オンラインアシスタントとは、専門性の高いリモート人材に業務を依頼できるサービスです。
必要なスキルセットを備えた人材をピンポイントにアサインできるため、人材運用をプロジェクトごとに最適化できます。
「自社リソースを温存したい」「最適なスキルセットを持つプロと連携したい」という企業は、オンラインアシスタントの導入で課題を解決できるかもしれません。
本記事では、オンラインアシスタントの概要やメリット・デメリット、さらにはサービスの選び方や企業の導入事例をご紹介します。
このページの目次
オンラインアシスタントとは、業務ごと・プロジェクトごとに必要な専門人材をアサインできるサービスです。
カバーできる領域は、一般的なオフィスワーク、営業サポート・ECサイト運用・マーケティング施策の実施などと多岐に渡ります。
必要なスキルを持つ人材の選定・アサインはサービス提供業者に一任でき、企業は必要な人材を迅速に確保できる仕組みです。
オンラインアシスタントの利用期間は、サービスによって月単位、時間単位、さらには分単位まで柔軟に選択できるものもあります。
「幅広い業務を依頼したい」という企業から「細かなタスクを依頼したい」という企業まで、自社のニーズに合わせたきめ細かなサポートを受けることが可能です。
オンラインアシスタントはバックオフィス業務全般に対応していますが、非定型業務や企業の意思決定に関わる業務については依頼できないケースがほとんどです。
本章では、オンラインアシスタントに依頼できる業務・依頼できない業務について詳しくご紹介します。
オンラインアシスタントに依頼できる業務は、基本的に「パソコンでできる業務のみ」です。
人事 | 従業員データ管理、勤怠管理、入退社に関わる諸手続きなど |
採用 | 応募者管理、採用プロセス管理、求人票の作成など |
経理 | 請求書や領収書の処理、支払い・振込手続き、決算業務、記帳など |
総務 | 契約プロセスの管理、社内連絡の管理、出張手配、資料作成など |
サポート | 社内ヘルプデスク業務、翻訳、通訳など |
定型的な業務のほとんどは、オンラインアシスタントに依頼できます。
スケジュール調整、メール・電話対応、出張や会食の手配も依頼できるため、秘書業務を依頼したい企業にも最適です。
営業 | 顧客データの入力・分析、営業先リスト作成、プレゼン資料の作成、問い合わせ対応など |
マーケティング | 競合リサーチ、アクセス解析、メルマガ配信、ウェビナーやオンラインイベントの運営支援、SEO対策、SNS運用代行など |
オンラインアシスタントを利用すれば、最新のマーケティング手法、デジタルツール、セールス戦略などを熟知した専門家をアサインできます。
「キャンペーン期間中だけ」などのニーズにも対応できるため、自社の営業活動やプロモーション戦略の精度を向上させることが可能です。
Web系 | Webデザイン、アクセス解析、ECサイト管理・運用、コンテンツ管理など |
クリエイティブ系 | バナー制作、コンテンツ制作、チラシ・ポスター制作、動画編集など |
社内リソースのみでの対応が難しいWeb系・クリエイティブ系業務も、オンラインアシスタントの利用でリソース不足を解消できます。
専門スキルを持つ人材を必要なタイミングで活用できるため、「短時間で高品質な成果物を得たい」という場合に頼れる存在です。
オフライン業務 | 来客対応、設備や備品のメンテナンス、発送作業など |
高い専門性が求められる業務 | 法務業務、基幹システムの構築・運用、事業運営に関わる予算管理・財務戦略の立案など |
非定型業務 | マニュアルがない業務、明確な指示を出せない業務など |
セキュリティリスクの高い業務 | 機密情報を含むデータ管理や処理など |
オンラインアシスタントには、指示出しできない非定型業務や企業運営の根幹に関わるような重要業務は依頼できません。
また「オンライン」という特性上、対面業務や現場対応が必要な業務も依頼できないケースがほとんどです。
オンラインアシスタントは、企業の業務効率の向上やリソースの最適化に有益なサービスです。
オンラインアシスタントの導入によって得られるメリットをご紹介します。
オンラインアシスタントを導入すれば、日常的なルーチン業務やバックオフィス業務のアウトソーシングが可能です。
メール対応、スケジュール調整、データ入力、各種報告書の作成などに時間やエネルギーを奪われてしまい、社員の生産性が低下するケースは少なくありません。
自社の貴重なリソースを収益に直結するコア業務に集中させることができるのは、大きなメリットといえます。
オンラインアシスタントは、「繁忙期だけ」「プロジェクト期間中だけ」といった短期間での利用も可能です。
企業は新たに固定の社員を雇用する必要がなく、不要な人件費が発生しません。
固定費の中でも割合の大きい人件費をカットできるのは、健全な企業経営を目指す上で有益です。
またオンラインアシスタントには、その分野の実務経験者やプロフェッショナルのみが在籍しています。
「教育にコストをかける必要がない」「同レベルの社員を直接雇用するよりも安価」という点も大きな魅力です。
オンラインアシスタントでは、企業ニーズに基づいて必要なスキルセットを備えた人材がアサインされます。
企業は求人広告の作成、書類選考、面接などの採用プロセスを踏む必要がなく、迅速な人材調達が可能です。
また選ばれた人材は実績とスキルが確認されているため、採用のミスマッチが発生しません。
スキル不足の人材を雇うリスク・早期離職されるリスクがない点も、企業にとっては安心できるポイントです。
繁忙期や突発的に業務量が増加した場合でも、オンラインアシスタントならすぐに必要なリソースを確保できます。
人手不足による業務の停滞や、企業経営の機会損失を防ぐことが可能です。
実際のところ、通常の採用活動で、専門人材をピンポイントにアサインすることは容易ではありません。
専門人材とスムーズにつながれるルートを確保しておくことは、戦略的な事業運営を実現する上でも有益です。
オンラインアシスタントによってアサインされる人材は、基本的にプロフェッショナルです。
業務内容によっては、複数のプロフェッショナルがチームでアサインされるケースもあり、業務品質は担保されています。
単発でパートやアルバイトを雇う場合に比べて、高い業務品質を期待できます。
オンラインアシスタントには多くのメリットがありますが、導入時に考慮すべきポイントや注意点もあります。
先述の通り、オンラインアシスタントはインターネットを介した業務支援サービスです。
オフライン業務には対応していないため、業務フローによっては丸投げが難しいケースがあります。
またオンライン業務でも、全てを依頼できるわけではありません。
マニュアル化できない業務や個別に判断が必要な業務は、対象外となることがほとんどです。
オンラインアシスタントで業務効率化を図りたい場合、業務フローの見直しや詳細な業務マニュアルの策定が必要になることがあります。
オンラインアシスタントでは、チャットツールやメールなどでやり取りします。
複雑な要望や細かいニュアンスの伝達が難しく、コミュニケーションの質が低下しやすい点はデメリットです。
加えてチャットツールやメールでのコミュニケーションは、即時性が担保されない点もマイナスといえます。
即時のフィードバックや柔軟なディスカッションが難しく、急ぎの確認や調整が必要な場面で不自由を感じるかもしれません。
オンラインアシスタントの業務は、インターネット環境に依存します。
高速かつ安定した通信環境を構築できない場合、業務品質を担保するのは困難です。
通信環境が整っていない企業は、通信環境の整備のための費用や運用コストが負担になる可能性があります。
また通信環境が確保されている場合でも、通信の安全性については厳しいチェックが必要です。
情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを低減できるよう、最新のセキュリティ対策ソフトを導入したり、定期的にネットワークを監視したりなどの対策を取ってください。
オンラインアシスタントを選ぶ際、確認したい3つのポイントをご紹介します。
オンラインアシスタントは、サービスによって対応できる業務範囲は異なります。
各サービスの対応業務が、自社のニーズにマッチしてるかをチェックしてください。
特に、専門性の高い業務を依頼したい場合、専門人材の適性が非常に重要です。
ミスマッチが起こらないよう、求める人材のスキルレベルやスキルセットを明確にしておきましょう。
オンラインアシスタントの実績は、サービスの信頼性を測る上での目安となります。
実際にどのようなプロジェクトで成果を上げ、どの業界や業務において実績を重ねているかをチェックしてみましょう。
具体的な事例や口コミを確認することで、オンラインアシスタントへの期待値を適切に設定できます。
事例や口コミを確認する際のポイントは、自社と同じ業界の企業や、同じ課題を抱えている企業を確認することです。
これらの企業から高評価を受けていれば、スムーズな導入と高い運用効果を期待できます。
オンラインアシスタントを導入した場合、機密情報や個人データを扱うケースがあります。
データ暗号化、アクセス管理、定期的なセキュリティ監査など、最新のセキュリティプロトコルを採用しているオンラインアシスタントを選択しましょう。
このほかオンラインアシスタントには、プライバシー保護や情報セキュリティに関する法令違反のリスクもあります。
ISMS認証やプライバシーマークなど、第三者機関の認証を取得しているオンラインアシスタントなら安心です。
オンラインアシスタントには、利用目的や業務量、契約期間によってさまざまな料金体系が存在します。
ここでは「月額制」「時給制」「タスク制」の料金形態について、特徴や相場を解説します。
月額制は、毎月一定の固定料金を支払う料金形態です。
必要なサポートがパッケージ化されており、日々の定型業務や毎月継続して発生するタスクなどを依頼したい企業に適しています。
一方で月額制は、変更・変動への柔軟性が高くありません。
依頼したい業務を固定できない・月によって業務量が大幅に増減するなどの企業には不向きです。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 50,000~150,000円 / 月 |
時給制は、業務を遂行した時間に基づいて料金が発生する料金形態です。
利用のタイミングに制限はなく、繁忙期だけ・急ぎの案件が発生した場合だけなどの利用が可能です。
時給制は契約内容や期間の柔軟性が高く、業務量・作業時間の増減にもスムーズに対応できます。
ただし長時間利用すると、月額制よりも料金が高額になる点に注意してください。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 2,000~4,000円 / 時間 |
タスク制は、特定の業務やプロジェクトごとに料金が設定される料金形態です。
記事作成、調査、データ入力など、個別のタスクに対して料金が発生します。
タスク制は特定の業務のみをアウトソーシングしたい場合に最適ですが、対応しているサービスは多くありません。
複雑な工程を持つ業務・専門性が求められる業務では料金が高額になる傾向もあるため、「他の料金形態よりもコスパが良いか」を十分に精査する必要があります。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 数百円〜数万円 / タスク(難易度や内容による) |
オンラインアシスタントの導入により、業務効率化やコスト削減を実現した企業は多数あります。
ここからは、オンラインアシスタントの活用が課題解決につながった企業の実例をご紹介します。
株式会社ユーザベースは、経済情報や経済ニュースのプラットフォームを運営する企業です。
採用部門においてリソース不足が発生したことで、応募者データの登録や資料作成、契約書・請求書処理などの定型業務をオンラインアシスタントにアウトソーシングしています。
その結果、採用部門の人数を増やさずに年間100人以上の採用を実現。
社員はコア業務である母集団形成・戦略的な採用活動に集中できるようになりました。
採用部門での成功により、広報、労務、総務、事業部などの各部署でもオンラインアシスタントの導入が進んでいます。
参考:株式会社キャスター|年間100人以上採用するユーザベース流の、コア業務に集中できる体制のつくり方
キセキグループ株式会社は、栽培作物の選定から工場設計、従業員の教育など、植物工場の運営に必要なあらゆるフェーズをサポートする企業です。
同社には、バックオフィス業務のリソースが不足しているという課題がありました。
通常業務の円滑化を図るためにオンラインアシスタントの導入を決定し、経理業務や秘書業務などをアウトソーシングしています。
これにより、手間のかかるバックオフィス業務の切り離しに成功。
社員はコア業務に集中できるようになり、経営につながる意思決定やタスク対応がスムーズになりました。
オンラインアシスタントは、オンラインで業務サポートを受けられるデジタルサービスです。
定型業務がコア業務を圧迫している企業・専門人材にアクセスできずに困っている企業は、オンラインアシスタント導入による効果が大きいと推察できます。
まずは自社のニーズを明確にし、課題解決につながるオンラインアシスタントを選定してください。
画像出典元:O-DAN