでしょう。
ただし、法改正や税率の変更があった場合は、その都度設定の変更が必要です。
エクセルで目標管理シートや人事評価シートを作成し、目標・実績・評価を管理します。
目標管理シートは目標達成までの進捗状況や課題を可視化でき、効果的な管理が可能です。
人事評価シートは職種別に用意しておけば、より正確に評価が行いやすくなります。
一方で同時編集機能が弱いため、上司と部下の間でのやり取りに余計な手間がかかることがあります。
エクセルで人事管理を行うメリットをまとめました。
紙や人事管理システムと比較した際の利点について、わかりやすく解説します。
多くの企業では、エクセルなどのオフィス系ソフトがすでにパソコンにインストールされています。
そのため、新たにソフトを導入する必要がなく、すぐに人事管理をスタートできることがメリットです。
もし未導入の場合でも、その他のシステムと比較して安価に購入できます。
月額費用なども発生しないため、ランニングコストがかかりません。
余計な費用をかけずに人事管理のデータベースを構築したいなら、エクセルがおすすめです。
エクセルは一般的な業務で広く使われているため、誰でも簡単に操作できます。
操作に慣れている従業員が多いため、教育コストもほとんどかかりません。
人事管理の担当者やデータにアクセスする管理者、目標シートに記入する従業員まで、スムーズに使いこなせます。
また、CSV形式で保存すれば他のシステムへの移行がしやすく、簡単に共有できることも魅力です。
エクセルなら、自社の人事管理にあわせて柔軟にカスタマイズできます。
自社独自の運用ルールに対応でき、必要に応じて変更できることがメリットです。
また、インターネット上で公開されているテンプレートも豊富なので、一から作成する必要はありません。
エクセルには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
導入後に後悔しないために、あらかじめチェックしておきましょう。
エクセルでは一部の入力や計算を自動化できますが、数値の記入は手入力です。
計算式や関数も担当者が作成・更新するため、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生することがあります。
エクセルには計算式のエラー表示機能はありますが、その他のミスを自動でチェックする機能はありません。
そのため、入力内容の不備やエラーが見過ごされるリスクがあるので、注意が必要です。
エクセルは同時編集機能が弱く、複数人での作業に向いていません。
一部のバージョンでは共同編集が可能ですが、人事管理システムと比較すると使い勝手に劣る点は多いでしょう。
また、「誰が・いつ・何を変更したか」といった、詳細な履歴管理はできません。
バージョンや設定によっては変更箇所の記録はできますが、機能は限定的です。
エクセルは表計算が目的のソフトなので、セキュリティ面で不安があります。
閲覧・編集権限には対応しているものの、詳細な設定はできません。
意図しない第三者が閲覧・編集するリスクがあるため、注意が必要です。
ファイルにパスワードを設定することはできますが、忘れると解除できなくなるため、注意が必要です。
また、ファイルの誤送信による、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクもあります。
人事管理のデータベースには従業員の個人情報や機密情報が含まれるため、セキュリティリスクは大きなデメリットといえるでしょう。
エクセルで人事管理を行う際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
適切に管理するための基礎知識を、事前にチェックしておきましょう。
誤入力や誤送信などのミスを防止するために、チェック体制を構築しましょう。
入力ミスを防止するためには、ダブルチェックがおすすめです。
2人の担当者でペアを組み、お互いの入力内容をチェックしてください。
また、エクセルファイルは複製しやすく、情報が流出するリスクがあるため、ファイルの持ち出しやメール添付に関するルールを定めておきましょう。
目視チェックの徹底や第三者承認など、対策を徹底することが重要です。
エクセルで関数や計算式を活用すれば、数値を入力するだけで自動的に計算が行われます。
労働時間の計算や給与・保険料の算出など、複雑な作業を短時間で終わらせられるのがメリットです。
また、マクロを活用すれば、特定の操作を記録して自動化することが可能です。
これらの機能を最大限に活用できると、業務の効率化が実現します。
エクセルでの人事管理には限界があるため、システム化を検討する企業は増えてきています。
将来的なシステム化を見据えたうえで、データを整備することが重要です。
互換性の高いCSV形式で保存すれば、人事管理システムへのデータ移行もスムーズに行えます。
データ移行を前提に、適切にデータを整理・管理しておくことがポイントです。
エクセルでの人事管理が難しい場合は、人事管理システムの導入を検討しましょう。
採用や育成、勤怠、給与計算、評価など、人事管理に必要な機能を搭載しています。
人事管理システムのメリットは以下の通りです。
さらに人材情報の一元管理によって、従業員のスキルや業績を可視化・分析できます。
これにより、人事データを活用した適切な育成や人材配置が可能になる点も大きなメリットです。
エクセルによる人事管理なら、導入コストを抑えて手軽に導入できます。
自社に合わせて柔軟にカスタマイズできることもメリットです。
しかし、同時編集や履歴管理に弱く、セキュリティリスクが高いなどのデメリットも多いため注意が必要です。
適切な人事管理を実現するためには、自社に合った人事管理の方法を選択する必要があります。
エクセルでの人事管理が難しいと感じた場合は、人事管理システムの導入を検討しましょう。
画像出典元:O-DAN
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