旅費精算とは?方法・流れ・精算書の書き方・注意点を解説!

旅費精算とは?方法・流れ・精算書の書き方・注意点を解説!

記事更新日: 2021/06/15

執筆: 高浪健司

経費のなかでも比較的発生頻度の高い旅費精算ですが「これ旅費として経費処理して良いものなのか?」など、意外とややこしく間違えやすかったりします。

そのため、申請側も処理側も、それぞれ旅費精算についてしっかり知っておく必要があります。

そこで今回は、精算手順や書類の作成方法、さらには注意点、旅費精算処理をスムーズに行う方法など、旅費精算について詳しく解説していきます。

旅費精算とは?

まず、旅費精算とはそもそも何なのでしょうか。ビジネスを展開していくうえで、出張は会社にとって非常に重要な活動のひとつです。

出張には近場エリアをまわるケースや遠隔地へ行くケースなど、業務内容によって様々ですが、いずれも出張するには費用が発生します。

出張時にかかる主な費用は、移動で必要となる交通費やホテルなどに宿泊するための宿泊費、そして日当です。

当然、出張時で発生した費用というのは事業のために使用されるものですから経費として扱われます。

この時、出張時で発生した「交通費・宿泊費・日当」を精算することを旅費精算と言います。ちなみに旅費は旅費交通費とも呼ばれています。

旅費精算の扱いにおける注意点

旅費精算の扱いに関し、いくつか注意しなければならない点がありますので、旅費精算の注意点を解説していきます。

まず一つ目。旅費精算は原則として遠隔地へ出張した際に対象となる経費であるということがポイントです。ただ、遠隔地といってもどこからが遠隔地になるのかは企業によって定義は様々です。

一般的には移動先までの距離が100㎞以上である場合は遠隔地への出張に該当するなど、一定の距離を基準にしている企業が多いです。

そして二つ目、遠隔地への出張だとしても、その目的によって旅費として経費計上できない場合があります。

どういうことなのかと言うと、たとえば取引先との親交を深めるために旅行をした場合、これは「交際費」として処理しなければなりません。また、従業員における研修旅行であれば「研修費」という扱いになり、慰安旅行であった場合は「福利厚生費」として処理する必要があります。

このように、同じような行動でも目的が異なると処理の方法も変わってくるので、特に経理担当者は扱いについて気をつけなければなりません。

旅費交通費として精算処理するのは、あくまで「遠隔地による出張にて支出した経費のこと」ということになります。

旅費精算の大まかな手順

さて、旅費精算について注意点がわかったところで、次に大まかな精算の流れをお伝えしていきます。なお、精算の流れに関しては会社によって様々ですが、一般的には下記のような流れで行われています。

1. 出張に関する申請をする

旅費精算がスムーズに行えるよう、出張に関する事前申請が必要です。

申請の仕方は会社によって、出張計画書や出張申請書を作成し上長に提出するケースや、口頭にて申し出るケースなど、やり方は様々です。

いずれにしても出張をする際は事前の申請許可を得る必要があります。

2. 実費の立て替えを行う

出張中にかかる交通費や宿泊費など実費の立て替えを行います。

実費はあとから精算するために領収書やレシートが必要となので可能な限り発行してもらいましょう。そして、くれぐれも紛失することが無いようしっかり保管しておくようにしてください。

3. 旅費精算書の作成と上長の承認

出張が終わり帰社したら出張時にかかった費用を精算するため旅費精算書を作成します。

なお、旅費に関しての規定は会社によって異なるため、旅費精算書に記入する内容に関しては一概に言えませんが、一般的に「氏名・所属・出張先・出張スケージュール・宿泊日数・宿泊場所・金額」を必要事項としているケースが多いです。

また、作成した旅費精算書に領収書・レシートを添付して上長へ提出、承認を得ます。

4. 経理担当者が処理する

旅費精算書などの必要書類を上長が確認し、承認を得たあとは経理部門にて精算の処理が行われます。

経理担当者は提出された旅費精算書の内容に関して記入漏れや間違いがないか、また領収書やレシートに不備がないかなどもしっかり確認する必要があります。なお、チェックミスがあってはいけませんので、確認作業は基本的にダブルチェックが行われます。

すべてを確認し、特に問題なければ精算を行い、会計ソフトや仕訳帳に仕訳を入力、転記して完了です。

旅費精算書の書き方(必要項目)

旅費精算に関する申請書や精算書には特に定められたフォーマットが存在しているわけではありませんので、書き方に関しては会社によって様々です。

ただ、基本的に旅費精算書で必要となる記入項目としては、おおよそ以下のとおりです。 

  • 申請日
  • 申請者の氏名と所属部署
  • 出張期間
  • 出張先
  • 出張の目的
  • 日付と移動区間
  • 移動交通手段
  • 宿泊先
  • 交通費
  • 宿泊費
  • 仮払金額
  • 捺印欄(上長の承認など)

以上が旅費精算書を作成するうえで入れておくべき必要事項です。

前述のとおり、記入事項や書き方などは会社によって様々ですので、すでに決められた旅費精算書が存在している場合はそれに従ってください。

ルールなど特に決められていない場合は、上記事項が書かれていれば精算処理も効率良く進めることができるでしょう。

旅費精算書に関する作成ポイント

上で説明したように、旅費精算書に記入すべき必要事項は以外と多く、具体的かつ詳細に記入する必要があります。

そのなかで、作成において特に気をつけておきたいポイントをいくつかお伝えします。

記入はミスなく正確に

旅費精算書を作成する際は、必要事項に対して記入漏れや間違い等が無いよう正しく正確に記入することが大前提です。記入漏れなど不備がある場合、差し戻しを受け再度提出する必要があります。

差し戻は申請者・経理担当者ともに余計な手間が増えますので、極力ミスをしないよう時間に余裕がある時に作成しましょう。

また、出張の際にかかった旅費の内訳や金額も、それぞれ正確に記入しなければなりません。

特に金額のところで端数を四捨五入して記入する人が稀にいますが、これはいけません。金額は領収書に記載されているとおり、すべて正確に記入しなければなりません。

必ず期間内に提出する

出張をすると普段やっている仕事が滞りやすくなります。そのため、帰社後は滞った仕事を片付けるのにバタバタしてしまい、旅費精算書の作成をつい後回しにしてしまいがちです。

申請を後回しにしてしまうと記憶が曖昧になったり、申請すること自体忘れたりなど、様々な不備が発生する可能性が高くなります。

旅費精算書は後回しにせず、早めの提出を心がけましょう。

領収書・レシートは大切に保管する

前述のとおり、領収書やレシートは旅費精算書と一緒に提出する必要があります。

そのため、出張先でかかる費用の領収書は出来る限り発行してもらい、そのあと紛失してしまうことのないよう大切に保管しておくことが重要です。

旅費精算の処理における注意点

旅費精算に限らず、経費精算というのは経理担当者にとって非常に面倒で手間のかかる業務です。

そのため、正しく処理したつもりでも何らかのミスが発生してしまう。といったことも多々あります。なお、経費は税金と密接な関係にありますので、扱いには注意が必要です。

では、旅費精算の処理において特に気をつけておきたいポイントを解説します。

常に妥当性をチェックする

旅費交通費は適用範囲が広く、旅費としての内容に関する妥当性の部分で判断が難しいことがあります。

特に旅費精算は通常の交通費精算よりも高額となるため、妥当性に関して経理担当者はしっかりと確認しなければなりません。たとえば、宿泊費が一泊で数万円もする場所に泊まることは妥当であるとは言えません。

このように、あからさまに常識の範囲を超える出費の場合、税務調査により指摘を受ける可能性があるので注意が必要です。

いずれにせよ旅費精算を適切に処理するためには、宿泊料の上限や新幹線のグリーン車などの利用を役員と従業員とで区分するなど、社内における出張旅費規程を設定することが重要です。

適切な勘定科目で処理する

冒頭でもお伝えしたように、旅費精算はたとえ遠隔地への交通費であってもその目的によって「交際費」「研修費」「福利厚生費」など、勘定科目の扱いが異なってきます。

旅費精算に関する勘定科目は非常に混同しやすいため、精算処理を行う際は「出張の目的」をしっかりと確認することが重要です。

申請日を確認する

意外と大事なのが申請日の確認です。

これは旅費精算に限らず、経費精算というのは税務上、原則としてその年度内に精算しなければなりません。しかし、申請する側はそういったことを知らない場合が多く、数年前のものまで関係なく申請してしまうといったケースがあるため注意が必要です。

精算は、出張直後もしくは2週間以内など、一定の提出期限を設けるようにしましょう。また、領収書やレシートの保管も社内規程などで徹底すると尚良いでしょう。

旅費精算処理をスムーズにする方法

旅費精算というのは、申請から精算完了までの作業工程が多く、手間や時間がかかる業務です。

特に経理担当者は、提出されてきた精算書に対して一つひとつチェックしなくてはならず、出張や外出する機会が増えるほど、その分手間や時間も増えていきます。

そこで、旅費精算を効率的に進めるにはどのようにしたら良いのか。その方法についてご紹介します。

旅費精算書のテンプレートを使う

旅費精算書のテンプレートを作成し、そのテンプレートに必要事項を記入して提出してもらうと記入漏れなどを防ぐ効果があるので効果的です。また、チェックする際も項目ごとに確認することができるので、よりスムーズに処理することが可能です。

ただ、前述のとおり旅費精算書というのは、決められた形式のフォーマットが存在しているわけではありません。そのため、一般的にエクセルや無料テンプレートを利用して会社のルールに合わせたフォーマットを作成し、それを使用している会社が多いです。

いずれにしても、ミスを減らして効率的に旅費精算を行うためにはフォーマットは欠かせません。そのため、まだ何も使用されていない場合は、すぐにフォーマットを作成し、使用することをおすすめします。

経費精算サービスを利用する

決められてない用紙に個々にそれぞれの書き方で申請されてしまうと、確認する方は何がなんだか分からなくなり、担当者の負担も増えるばかりです。

そのため、経費精算をスムーズに処理するためには、会社の精算ルールに合わせた旅費精算書(フォーマット)が最低限必要となってきます。

とはいえ、エクセルや無料テンプレートを利用しても、結局のところは会社のルールに合わせて作成しなければなりませんし、作成したフォーマットを印刷して手書きで書類を作成しなければならないので申請者も手間がかかります。

そこでおすすめなのが経費精算サービスの導入です。

経費精算サービスとは、申請からチェック、そして承認に至るまで、経費精算を行う際に必要となる様々な業務を一元化してくれるサービスです。

もちろん提供されているサービスによって内容は異なりますが、たとえば交通系ICカードの履歴情報を取り込んでそのまま申請できたり、領収書やレシートをスマートフォンのカメラで撮影し、データのまま申請が可能だったり様々な便利機能が用意されている製品もあります。

なお、下記では多数存在する経費精算システムのうち、特におすすめできるサービスをご紹介しているので、ぜひ経費精算システムの導入を検討する際にお役立てください。

 

まとめ

今回は旅費精算について解説してきました。

ここでお伝えしてきたとおり、旅費精算というは運用範囲が広く、出張目的によって旅費として計上することができない場合があるなど、非常に複雑な業務です。

そのため、本来とは異なった勘定科目で処理してしまったり、項目の記入漏れやチェック漏れなどが生じたり、なかには申請額をカサ増しするなど不正を行う人もいます。

こうしたヒューマンエラーや不正などが起きやすいのは、旅費精算における業務の複雑さに加え、処理件数の多さが最大の要因であると言えるでしょう。

経理は会社の資金を適切に管理する非常に重要な立場であるためミスがあってはいけません。しかし理想とは裏腹に、頻繁にミス等が発生してしまうのが旅費精算であり経費精算です。

無駄な作業を省きつつミスを減らし、旅費精算をいかに効率よく処理することができるか。こうしたことを常に取り組むべき重要な課題として捉えておくべきです。

今では経費精算の申請から精算までスムーズに実行できるシステムも多く提供されていますので、そういったサービスを導入するのも非常に効果的な方法であると言えるでしょう。

ぜひ、今ある課題を改善し、よりスムーズな経理業務を実現してください。 

画像出典元:O-DAN

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