SNSや若者の間で話題の「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」をご存知ですか?
客席に置かれたサーバーから自分で注いですぐ飲める『0秒』スタイルが話題を呼び、全国のあらゆる地域に新店を続々オープンさせています。
たった3年程でここまでの規模になったときわ亭、「なぜ人気なのか?」「どうしてそこまで事業拡大できるのか?」が気になるところです。
この記事では、ときわ亭成功の秘密を様々な角度から解説し、どんな飲食店経営にも参考になる、店舗運営・集客のコツを紹介していきます。
60分500円の0秒レモンサワー
この話題の店舗、正式名は「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」といいます。
店名にしては長い!と思う方もいるかもしれませんが、これには理由があります。
もともと宮城県で人気のあった「仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」の商品力に感銘を受けた飲食店経営者 GOSSO株式会社の藤田健氏が、同社と提携し、関東・全国進出を手掛けているのです。
都内や海外で飲食・美容業を手掛ける藤田健氏は、事業展開に向けて、ときわ亭の人気の塩ホルモンに加え、何か強みをプラスしたいと考えました。
そこで「0秒レモンサワー」のアイデアを思いつき、それを組み合わせて勝負に出たのです。
藤田氏の革新的なアイデアと、話題性だけでない、着実な経営戦略はすぐに成果を出しました。
2019年12月初出店の横浜西口店は、オープンするなり大人気に。
2020年に+8店舗、2021年に+38店舗と拡大し、2022年も月2~3店ペースで全国各地に出店中です。
2024年には100店舗達成を目指すと発表しており、ますます勢いを増しています。
レモンサワーの仕掛けだけで成功したのではなく、藤田氏は、焼肉店としてどこを攻めるかもしっかり構想を練っていました。
全国に1万8千店以上あるとも言われる焼肉店、実は客単価のカテゴリは様々です。
「焼肉ライク」は1,000円、「鳥貴族」は2,000円、「牛角」「ふたご」は3,500円~5,000円と言われます。
そこでときわ亭は『空白の客単価3,000円ゾーン』を攻略し、回転率の低下で経営が傾きやすい単価安店舗やライバル店との闘いが難しい高級店のような課題を避け、経営拡大に成功しました。
それでは、ときわ亭はなぜお客様に喜ばれるのでしょうか、3つの特徴を紹介していきます。
自分で注ぐスタイルが新しい
前述のとおり、ときわ亭一番の目玉は、60分500円で飲み放題の0秒レモンサワーです。
席からにょきっと出ている黄金のサーバーを握れば、自分で注げるというエンターテイメント性は、誰しも一度はやってみたいと思うでしょう。
その楽しさは、それを他人に自慢したくなる、SNSに上げたくなる、それを見た人がまた集まる...という好循環を生みます。
また、店員さんに運んでもらうよりも早いので、何より沢山飲めます。
さらに、自分で注ぐのでコロナ禍での気になる衛生面でも安心です。
特典が沢山あるアプリ
ときわ亭には専用アプリがあり、来店ポイントを貯めるとお得なキャンペーンが受けられます。
一般的に、来店ポイントは、かなりのリピーターでないと貯めづらいですが、ときわ亭は、3回来店すると金色タンブラーと塩ホルモン1皿サービスをプレゼントしてくれます。
これなら1度行って美味しかったから2度目に来た後、3度目も行ってみたくなりますよね。
また、来店回数に応じて、会員ランクが、関脇、大関、横綱と上がりキャンペーンもその都度変わるので、もっと行ってみたいという気持ちが高まります。
ときわ亭には、居酒屋定番の「ラストオーダー」がない点も画期的です。
そもそも席の確保が90分制なので、60分の飲み放題後も30分300円での延長しかできません。
一般の居酒屋の120分制に比べたら短いと思うかもしれませんが、120分制の場合、最初の注文を聞いてもらうのに5~10分待って、最後の30分~15分の間にラストオーダーの確認がされませんか?
それに対してときわ亭では、セルフサービスで最初から最後まで飲めるので、90分めいっぱい飲み続けることができるのです。
「0秒レモンサワー 酔う」「0秒レモンサワー 悪酔い」というワードがよく検索されていることからも、皆さん、いつもより沢山お酒を楽しんでいることがわかります。
なお、ソフトドリンクも飲み放題なので、アルコールが苦手な人でもちゃんと楽しめる点も嬉しいポイントです。
お客様の心を掴む特徴があるだけではなく、ときわ亭には、きちんと儲かる仕組みがあります。
飲食店経営をする方が必ず目をつけるべき、単価・回転数・コストの全てにおいて、無駄がない、売上・利益に繋がるコツが潜んでいるのです。
インスタ映えの肉塊 レモン牛タン
0秒レモンサワーは500円飲み放題なので、60分で何杯飲んでも店の売上は1人あたり500円です。
また、名物の塩ホルモンも380円と安いのですが、ときわ亭では、来店したお客様が思わず頼んでしまう高単価商品を準備しています。
見た目に楽しくインスタ映えする「肉塊 レモン牛タン」1,490円などが、それにあたります。
焼肉にしてはとても高い商品なのですが、せっかく来たなら写真に撮りたい!SNSに載せたい!という動機から、多くのお客様が頼む傾向にあります。
これにより、レモンサワーや名物商品の単価は抑えつつも、高単価商品をしっかり絡ませ、客単価を引き上げることができるのです。
先ほどご紹介した「最大90分制ラストオーダーなし」により、ときわ亭は一般の居酒屋に比べて高回転数で営業することができます。
■席数が30卓、店舗営業時間が17:00~23:00の6時間だとした場合
120分制の店:30組×3回転=90組
90分制の店:30組×4回転=120組
1.3倍のお客様を受け入れることができるので、客単価が同じであれば売上額も1.3倍になるということです。
飲食店経営の指南本などでは、回転数を上げるためには、お客様が料理を待つ時間の短縮→注文をとったあとの提供時間の短縮→調理の工程の工夫、などと難しいコツが書かれていることもあります。
しかし、オペレーションの改革は時間もかかり難しいため、単純に席の滞在時間を短くすることで回転率を上げるときわ亭の戦略はかなりスマートと言えるでしょう。
店の売上をアップする仕組みだけでなく、ときわ亭はコスト削減施策にも力を入れています。
まず、自分でサーバーから注ぐスタイル、タッチパネル式出の注文により、ホールスタッフの人数を抑えることができます。
また、ときわ亭ではDXの推進によって採用・教育コストの削減にも努めています。
例えば、アルバイトの離職率を下げるためにAIを用いて労務環境を分析したり、最近流行の配膳ロボットの活用にも積極的です。
肉の焼き方などはレクチャー動画を準備。これは指導コストを下げるだけでなく、新人でも、またFCのどの店舗でも同じレベルで提供できる品質担保にも繋がります。
さらに、Googleマップ上の各店舗情報の一括管理や、口コミ管理を行えるサービスCanlyを導入し、情報更新やマーケティングの運用コストも大幅削減。
最新の技術やサービスも用いながら、時代に合わせた施策をいち早く実行している点も、ときわ亭の強みといえるでしょう。
飲食店経営におけるコスト面の考え方は、以下の記事もご参考ください。
ときわ亭は、店舗運営だけでなく、集客においても時代に合わせた、最先端の施策をいくつも成功させています。
選べる楽しいフレーバー
TwitterやInstagramに上げたい!と思わせる施策は「肉塊レモン牛タン」だけではありません。
例えば、0秒レモンサワーは、10種類のシロップを使って好みの味にすることができるため、自分流はコレだとSNSで自慢したくなります。
また、そのシロップの名称を「青春レモン」「初恋レモン」とキャッチ―な名称を使ってみたり、写真映えするような色味にするなどの工夫を加えています。
さらに、出店当初から、インフルエンサーの活用にも積極的に取り組んでいました。
フォロワー数が約12万人のグルメインフルエンサー「へんてこグルメガイド矢崎」さんや、レモンサワーインフルエンサーの「レモンザムライ」さん、などがSNSで相次いで紹介。
その結果、広告やチラシより先にを作っていないにも関わらず予約が殺到したそうです。
話題になったクレイジーアワー
ときわ亭が流行り始めたこの3年は、同時にコロナ禍の3年でもありました。
そのため、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の期間は、営業時間を短縮したり、夜の営業がなかなか行えないことも。
そんな中ときわ亭では「クレイジーアワー 12〜17時限定 レモンサワー やけくそ 90分0円」とのキャンペーンを実施。
逆風を活かしたキャンペーンで、昼間の集客や、新たな層への認知獲得にも成功し、結果として制限解除時の集客・売上拡大に繋げることができたのです。
One Dropとのキャンペーン
ときわ亭はさらに、若者に向けた、時代を先取るキャンペーンにも取り組んでいます。
佐藤栞里さんや見取り図の盛山さんなど、芸能人も着用していることで話題のTシャツブランド「One Drop」とコラボレーション。
コラボTシャツを着ていけば、60分飲み放題が1ヶ月間無料になるキャンペーンを実施しました。
まん延防止等重点措置により、(2022年3月現在)結果的に延期となってしまったのですが、こちらもSNS上などで大きな話題を呼びました。
この記事では、話題の「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」の成功の秘密を解説しました。
話題性先行型と一見思われがちですが、長期的な目線で、儲かる・流行る仕組みが熟考されていることがおわかりいただけたかと思います。
飲食店経営者の方は、ぜひそのコツを参考にしてみて下さい、また、まだ一度も行ったことがない!という方はぜひ足を運んでみてください。
画像出典元:ときわ亭公式HP
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