倉庫管理システム(WMS)とは、在庫管理だけでなく、入庫・出庫・ピッキングまで物流作業をトータルサポートしてくれるシステムです。
バーコードで商品の在庫情報をリアルタイム把握できたり、作業の一部を自動化することも可能です。
小売・卸業、ECサイト運営企業、製造業など幅広い業種において、倉庫管理作業の作業の効率化、人件費・コスト削減に効果があります。
この記事では、倉庫管理システムおすすめ11選を比較解説し、選び方のポイント、ERPなどとの違い、メリット・デメリットも紹介していきます。
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このページの目次
倉庫管理システム(WMS)とは、庫内作業の効率化や改善を図ることを目的にしたシステムです。
材料や製品が倉庫に入庫してから出庫するまで一連の流れをデジタル化し管理することができます。
端末やタブレットで商品情報を読み取りデータ化することで、在庫数、棚卸、人材配置などを一元管理したり、納品書の作成までも効率化することが可能です。
倉庫管理システムの主な6つの機能は以下のとおりです。
機能 | できること |
1) 入荷管理 | 入荷日、入荷スケジュール、入荷数をリスト化し管理。入荷予定と実績のズレの確認や入荷変動把握も。 |
2) 出荷管理 | 出荷予定や出荷実績を管理。出庫の内容指示機能やピッキングリストの作成機能も。 |
3) 在庫管理 | 在庫の配置場所や数、製造年月日・消費期限などの情報を管理。 |
4) 棚卸管理 | 棚卸データの作成、検品数の入力、差異のリスト化。スキャナ利用で棚卸そのものを効率化することも。 |
5) 帳票・ラベル発行 | 納品書・発注書などの帳票作成機能。商品管理のためのラベル発行も。 |
6) 返品管理 | 入出荷以外の在庫変動を入力・管理する機能。 |
倉庫管理システムのこれらの機能を用いれば、エクセルや手作業・目視での確認、管理に比べ、管理を各段に効率化することができます。
物流倉庫では、倉庫管理システムの類似システムとして「ERP(基幹システム)」や「在庫管理システム」もよく知られていますが、違いは次のとおりです。
ERP(基幹システム):社内システムの情報を一元管理するシステム。会計や販売管理も対象。
ERP(基幹システム)は、製造部門だけでなく、経理や顧客管理なども含めた社内システムを一元管理するためのシステムです。
そのため、ERPの倉庫管理機能は基本機能のみで限定的となるのに対し、倉庫管理システムは、帳票やラベル発行、ロケーション管理などの細かな機能・効率化機能がついている点が異なります。
在庫管理システム:適正在庫の管理をするためのシステム。倉庫外の在庫も管理対象。
倉庫管理システムは倉庫内に実在する物資・商品の管理に特化しています。
一方、在庫管理システムは、適正在庫の管理・調整をするためのシステムなので、倉庫外の机上の在庫も含めて統合管理する点が異なります。
さらに、倉庫管理システムでは、倉庫内の人員や設備・配置も管理対象となる点も大きな違いです。
倉庫内のあらゆるデータを一元管理し効率化したいのであれば、倉庫管理システムを選びましょう。
倉庫管理システムを導入すると、次のような効果・メリットが得られます。
目視による照合や検品は、作業が属人化しがちになってしまい、正確さに差が出てしまい、ミスの発生も防げません。
倉庫管理システムを導入すればこれらのミスを最小限に抑えることができます。
また、結果的に在庫差異・誤出荷や発送ミスによる返品などを減らすこともでき、コスト面での不利益も減少させることができます。
倉庫管理システムを導入すると、入出荷のチェックや在庫管理など、これまで手作業で行っていたものの一部が自動化できます。
数え間違いや差異原因の確認などの手間を減らすこともでき、全体の作業のスピードアップにも効果を発揮します。
また、ハンディ端末やバーコードを活用すれば、倉庫内の置き場所の管理が効率化し、作業全体の速度も上がります。
倉庫管理システムを用いれば、物品のバーコード管理などでリアルタイムに在庫数やロケーションを把握することができます。
倉庫内のリアルタイム把握ができれば、在庫の回転数のアップ、欠品管理、適切な発注対応も可能になります。
また、システムによっては、倉庫間や取引先とのデータ連携も可能なため、商品を取り巻く全ての環境を効率化・改善させることが可能です。
画像出典元:「倉庫革命」公式HP
ヤマトシステム開発が提供する「倉庫革命」は、ヤマトグループの物流ノウハウが存分に活かされたクラウウド型倉庫管理システムなので、倉庫作業現場と物流現場のフロー改善を同時に進めたい企業におすすめです。
最大の特徴は、ヤマトグループの倉庫運営経験者による作業現場の視察と現場改善策の提案で、出荷頻度に応じて商品を配列するロケーションや効率的なピッキング方法、外装に合わせた棚設計のアイディアなど、より効率的に動ける作業環境を構築するための策を提案してもらうことができます。
導入企業からは、「顧客からより細かい在庫管理が求められていたが、ロケーションごとの細やかな管理により物流品質が向上した」、「作業動線が非効率なレイアウトだったけど、効率的な倉庫内レイアウトに改善でき、ピッキング作業の生産性が向上した」などの声が上がっています。
画像出典元:「クラウドトーマス」公式HP
「クラウドトーマス」は、利用ユーザー2,000名を突破し、物流やEC業界、製造業など業種を問わず幅広く利用されているクラウド型倉庫管理システムです。
年間約790万個の出荷実績を持つ物流会社が開発した「クラウドトーマス」には、スマホとスキャナを付けたまま作業できるハンズフリー機能や物流ロボットとの連携機能、APIによる受注管理システムなどとの連携機能など、物流現場での実用的なニーズが多く反映されています。
倉庫内作業をより効率化させたい企業におすすめです。
1〜5アカウントの利用で、6アカウント目以降は、1台につき5,000/月の追加費用が発生します。
導入支援サービス:200,000円
導入中の現地打ち合わせや出張指導:30,000円/日5時間/人
画像出典元:「SLIMS」公式HP
西濃運輸のグループ会社が開発した「SLIMS」は、倉庫内作業を音声で行えるなど、より庫内での作業効率化にフォーカスした倉庫管理システムです。
音声作業機能の他にも、顧客や商品ごとに出荷条件を設定できたり、複数の倉庫・会社をまたいでの管理が可能。
ほかにも出荷や輸送のスタイルに合わせて作業グループを構成できるなど、庫内作業の効率化と同時に、顧客の細かな出荷要求にも対応できる機能が充実しています。
無料トライアルが用意されています。
データ量が少ない企業向けで、短期間での利用開始が可能、ハンディーターミナルのレンタルサービスもあります。
データ量が多い企業向けで、カスマイズ性が高く、自社にマッチした機能を追加できます。
基本料金:140,000円~
画像出典元:「ONEsLOGI」公式HP
「ONEsLOGI」は日本のサードパーティ・ロジスティクスの先駆けである日立物流ソフトウェア株式会社の倉庫管理システムです。
先端技術を活かした、多種多様な荷主企業に対応可能なクラウドシステムは、現場の生産性向上と物流品質の改善に貢献します。
入出荷から在庫管理・棚卸し業務まで、管理拠点からすべての倉庫業務を可視化することが可能です。
それにより、業務改善と効率向上、ピッキング・棚卸作業の平準化、在庫管理・物流作業の精度向上を実現できます。
複数拠点・荷主への対応、多言語対応、セキュリティ対応、個人情報保護の強化など柔軟性と拡張性、堅牢性に優れたシステムです。
画像出典元:「ロジザードZERO」公式HP
「ロジザードZERO(ロジザードゼロ)」は、アパレル・化粧品・食料品など取扱商品を選ばず対応可能で、BtoB物流、ECに強みがあるクラウドWMSです。
カスタマイズなしでも利用できる十分な標準機能が特徴で、365日サポート付きなので困った時でもすぐに相談できます。
高い拡張性をもち、カートシステムやOMSなど周辺システムとの自動連携にも取り組んでいます。
汎用性が高い分、設定の際の画面がやや煩雑に感じる場合があります。
業務フローによっては、カスタマイズが必要な場合もあるため問合せを行い確認しましょう。
ロジザードZEROの資料を無料ダウンロード
画像出典元:「AnyLogi」公式HP
「AnyLogi」は、煩雑になりがちな受注管理・在庫管理・出荷管理の業務を効率化できる物流管理プラットフォームです。
D2CビジネスやEC事業者向けのサービスで、Shopify/Shopee/TikTok ShopなどのECツールとの連携で、受注から出荷までの工程の自動化が可能。
また、海外の物流パートナーとも連携しているため、越境ECにも対応可能で海外へのビジネス展開もサポートできます。
初期費用不要で従量課金制の料金体系になっており、専任スタッフによるサポート体制も構築されており、導入のしやすさも魅力的です。
入庫料・出庫料はそれぞれ従量課金制の料金体系になっています。
初期費用は不要なため、シンプルな料金体系になっています。
費用 | |
入庫料(税抜) | 15円/1商品あたり |
保管料(税抜) | 7,600円/1坪あたり |
出庫料(税抜) | ・ポスト便:370円 ・60サイズ:680円 ・80サイズ:780円 ・100サイズ:880円 ・120サイズ:1,050円 ・140サイズ:1,300円 |
オプション料金 | ・複数ピッキング料 20円 ・同梱品ピッキング料 8円 ・返品対応作業料 350円〜 ・沖縄/離島配送 0〜2,500円(サイズに応じて変動) |
※月500件出荷未満の場合のみ、システム利用料 20,000円 / 月が発生します。
画像出典元:「LIFE-Vision」公式HP
「LIFE-Vusion」は、1960年代の創業当初から企業の情報システムを手掛けている株式会社東計電算の倉庫管理システムです。
自社のデータセンターによるクラウドサービスを提供できる強みがあり、倉庫管理システムについては業種・業態ごとにそれぞれ専用のシステムパッケージを用意しています。
LIFE-Vusionは日用品・生活用品を扱う物流センターに向けた倉庫管理システムです。
ピース比率によるダブルトランザクションや、容積計算による物量算出など、扱い品に合わせた管理システムを構築することができます。
汎用性を謳うシステムとは異なり、ドラッグストアやホームセンター、ディスカウントストアの業務に最適化された倉庫管理システムです。
※料金の詳細は直接お問い合わせ下さい。
画像出典元:「サーマルコネクト」公式HP
「サーマルコネクト」の温度管理システムでは、冷蔵庫、倉庫、工場、サーバールームなど室内の温度の遠隔管理が可能です。
温度を測定するセンサー、測定した情報をクラウドに送るゲートウェイ、情報を管理するためのアプリケーションが全て含まれており、ワンパッケージになっているのも魅力。
10台までなら無料で導入できるので気軽に導入することができます。
→こちらはサービスの新規受付を停止しております。(2023/5/23時点)
サーマルコネクトは初期費用0円から利用開始できるのが、嬉しいポイントです。
センサーの台数によっても料金は異なりますので、問合せで見積もりを出してもらいましょう。
初期費用 | 0円~ |
月額費用 | 月額基本料+月額センサー料 |
(税表記なし)
画像出典元:「W-KEEPER」公式HP
「logiec」はブラウザで利用できるクラウド型EC倉庫管理システムです。
株式会社はぴロジが提供するサービスで、さまざまなショップデータや倉庫データとのAPI連携が可能なので気軽に利用することができます。
直感的な画面遷移でITリテラシーに自信がない人でも使いやすいと評判です。
月出荷件数により料金プランが異なるため、注意が必要です。
logiecは、月間出荷数に応じて複数の有料プランがあります。
出荷件数50,000件までは、いずれのプランでも従量課金0円です。
スタート プラン |
グロース プラン |
ビジネス プラン |
プロフェッショナル プラン |
エンタープライズ プラン |
|
月額基本料 (税別) |
0円 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
従量課金 (税別) |
0円 | 50,001件目から 1円/出荷1件 |
|||
月間 出荷数 |
~100件 | ~3000件 | ~10,000件 | ~50,000件 | 50,000件以上 |
▼スタートプランでは、月100件までは無料で全機能を利用可能です。
▼キャンペーン期間中は、アカウント発行から30日間は、月間出荷件数100件以上でも無料で利用可能です。
30日間経過後に自動で有料化または課金されることはないので、安心して利用できます。
詳細につきましては、以下の無料資料をダウンロードしてご確認ください。
logiec 含む倉庫管理システムの資料を一括DL
画像出典元:「W-KEEPER」公式HP
「W-KEEPER」は三谷コンピュータ株式会社が販売する倉庫管理システムです。
高い汎用性と拡張性を持ち、追加コストを抑える仕組みが豊富に組み込まれています。
あらゆる業種に対応できるシステムであり、ロット管理や在庫の品質状態などそれぞれの業界に対応した在庫管理方法を選択できます。
温度帯管理なども含め、保管場所の用途や環境に合わせた管理システムが設計可能です。
さらに、ハンディ端末や新たな機能の追加選択など、多数のオプションが用意されています。
移動中在庫の管理や賞味期限・入庫日などによる期限管理、循環棚卸し・一斉棚卸しなどの設定も可能です。
荷主販売管理システムや受注代行システムの連携のほか、233種類の様式に対応可能な送り状と伝票箱など幅広い業種・業界に導入できるシステムです。
料金の詳細は直接お問い合わせ下さい。
画像出典元:「W3SIRIUS」公式HP
「W3SIRIUS」は、IBM出身の創業者により2013年に設立された株式会社ダイアログの主力サービスとなる倉庫管理システムです。
荷主情報と入荷・在庫・出荷・ロケーション情報を1つの業務単位であるユニットとして設定。
ユニットを拡張させていくことで、多くの荷主への対応と多拠点間での倉庫運用を可能にしています。
ユニット単位で入荷・出荷・在庫管理を行うことから、複数拠点の統合管理と一括指示、個別業務の設定ができる仕組みを作ることができます。
また、それぞれの倉庫業務に合わせた多彩なインターフェースを設定することにより生産性向上と効率化が実現可能です。
※料金の詳細は個別にお問い合わせ下さい。
使いにくいシステムを導入してしまうとマニュアル作成・運用までの時間がかかってしまいます。
操作画面がシンプルでわかりやすいもの・宅配伝票/ピッキングリスト/納品書が一体となっており帳合がしやすいものなど、現場のスタッフが使いやすい機能が搭載されたシステムを選択しましょう。
また、自社独自の運用ルールにあわせた設定ができるようカスタマイズ可能なものがおすすめです。
導入前には自社の課題や問題点を抽出し、どのような機能がほしいのかを明確にしましょう。
入出荷や棚卸しなどを効率的に行いたいならハンドレスで行える機能、ピッキング作業の効率性を高めたいなら、音声指示が出せる機能やロケーション確認ができる機能を備えたシステムがおすすめです。リアルタイムな在庫の把握が目的なら、バーコード読み取り機能は必須です。
このように、自社が叶えたい目的をできるだけ具体的に洗い出し、必要な機能を選べればベストです。
この課題・問題点の抽出に自信がない場合は、現場を視察し、システム導入のアドバイスがもらえるサービスを選ぶと安心です。今回ご紹介した「倉庫革命」はこの点において、大いに頼れるサービスです。
また、システムを提供する企業の導入事例をチェックし、自社と同業種の導入実績について調べることも大切です。同業種の導入事例が多ければ、トラブルが起きたときなど、適切にサポートしてもらえる可能性が高まり安心です。
倉庫内作業で使用する作業ロボットや送付状発行・帳票配信など周辺ツールと連携できれば、倉庫内作業の負担が軽減できたり、ペーパーレスで作業が行えたりするなど、庫内作業のより効率化が狙えます。
また、オフィスの販売管理システムや在庫管理システムと連携すれば、一つの商品が入庫されてから顧客の手に届き、決済が終了するまでの一連の流れを一括管理することができます。
倉庫管理システムを何の機能と連携させ、どのような効果を得たいのかを具体的にイメージしてから導入するようにしましょう。
はじめて導入する企業には、トラブル時の対応だけでなく、運用方法のコンサルティングまでしてもらえるサービスがおすすめです。
倉庫管理システムは、サービスにより備えている機能のばらつきが大きく、自社にぴったり合うシステムを選ぶのが難しい傾向にあります。
選定に自信がない場合は、導入支援やコンサルティングを手厚く提供しててるサービスを選ぶと安心です。
倉庫内作業は、期間限定でアルバイトを雇ったり、日ごとに従業員が入れ替わったり、オフィスに比べ人材の出入りが激しく、定まらないのが特徴です。
倉庫管理システムの機能に触れる従業員が不特定多数である場合は、よりシンプルに使えるシステムを選ぶことで、従業員教育の時間を削減することができます。
今回ご紹介した倉庫管理システムを導入すれば、入出庫にかかる作業やピッキング作業、在庫管理などの倉庫内作業をより効率的に行えるようになります。
また、基幹システムや販売管理システムなどとの連携により、一つの商品が入庫されてから決済されるまでの一連の流れを管理することができ、商品を取り巻く全ての環境でその恩恵を受けることができます。
倉庫内業務の効率化を目指したい企業はもちろん、モノ・ヒト・カネの管理をスムーズに行いたい企業も、一度今回ご紹介したシステムを検討してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:O-dan