RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、わかりやすく簡単に言うと、「PC上で行う単純作業や事務作業などの定型業務を自動化する技術・ツール」のことです。
人材不足や働き方改革で、人がやらなくても良い定型業務を自動化するため、近年導入する企業が増え注目されています。
この記事では、RPAとはなにか、導入のメリット、具体的に置き換えられる業務や導入事例、AIなどその他の自動化ツールとの違いを徹底解説していきます!
このページの目次
総務省によれば、RPAをわかりやすく言うと「これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するもの」です。
(総務省公式HP:「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」参照)
RPAは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、PCのUI上の操作を認識する技術と、ワークフロー実行を組み合わせ、複数のシステムやアプリケーションを使用する作業も品質を保ちながら瞬時に自動化することができます。
日本では、2016年ごろから注目されはじめ、現在は大企業を中心に導入が進んでいます。
日本の企業でRPAが注目され、導入が進む背景には、主に以下の2つが挙げられます。
画像出典元:総務省公式HP「我が国の労働力人口と非労働力人口」
総務省の調査によると、少子高齢化が進む日本で、2060年には労働人口はピーク時の半分の4500万人程度になると予測しています。
そのため、単純作業や定型業務など「誰にでもできる仕事」はRPAに任せ、少ない人材をよりコア業務で有効活用しようとする動きが進んでいます。
また、2019年から本格的に政府が打ち出した「働き方改革」によって、長時間労働の解消を進めるために、人間の作業工数を減らし業務効率を上げるRPAに注目が集まっています。
RPAが得意とするのは、事務作業やルーチンワークなど、業務フローや処理手順が決まっているような定型業務です。
また、複数のシステムやアプリケーションを横断して行う作業や、CSVなど大量のデータを扱う業務にも適しています。
RPAの機能により以下のような業務が自動化できます。
部署 | 業務の事例 |
経理 |
|
人事 |
|
営業 |
|
マーケティング |
|
これらはいくつかの例に過ぎません。RPA導入で情報収集・入力作業・チェック作業など様々な定型業務を自動化できます。
反対に、RPAの不得意領域と言えば、非定形業務であることは皆さんお分かりですね。
例外処理が多い、ルールが複雑、予期せぬアクシデントなどへの対応が苦手です。
但し、近年はAI技術との連携することで、非定型業務も自動化することができるようになってきています。
例えば、紙で管理している書類や音声データをAIを使って読み取り、そのデータをRPAが社内の基幹システムに連携・入力していくというような作業などがそれです。
RPAツールの使用感が気になる!ということで、編集部で実際にRPAツールを使って簡単な自動化を行ってみました。
今回使用したのは、2005年にルーマニアで設立されたUiPath社が開発・提供する業務自動化プラットフォーム(RPAツール)UiPath(ユーアイパス)です。
世界で5,000社以上、日本国内でも1,000社以上の企業に導入されています。
特に、Windows上のアプリケーション認識に優れており、デスクトップ上で行う事務作業、Webブラウザからのデータ取得などの定型業務や大量のデータを扱う業務などの自動化を得意としています。
RPA作成経験ありの編集責任者 + ITバックグラウンドなし・RPA利用経験なしライターの2名
具体的に、自動化する業務は、「CSVデータをExcelの表に書き込み、そのExcelをメール添付して送信する」という2段階の工程を自動化しました。
エンドユーザーにも使いやすい「UiPath Studio X」を使って作業しました。
画面中央のデザインパネルに、「指定したExcelファイルにCSVデータを書き込む」指示を作成します。
1の指示の下に、「1で書き込まれたExcelをGmailに添付して送信する」指示を作成します。
実行をクリックすると、すごいスピードでUiPathが処理を開始します。
空のExcelの表にCSVデータを取り込み、そのExcelを添付しGmailに下書き作成するまで、通常手動で行えば5分程度の作業が、10秒程度で完了しました!
今回は、送信はせず下書きに保存にしましたが、内容確認せずに送信してよければ、そのままメール送信もしてくれます。
正直に言うと、一見簡単そうなこの2工程、RPA初体験のライターからすると、「指示を作成する」ことが結構難易度高めでした。
事前にUiPath MVPの方のチュートリアル動画をかなりの本数視聴したものの、実際に動かしてみるとエラーが出てしまうこと多数。
エンドユーザー向けStudioXでも、慣れるまでは少し時間がかかりましたが、最終的に自動化ができるとかなり達成感ありです!
また、他社のRPAツールを利用した経験のある編集責任者からは、自動化処理中に他社はポインターを動かす操作は一切できないですが、UiPathは自動化実行中でもPC上の他のツールをいじれる点が使いやすかったとの感想がありました。
さらに複雑な自動化にも今後挑戦してみたいと思います!
マクロとは:
主にExcelのマクロ機能を指すことが多いが、Microsoft Officeのアプリケーションソフトで、予め決められた処理手順を登録しておくことで、その作業を自動化できる機能のことです。
VBAというプログラミング言語を使ってマクロ機能を設定するか、「マクロの記録」機能で処理手順を記憶させることもできます。
RPAとマクロの違いは、ずばり自動化範囲です。
マクロは、Microsoft Officeののソフトウェア上だけの自動化に限定されますが、RPAは、システム・アプリケーションをまたがる広い範囲の操作を自動化することができます。
BPOとは:
Business Process Outsourcingの略で、企業がコア業務以外の業務を、企画から実施まで一括して外部の専門業者に委託することです。
自社よりも専門性の高い外部企業に委託することで、自社はコア業務に人材を集中させることができ、外部に委託した業務の品質も上がります。
特に、人事・総務・経理といった管理部門などの間接業務、製造業務などに活用されています。
RPAとBPOの違いは、業務改善のための「ツール」か「経営戦略」かです。
これまでは、RPAは定型業務の自動化に特化していましたが、AIとの併用により非定型業務の自動化が進み、BPOの存在意義が大きく変わろうとしています。
単純にコア業務に集中できるための経営戦略だけではなく、RPAを取り入れたBPO+RPAの新しいビジネスモデルを構築し、付加価値を高めようとしています。
AIとは:
Artificial Intelligenceの略で、人間の知能をソフトウェアを使って人工的に再現した技術です。
AIは、膨大なデータを利用し、自ら学習・判断を行うことができるのが特徴です。
RPAとAIの違いは、「決められた規則に従う」か「自ら判断する」かです。
また、RPAは業務を自動化するためのシステムであるのに対し、AIはそれ単体で動くのではなく、システムに組み込まれて機能するという違いもあります。
RPAは、定型業務の自動化に有効ですが、AIを組み込むことで、非定型業務の自動化もできるようになってきています。
RPAの導入により、これまで人が行っていたコア業務以外の単純作業や事務作業などの定型業務の自動化が実現し、業務効率が圧倒的に上がります。
定型業務を自動化することで、コア業務に人材を集中させることができる、労働時間の短縮などの効果が出ます。
大量のデータを収集していくなど、時間はかかるが単純な事務作業のような定型業務を自動化することで、長時間労働の削減ができ、社内の労働環境が改善が実現します。
働き方改革の点でも、有効なツールと言えます。
人間の集中力には限界があり、定型業務を長時間または繰り返し行なうと入力ミスや計算ミスが起こることがあり、ミスをすればその修正や再発防止策などが必要です。
RPAは、予め決められた規則に則ってシステムが業務を行うため、人的ミスが削減し、質の高い業務品質を維持できます。
これまで複数の従業員で長時間行なわれていた作業が、RPA導入によりその作業にかける人数や時間は大幅に削減できます。
また、残業や休日出勤して作業する必要もなくなり、総合的に人件費の削減ができます。
RPAを導入すれば、単純作業や事務作業が自動化できるというメリットはありますが、導入の際には以下の点に注意しましょう。
✅自動化に適していない業務ではないか
✅予期せぬトラブルでRPAが停止した際の対応策はあるか
複雑なルールや臨機応変な対応が求められる業務の場合、予め決められたルールに則って定型業務を自動化するRPAではカバーすることができません。
また、業務内容やルールが頻繁に変更される場合も、都度RPAの登録を変更したり、アップデートしたりと余計に業務負荷が増える可能性があります。
このような業態の企業の場合は、導入しようとしているRPAでどこまで対応できるのか、AIとの組み合わせを考慮した方がいいのかなど、ベンダーとよく相談しましょう。
RPAは、規則に則って稼働するので、予期せぬトラブルや予想外の事象には弱い点も覚えておきたい点です。
万が一RPAが完全に停止した場合、どのようにその業務をバックアップするのかということは、社内で想定しておきましょう。
RPAは、業務範囲に従って3つのレベルに分けることができます。
名称 | 業務範囲 | 利用技術 作業範囲 |
|
クラス1 | RPA (Robotic Process Automation) |
定型業務の自動化 |
|
クラス2 | EPA (Enhanced Process Automation) |
一部非定型業務の自動化 |
RPAとAIを組み合わせた技術
|
クラス3 |
CA |
高度な自律化 |
高度なAIにより業務の自動化+プロセスの分析・改善・意思決定まで自動化できる技術
|
クラス1・2は既に企業への導入が進んでおり、特にクラス2のEPAは、より広範囲の非定型業務の自動化も可能なため、現在の自動化業務における主流になりつつあります。
クラス3は、認識技術や自然言語解析技術、学習機能を駆使し、AIが人間に代わって、高度な分析や意思決定を行うことができる技術で、まだ実際の導入は進んでいませんが、今後大手企業から順次活用されていくでしょう。
導入コストは、1から3へとクラスが上がるごとに高くなります。
最後に実際の企業でのRPA導入事例とその結果をご紹介します。
事例となる大手食品メーカーには、これまで約100社の卸会社から販売報告書がExcelで送られてきており、手作業で自社のExcelのフォーマットに転記していました。
卸会社と自社の中でフォーマットを統一したリ、入力ルールを厳密化しても、卸会社がルールを守らない、転記後も入力データを確認しないと入力エラーが生じるという問題が起こっていました。
RPA導入により転記入力にかかっていた時間を大幅に削減できました。
また、卸会社から送られてくる販売報告書の入力項目がずれていても、RPAが入力項目と入力内容を特定し正確に転記してくれるので、修正作業もほぼ必要なくなりました。
まとまったExcelファイルを他のアプリケーションでも使えるようにCSVファイルに変換しシステムに自動登録するところまでRPAが作業してくれます。
RPA導入により5営業日かけて4人で行なっていた作業が自動化されたそうです。
この会社の融資を扱う部門では、基幹システムへ各案件情報ごとに、10ステップある入力情報をひとつひとつ手作業で入力していました。
入力項目が多い、入力情報の中には決算情報や債権情報など調査が必要なものがある、入力時期が月末に集中する、各ステップごとに上長の承認が必要といった理由で、この業務は社員の負担となっていました。
RPA導入により基幹システムへの入力の8割をRPAが行なうようにし、残りの2割を担当者が入力するようにしました。
結果として社員の入ロ作業にかかる負担が減り、月末でも案件獲得など売上につながる重要度の高い業務に時間を割けるようになりました。
RPAを提供するサービス会社が増えてきたので、中小企業でもコストを抑えてRPAを導入することが可能です。
RPA導入や運用にコストがかかっても、定型業務をRPAに任せられるので、人件費などのコストをカットできます。
導入価格や月額利用料、サポート体制、使いやすさなどを比較して自社のニーズにあったRPAツールを選びましょう。
RPAとは、ソフトウェア型ロボットによる情報収集や入力作業などの定型業務を自動化するものでした。
RPAにより業務の効率化や自動化・労働時間の削減・人材不足の解消・コストの削減・業務品質の維持などが可能になります。
定型業務の自動化を可能にするRPAツールを提供するサービス会社もたくさんあるので、この機会に積極的に導入を検討されるのはいかがでしょうか。
画像出典元:pixabay
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