「生産管理システム」とは、製造業や工場の生産計画、在庫や原価管理などの情報を一括管理するためのシステムです。
属人的な管理やエクセル管理から脱却し、生産の効率化、コスト削減に効果を発揮します。
この記事では、生産管理システムのおすすめ18ツールの比較を中心に、具体的にどんな機能や特徴があるのか、選び方やメリット・デメリットを徹底解説していきます!
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生産管理システムとは、製造現場の生産計画や進捗、在庫・原価などにまつわる情報を一元管理するためのシステムです。
情報を管理・分析することで、最適な品質やコストで生産計画を進行できるようになり、生産効率や品質の向上に繋がります。
エクセルや属人管理ではリアルタイムに情報把握できないため、生産計画の見直しが遅れたり、部署間の連携が難しいなどの課題が発生しがちです。
そこで、生産管理システムを用いれば、製造現場全体の情報が可視化され、必要な人員や設備を的確なタイミングで効率よく確保できるようになり、効率的に商品生産を進められるようになります。
生産管理システムは、製造現場における材料調達・生産・出荷の流れを一元管理するシステムです。
それに対して、ERP(基幹システム)は、製造だけでなく企業内の全部門の情報も一元管理するためのシステムです。
そのため、目的と対象が次のとおり異なります。
■生産管理システム
目的:精算業務の効率化
対象:生産管理、品質管理、在庫管理など
■ERP(基幹システム)
目的:企業全体の業務の効率化
対象:生産管理以外にも会計・販売含めた全システム
生産管理の詳細機能を使いたい場合は、生産管理に特化した「生産管理システム」を用いると良いでしょう。
また、生産管理システムの中には、外部連携機能やERP対応の機能をもったものも多数あるため、企業全体の業務効率化を求める場合は「EPR対応型の生産管理システム」を選択するのも一手です。
自社のニーズにあわせて機能をよく見て選定していきましょう。
生産管理システムは、各社様々な機能が搭載されていますが、代表的な機能には以下のようなものがあります。
生産計画は、「どの製品をいつまでにどれだけ製造すればいいか」という計画を立てる機能です。
資材管理は、MRP(資材所要量計画)を実現するため、生産計画に合わせた原材料・部品などの所要量を計算し、仕入計画・生産計画を立てていきます。
仕入管理は、仕入れる原材料や部品を管理するだけでなく、原価管理機能と連携して原価変動のリスクを予測し、将来的に仕入先変更のリスクを想定できるような機能があることが多いです。
販売管理は、見積管理・受注管理・売掛管理などの機能が備わっていることが多いです。
製造管理は、製造状況をリアルタイムで確認するため、作業進捗や日報などの機能が備わっています。
在庫管理では、適正な在庫量を維持するために、在庫量の管理、分析、現場管理用のハンディターミナルとの連携などの機能が備わっています。
原価管理機能は、製品の適正原価を正確に管理し、仕入管理機能と連携したリスクヘッジ、営業が見積りを作成する際のデータなどに利用されます。
予算管理機能は、部署・組織全体などで行われる予算編成業務の効率化に役立つ機能で、実績と予算の乖離など予算に関わるデータをリアルタイムで確認することが可能です。
上記の主要機能の一部には、近年急速に発展しているAIを活用した機能を搭載したものもあります。生産計画を経験則ではなくAI分析データに基づいて最適解を見つけたり、在庫管理や仕入れ発注もAIの予測に基づいて行うこともできます。
生産管理システムを導入する際は、自社の生産工程に沿った内容でシステムを構築することが重要です。
例えば、原価管理や在庫管理が弱く問題の発見が遅れがちな企業であれば、製造管理でリアルタイム進捗が確認できたり、原価管理で原価予実比較ができるものを選ぶのが良いでしょう。
生産工程のどの機能を自動化したいのか、全行程自動化をしたいのか、他のシステムとの連携をしたいのかなどを社内でよく検討し、必要な機能が備わっているものを選びましょう。
生産管理システムも、他の基幹システムと同様、自社インフラにカスタマイズして導入するオンプレミス型、基本の機能はパッケージされネット上で管理を行うクラウド型があります。
一般的には、クラウド型の方が価格が安いことが多いです。
競合他社や製造工程の似ている業界への導入実績があるかどうかも確認しましょう。
業務内容に合わず、結果的にカスタマイズをするために費用が余計にかかったり、利用自体をやめるといったことを避けるために、手っ取り早い確認方法でしょう。
生産管理システムは、様々な機能を搭載しており、全ての機能を上手く使いこなすには、業務の知識の他にシステムの知識が必要な場面もあります。
システムの使い方はもちろん、どの工程でどのように利用すれば最適なのかなど相談ができる、サポート体制が整っている方が良いでしょう。
対応手段はメール・電話・チャットなどどんな種類があるのか、土日や夜間のサポートはどうなっているのかなどを事前に確認しておきましょう。
料金については、基本機能はパッケージであったとしても、企業ごとの業務行程に合わせて要件定義を行った上でシステム構築することが多く、事前には算出できないケースが多いです。
どのシステムも、生産管理についての基本的な機能は網羅していますが、+αで会計システムとの連携ができるものや、MRP(資材所要量計画)ができるものなど様々な特徴を持ちます。
「iDempiere」は、オープンソースのERP(企業資源計画)システムで、社内にシステムに詳しい社員がいれば基本的に無料で運用することが可能です。
生産管理、購買管理、在庫管理、販売管理、会計管理、顧客管理などの機能が実装されていて、システムの知識があればカスタマイズも可能です。
iDempiereは、ERPとしてだけでなく、業務アプリケーションのフレームワークとしても利用することができます。
基本操作などはYoutubeで動画公開されているため、使い方を把握しやすい点も特徴です。
0円~(指定のOSを選択した場合)。
詳細はお問い合わせをする必要があります。
「TECHS-BK」は、多品種少量生産・部品加工業向けに開発された中小企業向けの生産管理システムです。
多品種少量生産の製造現場では、データ入力などの業務が複雑になりがちですが、工数入力にはハンディターミナルを用いるため、入力工数を削減できます。
管理項目は生産現場で必要なデータに細かく対応しており、具体的な数値データで管理可能です。
詳細はお問合せが必要です。
画像出典元:「FutureStage」公式HP
「FutureStage」は日立システムズが提供する生産管理システムで、特に製造業、卸売業、小売業を行う中小規模企業向けに提供されています。
3業種ごとにパッケージを揃えており、それぞれに適した機能を持つアプリケーションがパッケージされています。
導入によって迅速な経営数値の把握や生産性の向上につながったと評判も高く、既に4,000件以上の導入実績を誇ります。
FutureStageの料金プランは、パッケージ費用の他に、ハード・SE・PP費などが必要になり、全て含めた場合の導入価格で、最多価格帯はおおよそ1,000万~3,000万円とのことです。
但し、詳細はお問合せが必要です。
画像出典元:「Dr.工程PRO」公式HP
Dr.工程PROは、個別受注生産現場における作業指示や日程計画の立案に有効な生産管理システムです。
20年以上、国内外500件以上の導入実績があり、高精度の自動スケジューリング機能などの活用で、製造現場の効率的な管理を実現できます。
能力、納期、優先度、機械や担当者の稼働時間など様々な条件を踏まえながら、製造にかかる最適なスケジュールを自動的に組み立てられるのがメリット。
工程が多くて進捗把握が困難とされがちな金型や半導体製造など、個別受注案件が多い現場にとくにおすすめできます。
Dr.工程PRO公式HPには掲載されていないため、詳細は問い合わせが必要です。
画像出典元:「TECHS-S」 公式HP
TECHS-Sは、個別受注型製造業に特化した生産管理システムです。
生産管理システムを一度導入すれば、受注や出荷本数を自動で管理できるようになりますが、部品マスタにデータを手作業で登録するとなるとめんどうだと感じることが少なくありません。
「TECHS-S」は部品マスタの事前登録は必要なく、導入後すぐに活用できるサービスなので、導入後には個別受注に関する業務がスムーズに行えるでしょう。
詳細はお問合せが必要です。
「TPiCS-X」は、量産繰返生産や少量多品種生産、個別一品受注生産といった多様な生産形態の混在管理をシステム上で行えます。
手動での生産管理に莫大な時間がかかってお悩みの企業にうってつけのシステムです。
TPiCS-Xの料金プランには、オンプレミスのシステム購入、クラウドのサブスクリプションの2種類があります。
システム購入(オンプレミス) | サブスクリプション(クラウド) | |
f-MRP製番システム | 1,760,000円 | 71,999円 |
繰返生産システム | 1,210,000円 | 49,500円 |
製番管理システム | 1,210,000円 | 49,500円 |
スタートパック | 1,504,800円~ | - |
システム購入の場合は、上記の他に年間スタンダード保守料金がかかります。
稼働ライセンス、追加ライセンス、言語ライセンス、その他オプションも多数用意されています。
「effitA」は、電子部品メーカーの現場で培ったノウハウを元に、製造現場の実情に沿った機能が搭載された生産管理システムです。
リアルタイム情報にこだわり、MRP(資材所要量計画)処理や在庫情報の更新などを最新の状態に保つことが可能です。
ライセンス数や機能によって異なるので、詳細はお問合せが必要です。
room生産管理は、必要な機能だけをカスタマイズしてオーダーメイドでシステムを開発できる生産管理システムです。
ベースシステムを利用して開発するので、コストを最大限に抑え、短期間での導入が可能。
カスタマイズを重視した柔軟なシステム設計なので、ニーズに合ったシステムを導入できるでしょう。
料金については、問い合わせが必要です。
通販サイトでの受注や商品の管理を簡略化したい運営者にはおすすめのシステムです。
受注業務をフロー化して自動処理機能を導入することで、業務にかかっていた時間を削減するだけでなく、人為的なミスも防げます。
複数店舗の在庫や発注管理もこのシステムで一括管理が可能です。
初期費用 | 月額料金 | |
受注管理プラン | 33,000円 | 16,500円 |
受注・在庫連携管理プラン | 44,000円 | 32,780円 |
受注・商品・在庫連携 管理プラン |
55,000円 | 49,280円 |
受注・商品・在庫連携・出荷 管理プラン |
110,000円 | 71,280円 |
※税込み価格
利用するシステムによってプランがわかれ、料金が異なります。月額料金は受注件数が増えても定額です。「GoQSystem」には20日間の無料お試しが用意されています。
「SPENCER」は、西濃グループが長年培った物流改善コンサルティングのノウハウと在庫管理を起点としたサプライチェーン全体を可視化する生産管理システムです。
製造業に欠かせない計画管理・実績管理・原価管理の3要素を元に、生産や調達の計画、作業指示に基づいた正確な製造作業をサポートします。
「SPENCER」の導入費用や月額利用料金は企業規模・導入環境により変動します。
画像出典元:「FineReport」公式HP
「FineReport」は誰でも簡単にWeb帳票、ダッシュボード、BI分析フォーム、データ入力フォームなどを作成できるBI/分析ツールです。
生産現場では、Excel管理していた業務、例えば紙の検査記録などををペーパーレス化・デジタル化が実現します。
直接的な生産管理システムではありませんが、不透明な生産管理を可視化してQCDの最適化を行いたい企業にはおすすめのサービスです。
詳細については公式HPよりお問合せ頂くか、以下の無料の資料からもご確認頂けます。
画像出典元:「Factory-ONE 電脳工場」公式HP
Factory-ONE 電脳工場は、シリーズで2000本以上の導入実績がある生産管理システムです。
アイコン・ボタンやテーマ選択機能などによってわかりやすい操作性や画面表示に優れています。
個別生産でも、繰返受注生産でも柔軟に対応できて、かつオプション機能も充実しているので、幅広い製造業のニーズに応えられるでしょう。
Factory-ONE 電脳工場の料金に関する情報は開示されておりません。
ただ、教育サポートサイトを無償で利用できたり、目的別の講習会を受けられたりなど、充実したサポート体制が整っており、コスパのよいサービスが期待できます。
具体的な内容に関心のある方は、相談を兼ねて料金についても確認するといいでしょう。
画像出典元:「SMART DATE COLLECTOR 」公式HP
SMART DATE CLLECTOR(スマコレ)はExcelのデータをワンクリックで集計・収集することができるデータベースサービスで、業種を問わず幅広い業界の生産管理に役立てられます。
スマコレを介してクラウド上や社内システムのデータベースと接続することで、Excelの苦手分野であるデータの蓄積・一元管理ができるようになります。
蓄積したデータはExcelファイルの任意のレイアウトにダウンロードして自動集計したり、BIツールのようにPivot分析することが可能です。
SMART DATE COLLECTORはExcelのインターフェースを転用しているため安価に利用できます。
月3万円~となっていますが、企業ごとの見積りが必要です。
無料相談・トライアルを実施しているので、導入を検討している企業は問い合わせてみましょう。
画像出典元:「ショルイラ」公式HP
「ショルイラ」は働き方改革の実現に役立つ帳票のペーパーレス化サービスです。
パソコンやタブレット・スマートフォンを活用し、場所を問わずに記録や業務指示が可能になるので、現場での利用に最適です。
紙のコスト削減だけでなく確認・承認作業もオンライン化できるので業務効率化が可能となる点も魅力です。
初期費用や月額費用はお問合せが必要となります。
無料トライアルが用意されているので、まずは使ってみたい!という企業におすすめです。
「R-PiCSV4」は、特に組立加工製造業への導入が全体の70%以上を占めている生産管理システムで、受注生産・見込生産の両方に対応可能なハイブリット型です。
R-PiCSシリーズ全体での導入実績は660工場を超え、多言語・多通貨対応で海外拠点の工場でも利用できるため、大手メーカーなどにもおすすめです。
個別設計生産から繰り返し生産にまで対応しており、製造業にあると便利な機能を搭載したことで、業務用機械器具製造業者や汎用機械器具製造業者等に特に支持されています。
R-PiCSV4の料金は、2,000万円~5,000万円が最多価格帯になりますが、詳細はお問合せが必要です。
EXPLANNER/Jは、NECが提供する生産管理システムで、主に電気機械・工作機械・生産用機械などの組立製造業など、受注ごとに製品仕様が異なったり、短納期・低コスト対応が必要な企業におすすめです。
精度の高い見積り作成、標準部分のみ先行手配・個別部分はさみだれ方式での手配など様々な使用にも短期間で対応できるような機能が多く搭載されています。
さらに、NECの集中購買ソリューション、製造管理ソリューション、生産計画立案支援システムなどとも連携して利用できる点もメリットです。
システム自体も、パッケージをベースに開発フレームワークで独自機能開発もでき、短期間・低コストで導入が可能です。
詳細はお問合せが必要です。
atWill Templateは、製造業に必要な生産・ロジスティクス・アフターサービスなどをテンプレート化したもので、ローコード開発ツールのatWill Platformと共に提供されています。
必要な業務領域だけ導入することもでき、徐々に導入範囲を広げたり、追加機能を増やしたりすることも可能です。
保守運用サービス料金
・テンプレート利用サポート:390,000円/月
・テンプレート利用サポートplusパック:200,000円/月
利用料金はプランによって変動します。
「Hi-PerBT KIT3」は、日立グループ(中国・九州地方)の提供する、パッケージソフトよりもカスタマイズでき、オーダーメイドシステムよりも短納期・低コストで導入できるイージーオーダーソフトです。
豊富な導入実績を元に、各業種独自の業務までテンプレートとしてシステム化。
企業独自の業務形態を変えずに販売・生産管理システムを導入したい企業に最適です。
「Hi-PerBT KIT3」はイージーオーダーシステムなので、利用規模や導入環境により大幅に異なります。
詳細はお問合せが必要です。
生産管理システムを導入することで、生産管理におけるあらゆる行程で業務効率が上がります。
精度の高い生産計画を立てられる、製品のリアルタイムの進捗管理、原価管理ができる、不良率の改善ができるなどが期待できます。
業務効率・生産性が向上することで、生産工程における業務スピードも格段に向上するでしょう。
生産管理システムを導入することで、これまでExcelなどに定期的にデータ管理を行っていた業務はなくなり、簡単なデータ入力程度で、現場のリアルタイムの状況や問題が把握できます。
コア業務に集中できる、業務改善点が可視化しやすいなど、現場の業務負荷が削減できるでしょう。
生産管理システムを導入するには、当然ながら初期費用・月額費用、あるいは開発費用など様々なコストがかかります。
多機能なもの、網羅性が高いものはそれだけ費用も上がると考えておいた方が良いでしょう。
システムを入れれば何でも解決するという訳ではないので、現状の自社の課題や改善したい点をしっかり社内ですり合わせを行いましょう。
生産管理システムを導入した場合、現場がスムーズに新システムに対応できるかがポイントです。
極力現状の生産プロセスに沿った形で生産管理システムが運用できるよう設定すること、各工程の現場スタッフにシステム導入の目的と使用方法などの細かいレクチャーを行う、定期的に改善点などのヒアリングを行うなどの施策が必要です。
正確で漏れのないシステム運用が、生産管理システム導入の成功の大きなカギになります。
この記事では、おすすめの生産管理システムを中心に詳しく解説してきました。
生産管理システムの導入によって、エクセル管理からの脱却、現場の状況や問題のリアルタイムの把握や改善点の考案などに役立てることができます。
選定ポイントを確認しながら、自社に合った生産管理システムを選んでみて頂ければと思います。