2020年4月から中小企業にも適用されるようになった「働き方改革関連法」。
本来であればもっと働きやすさが増すはずが、法律と現場での実情がかみ合わず、反対に業務負担が増しているところも少なくありません。
その中でも経費精算業務は、 正確で細やかに対処しなければならない作業も多く、担当者のみならず他の従業員にとっても負担になりやすいもの。
そこで今回は、経費精算業務の実情から業務の効率化を図るためにどうすればいいのかについて解説します。
このほか、経費精算システムの普及の背景や、効率化するためのポイント、システムを導入するメリットとは何かについてもご紹介します。
このページの目次
経費精算業務は、会計部門のみならず全ての従業員が日常的に関わるもの。そのため、会社全体の効率化を図るうえでも無視できない業務といえます。
ここでは、経費精算業務の現状によって抱えがちな課題や悩みから、解決策を提示します。
経費精算業務は、交通費精算、打ち合わせや接待などの交際費精算、出張などの宿泊費精算などさまざまな処理が複合したもの。
これらは、実際に稼働している従業員が申請をし、上司など権限のある役職者が承認、その後経理担当者が処理を行うのが一般的です。
また、従業員が立替え、後払い精算のところも多いでしょう。
業務をフロー化して見てみると、それぞれの段階で次のような工程が踏まれています。
すべての作業を人為的に行うと、経費精算にかける書類が行ったり来たりしているのがわかります。
申請内容に不備があれば、修正や再チェックなどでさらに処理工程が増えることになります。
そのほかにも、処理を紙ベースで行えば、申請書類や領収書のファイリングから管理まで行わなければなりません。
立て替えた費用を現金で後払いしている場合は、現金管理も必要です。
これらの業務は日常的に行われるものでありながら、もともと煩雑で閑散期と繁忙期の格差が激しく、計算ミスや処理間違いが発生した場合、残業でカバーすることが多いのが現状です。
しかし、働き方改革関連法によって残業時間の制限が規定されました。
これによって経理担当者は、限られた時間内で正確かつ効率的に業務遂行することが、以前にも増して求められるようになっています。
また、普段の業務を滞りなく遂行しつつ、月末や年度末などの定期的な経理業務、経営分析などのイレギュラー業務などへの対応もせねばなりません。
これら全ての業務をいかにスピーディーに処理していけるかが、経費精算業務における担当者の現実であり、悩みでもあります。
課題を打破するための最も有効な方法のひとつは、経費精算システムの導入です。システムを導入すると、従来の業務フローが下図のように変わります。
申請から承認、仕分け・入力に至るまでをシステム上で行うため、従業員・承認者・経理担当者それぞれで処理が簡素化されます。
たとえば、申請したデータをもとに経費精算可能かどうかや、仕分けがシステム側で自動的にチェックされるため、承認者や経理担当者が一つ一つの申請内容をチェックしたり承認したりする必要がなくなるのです。
入力業務においても、申請した情報がそのままデジタルデータ化されて自動的に会計用データベースに登録できます。
これまでは一件一件入力をしていたものが全て自動的に処理されるため、経費精算における業務効率が格段にアップします。
その結果、経費精算業務で逼迫していた他の業務に人員を割いたり、人手を補填したりすることもできるようになります。
経費精算業務にかかる時間は、一日単位で見れば些末なものかもしれません。
しかし、毎日5分でも短縮できるようになれば、月単位や年単位で見たときに大きな時間短縮の実現になります。それが最終的に、従業員の残業や労働時間問題の解決へと繋がります。
経費精算を効率化するためには、どんなポイントがあるのでしょうか?
単純に経費精算システムを導入すれば、効率化が図れるわけではありません。ここでは、そのポイントについて解説します。
RPAとは、Robotic Process Automationの頭文字を取ったもので、意訳すれば「産業用AI」を指します。
産業用AIにもいろいろなものがありますが、その中でもRPAはホワイトカラーの事務作業を代行するために生まれたAIだといえばわかりやすいのではないでしょうか。
最も身近なものでいえば、データの自動入力やデータの自動収集などがあります。これらを各業務に当てはめて開発された一つが経費精算システムです。
RPAを活用すると、ルーティンワークとなっていた業務を簡単に自動化することが可能になります。
たとえば、経費精算における交通費精算もその一つです。
区間ごとの運賃データを保持しているシステムであれば、利用区間を入力するだけで交通費を自動的に算出し、さらにはその交通費データを自動登録してくれます。
RPAは定型的かつ反復性の高い業務との相性が大変良く、昨今の働き方改革でも注目を浴びている情報技術の一つです。企業が現場環境を改革する際には、大きな一助となってくれます。
最初の項でも述べた通り、従来の方法では無駄が発生しやすく、それらはミスやエラーを引き起こす原因にもなりかねません。効率化を図るうえで、無駄は排除するのが鉄則です。
現時点で自社の業務フロー、あるいは処理フローにおいてどこにどんな無駄があるのかを徹底的に洗い出しましょう。
いくらRPAのような素晴らしい技術を取り入れても、業務や処理に無駄があれば、本来の効果を発揮させるのは難しくなります。
経理業務だけで見ても、すべての作業が自動化できるわけではありません。人為的作業が必要な業務においては、効率化を失わせる要因が隠れていることもよくあります。
ボトルネックはどこかを把握し、それらを可能な限り排除することで効率化を推し進めていくことが可能です。
わざわざ「クラウド型」と指定したのは、自社サーバーにインストールして使うオンプレミス型の経費精算システムよりも企業にとって利点が多いからです。
特に最後のポイントは、業務効率を図るうえで外せません。
クラウド型の場合、インターネットを介して経費精算システムを利用しますから、外出先や宿泊先、移動途中、あるいはテレワークでも処理できるようになります。
これを活用すると、承認者の不在で処理待ちになっていたのが、外出先から承認をしてもらえるため精算処理がこれまで以上に効率的に行えるようになるのです。
前項でも少し触れましたが、経費精算システムを導入することで得られるメリットについて、ここではもう少し掘り下げてご紹介します。
メリットについてご紹介する前に、今なぜ経費精算システムの導入が進んでいるのかについて解説します。
背景を知れば、このあとご紹介するメリットをより強く感じていただけるはずです。
働き方改革では、残業時間の上限規定など環境整備の点で、企業が果たさなければならないことがたくさんあります。
単純に残業時間を削減しようとしても、現状それが難しい場合、一筋縄ではいきません。しかし、法律がある以上、企業側は遵守せねばならないのがルールです。
そのため、無理にでも現場環境を法律に合致するよう変革することになってしまいます。
それでは現場に負担が重くのしかかるばかりで、本質的な解決には繋がりません。
業務の中にある無駄を排除して、自動化できるものは自動化し、効率的に業務が遂行できる環境を整える必要があるのです。
生産性を求めるのはそれからでも遅くはありません。そのためには、業務の自動化を任せられるシステムが必要です。
企業内部における課題以外でも、システム導入が進む理由があります。
それは近年、企業が置かれている社会情勢の変化は大変目まぐるしくなり、スピーディな経営判断が以前にも増して必要不可欠なものとなっています。
経営判断において会計情報は、自社状況を客観的に知るための大切な情報源です。
会計情報を管理しているのは経理部門ですから、そこのいち業務である経費精算処理に人員や人手を割いていては経営にも悪影響を及ぼしかねません。
これらの理由から、多くの企業でいま経費精算システムの導入が推し進められているのです。
最大のメリットは、やはり経費精算業務が効率的に行えるようになるところです。
導入におけるメリットは、実はそれ以外にもたくさんあります。
ここに挙げたのは一部ですが、これだけで見ても自社が経費精算システムの導入を避ける理由は見当たらないのではないでしょうか。
まず、経費精算システムでは申請内容を自動チェックしてくれるため、経費処理できるかどうかをシステム側が判定してくれます。
また仕分けや入力が自動で行われるため、従来よりも人手を削減できます。
さらに、手計算では起こりがちだった計算ミスや処理ミスも、システムによる自動処理のためミスやエラーを回避してくれることから、処理そのものが迅速になります。
また、経費申請での誤魔化しも利きにくくなりますから、不正使用や不正受給といった犯罪的行為の抑止あるいは阻止にも繋がります。
このほかでは、レシートや領収書といった証憑書類を電子データ化して管理することになるため、ファイルやコピー用紙などの備品を使う必要がありません。
このことから、証憑書類の管理にまつわる業務全般が削減可能となり、備品コストも抑えられる利点もあります。
申請時、紙の申請書類への記入からパソコンやスマートフォンでの入力へと切り替わって申請書類が不要になるため、ペーパーレス化の推進にも役立ちます。
たくさんのメリットがある経費精算システムですが、効率的に活用するためにも企業が導入前にしておくことがあります。
最初の2つは、経費精算システムで効率化を図るためには必須ポイントです。せっかくプロセスを見直しても、ボトルネックがあれば業務の効率が阻害される要因になります。
経費規定の見直しを図るのは、システムとの親和性を高めるためです。
クラウド型の場合は、サービス事業者から提供されるものをそのまま使うことになりますから、独自性の高い経費項目がある場合は見直しが必要になる場合があるのです。
次に挙げた承認権限の範囲については、システム上で承認する場合に誰がどの程度まで承認するのかをシステム側に登録する必要があるからです。
これまでにも裁量権がある程度定められていたはずですが、線引きが明確になっていない場合はシステムに権限登録する際に困ることになります。
具体的に範囲を定めておくことで、スムーズに稼働できます。
最後に、経費精算に関係する全員に操作を理解してもらい、使いこなせるようになってもらうことが重要です。
年配者の多い企業では、従来の紙ベースのほうが良かったといった声が上がることがありますが、それではいつまで経っても業務の効率化は図れません。
経費精算にかかわる全ての従業員がシステムを使えるようになることで、はじめて効率化が進むのです。
最初のうちは慣れないためにフォローやサポートが必要かもしれませんが、全員の意識改革が社内環境を良くすると考え、積極的に操作研修会などを実施しましょう。
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経費精算における問題は一見、経理部門だけの問題に見えがちですが、関係部署全体に関わる課題であり、ひいては経営判断にも影響を及ぼすこともあります。
現状を打破することは、会社全体の効率化や生産性向上にも繋がります。
今後、ますますテレワーク需要が高まることも見込まれていますから、経費精算システムの導入は企業にとって避けられない課題の一つになるのではないでしょうか。
画像出典元:Unsplash
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