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多様化する消費者のニーズにともない、中小製造業では少品種大量生産から多品種少量生産へとシフトする動きが進んでいます。
多品種少量生産では、生産ラインの工程ごとに徹底した管理が必要となるほか、作業者への指示も迅速でなければなりません。
こうした、中小製造業のビジネスモデル変革に対応するのが、製造実行システム(MES)です。
今回は、おすすめの製造実行システム(MES)6選の紹介と、システム導入で得られるメリットや比較ポイントなどを詳しく解説していきます。
このページの目次
製造実行システム(MES)とは、生産現場における各製造工程を見える化し、管理や作業員への指示などをサポートするシステム基盤のこと。
生産ラインの各製造工程を連携させ、製造業におけるスマートファクトリーの実現が主な目的です。
近年、多様化する消費者のニーズに応えるべく、製造業では少品種大量生産から多品種少量生産へシフトする動きが進んでいます。
製造実行システム(MES)を使うことで、1つひとつの生産工程を現場視点で管理・把握が容易にできるため、カイゼン活動・工場稼働率・品質管理の向上にとても有効です。
製造実行システムは生産をサポートするものであるため、広義では生産管理システムのひとつです。
製造実行システムと生産管理システムとの違いは、対象としている業務範囲にあります。
製造実行システムと生産管理システムは似ているため、同義として捉えがちですが、目的や業務範囲に明確な違いがあるのです。
製造実行システム(MES)の機能は、米国のMES推進団体「MESA(Manufacturing Enterprise Solutions Association)」によって、11種類に定義されています。
なお、定義された11種の機能は、「ヒトの管理」「モノの管理」「全体の管理」の3分野に大別できます。
生産計画に基づき、詳細なスケジューリング立案を行うための機能があり、人の勤務シフトを適切に管理することができます。
作業者の業務状況を管理し、適切な作業を割り当てたり、作業スケジュールに基づき、製造や変更指示を行ったりすることも可能です。
受注オーダーやバッチ、ロットの管理などにも対応します。
生産資源の配分および監視する機能があり、生産資源を適切に把握・配分し、製造現場の準備を整えることが可能です。
また、製品仕様書、作業手順書、作業指示書、製造記録など、作業に関わるさまざまな文書の編集・管理を行う機能。
さらに、製品の品質データを収集し、リアルタイムに分析できる機能があり、バラつきのない良質な品質管理が行えます。
定期的なメンテナンスや予防保全を行う、設備の保守・保全管理機能があり、生産設備の可用性を確保に有効です。
各製造工程内における進捗状況や作業員の作業状況をリアルタイムでデータを収集する、データ収集機能があります。
この機能により、「誰が・いつ・どの工程を行ったか」などの情報を収集・分析し、リアルタイムに共有することが可能です。
生産状況を監視・把握し、作業者の判断や意思決定のほか、プロセス制御や異常発生時の対応も支援するプロセス管理機能。
実績の分析機能では、蓄積した過去の計画や履歴などのデータを分析し、最新の生産状況と比較することができます。
製品の品質維持に有効な機能です。
画像出典元:「FMES」公式HP
「FMES」は、製造業におけるあらゆる生産工程を可視化し、製品の品質向上を支援する、製造実行システムです。
大量生産、多品種少量生産、受注生産など、さまざまな生産方式に対応しており、自社の生産体制に合わせられます。
出荷や在庫、設備点検、棚卸などの入力作業はスマホやタブレットから簡単に行え、入力データは管理画面でリアルタイムにチェックすることが可能です。
そのため、管理者は現場にいなくても状況把握ができ、作業者への指示もスムーズに行えます。
導入形態は「クラウド型・サーバー導入型」どちらも対応しているほか、自社に合わせてカスタマイズすることも可能です。
クラウド型で初期費用50万円~、その他ライセンス費用が必要です。
画像出典元:「TPiCS-X」公式HP
「TPiCS-X」は生産管理システムとされていますが、設備の割り振りや保守管理など製造実行システムとしての機能を付加できます。
量産繰返生産・少量多品種生産・個別一品受注生産など、幅広い生産形態の管理に対応。
生産形態が混在していても、問題なく一括管理することが可能です。
作業指示書や注文書といった帳票発行から実績管理、在庫管理、原価管理、稼働時間・生産能力カレンダーなど、生産管理に必要な機能が豊富に搭載され、カスタマイズも柔軟に行えます。
また、運用形態がとても豊富なところもTPiCS-Xのポイントです。
これら4種類の中から、自社にあった最適な運用方法を選択することができます。
システム名 | 購入価格(税込) | 年間スタンダード保守(税込) |
f-MRP製番システム | 1,760,000円 | 264,000円 |
繰返生産システム | 1,210,000円 | 181,500円 |
製番管理システム | 1,210,000円 | 181,500円 |
スタートパック | 1,504,800円~ | 購入金額の15% |
システム名 | 月額使用料(税込) | 年間使用料(税込) |
f-MRP製番システム | 71,999円 | 792,000円 |
繰返生産システム | 49,500円 | 544,500円 |
製番管理システム | 49,500円 | 544,500円 |
※このほか約20種類のオプションが用意されており、追加料金がかかります。
画像出典元:「WorkGear」公式HP
「WorkGearシリーズ」は、受注から生産、出荷までの製造全般に対応する、中小製造業に特化した、シンプルで使いやすいシステムです。
広義は生産管理システムですが、工程進捗管理や検査データ管理、各種指示がおこなえるなど、MES機能も兼ね備えています。
そのため、生産管理システムと製造実行システムの両方を導入することが難しい、コスト重視の企業におすすめです。
なお同シリーズでは、全7種類の製品ラインナップから、自社の目的や用途、事業規模などに応じて選べるようになっています。
小規模な製造業がシステム化しやすいようにカスタマイズにも対応しているので、厳選して選ぶことで、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
システム名 | 購入価格 |
WorkGear-MRP (中小製造業向け MRP在庫生産管理システム) |
8,000,000円 |
WorkGear-UZ (中小製造業向け ユニット在庫管理システム) |
3,800,000円 |
WorkGear-X (中小製造業向け生産管理&業務総合システム) |
2,800,000円 |
WorkGear-B (中小製造業向け 生産管理システム) |
2,000,000円 |
WorkGear-S (中小製造業向け 売買管理システム) |
800,000円 |
WorkGear-F (中小製造業向け 付属情報管理システム) |
400,000円 |
WorkGear-M (中小製造業向け 積算型見積管理システム) |
300,000円 |
(税表記なし)
画像出典元:「 i-PROWシリーズ」公式HP
「中小製造業の現場が使いやすいシステム開発」をコンセプトに、製造現場の声を反映させた、現場主義の生産管理システムです。
「i-PROWシリーズ」では、見積りをはじめ受注、出荷、進捗状況、在庫など製造全般の管理に対応しているうえ、勤怠管理も行えます。
また、工場内における作業進捗状況の可視化はもちろん、すべての情報を全社で共有することも可能です。
さらに、納期遅れの作業だけを抽出して対策を講じるよう促したり、過去のトラブル事例を表示したりするなど、クレーム防止に役立つ機能も搭載されています。
「i-PROWシリーズ」は、別々のシステムを導入せずに管理を集約させたい中小企業におすすめです。
なおMESとしては、設備の保守・保全そのものの機能がないため、作業予定などの生産スケジュールで管理する必要があります。
※「IT導入補助金HP」を参照
画像出典元:「IB-Mes」公式HP
「IB-Mes」は、製造現場の声をもとに開発され、現場に必要な基本的機能を網羅し、作業の効率化や生産性向上を支援する製造実行システムです。
生産進捗管理・品質管理・設備管理・労務管理など、現場のあらゆる情報を一元管理。
一元管理された情報は、分析機能によって素早く簡潔に分析して把握できるので、工場稼働率や品質向上などに活用できます。
また、トレースバックやトレースフォワード、変化点トレーサビリティなど、多角的なトレーサビリティが可能なので、生産活動や改善活動にも有効です。
豊富なオプション機能と柔軟なカスタマイズ対応で、自社の要望にあったシステムを構築することができるでしょう。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「Dr.工程PRO」公式HP
Dr.工程PROは、個別受注生産現場における作業指示や日程計画の立案にも有効な製造実行システム(MES)です。
20年以上、国内外500件以上の導入実績があり、高精度の自動スケジューリング機能などの活用で、製造現場の効率的な管理を実現できます。
計画工程・大工程・中工程単位の状況、機械別の状況、担当者ごとの負荷状況などを、わかりやすくグラフ化します。
工程が多くて進捗把握が困難とされがちな金型や半導体製造など、個別受注案件が多い現場にとくにおすすめです。
Dr.工程PRO公式HPには掲載されていないため、詳細は問い合わせが必要です。
製造実行システム(MES)を導入することによって、さまざまなメリットが得られます。
なかでも、もっとも大きなメリットとして挙げられるのは、以下の4つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
製造実行システム(MES)を導入することによって、各製造工程の作業進捗や在庫など、工場内の状況をリアルタイムで把握できるようになります。
そのため、工場内で発生している非効率的な稼働時間や原材料のロスなど、さまざまな「ムダ」の削減が可能です。
各製造工程を可視化することで、作業の3M「ムリ・ムダ・ムラ」を取り除き、コスト削減につなげることができます。
製造実行システム(MES)では、各部門間でのスムーズな連携が可能です。
とくに製造業では、事務所と工場が離れているケースが多く、情報の連携がうまくいかないといった課題があります。
離れた拠点間でも正確な情報をリアルタイムに共有できるのは、システム導入の大きなメリットといえるでしょう。
突発的な仕様変更が生じた場合でも、作業者へ迅速な指示伝達ができるので、状況に応じた臨機応変な対応も可能です。
トレーサビリティとは、生産から消費に至るまでの過程を追跡することをいいます。
製造業界に限らず流通に関わる業界では、商品に不具合やトラブルが生じた際の原因究明や改善などの対策としてトレーサビリティが必要です。
製造実行システム(MES)は、各製造工程の生産実績や生産状況が把握できるようになっています。
トレーサビリティを確保することでリスク管理の強化だけでなく、製品の品質向上や顧客満足度の向上にもつながるのです。
各製造工程のノウハウやスキルを記録し、工場全体で共有することができるため、業務の属人化を解消して平準化を実現することができます。
誰もが同じように作業ができるよう技術をマニュアル化することで、作業効率の向上はもちろん、若手など人材育成の場にも有効です。
少子高齢化による人手不足が深刻化している昨今、業務の平準化が実現できれば、会社の利益拡大にもつながることでしょう。
製造実行システム(MES)には、多くの導入メリットがあります。
しかしながら、こうしたメリットも、自社に合ったシステムでなければ得ることはできません。
以下は、製造実行システム(MES)選びで意識しておきたい4つのポイントです。
それぞれ詳しく解説していきます。
生産管理システムやERPなど、既存システムがある場合、それに搭載されていない機能やシステム間の連携可否を重視するようにしましょう。
設備の保守・保全管理は、生産管理システムにはない機能ですが、工程管理やデータ分析は、すでに搭載されていることが多いです。
システム同士で機能が重複しすぎるのは、コストの無駄になってしまいます。
そのため、「やりたいこと」以上に、今ない機能を確認することが重要です。
製造実行システム(MES)を提供しているベンダーのサービスサイトのほとんどは、実際に導入した企業の事例が掲載されています。
システム選びでは、企業の導入事例を参考にするのも有効です。
とくに同業他社の事例では、導入経緯などが類似していることが多く、自社運用に置き換えてイメージすることができるでしょう。
導入事例や実績には、自社の課題やニーズに合ったシステムなのか判断しやすくしてくれる、有益な情報が多く含まれているのです。
システム全体の操作性や使いやすさに関しても、重視すべきポイントです。
たとえ課題や目的に合った機能が搭載されていても、操作が難しく使いづらいと、有効活用することができません。
とくに製造実行システム(MES)の場合、現場で使用する頻度が高いため、誰でも直感的に操作できる設計のシステムを選ぶと良いです。
トライアルがある場合は積極的に利用し、無い場合は直接ベンダーに確認するなど、システムの使い心地は事前に確認するようにしましょう。
製造実行システム(MES)を導入すれば、すぐに成果が出るわけではありません。
成果を得るには、継続的な運用が不可欠です。
しかしながら、システムというものは稼働中に何らかのトラブルが発生することも少なくありません。
そうした何らかのトラブルが発生した場合でも、サポート体制が充実していれば迅速に対応してもらえるので、安心して運用し続けていけます。
システムを選ぶ際は、サポート体制の充実度も重視するようにしましょう。
製造実行システム(MES)は、生産現場における各製造工程を見える化し、管理や作業員への指示などを支援するシステムのことです。
システムを導入することで、作業の効率化やコスト管理など、生産性向上につながるさまざまなメリットが得られます。
けれども、システム導入によるメリットを得るためには、自社の課題や目的に合ったシステムでなければなりません。
現在では、製造実行システム(MES)を提供しているベンダーが数多く存在し、種類もさまざまです。
ぜひ自社に合ったシステムを選び、製造現場の効率化や生産性の向上を目指しましょう。
画像出典元:O-dan