近年、多くの企業が業務効率化や人手不足を補うための手段としてRPA導入を図っています。
RPA導入は大きな効果が望める一方で、比較的新しいツールということもあり、様々な課題があることも確かです。
この記事では、多くの企業で直面しているRPA導入の6つの課題と、その解決策について詳しく解説します。
RPAを効率的に運用させたいと考えている企業の担当者はぜひ参考にしてください。
このページの目次
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略称で、パソコン上で行う定型業務を自動化できるソフトウェアロボットのことです。
RPAはデータ入力や集計、メール送信、給与計算など、あらゆるバックオフィス業務を自動化・効率化するために活用されます。
近年では、働き方改革や人手不足解消のために、大企業だけではなく中小企業でもRPAを導入するケースが増えており、ますます注目を浴びています。
RPAについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください!
RPA導入後の課題として、主に以下の6つが挙げられます。
それぞれの課題についてみていきましょう。
多くの企業ではRPAを導入し、定型作業の自動化を図ればすぐに効果が表れると思うことでしょう。
しかし実際は導入してもすぐに効果が出るわけではなく、自社の環境に合うように調整し、試行錯誤を繰り返すことで最大の効果を発揮しているのが現状です。
特にRPAに必要な業務を明確にしておかなければ、むしろ手作業が多くなったり、かえって効率が悪くなることもあります。
準備不足のままRPAを導入し、効果を実感できずにいる企業は決して少なくありません。
RPAを導入して業務効率化を目指したいものの、どの業務に活かせばよいのかわからず頭を悩ませるケースもあります。
RPAは主にバックオフィス業務を自動化して、業務時間の短縮を行うものです。
しかしバックオフィス業務は多岐にわたるため、企業によってネックとなっている業務は必ずしも同じではありません。
そのため、自社の業務停滞や生産性の低下を招いているバックオフィス業務を把握しておかなければ、どの業務にRPAを活用すべきかもわからないでしょう。
RPAの運用にはプログラミング言語を扱える必要はありませんが、ある程度のIT知識を持っている人材が求められます。
業務フローに変更があったときや、システム障害やエラーなどのトラブルが発生したときなど、IT知識に長けた人材がいなければ対応しきれなくなってしまいます。
またRPA導入を担当した従業員が異動や退職でいなくなってしまうと、問題が起こった際に誰も対応できなくなり、結果としてRPA自体が使われなくなってしまう可能性もあるでしょう。
先述したように、RPAはプログラム言語の知識がなくても導入できることから、比較的簡単に設定できるRPAツールも多く登場しています。
しかしながら、RPAによってそれぞれ設定方法が異なり、思うような設定ができずに途中で諦めてしまったという事例は往々にしてあります。
また自分で設定してみたものの、最良で効果的な方法でなかったり、非効率な設定で必要以上にシステムに負荷をかけてしまったりなど、RPAを最大限に活用できていないケースも珍しくありません。
RPAは業務効率化を図るのに役立ちますが、業務の自動化を設計するのはあくまでも人間です。
そのためRPAの知識がない方や、業務内容をよく理解していない方が設定を行ってしまうと「誤作動を起こす」「予期せぬ動作をする」いわゆる野良ロボットと呼ばれるトラブルの発生が起きやすくなります。
トラブルが多発してしまうと、RPAによる業務効率化はたちまち破綻してしまい、効果が発揮できないまま使われなくなることも起こり得るでしょう。
RPAを部分的に導入したものの、ITリテラシーを持った従業員が少ないなどといった理由から、のちに社内全体にまで展開できなかったというケースは少なくありません。
RPAは複数のシステムにまたがり、大規模に運用してこそ効果を発揮するものです。
小規模な業務に適用するだけでは、十分な効果を得られるとはいえないでしょう。
RPA導入における課題を解決するには、以下6つの方法が挙げられます。
それぞれの解決策について解説します。
RPA導入の効果を最大化するために、まずは導入する目的を明確化させましょう。
単に業務効率を向上させるという目的でRPAを導入する企業も多いですが、「業務コストを削減したい」「作業時間を〇〇時間短縮する」「従業員満足度の向上につなげたい」など、企業によってさまざまな目標があるはずです。
あらかじめ自社の業務課題を洗い出し、そのなかで自動化できるものとできないものを振り分け、導入目的を想定したうえで最適なRPAを選択するとよいでしょう。
RPAは導入してからすぐに効果が出るといったものではなく、実際に利用してみての効果を一つひとつ検証し、自社の環境に合うように少しずつ調整していく必要があります。
万が一、規模の大きな業務にいきなり導入して中止となった場合、大きな損失につながりかねません。
まずは小規模な業務でRPAを導入し、効果がでれば自動化する業務の範囲を徐々に拡大していくのが得策です。
RPAの導入はビジネス目標を達成するための手段であるにも関わらず、いつの間にかRPA導入が目的になっているケースが見受けられます。
特にマネジメント層がトップダウン方式でRPAを導入する場合、経営幹部や現場を含めた関係者に導入目的を説明しないまま進めてしまうと、現場に意義が伝わらず抵抗感を持たれる可能性も否定できません。
事前にRPA導入の有用性について社内全体で共有し、現場の従業員がRPAの効果を実感できるようにすることで、自然と活用の輪が広がっていくものです。
初めてRPAを導入する企業であれば、ベンダーからの導入サポートを受けることをおすすめします。
プログラミング不要というRPAツールであったとしても、システム開発の知識が必要であったり、シナリオの設定などに手間取ってしまうことがあるでしょう。
経験豊富なプロであるベンダーからのサポートを受けることで、スムーズな導入が実現できるだけでなく、導入後の運用やメンテナンス方法についても学ぶことができます。
RPAの運用ルールを決めずに運用を開始してしまい、トラブル発生時に対応ができないなど、さまざまな問題を引き起こしてしまう場合があります。
RPAを効率的に運用させるためにも、あらかじめ以下のような運用ルールを決めておきましょう。
なお、マニュアルの作成や運用ルールの構築には手間がかかることも多いため、前述したベンダーのサポートを受けることを検討するのも一案です。
RPAの運用には一定のITリテラシーが必要ですが、ほとんどの操作はパソコンを扱えれば可能なものばかりです。
しかしITツールの活用に抵抗感のある従業員にとっては、慣れるまでに時間がかかるものです。
そのためRPA活用の教育制度を採用し、誰が扱っても簡単に操作できる仕組みを構築する必要があります。
RPAツールの技術教育・運用教育を行う講師を社内でまかなえればよいですが、内製では難しいと思われる場合は、前述したベンダーに依頼するのがよいでしょう。
RPAツールの上手な選び方について解説します。
いくら高性能なRPAツールを導入したとしても、操作が難しく使わなくなってしまっては意味がありません。
近年ではプログラミングの知識がなくても利用できるものや、人が行うパソコン画面上の操作を録画するだけでシナリオを作成できるものまで、初心者でも扱いやすいRPAツールが増えてきました。
ITリテラシーが低い人でも使いやすいような、シンプルで直感的に操作できるツールを選ぶと、誰でも操作を覚えやすく社内への浸透も早まるでしょう。
RPAの導入を検討している企業によっては、社内にIT人材がまったくいないというケースも少なくないでしょう。
そのような企業がRPAツールを選ぶ際に重要視しておきたいのが、導入・運用時のサポート体制が手厚いベンダーを選ぶことです。
例えば「導入時のサポート・レクチャーがある」「運用で困ったことがあればすぐに対応してくれる」「専任担当者の窓口がある」などといった、サポート体制が整っているRPAツールを選ぶと安心です。
RPAツールを比較して検討したい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!
この記事では、RPA導入の6つの課題と解決策について解説しました。
RPAは非常に有用性の高いツールですが、導入後の運用に戸惑ったり、思ったような効果を得られなかったりとさまざまな課題に直面することでしょう。
まずはスモールスタートから始めることを意識し、ベンダーのサポートを受けながら一つひとつの業務を見直していくことで、効率的なRPA運用の実現につながります。
画像出典元:ac Photo
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