経営計画の立て方と注意点を解説!決めるべき6項目とは?

経営計画の立て方と注意点を解説!決めるべき6項目とは?

記事更新日: 2021/04/15

執筆: 編集部

この記事では、経営計画を立てるのに必要な考え方と提示すべき項目を解説しています。

経営計画は、経営者自身も含め、出資者・従業員に企業の目標を明確に、見失わず、同じ目標に向かってモチベーション高く行動してもらうために作成します。

会社の規模や計画の期間によって経営計画は変わりますが、ますは基本6項目を埋めていきましょう。

また、経営計画は経営計画書にして、実行と達成までをシミュレーションします。

初めて経営計画を立てる人も活用できる内容です。

経営計画とは

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営革新計画 進め方」

経営計画とは、会社全体の経営の方針と戦略を示した計画を指します。

事業計画や経営戦略は、経営計画の一部です。

経営戦略や事業戦略を含め、会社経営に関わる計画・戦略を総称して「経営計画」と呼びます

経営計画を立てる目的

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営革新計画 進め方」

経営計画を立てる目的は、計画や目標の共有です。

経営計画は、変化する環境の中で会社が現在よりも高い水準の目標を設定し、その目標を実現するために、何をするべきかを見失わない為に立てるものです。

経営計画書を作成する時は、資金調達や株主への説明が目的ですが、それも「計画や目標の共有」して理解と協力を求めるためです。

また、従業員にも経営者が考えている計画を理解してもらい、目標をもって働いてもらうために経営計画を立てます。

経営計画によって、経営者自身も含め、出資者・従業員に企業の目標を明確に、見失わず、同じ目標に向かってモチベーション高く行動してもらう事が出来ます。

経営計画は全ての経営に必要

経営計画というと、大企業や金融機関や株主総会などで必要というイメージがあります。

ですが、本来の経営計画は、経営者自身が経営の目標を理解して、現状と理想の差を埋める具体的な数値や戦略を明確にする工程です。

会社の規模や業種は関係なく、中小企業や個人事業主でも経営計画は必要です。

目標に対する道筋やプロセスが明確になれば、変化に対応できる強い会社経営が出来ます

経営計画の大枠から決めていく

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営革新計画 進め方」

初めて経営計画を立てる場合は、経営計画の大枠から決めていきましょう

経営計画の大枠とは「3年から5年後会社がどうなっていたいか」の理想を決めることです。

この経営計画の大枠が全ての計画や目標の軸になります

経営計画の大枠を決めると、基本の6項目や細かい数値・スケジュールに落とし込みやすくなります。

経営計画の期間と内容の違い

経営計画では、3つの期間に分けて立てられます。

長期経営計画

長期経営計画は、10年間単位の長期計画を提示します。

長期になるため現実的な数値や現状に基づいて経営計画は出来ません。

長期経営計画では、市場の変化やニーズ変更などを前提として数値目標や行動指針・戦略を盛り込みます。

会社によっては、経営理念や会社の理想像の説明にとどまる事も多いです。

中期経営計画

中期経営計画では、3〜5年間の経営計画を策定します。

経営計画の段階で想定出来る市場の変化や商材・ニーズの変更を見据えて計画を立てていきます。

一般的に株主総会やホームページなので公開されるのは、中期経営計画です。

理由は、会社の経営の方向性が一番具体的に可視化されるからです。

従業員や株主と計画共有して社会的信頼を得るために作成する目的もあります。

短期経営計画

短期とは、今後1年~2年間の計画を指しています。

短期経営計画は、予算計画や売上計画を中心に行動などが計画されています。

さらに、短期経営計画は中期経営計画を達成するための日々の達成度合いの判断材料にもなります。

他の経営計画と違い、日々の数値管理の徹底と計画のズレに対するPDCA対応が必要です。

経営計画の基本6項目

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営革新計画 進め方」

経営計画では「ヒト」「カネ」「モノ」の動きを可視化します。

経営計画は、企業規模や計画期間・事業内容によって、項目数や詳細は異なります。

ですが、基本は下記の6項目を経営計画で説明しましょう。

1:経営目的

経営目的を明確にする理由は、目標が見える事による従業員や出資者への安心とモチベーション向上です。

経営理念は、3つのカテゴリーに分けて提示します。

ミッション(mission)

ミッションでは、企業が社会的に果たしていきたい使命や存在意義を提示します。

長期目線で理想の未来像であり、一般的には企業理念や経営理念に該当します。

ビジョン(vision)

ビジョンでは、会社や組織が、ミッション達成のための戦略や計画を指します。

中期間で行う施策や行動目標が該当します。

ビジョンも理想や予定を含みますが、ミッションよりは現実的な視点で決めるため経営方針とも言われます。

バリュー(value)

バリューでは、短期で達成を目指す目標を提示します。

ミッションとビジョン達成のために一人一人が日々するべき行動や価値観などが含まれます。

行動指針とも言われ、現実的な数値から立てる計画であり日々更新や調整を前提として立てます。

2:事業内容と市場の分析結果

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営計画策定支援 スライド」

分析結果を根拠に「ここに市場開拓できる余地がある」などを提示する。

経営計画の市場の分析結果で重要なのは「理想や推測」ではなく、数値や分析結果などの根拠を元に計画を立てる事です。

3:自社の強み・差別化ポイントなど

市場分析の結果から「他社にない自社の強み」を提示します。

自社の商材・サービスで戦える市場・開拓したい市場・ターゲットを説明します。

経営計画で活躍する分析方法やフレームワークは後程紹介します。

4:経営資源の現状報告

画像出典元:中小企業庁ウェブサイト「経営革新計画 進め方」

経営計画で経営資源の現状を理解する事は重要です。

経営資源の現状を踏まえて「ミッション・ビジョン・バリューのために必要している事」を提示します。

先行投資したい事・資材・資金調達・不足している人材などを説明します。

重要ポイントは、ミッション・ビジョン・バリュー達成に必要な理由を明確に提示できるかです。

5:経営戦略・事業計画

経営計画の戦略・施策では、下記の事を計画します。

  • 売上戦略
  • ターゲット選定
  • 販売先の選定
  • 判断KPIを決める

など


上記のような項目に対して、どのようなスケジュールと規模で実施するのか説明します。

6:数値計画(利益・資金計画)

売上計画・販売計画・予算計画・資金調達など「経理・会計」に関する経営計画を表にします

ここでも「根拠のある数字」を提示します。

ランニングコストと売上のバランスを明確にします。

利益・資金計画は、資金調達や株主からの信頼において重要な項目です。

起業の場合は、市場や類似企業などを参考にして利益・資金計画を立てます。

既存企業の場合は、去年の売上から計算するのが一般的です。

良い経営計画は、基本6項目を単体で考えるのではなく、行動計画から経営理念まで連動させています。

日々の業務の延長線上に「経営計画」の実行と達成があるのが理想です。

経営計画に活用できる分析方法

戦略策定:SWOT分析

SWOT分析は、「内部環境(強み/弱み)」と「外部環境(機会/脅威)」にわけて、企業の状況を整理するためのフレームワークです。

実行管理:PDCA

PDCAとは、品質管理や生産管理などにおける継続的な業務改善のためのマネジメント手法のことです。

環境分析:3C分析

3C分析は、市場を「自社(Company)、ライバル(Competition)、顧客(Customer)」の3つの軸でわけて考えるフレームワークのことです。

環境分析:VRIO分析

VRIO分析は、「4つの問い」に答えることで、自社の競争優位性を確認するフレームワークです。

 

 

経営計画の注意点

経営計画書を作成して可視化する

経営計画は、可視化と情報共有できる形で残すまでが経営計画です。

経営計画を立てたら経営計画書にまとめます。

WordやPowerPoint、Excelなどで作成するのが一般的です。

ページ数は少ない方が良いとされています。

A4サイズ1枚にまとめるなど「自分が読みたくなるコンパクトさ」を意識しましょう。

フォーマットは、オリジナルを作成してもテンプレートを利用しても構いません。

 

経営計画書に記載する「計画以外の説明」

必須は、会社概要、決算書関係の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書です。

会社概要は、会社の成り立ち、本社所在地、従業員数などです。

主要財務情報や経営陣の経歴などを説明する場合もあります。

 

経営計画書は分かりやすさが重要

経営計画書は経営計画を第三者に理解してもらうために作成します。

経営計画書では、抽象的な表現や虚偽の数値による計画はNGです。

経営計画書の作成で重要なのは、第三者が読んでも分かる内容と文量にまとめる事です。

各項目で「5W2H」が分かるように説明しましょう。

5W2Hとは

  • 誰が(Who)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)
  • いくらで(How much)

 

計画の実行と達成を意識する

経営計画を立てても実行・実施されなければ意味がありません。

実行されない場合は、実行されない・出来ない問題を洗い出します。

一人で仕事をしている以外の経営計画の実行と達成には従業員の協力が必要です。

計画実行が出来ない場合は、経営計画を変更します。

経営計画の変更は、よくある事なので、PDCAを用いて日々調整していきます。

ですが「計画・実行・達成」はセットでシミュレーションしなければなりません

経営計画の段階で「実行不可能」な計画や数値目標を立てるのは経営計画ではありません。

まとめ

経営計画の立て方をまとめてきました。

経営計画は経営者が頭の中で描いていた理想を現実に落とし込む作業です。

資金調達や株主総会のイメージが強いですが、経営計画は全ての会社に必要な計画です。

経営計画は経営計画書にまとめて可視化・共有できる状態にしておきましょう。

画像出典元:O-DAN、中小企業庁ウェブサイト

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