企業における業務は、コア業務とノンコア業務に分類できます。
経営資源を効果的に活用して業務効率を向上させるためには、それぞれの違いを把握しておくことが重要です。
本記事では、コア業務とノンコア業務の違いについて解説します。
両者の分類方法や、ノンコア業務を効率化する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
まずは、コア業務とノンコア業務の違いについて、わかりやすく解説します。
「専門的な判断が必要」かつ「難易度が高い」非定型業務のことです。
業務フローの確立が難しいため、ケースごとに異なる対応が求められます。
専門的なスキルや高度な知識が必要で、成果が企業の利益に直結することが特徴です。
たとえば製品の開発・生産・販売や、営業の顧客対応などがコア業務としてあげられます。
「専門的な判断が不要」かつ「難易度が低い」定型業務を指します。
プロセスの型が定まっていて、いつも同じ流れで業務を行います。
マニュアル化すれば標準化できる業務なので、パートやアルバイト、外部の委託業者などが担当することも可能です。
直接的な利益を生むことがありませんが、ノンコア業務が円滑でなければコア業務にも悪影響がでます。
ノンコア業務の具体例は以下の通りです。
ただし、業種や企業によっては、コア業務とノンコア業務の区分が異なることがあります。
自社の業務プロセスを洗い出したうえで、明確に分けることが重要です。
コア業務に集中することがなぜ重要なのでしょうか。
ここでは、その主な理由を3つ紹介します。
業務効率化を実現するためには、まずコア業務とノンコア業務を明確に切り分けることが重要です。
ノンコア業務のフローを改善すれば、人的リソースを本来注力すべきコア業務に割けるようになります。
その結果、業務の優先順位が明確になり、生産性の高い仕事にエネルギーを配分できるため、企業全体の業務効率が向上します。
コア業務に集中することは、企業の生産性向上に直結します。
売上や利益に直結するコア業務に時間と人材を集中させることで、同じ経営資源からより高い成果や付加価値を生み出せるためです。
生産性の向上を実現することは、利益率や収益率の改善につながります。
コア業務に集中することで、企業の強みや競争力をさらに高めることができます。
たとえば、商品開発や営業戦略といった売上に直結する業務に注力すれば、他社と差別化できる独自の価値を築くことが可能です。
これが利益率や顧客満足度の向上につながり、結果として企業全体の成長が促進されます。
また、安定した成長基盤は投資家や株主からの信頼獲得にも寄与し、人材採用や事業拡大といった次の成長ステップへとつながっていきます。
コア業務とノンコア業務の定義は企業によって異なるため、まずは自社に適した分類方法を理解することが重要です。
業務を分類するための3つのステップと、具体的な業務分類の例を紹介します。
コア業務とノンコア業務の分類方法の手順は、以下の通りです。
まず、自社が抱える課題を洗い出し、どの業務を改善するか、またはどの部門に注力すべきかを明確にしましょう。
業務効率化を目指す場合、標準化可能な領域を見極め、どの部門がその対象となるかを特定することが重要です。
次に、対象部門におけるすべての業務プロセスを洗い出して可視化します。
各業務を「誰が・どのように・どれくらいの頻度で・どのくらいのスキルを要しているか」の観点で細分化・整理することが重要です。
特に、担当者ごとに異なる方法で実施されている業務がある場合は、マニュアル化による標準化を検討しましょう。
一度標準化を図ったあとでも、業務のムダや重複がないかを再確認し、さらなる効率化やアウトソーシングの可否判断に備えた見直しを行うことがポイントです。
Step2で洗い出した業務を、感覚型、選択型、単純型に分類します。
3種類の中でコア業務に該当するのは、高度な知識と専門的な判断が必要な感覚型です。
選択型と単純型は一定のプロセスにそって進められるため、ノンコア業務に該当します。
まず感覚型に分類できる業務を明確にしてから、それ以外を選択型や単純型に割り振っていきましょう。
職種ごとに、コア業務とノンコア業務の分類例を紹介します。
コア業務 | 商談 既存顧客との関係性維持 問い合わせ・トラブル対応 顧客への電話・メール対応 |
ノンコア業務 | 資料作成 新規顧客リスト作成 見積もり作成 定型メールによる新規アポ取り |
営業では、顧客とのコミュニケーションがコア業務に該当します。
顧客との交渉やヒアリングには、ニーズを正確に把握したうえで最適な提案を行うといった判断力と、状況に応じた柔軟な対応力が求められるためです。
コア業務 | 採用 教育研修 人材開発 労務管理 評価制度の立案・運用 |
ノンコア業務 | 入社手続き 勤怠管理 採用面接の調整 社会保険事務 |
人事の場合は、売上や利益を生む人材の確保や育成に関する業務がコア業務です。
採用では、採用基準の立案や策定、選考フローの設計などがあげられます。
コア業務 | 業績管理 予算管理 決算業務 |
ノンコア業務 | 給与計算 経費計算 請求書発送 現金出納管理 |
売上や利益拡大につながる情報の管理は、経営や事業戦略のために必要不可欠なため、コア業務に該当します。
投資を行っている企業の場合は、その戦略策定などもコア業務です。
ノンコア業務を区分したあとは、効率化するための施策を実行します。
効果的な手段とそのメリットを解説します。
アウトソーシングとは、業務の一部を外部に委託できるサービスです。
アウトソーシングの種類は、以下の3つの型に分類できます。
概要 | 効果 | |
プッシュアウト型 | 単一業務の委託 | 業務負担の軽減とコストの削減 |
アドオン型 | サービスや品質の向上が目的の委託 | ノンコア業務のプロセス改善や品質の向上 |
バイイン型 | 既存の商品・サービスに加えて新たな価値の創出を目的とした委託 | コア業務の強化や売上の拡大 |
一般的なアウトソーシングは「プッシュアウト型」を指すことが多いです。
ノンコア業務をそのまま委託でき、これまで費やしていた時間や労力を削減できる点がメリットです。
「アドオン型」のアウトソーシングでは、業務の委託とあわせて専門家のサポートを受けられます。
運用体制の構築や業務フローの改善なども範囲に入るため、ノンコア業務の品質を向上できることが魅力です。
「バイイン型」のアウトソーシングの場合は、ノンコア業務の効率化だけではなくコア業務の強化までが範囲に含まれます。
戦略の立案から実行までを委託することで、専門的な知識やノウハウを自社に取り込むことが可能です。
システムやツールを導入することで、ノンコア業務を効率化できます。
ノンコア業務を効率化する機能を搭載した、ITシステムを導入する方法です。
たとえば経理部門なら「給与計算システム」「経費精算システム」、営業部門なら「SFA(営業支援システム)」などがあげられます。
定型業務が自動化でき、ミスが発生しにくくなる点がメリットです。
また、データの蓄積・管理が簡単になり、分析などもしやすくなります。
月額制で利用できるクラウド型のITシステムなら、コストを抑えながらスピーディーに導入することが可能です。
システム連携を活用すれば情報を他部門と共有できるため、さらなる業務効率化が期待できます。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、パソコン上で行っている繰り返し作業を自動化するツールです。
業務の作業手順をプログラムすることで、自動的に実行できるようになります。
OfficeアプリケーションやWebブラウザなど、広範囲に横断した作業も自動化でき、タスクを正確かつスピーディーに遂行します。
具体的な活用例として、データ入力や自動集計、勤怠管理、入金消し込みなどがあり、これらを自動化することで、業務スケジュールの短縮や業務品質の向上につながります。
コア業務とは、売上や利益に直結する非定型業務のことです。
一方のノンコア業務は、コア業務をサポートする定型業務を指します。
経営資源のリソース配分を最適化するには、ノンコア業務を効率化してコア業務に集中することが重要です。
まずは紹介した方法や例を参考に、コア業務とノンコア業務に分類しましょう。
アウトソーシングやシステム・ツールの導入など、ノンコア業務を効率化する方法も紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。
画像出典元:O-DAN