TOP > SaaS > マーケティング > SNSマーケティング > SNS分析の事例を紹介!重要性や分析方法も詳しく解説
SNSの普及とともに、SNSの重要性も増しています。
SNSマーケティングに取り組むうえで、「SNS分析」は欠かせません。
この記事では、SNS分析の事例や具体的な分析方法を紹介します。
SNSマーケティング初心者の方、より効果的なSNS分の方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
SNS分析の事例を3つ紹介します。
それぞれの業界における具体的な分析方法や、分析結果の活用方法も紹介しますので、ぜひ自社のSNS分析のヒントを見つけてください。
画像出典元:「日本航空株式会社」公式HP
日本航空株式会社は、2010年の経営破綻からの立ち直りをかけてSNS研究を開始しました。
SNS運用を行う目的は、顧客とコミュニケーションをとったり、ホームページに誘導して、ブランドの価値を回復するためです。
媒体選びに関しては、記事という形で投稿できるFacebookを選択しました。
目標に掲げたのは、ブランドの訴求・浸透を行って「最近のJALは印象が良くなった」と顧客に思ってもらうこと。
効果測定は、KPI(中間目標)をファン数、エンゲージメント率とし、KGI(重要目標達成指標)は実際に日本航空を利用した顧客からの評価(アンケート調査)としました。
アンケート調査では、顧客をファンと非ファンに分け、ファンからのエンゲージメントが多いことを数字で示せる工夫がしてあります。
Facebookの運用を開始した後、プロモーションの一環としてキャンペーンを行うためにX(旧Twitter)も開設し、多くの人に一度にメッセージを送るためにLINEも開設しました。
Facebookの利用者数増加が鈍化しているという理由で、今後の方針転換も視野に入れおり、新しく出てきた媒体を利用する可能性もあるとのこと。
このように、目的別にSNS媒体を使い分けているのが、日本航空株式会社の特徴です。
参考:日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略:有効な活用とマネジメント
画像出典元:「B-R サーティワン アイスクリーム株式会社」公式HP
B-R サーティワン アイスクリーム株式会社は、2013年にFacebookとLINEの運用を開始しました。
※現在はX(旧Twitter)など他の媒体でもアカウントあり
もっとも危惧したのが炎上リスクで、Facebookは実名登録のため炎上リスクが低いと判断。
くわえて、低コストで運用できることも決め手だったようです。
FacebookとLINEでの限定クーポンの活用を検討したものの、当時のフランチャイズ店の中で賛否両論あり、全国統一でのクーポンが打てませんでした。
ただ、LINEのマストバイキャンペーンに関しては、LINEスタンプを取得できる商品の売れ行きが好調でした。
KPIはFacebookではファン数・アクション数を計測しましたが、緻密な分析まではできなかったとのこと。
LINEでは友達数も計測し、別途行った認知経路のWeb調査とあわせて分析したところ、ある程度の効果が発揮できていることがわかりました。
SNS分析を行うことで「情報発信だけでは効果がでない。他社との差別化や共感を得るために伝え方を工夫しなければいけない」という課題発見につながりました。
参考:日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略:有効な活用とマネジメント
画像出典元:「株式会社丸亀製麺」公式HP
株式会社丸亀製麺は、2020年の夏にX(旧Twitter)で実施した「氷うどん」の販促キャンペーン「#丸亀製麺さん暑いです」が大成功した実績があります。
X(旧Twitter)でUGC(ユーザーの投稿)を分析し、夏になると「暑い」というUGCが急増することがわかったため、このハッシュタグに決まりました。
多くの人が「暑い」と投稿したい気分の時期に、「暑い」というワードが入ったハッシュタグ企画にすることで自然と参加したくなる効果を狙ったのでしょう。
さらに、ハッシュタグをつかって投稿したユーザーには、公式アカウントから氷うどんの画像をつけた返信を送り、「暑い時の定番は丸亀製麺の氷うどん!」という認知を強くする施策も同時に実施。
何種類かの画像を用意して、ユーザーの反応率が高い投稿に寄せたデザインの画像を追加作成するというブラッシュアップも行いました。
その結果、キャンペーン期間中に4万件を超えるUGCが投稿され、Twitterトレンド1位を2度獲得。
UGC数と売上には相関関係があったことも判明し、売上アップに貢献しました。
SNSは、それぞれ異なるユーザー層や特性を持っています。
目的に合致したSNSを選ばなければ、効果的なマーケティングは実現できません。
5大SNSそれぞれのユーザー数や企業の成功事例を紹介しますので、自社のSNSマーケティング戦略立案の参考にしてください。
媒体 | 世界のアクティブユーザー数 | 日本国内のアクティブユーザー数 |
X(旧Twitter) | 3億3,300万人 | 4,500万人 |
10億人 | 3,300万人 | |
30億7,000万人 | 2,600万人 | |
LINE | 1億9,900万人 | 9,500万人 |
TikTok | 10億人 | 1,700万人 |
参考:2024年4月版!性別・年齢別 SNSユーザー数(X(Twitter)、Instagram、TikTokなど13媒体) | 株式会社ガイアックス
画像出典元:「X(旧Twitter)」公式HP
X(旧Twitter)の強みは「拡散力」で、リポスト機能により、短時間で多くの人に情報を届けることができます。
140文字以内のテキストで投稿する仕組みなので、「今日買った○○が美味しかった」など、その時の状況を気軽に投稿でき、リアルタイム情報が得られやすいのもメリットです。
※140文字以上の文章や画像・動画を投稿する機能もあります
株式会社ユニクロがX(旧Twitter)で行った「50色ソックスが当たるキャンペーン」は、『秘密のハッシュタグ』をつけて引用リポストするという応募方法でした。
30分限定で行われたイベントで、開催時間はUNIQLO LIVE STATION FESでの生配信中に発表する仕組み。
LIVE配信の視聴者数をアップさせ、自社サイトへの訪問者も増やす施策も同時に行いました。
『秘密のハッシュタグ』というワードの面白さには、ユーザーの参加意欲を向上させる効果が期待できます。
その結果、3,000件以上リポストされました。
ケンタッキーフライドチキンの2023年のエイプリルフールの投稿は、KFC公式自動販売機『カーネルベンダース』の導入を発表するネタ投稿でした。
「リポストするとオーダー可能!リポスト数が増えるとヒミツがわかる!?」書かれており、リポストされた数はなんと2万件以上。
チキンの自動販売機導入を伝える動画は非常に品質が良く「本当かと思った」というUGCが多く話題になりました。
しかし、2024年のエイプリルフールに「詰め放題を開始」というネタ投稿をして、「冗談だと気づかず来店する人がいそうだから、やめたほうが良い」という意見もあり、SNSの難しさを象徴する出来事となりました。
画像出典元:「Instagram」公式HP
Instagramの特徴は、写真や動画の投稿がメインであること。
パッと見て楽しめるので、商品の特性が伝わりやすく、海外のユーザーにも情報を届けられます。
通常の投稿以外に、ライブ配信をする機能や24時間で消えるストーリーズもある媒体です。
雑貨や衣類などを販売する「北欧、暮らしの道具店」は、Instagramのフォロワー数は130万人以上です。
特徴は、ショッピング機能をつかって投稿からダイレクトに購入画面まで誘導する施策を行っていること。
商品をタップすると価格とWebショップへの誘導ボタンが表示されるので、顧客が迷うことなく商品を購入でき、機会損失を減らせます。
ストーリーズにもリンクを貼ってWebサイトへの誘導を行っており、質問箱をつかって顧客との交流にも力を入れているアカウントです。
東京ディズニーリゾートの公式アカウントでは、イベント情報やパーク内の様子を投稿しています。
エンタメ系は文字よりも写真や動画のほうが訴求力が高いジャンル。
キャラクターの誕生日を知らせてフォロワーも一緒にお祝いできる投稿や、キャストへの声かけを促す投稿などで、ユーザーとの距離を縮める施策を行なっています。
「パークでの写真は #tokyodisneyresort をつけてね!」とプロフィールに記載してあるので、このハッシュタグをタップするだけで他のユーザーが発信した投稿も見てもらえます。
画像出展元:「Facebook」公式HP
Facebookは実名登録なので、誰が発信した情報なのかがわかりやすいのが強みです。
匿名のSNSだと性別や年齢がわからないことがありますが、Facebookなら発信者の様々な情報がわかります。
また、Facebookは情報の信頼性が高い傾向があり、匿名のSNSでよくある「偽りの情報」が少ないのもメリットです。
フォーマットの自由度が高く、求人応募ページをつくれたり、自社で行うイベントを掲載するスペースもあります。
Facebookは企業アカウントだと、商品ごとに複数アカウントを作成できるのも魅力です。
大塚製薬株式会社は「ポカリスエット」や「オロナミンC」など商品ごとに分けてアカウントを作成しています。
「ポカリスエット」のアカウントは、季節のイベントをメインで紹介し、そのお供としてポカリスエットの紹介もするスタイルです。
商品アピールを前面に押し出すのではなく、ユーザー視点に立った投稿をしています。
画像出典元:「LINE株式会社」公式HP
LINEは他のSNSと違い、主に連絡ツールとして利用されています。
プッシュ型でメッセージが送れるLINEは、メルマガより高い開封率を狙えるのが強みです。
日本でのLINE利用率は94%と非常に高いので、年齢や性別を問わずあらゆる属性の人に情報を届けやすいです。
クーポンを配布する機能や、ポイントカードの代用になる「ショップカード」もあります。
ローソンのアカウントは、メッセージを送るとローソンクルーのあきこちゃんから返信が届く仕組み。
おすすめ商品を教えるだけでなく、しりとりの相手までするサービス精神旺盛な運用をしています。
無印良品のアカウントでは、お得なクーポン配布にくわえて、インテリアアドバイザーによる収納用品の活用法などのコンテンツも投稿。
顧客が商品の使い方を学べば、購買意欲の向上につながります。
画像出典元:「TikTok」公式HP
TikTokはショートムービーを投稿するSNSで、10代の66.4%、20代の47.9%が利用しているため若い世代にアプローチしやすいのが強みです。
よくバズるのはダンス動画で、直接的な訴求をしなくても、人々の印象に残る投稿ができれば認知度が上がります。
Abema TVは、TikTokの利用で番組視聴率が160%に上昇しました。
プロモーションのためだけにダンスを考案したのでオリジナリティがあり、他のSNSでもPR施策を行ったことで、Tik Tok以外の場所でも興味・関心が高まり、TikTok内での盛り上がりが加速しました。
日本最大級の音楽フェスティバルであるウルトラジャパンは、イベント会場にTikTokブースを設置する施策を行いました。
来場者にTikTokを撮影・投稿してもらい、イベントの周知を図る取り組みです。
リアルイベントとSNSを複合させた方法をつかえば、相乗効果が期待できます。
SNS分析が重要とされる主な理由は、以下の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
(データ参照:2022年度SNS利用動向に関する調査)
ICT総研が2022年に行った調査によると、「日本のSNS利用者は8,270万人(普及率82%)、2024年末に8,388万人へ拡大すると予測」といった結果が出ています。
日本国内の総人口は減少しているものの、若い世代や中高年世代にくわえて高齢世代でもスマホの普及が進みSNSを利用する人が増えているからです。
すべての世代がSNSを利用しているなら、業界を問わず、どの企業の顧客も大半の人がSNSを利用しているということ。
顧客の声を集めたり、潜在ニーズを発掘するためのツールとして、SNS分析が欠かせない時代です。
SNSの魅力は、「今この瞬間」の情報がリアルタイムに取得できること。
アンケートで情報を集めた場合は、実施して集計するまでに数週間かかりますが、SNSにはこういったタイムラグがありません。
SNSを見れば、顧客が興味をもっていることや日々の生活で悩んでいることまで、リアリティのある旬の情報が手に入ります。
スピード感のある事業運営を行うためにも、SNS分析が大活躍します。
たとえば、商品の発売当日にSNS投稿をチェックすれば、顧客の感想や不満点がわかります。
すぐに改善策を実行して、高速でPDCAを回せば売上アップにつながるでしょう。
アンケートで集めた情報は、質問に答える形式なので自発的な発言ではありません。
「価格が高いと感じましたか?」という質問だと、価格に不満をもっていなくても「言われてみたら高いかも?」と感じて「はい」と答える顧客もいるからです。
SNSなら顧客が商品を使って感じた素直な感想が聞けます。
商品をつくった人への忖度もないため、まさに「本音」が知れる貴重な場所です。
SNS分析が役立つのは、自社の商品だけではありません。
競合他社の商品に関する情報を集めれば、これからの戦略づくりに生かせます。
基本的に、アンケート結果やクレームなどの情報は社外に出さないため、「顧客の反応は比較がしにくい」という課題がありますが、SNSの情報を集めれば様々な視点で比べることができます。
SNS分析は、以下のような目的に活用できます。
それぞれの目的ごとに詳しく解説します。
ブランドイメージを調査する時は、「自社の理想像と関連性の高いワード」をつかいます。
たとえば、ルイ・ヴィトンが行ったブランドイメージ調査では、ハイブランドにふさわしくないワード(SALE、アウトレット、割引など)がどれくらい使われているか、SNSでチェックしました。
これらのワード数が多いほど、「安かったら買う」という消費者心理が強くなっているので、ブランドイメージが低下していることがわかります。
他には、カジュアルな飲食店だったら「コスパが良い、入りやすい、安い」などのワードが多いと企業イメージが良いと言えるでしょう。
「量が少ない、店員が冷たい、高い」などのワードが多い場合は、ブランドイメージが低下してるので改善しないといけません。
「どのワードで調査するか」が大事なので、マーケティング担当だけでなく様々な部署から意見を募る、自社名やライバル企業名で検索してユーザーがよく使うワードを把握する、といった下準備をしましょう。
競合他社名でSNSを検索すると、他社のブランドイメージ、自社との違い、差別化するべきポイントなどがわかります。
ファーストステップは、競合他社がアカウントを開設しているSNS媒体を突き止めること。
X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどをチェックしてアカウントを特定したら、フォロワー数やフォロワーの属性、エンゲージメント(いいね数、コメントなど)を確認しましょう。
その他のチェックポイントはこちらです。
たとえば、同じ食品業界の「アサヒ飲料株式会社のカルピス」と「株式会社ブルボン」を比較すると、どちらも5月9日に「#アイスクリームの日」というハッシュタグをつけた投稿をしています。
内容を比較すると、インプレッションやエンゲージメントを高めるための様々な工夫に気づけるでしょう。
すでにSNS運用を成功させている競合他社は必ずチェックしましょう。
SNSは最新トレンドの調査に最適なツールです。
一例をあげると、美容業界では「ヒアルロン酸」「ビタミンC」「レチノール」などの人気成分がありますが、これらのワードでSNS分析をすれば、流行りの成分がわかります。
そのデータが大ヒット商品の開発につながるでしょう。
「株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー」は、SNSでこういった市場調査を行ったことで、リリースや撤退のタイミングでの間違いが少なくなったとのこと。
参考:スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー | 【公式】Brandwatch - ソーシャルアナリティクス | ブレインパッド
SNS分析が役立つのは、顧客の自社商品への反応調査やプロモーションの効果測定を行いたい時です。
自社商品名やキャンペーン名でSNS検索をすれば、たくさんの顧客の反応がわかります。
「株式会社コーセー」では、投稿に商品名を記載するだけでは反応が良くないことに気づき、「夏バテ髪レスキューセット」などキャッチーなフレーズを取り入れました。
顧客の反応チェックだけでなく、自社商品をつかった顧客が困っている投稿を探して回答する取り組みも行っています。
こういった色々な施策を行った結果、リポスト数は30倍、4ヵ月でフォロワー数10倍以上に急増しました。
参考:4か月でフォロワー数10倍以上と急成長! サポートという役割を発揮しながらアカウントを成長させたSocial Insightの活用方法に迫る
SNS分析には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
自社の規模や状況に合ったSNS分析の方法を選びましょう。
SNSは、それぞれ独自の分析ツールを提供しています。
これらのツールは無料で利用でき、基本的な分析機能が備わっています。
「分析コストを抑えたい」「基本的な分析機能で十分」といった場合におすすめです。
SNS分析ツールは、投稿内容やアカウント、投稿に属するデータを収集・分析するツールです。
SNS分析の外部ツールには、以下のようなメリットがあります。
より高度な分析をしたい場合は、外部ツールを利用するのも有効です。
ただし、収集できるデータ量が多く、分析の手法が豊富になるほど、費用が高くなります。
自社のSNSマーケティングにおける課題を明らかにし、目的に合った機能が搭載されたツールを導入しましょう。
SNS分析は、継続的に行うことで効果を期待できます。
定期的な分析と、必要に応じた施策の改善が重要です。
SNS分析は、これからの時代にますます欠かせないものになるでしょう。
もっとも大切なのは、媒体ごとの特性に合った運用をすることです。
認知度拡大を狙うなら拡散力のあるX(旧Twitter)、ビジュアルや世界観をアピールしてブランドイメージを向上させたいならInstagramが向いています。
媒体ごとのアルゴリズムの違いを理解することも忘れないようにしましょう。
画像出典元:O-DAN