経営戦略とは?具体的な方法や事例、成功のポイントなどを徹底解説

経営戦略とは?具体的な方法や事例、成功のポイントなどを徹底解説

記事更新日: 2021/04/02

執筆: 編集部

企業が存続、発展するために必要不可欠とされる「経営戦略」とはどんなものでしょうか?

良く耳にするけれど、細かい内容まではわからなという人も多いのではないでしょうか?

この記事では、経営戦略という言葉のいわれや定義を分かりやすく解説しています。

また、経営戦略を決める具体的な方法、経営戦略の成功例やその読み解き方、成功する経営戦略を立てる際のポイントについても説明しているので、ぜひ参考にしてください。

経営戦略とは

戦略とは

戦略(strategy)という言葉が元々は軍事用語だということはよく知られています。

軍事用語としてのstrategyには、局地的な戦闘の戦術を超えた、最終勝利のための作戦という意味があります。

実際の戦争で戦略に何より大きな影響を与えたのは、新しい兵器の登場でした。

第一次時世界大戦(1914~1918年)では機関銃と戦車が、第二次世界大戦(1939~1945年)では航空機が戦略の大きな柱になりました。

戦略という戦争用語がビジネスに援用されて「経営戦略」という言葉が市民権を得たのは、戦争とビジネスには共通点があるからに違いありません。

共通点としては例えば、(1)戦う(競争する)相手がいる、(2)技術革新によって劇的な影響を受ける、(3)敗北することで壊滅的な打撃を受ける、などがあげられます。

つまり、どちらもリスクに満ちた世界で、生き残るためには長期的で包括的なstrategyが必要とされるのです。

経営戦略の定義

ビジネスの世界で「戦略」という言葉がリアリティをもつのは上記のような理由がありますが、では経営戦略(Management strategy)はどのように定義されるのでしょうか。

「企業の持続的競争優位を達成するための基本的な考え方」

「環境の変化に対応して競争に勝つために、ヒト・モノ・カネを最適化する理論」

「企業環境との関わりにおいて、企業を成功に導く指針」

「企業のあるべき将来像とそこに至るまでの変革の設計図」

このようにさまざまな定義がありますが、共通しているのは「競争で勝ち残るため」という目的です。

環境の変化への対応も企業戦略にとって重要なファクターになっています。

また、企業の将来を見すえた長期的な視野に立つものだといえます。

もちろんこのような企業戦略の前提になっているのは、「ヒト・モノ・カネ」という企業の限りある資産です。

中でも「ヒト」とその組織は数値化できない企業文化、企業風土を抱えており、それが戦略に大きな影響を与えます。

企業戦略の多義性と不確定要素

上記の定義を見ると「基本的な考え方」「理論」「指針」「設計図」と、さまざまな言葉で結ばれています。

これらは同じもので表現が違うだけとも言えますが、企業戦略とはこういうものだと言い切れないあいまいさが残されていることも感じさせます。

実際に企業が策定、採用している戦略は、定義以上に多様です。中には、単に経営理念を述べたものや、企業の将来像についての願望に過ぎないものもあります。

これは企業戦略の多義性というよりはレベルの問題ですが、企業戦略を策定することの難しさを物語るものでもあります。

企業のパフォーマンスを戦略的にとらえ直そうという考え方に反対する人はいませんが、いざそれを実行しようとすると、現状分析、環境分析などのテーマが山のようにのしかかっきて、どこから手を付ければ良いか分らないという状況になりがちです。

「経営戦略とは、アメリカで経営学を勉強して帰ってきた社長の息子が、現場に迷惑かける理論だ」などと皮肉を言う人もいます。

「経営戦略とは自社にはないが、儲かっている会社にはあるだろうと思われているもの」などいう迷定義もあります。

しかし、もともと経営戦略とは企業環境の変化などへのリスク対応の手段なので、不確定要素があるのは当然で、成功した企業といえど「神の眼」のような企業戦略があるわけではありません。

経営戦略を策定する方法 

自社の強みと弱みを把握する

現在、存続している企業は必ず何らかの「強み」を持っています。企業戦略を立てるためには、まずその強みを意識化する必要があります。

なぜ他社(他店)ではなく、わが社(わが店)が選ばれるのかを把握するのは、実はそう簡単なことではありませんが、それを知らずに経営戦略を立てることはできません。

また、どの企業も成長にブレーキをかける「弱み」も持っています。

経営戦略は、強みを維持・強化し、弱みを減らしていくという方針で策定する事がもっとも重要です。

自社の強みに脅威を与えるものが何かを見通す

現在の自社の強みが将来も強みであり続ける保証はありません。

自社の強みを把握したら、その強みに脅威を与えつつあるものがないか、将来その脅威は拡大する可能性があるかを検討し、対策を立てる必要があります。

もちろん、予想不可能な変化が起きる可能性はつねにありますが、自社の強みに脅威を与えるものをできるだけ把握することが、有効かつ長期的な経営戦略を立てるために欠かせません。

経営戦略のためのフレームワークを活用する

経営戦略を立てるために自社の「強み」と「弱み」を把握して「脅威」に備えなければならない、という上記の記述は、実はSWOT分析という経営戦略策定のためのフレームワーク(型)を利用したものです。

SWOT分析は、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、環境の中に潜む機会(Opportunities)、自社への脅威(Threats)という4つのファクターから企業戦略を導き出そうとするフレームワークです。

このように、経営戦略を立てるためには、これまでに考案されて有効性が認められた型(定石)を利用するのが常道になっています。

SWOT分析の他に有名なフレームワークとしては、PEST分析、5Forces分析などがあります。

PEST分析は、政治、経済、社会、技術という4つのファクターから経営戦略を決定しようとするフレークワークです。

5Forces分析は、「競合企業」「新規参入」「代替品」「購入者」「供給業者」という企業に影響をあたえる5つの力(forces)を軸に企業戦略を立てます。

このようなフレームワークに基づいて情報を整理して、現状を分析し、企業行動の指針を見出そうとするのが、経営戦略です。

経営戦略の「成功事例」とは

他社の経営戦略の成功事例は、自社の経営戦略の策定にどのような意味で役立つのでしょうか。

レース後の勝因分析はレース予想の役に立つか

世間で取りざたされる「成功した〇社の経営戦略の事例」は、競馬で勝った馬の勝因をレース後に分析するのと似ています。

しかし、その分析に抜けているのは、〇社が多くの要素の中からどうやって勝因となる要素を抽出できたのか、ということです。

経営戦略はある意味でもっとも重要な「社外秘」に属するので、私たちは他社の経営戦略の策定プロセスや内容の細部をつぶさに知ることはできません。

経営戦略の策定は、レースの結果が出る前に自社の勝因になるものは何かを見定めようとする行為なので、他社のレース後の分析を参考にすることの有効性は非常に限られています。

ユニクロの成功事例から学ぶこと

ユニクロの経営戦略の成功要因とされるものに「カジュアルウェアへの特化」「低価格路線」「若者から中高年までの広い顧客層」「ヒーテックなどウェアの機能性の追求」などがあります。

しかし、これらはユニクロにとっての成功要因であり、他社にとっては失敗要因にもなりうることばかりです。

なぜこれらの戦略がユニクロにとって成功要因になったのかという事情を成功事例の分析から読み取るのは簡単ではありません。、

成功事例の研究は経営戦略の策定に欠かせないものの1つですが、本当に学びたいことはレース後の勝因分析ではなく、結果がでる前にその企業が何をどのように分析し、決断したかというプロセスです。

経営戦略を成功させるポイント

経営戦略はフレームワークから論理的に導かれるものではない

経営戦略の策定にフレームワークの活用は必須ですが、そこから具体的な戦略が論理的に見出されるわけではありません。

〇〇分析と呼ばれるフレームワークの「分析」そのものに限界があり、その限定的な情報は企業の行動方針の策定には直結せず、現実にはある種の跳躍やひらめき、決断が必要です。

経営者のひらめきに頼らないために専門家を入れて経営戦略を策定する、という考え方ももちろん必要ですが、それだけで経営戦略が決まるものではありません。

企業文化・風土を無視しない

数値化できない社風や顧客との人間関係に企業の強みがある場合が少なくないので、それを無視した経営戦略は効果がなく、逆効果になることもあります。

「良き企業文化にまさる企業戦略はない」とも言われるように、社員の血肉になった企業文化を活かすのが企業戦略です。

それをサイズの合わないお仕着せのような企業戦略で圧迫するのは、肝心の企業文化そのものを殺すことになります。

まとめ

経営戦略とは、軍事用語の戦略(strategy)をビジネスに援用したもので、競争企業に勝つための長期的、包括的な行動方針です。

戦争と同様にビジネスには敵(競争相手)がいて、技術革新などの環境変化のリスクに常にさらされてます。

そのリスクを踏まえて将来まで存続、発展するための企業行動に指針を与えるのが経営戦略です。

経営戦略の策定には、有効とされるフレームワークの利用や他社の成功例の研究が必要ですがそれだけでは完成せず、それを踏まえた跳躍やひらめきが必要になります。

また、現在機能している生きた組織、企業文化への配慮も欠かせません。

画像出典元:pixaby

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