経費精算システムを導入すれば、従業員・管理職・経理担当者・購買担当者などの経費精算にかかる業務負担が軽減されます。
経費精算システムの中でも人気があるのが、Concur(コンカー)と楽楽精算です。
経費精算システム導入に際し、自社にはどちらのシステムがふさわしいのか判断に迷うかもしれません。
この記事では、Concurと楽楽精算それぞれの特徴・機能・導入メリットなどを紹介します。
両者の特徴を比較することで、経費精算に関わるどんな課題を解決できるのか、それぞれの経費精算システムがどのようなタイプの企業におすすめなのかが見えてきます。
このページの目次
画像出典元:「Concur」公式HP
Concurは世界企業番付「Fortune500」に名前を連ねる企業の75%以上が利用している出張・経費管理クラウドサービスです。
出張・経費管理業務のプロセス全体をConcurで一元管理することができます。
経費精算の業務を効率化するのに役立つConcurの機能をいくつか紹介します。
乗換検索機能 |
|
交通系ICカードとの連携 |
|
コーポレートカードとの連携 |
|
出張・経費関連の外部サービスとの連携 |
|
スマートフォン・タブレット対応 |
|
電子帳簿保存法(e-文書法)対応 |
|
次にConcur導入で企業が得られるメリットを紹介します。
一般的な経費精算では、従業員は経費申請のために財布から溜まった領収書を整理して用紙に金額を入力する、領収書を糊付けする、電車賃を路線検索サイトで調べるなどの作業が必要です。
Concurを導入すれば、コンカーアプリを利用しスマホで領収書を撮影するだけで経費申請が完了します。
上長もスマホから承認作業ができます。
経費申請・承認の作業にかかる時間を削減でき、その時間をより重要な業務のために利用できます。
一般的な経費精算では、経費規程違反があった場合、定められた範囲内の経費だけを申請するように指し戻す必要があります。
月末になるとこの業務が増え、経理担当者は忙しくなります。
Concurでは経費規程チェックができます。
重篤な違反で申請できないもの(レッドカード)と申請可能だが軽微な違反が認められるもの(イエローカード)といった具合に経費規程チェックを自動化します。
これにより経理担当者はすべての経費申請について規程の範囲内がどうかを確認するという作業から解放されます。
さらに経費規程チェックの自動化で不正な経費申請を防止できます。
さらに、Concurは電子帳簿保存法にも対応しています。
これにより領収書の原本を保存する必要がなくなります。
経理担当者は領収書の原本を保管・管理する作業から解放されます。
Concurには費支出の可視化を促進するための分析ツールが搭載されています。
約200種類の標準レポートが提供可能です。
たとえば、組織別規程違反率、支払いリードタイム、部門別予算対経費使用率、プロジェクト別の経費情報などのレポートがあります。
便利な機能がたくさん搭載されているConcurですが、導入を検討するに際し把握しておくべきデメリットもいくつかあります。
Concurは出張・経費精算業務の全部のプロセスを一元管理できるクラウド型ソフトウェアでした。ゆえにConcurにはたくさんのツール(製品)がラインナップされています。
たとえば経費精算・出張管理・請求書管理・分析レポートなどの細かな業務ごとに以下のようなツールがあります。
経費精算 |
|
出張管理 |
|
請求書管理 |
|
分析レポート |
|
豊富なツールとそれに搭載されている便利な機能がConcurのセールスポイントです。
必要な機能を選択して使うことができますが、機能が多いのでどれを選ばばいいのか悩む、導入しても使いこなせるか心配という意見もあります。
グローバル製品なので日本のビジネスの仕組みやニーズに未対応な部分があります。
たとえば、電車の路線検索は可能ですがバスの路線検索は現時点では未対応です。
また導入サポートについてはマニュアル・電話サポートのみとなっており、自社専門の技術者や担当者が会社に来て導入サポートをしてくれるというサービスはありません。
ITリテラシーが高い従業員が少ない職場であれば、導入に戸惑う可能性があります。
手厚い導入サポートを必要としているならば、Concur導入支援サポートのサービスを提供しているConcurの認定導入パートナー企業に依頼できます。
Concurで、会社で利用している会計システムとの連携や振込データ(FBデータ)の作成をしようとする場合、「Concurブリッジ」という変換ツールが必要です。
変換ツールはConcurの認定パートナー企業により提供されています。
Concurには中小企業向けの経費管理祖ステムの「Standard版」プランが3種類、高度な出張・経費管理が可能なシステムの「Professional版」があります。
それぞれの料金やおすすめの企業タイプを表にまとめました。
プラン名 | 料金・備考 | おすすめの企業タイプ |
Concur Expense Standard |
|
|
Concur Expense Standard エントリーパッケージ |
|
|
Concur Expense Standard レギュラーパッケージ |
|
|
Concur Expense Professional |
|
|
画像出典元:「楽楽精算」公式HP
「楽楽精算」は7,000者以上が導入している国内導入社数No.1の交通費・経費精算クラウド型システムです。
特筆すべき特徴は、勘定奉行シリーズや弥生会計、OBIC7、GLOVIAなどほとんどすべての会計ソフトとの連携が可能という点です。
楽楽精算から出力したCSVデータを会計ソフトに取り込むだけなので会計ソフトへの手入力がいらなくなります。
さらに、人気会計ソフトのfreeeとも連携アプリを使えば連携できるようになりました。
楽楽精算には経費精算業務の効率化につながる次の機能が搭載されています。
交通系ICカード連携 |
|
乗換案内内蔵 |
|
定期区間自動控除 |
|
領収書読み取り機能 |
|
クレジットカード連携 |
|
支払依頼 |
|
自動仕訳会計ソフト連携 |
|
振込データ(FBデータ)作成 |
|
電子帳簿保存法対応 |
|
マルチデバイス機能 |
|
規程違反チェック機能 |
|
楽楽精算導入のメリットをいくつか紹介します。
楽楽精算はほとんどすべての会計システムと連携が可能です。
Concurも既存の会計システムとの連携は可能ですが、それを実現させるには「Concurブリッジ」という変換ツールが必要でした。
しかし楽楽精算では連携アプリが必要な一部の会計ソフトを除き、ほとんどの会計ソフトとすぐに連携させることができます。
専用アプリを使えば領収書を撮影するだけで、領収書内の文字や金額、日付を認識してくれるので手入力の手間が削減できます。
また交通系ICカードの読み取り、定期区間の登録などでデータを貯めれば、交通費申請のためのデータ準備も簡単です。
従業員の経費精算にかかる時間を大幅に削減できます。
規程違反チェック機能が搭載されているので、承認者は申請書のチェックにかかる時間や労力を大幅に削減できます。
経費精算の選択項目と帳簿の勘定科目を紐づけすれば自動的に仕訳されます、さらに自社の会計ソフトと連携したデータを作成可能です。
これにより仕訳や会計ソフトへの手入力がゼロになります。
さらに振込データ(FBデータ)の作成もできます。
会社がFB(ファームバンキング)の利用契約を銀行と結んでいれば、経理担当者は銀行に行かなくても取引先や社員の口座に振込ができます。
導入を検討する際に知っておくべきデメリットをいくつか紹介します。
タイムスタンプが付与される電子帳簿保存法対応機能、経費の予実管理ができる予算管理機能、領収書の画像やPDFデータの添付ができるファイル添付機能などは便利ですが、オプション機能となっています。
もしこれらの機能を利用したければ、基本料金にオプション料金がプラスされます。
Concur には初期費用0円のプランがありました。
楽楽精算は初期費用10万円が必要です。
楽楽精算の基本プランの料金は以下のとおりです。
月額費用は利用する従業員の数により変動します。
Concur | 楽楽精算 | |
交通系ICカードとの連携 | 〇 | 〇 |
路線検索 | 〇 | 〇 |
クレジットカードとの連携 | 〇 | 〇 |
マルチデバイス対応 | 〇 | 〇 |
スマホでの領収書の読み取り | 〇 | 〇 |
電子帳簿保存法対応 | 〇 | 〇 |
会計システムとの連携 | 変換ツールが必要 | ほとんどすべての会計システムと連携可能 |
FBデータの出力 | 変換ツールが必要 | 〇 |
初期費用 | 0円のプランあり | 10万円 |
機能面では両者とも、従業員・承認者・経理担当者の経費精算業務を効率化・自動化するために必要な機能を備えています。
会計システムとの連携方法や初期費用の面で違いがありました。
こうした特徴や違いを踏まえて、それぞれの経費精算システムがどのような企業におすすめなのか次に紹介します。
Concurはグローバル製品で企業番付に掲載されている企業で幅広く利用されています。
それと同時に、中小企業でも導入できる初期費用0円のお手頃プランも提供していています。
紙ベースの経費精算業務から経費精算システムへの移行を初めて行う企業の場合、なるべく経費を抑えて導入したいという意見があります。
Concur Expense Standardプランは初期費用0円、月額29,000円なので、とりあえずコストを抑えて経費精算システムだけを導入したいという企業にはおすすめです。
Concurは国内外への出張が多い企業にはおすすめです。
Concurでは交通系ICカードとの連携だけでなく、出張のときに便利なタクシー配車アプリやカーシェアサービスとの連携などが可能です。
さらに出張申請や出張費を管理してくれるConcur Travelを導入すれば、ホテルやレンタカー会社から送付されるEレシート(電子領収書)も自動的に取り込めるので出張管理もさらに楽になります。出張を利用した不正な経費の利用の防止も可能です。
次に楽楽精算の導入をおすすめする企業のタイプを紹介します。
変換ツールなしでほとんどすべての会計システムとの連携が可能なのが楽楽精算です。
すでに利用している会計システムがあっても、それが楽楽精算導入の障害になることはありません。
楽楽精算と会計システムが連携すれば、承認された申請書の内容を会計システムに入力する必要がなくなるので、作業が一瞬で終わります。
経理業務の効率化・自動化を進めたい企業にはおすすめです。
Concurと楽楽精算それぞれの特徴や機能、導入のメリット・デメリット、料金、おすすめの企業などを紹介しました。
初期費用を抑えての導入にはConcur、会計ソフトとの連携を重視しているなら楽楽精算がおすすめです。
どちらの経費精算システムを導入しても、従業員・承認者・経理担当者の時間や労力を削減することができます。
さらに 経費精算システムを導入すれば、経費可視化、情報の一元管理が可能です。
生産性の向上、経営資源の効率的な運用につながる経費精算システムの導入をぜひ検討してください。
画像出典元:Pexels
経費精算の課題とは?解決策とシステム導入のメリットについても解説
キャッシュレス決済で経費精算するメリットとは|運用の課題と注意点
領収書電子化のやり方は?電子帳簿保存法のルールやメリットを解説!
経理のテレワーク導入プロセスを解説!必要な3つのクラウドとは?
経費精算書のテンプレート付き|書き方や注意点・経費について解説
経費精算から始める働き方改革|現状から見る効率化のポイントとは?
【比較】jinjer経費とマネーフォワード クラウド経費の機能・違い・料金を解説!
経理業務の効率化は実現可能か?必要性や具体的施策、メリットを解説
徹底比較!Concur・楽楽精算・ジンジャー経費の特徴とは?
旅費精算とは?方法・流れ・精算書の書き方・注意点を解説!