業務効率化という言葉を耳にしますが、具体的に何をすればいいのか分からないという悩みがあります。
この記事では業務効率化とは何か、そのメリット、業務効率化の成功事例、業務効率化に成功するために克服しなければならない課題、業務効率化に役立つツールを紹介します。業務効率化を社内で推進するよう求められたときに、成果を出すための参考にしてください。
このページの目次
業務効率化とは、既存の業務を今よりも効率的に行うために、その業務の中に存在するムリ・ムダ・ムラを取り除くことです。
ムリ |
無理なスケジュール |
ムダ |
時間の無駄遣い |
ムラ |
特定の部署や従業員に負担がかかり過ぎている |
業務効率化により、こうしムリ・ムダ・ムリを取り除いていけば、コストの削減、時間の削減、働く人の負担を軽くできます。
業務効率化に成功すれば、企業は、従業員にとって仕事が楽な働きやすい環境となり、経営陣には限られた経営資源でも効率的に利益を生み出せるものとなるでしょう。
企業が経営陣から従業員までワンチームとして業務効率化に取組めば、以下の5つのメリットが生まれます。
ムダな作業やそのための時間を削るので、その作業のために使われていた、光熱費、人件費などがカットできます。
人事の分野で、エンゲージメント(engagement)とは従業員の会社に対する愛着心や信頼を意味します。
業務の効率化によって、効率的に仕事ができるようになれば、仕事に対するモチベーションが上がります。
さらに、業務効率化により売上があがる、コストが削減できるなどの効果により、それが従業員のための社内環境の改善や福利厚生の充実、給与や賞与の増額などにつながります。結果としてエンゲージメントが向上します。
業務効率化により働きやすい職場になれば、離職防止、優秀な人材の流出防止につながります。
エンゲージメントが高い企業という評判は、募集のときに優秀な人材が集まるという効果も生み出します。
業務効率化でムダな作業や時間がカットできれば、その分の時間をより重要な業務や、従業員同士のコミュニケーション、余暇を楽しむなど、よりクリエイティブな事柄に利用できます。
そうした時間は、新たなアイデアや新しい事業が生まれるチャンスになります。
業務効率化により働く時間を短縮できます。そうすることで政府が力を入れている「働き方改革」の推進に企業として協力できます。
業務効率化のための施策を打ち出すためには、まず既存の作業のどこにムダがあるのかを洗いだすことが大切です。
業務の中に潜んでいるムダやムラの具体例を5つ紹介します。ムダ・ムラの洗い出しの参考にしてください。
表から数字を拾って、画面に入力し計算するなどの時間と集中力が必要とされる作業を一定の数の従業員が定期的に行なっているかもしれません。
作業手順について各従業員で解釈にムラがある、新しい従業員が指示を求めた場合、従業員によって内容が若干異なる場合があるなどです。
意思伝達・情報共有のために毎回集まって会議やミーティングを開くなどのムダが行なわれている可能性があります。また余分な会議そのものが多く開かれているというムダもあります。
さらに上司や店長などが、部下や従業員が何をやっているのか把握できないという問題も円滑な意思伝達や情報共有を阻む問題となっています。
支店や部署ごとに文書のフォーマットが定まっていないなら、文書を保管したり、後で必要な文書を探したりするときにムダが生じます。
例えば、部署ごとに経費精算の書式がバラバラならば、経理部の負担が大きくなります。
企業の規模がある程度になれば、上司や責任者にとって捺印業務が負担となります。
部下も上司の「承認待ち」で足止めされ作業が前に進まないというムダが生じることがあります。
企業内で生じるムダ・ムラの具体例を5つ紹介しました。
では、業務の中に潜んでいたこうしたムダを次にどうすれば解消できるのか実際の企業で行われている10の方法を紹介します。
ムダな業務の一例として、会議の際の資料があります。
モニターに映し出したり、参加者のパソコンやタブレットで見れば十分なのに、わざわざ紙の資料を何枚も作成し、それを配布するというものです。
他社との契約獲得のときには、作り込んだプレゼン資料などは必要ですが、売上に直接影響するわけでもなく、なくても支障のない資料の作成などはカットできます。ムダな作業をなくせば時間と費用の削減になります。
ムダな業務をなくしたら、次は残った業務の優先順位を決めます。
例えば、時間のかかる業務と、そうでない業務に分けることができます。
時間のかかる業務は優先順位が高くなります。場合によっては時間のかかる業務の合間に、時間のかからない簡単な業務を終えることができるでしょう。これも全体的な業務の効率化につながります。
「○○時から××時まではこの作業」と細かくスケジュールを設定することができます。
時々スケジュール通りに作業が進んでいるかチェックして、作業が負担になっていないかどうかも確認できるでしょう。
毎回同じ項目からデータを抽出する作業などがあれば、Excelのマクロを使って自動化できます。
もう少し複雑な、表から項目や数字を拾って、表に入力したリ、計算するといった定型作業が行なわれているならば、RPAツールの導入で自動化することにより業務改善できます。
従業員ごとに情報の理解にムラがあるなら、業務マニュアルを作成できます。
マニュアルには、何を・誰が・どのように・いつまでに行なうのか・誰に作業を確認してもらうかなどを記入できます。
マニュアルがあれば、分からない場合にいちいち誰かに指示を仰ぐという必要がなくなります。あいまいに作業することで起こるミスも減ります。
フローチャートがあれば、関係者全員が仕事全体の流れを把握できます。
自分はどこの部分を担当、次に誰に仕事のバトンを渡せばいいのか明確になります。
どこかで仕事が停滞しているなら、それがどこなのかすぐに分かりますので、必要ならばフォローしてあげることもできます。
意思伝達や情報共有に時間がかかるという場合、グループウェアを活用すれば、部門や役職の垣根を超えた従業員同士のコミュニケーションが取れ、利用者のスケジュール管理ができます。
ムダな会議が多いという問題があれば、会議の回数そのものを見直せます。
さらに、Web会議システムを利用し、同じ場所に参加者全員が集まらなくても会議ができるようにすることで時間を有効に使うことができます。
部下の仕事内容や、同じプロジェクトに参加しているスタッフの仕事の進捗状況が把握できないという問題があれば、タスク管理ツールを利用できます。
他のメンバーの仕事の進捗状況が可視化されるのですぐに把握できます。
支店や部署で文書フォーマットがバラバラならば、重要文書のフォーマットを統一することで業務効率化を図れます。
経費精算システムを導入すれば、経費精算業務のペーパーレス化・電子化ができます。
顧客、生産、在庫、財務、人事、問い合わせ、クレームなど企業はたくさんのデータを保存しています。
これらのデータを上手に使えば業務の効率化ができます。顧客データの活用には営業支援ツールを導入できるでしょう。
例えば、顧客データから、再購入した顧客のもつ特徴を割り出せば、同じ特徴を持つ人にアプローチすることで、効率的に営業活動ができ、売上を伸ばすことができます。
他にも、これまでの問い合わせやクレームのデータを活用して、自社のWebページに「よくあるご質問」という項目を作成し、回答を掲載すれば、カスタマーサービスの業務効率化につながります。
企業の中で行なわれるある業務の一連の流れ(フロー)を、電子化・自動化・可視化できるのがワークフローシステムです。
まずは、特定の業務に関する申請書のフォームをふさわしいものの中から選びます。
記入した申請書は記載されている内容に基づき、次の承認者に送られ、承認されます。
承認された申請書は、内容に基づき、自動的に決済者に送られます。
決済された申請書は電子データとして保管されます。
こうした流れを見ると分かるように、ワークフローシステムを導入すれば、申請書類を
作成する手間、承認待ちの手間、保管された文書を探す手間が省けて、業務効率化につながります。
事業効率化の具体的な方法を10個提案しました。提案された方法を実行しても成功に至らないという場合があります。そうした場合どんな課題・問題があるのか次に紹介します。
今回は10の業務効率化のアイデアを紹介しましたが、全部を一度に導入するのは、それを受け入れる従業員の側にも、それを監督する責任者や上司の上にも負担が大きくなります。
負担が大きくなれば、逆に業務の停滞を招く可能性もあります。
まず、それぞれの業務の中に潜んでいるムダを洗い出しましょう。
その中からすぐに業務改善できるものや、重要度の高いものを選んでテコ入れができます。
実現可能な分野から業務改善に取り組めば、やがて他の業務でもそれを行なえるようになります。
業務効率化の施策を実行した後でも、ミスは起こります。
しかしミスを報告しにくい雰囲気が社内にあると、「なぜそのミスが起きたのか」「そのミスにどのように対処できるのか」「同じようなミスを防ぐために何ができるか」という大切な点を考える機会が失われます。
さらに、同じミスが続けば、業務が停滞し、会社の利益にも影響します。
ミスをしてもそれを上司に報告しやすい雰囲気があれば、そこから改善策を考えることができ、さらなる業務効率化につなげることができます。
業務効率化のために導入したツールやシステムが使いにくいので、今までのやり方に戻ってしまい、業務効率化につながらないというケースもあります。
業務効率化につなげるためには、現場の従業員がなじみやすい、直感的に使用できるようなツールを選ぶことがポイントです。
次の項目で優れた操作性が特徴で、導入しやすいと評判の業務効率化につながるツールを紹介します。
業務効率化を成功させるには、実際に使う従業員がなじみやすいツールやシステムを導入することがポイントのひとつです。
それで、グループウェア・営業支援ツール・ワークフローシステムの3つの分野でおすすめのツールを3つ紹介します。
中小企業を中心に約4,000社以上が利用しているのが「J-MOTTO」です。
グループウェアは月額1人150円から利用でき、最大3カ月間の無料お試し期間があります。
J-MOTTOは、グループウェアだけでなく、Web給与明細やWeb倦怠サービス、オンラインストレージサービスなど様々なクラウドサービスを提供しています。
直感的な操作のみでほとんどの機能を使いこなせる導入しやすいコミュニケーションツールです。
「Oracle Sales Cloud」はクラウド型営業支援ツールです。
トレーニングほぼ無しで利用できる直感的な操作性が人気です。
顧客情報の蓄積、蓄積されたデータからの売上予測、営業パフォーマンスの最適化といった機能が搭載されています。
さらに購買履歴から顧客の行動パターンを分析し、それを効果的な営業活動に活かすことができます。
顧客管理だけでなく、マーケティングのデータを分析し、自社の商品やサービスに興味のある層を洗い出し見込み客として管理すること可能です。
「Styleflow」はクラウド型のワークフローシステムです。
外出先や遠隔地からでも申請・承認・決済ができるので、申請書類の作成や承認待ちでムダな時間を費やす必要がなくなり、業務効率がアップします。
プログラムの知識は不要で、すぐに導入可能です。
ホーム画面表示されるアイコンも分かりやすいので誰でもすぐに使うことができます。
少人数の企業から大規模組織に至るまでさまざまなスタイルに対応できるシステムです。
初期費用0年、月額費用300円/1ユーザーという分かりやすい料金体系になっています。
業務効率化の方法を10個紹介しました。
企業がこれらの方法を導入し、業務効率化に成功すれば、ムダな業務から解放されるので、仕事が楽になり、その時間をよりクリエイティブな活動に費やせます。
従業員のモチベーションやエンゲージメントがアップすれば、会社の売上もそれらに比例して伸びていくでしょう。
起業ログでは、今回紹介した以外にも、業務効率化に役立つツールやシステムを多数紹介しています。
そうしたツールを探しておられるならばぜひ参考にしてください。
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