近年、RPAロボットを導入して経理業務を自動化させている企業が増えています。
しかしRPAへの知識が乏しく、そもそも何から手をつければいいのか分からないと考えている担当者も少なくありません。
この記事では、経理業務をとことん効率化させるためのコツや活用事例、導入後のメリット、RPAツールの選び方について解説します。
経理業務を効率的に自動化したいと考えている企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
まずは RPAの特徴と、RPAが得意とする業務について知っておきましょう。
そのうえで、なぜRPAが経理の業務効率化を図れるのかについて解説します。
RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略語で、パソコン上で行う事務作業を自動化できる「ソフトウェアロボット」のことです。
これまで人間のみが対応可能と思われていた業務をロボットが代行することで、「人手不足の解消」や「生産性の向上」などにつながるとして大きな注目を集めています。
RPAについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
RPAはルールに従って行われる、単純な定型作業を得意としています。
例えば、RPAに向いている業務には以下のようなものが挙げられます。
【RPAに向いている業務】
一方で、以下のような業務はRPAに向いていないとされています。
【RPAに向いていない業務】
経理業務は、あらかじめ決められた手順で作業しなければならない定型業務が多く、いまも手作業で実施されている業務が多く残っています。
RPAは「ロボット」ともいわれるように、ルールに従い、決められた手順で自動的に作業することが得意です。
その観点から、RPAと経理業務の相性は非常によいといえるでしょう。
経理業務において自動化に成功した3つのRPA活用事例を紹介します。
動画出典元:「ipaSロボ」株式会社デリバリーコンサルティング公式YouTube
1つ目のRPA活用事例は「伝票の転記業務」です。
ある企業では、伝票の転記業務を一つひとつ手作業で行っており、気をつけていても発生する入力ミスや、膨大にかかる時間に悩まされていました。
また転記業務は集中力と体力が必要とされており、従業員への負荷の高さも無視できません。
そこでRPAを導入することで、伝票の転記における一連の作業を自動化させることに成功しました。
【具体的なRPAツールの動き】
RPAを導入し、伝票の転記業務をロボットによって自動化したことで、以下のような効果が得られたといいます。
▶︎作業時間の大幅削減
▶︎従業員の業務負担を軽減
▶︎入力ミスの削減
RPAの導入による簡易化を行えば、ミスも時間も大幅な削減が可能とされています。
動画出典元:「ipaSロボ」株式会社デリバリーコンサルティング公式YouTube
2つ目のRPA活用事例は「交通費の金額確認」です。
従業員の申請した交通費が正しいかどうかを確認するのも経理の仕事です。
しかし、すべての申請に対して確認を行うとなると膨大な手間がかかりますし、1件ずつ経路検索ソフトで確認するというのは非常に骨の折れる作業でもあります。
そこである企業では、RPAを導入することで、交通費の金額確認における一連の作業を自動化させることに成功しました。
【具体的なRPAツールの動き】
上記のような突合作業も、RPAであれば疲れを知ることなく延々と繰り返してくれます。
動画出典元:アイ・システム株式会社公式YouTube
3つ目のRPA活用事例は「帳票作成業務の自動化」です。
経理業務では、顧客や従業員から提出された財務諸表や年収情報などをまとめて、会計報告に必要な帳票作成を行います。
帳票作成は量が多いだけではなく、重要なデータを扱ううえに作業内容も煩雑なため、従業員に大きな負担がかかりがちです。
そこである企業では、RPAを導入することで、帳票作成における一連の作業を自動化させることに成功しました。
【具体的なRPAツールの動き】
RPAの導入に踏み込み、帳票作成業務を自動化したところ、以下のような課題解決を実現しました。
▶︎手作業によるミスの削減
▶︎スタッフの工数削減
▶︎処理時間の短縮
ミスが許されない業務を安心して任せられるのも、RPAの魅力といえるでしょう。
経理業務にRPAを導入して得られるメリットは、主に以下の3点です。
それぞれ詳しくみていきましょう。
経理業務におけるルーティーンワークを自動化することによって、業務効率が向上します。
経理の場合はデータの確認や、入力、出力といった定型業務が多いため、RPAロボットの処理速度のほうが経理部員よりも圧倒的に早く処理を終わらせることができます。
定型作業の大半を自動化できますので、経理担当者の労働時間を大幅に減らすことが可能です。
人の場合は、同じような業務を続けていると集中力の低下によって、誤入力や入力漏れなどの人為的ミスが発生する可能性があります。
RPAであれば指示された業務を確実にこなすため、簡単に作業ミスの削減が可能です。
経理は会社のお金を取り扱うことからミスが許されませんが、経理業務を自動化することによって経理担当の精神的な負担も和らぐでしょう。
経理業務では生産性の高くない日々のルーティンワークに追われ、重要な業務が滞ってしまうことは珍しくありません。
また人材不足によって、日々の業務で手一杯な企業もあるでしょう。
定型業務をRPAに処理させることで、経理担当はロボットでは対応できないより付加価値の高い業務に専念できるようになります。
RPAのデメリットは主に以下2つが挙げられるでしょう。
それぞれ解説していきます。
RPAはITシステムですから、システム障害やサイバー攻撃が発生すれば作業が止まる可能性があります。
またサーバーの能力を超えるような動作を実行した場合、サーバーがダウンしてしまい、データを失ってしまう可能性も否めません。
RPAを導入する際には、可能な限りキャパシティに余裕があるサーバーを選び、安全に運用できる環境の構築に努めましょう。
RPAロボットは指示された業務内容を正確に実行します。
そのため、指示の内容が間違っていたとしても、止まることなく作業を続けてしまいます。
不明確な指示による間違った処理を防ぐためには、作業を指示する前にテスト確認を行ったり、定期的なメンテナンスで業務フローと処理内容に差異ができていないかを確認することが大切です。
経理業務におけるRPAツールの選び方は、以下3つのポイントを押さえましょう。
それぞれのポイントについて解説します。
実際にRPAを管理する現場の社員は、非エンジニアであることが多いです。
そのため、プログラミングの専門知識がなくても簡単に利用できるかどうかは、RPAツールを社内に浸透させるうえで重要なポイントです。
操作性に優れ、メンテナンスがしやすいRPAツールを選ぶとよいでしょう。
RPAは導入して終わりではなく、日々の運用やメンテナンスも欠かせません。
なにかトラブルが発生した場合には、プログラミングの専門知識がない現場の社員だけでは対処しきれないこともあるでしょう。
そのため「すぐに対応してくれるヘルプ窓口がある」や「企業ごとに専任の担当者がいる」といったように、サポート体制が整っているRPAツールを選ぶと安心です。
経理業務をRPAで自動化したい場合、自社で使用している会計ソフトと連携できるかを確認しましょう。
使用している会計ソフトの種類によっては、出力できるCSVデータの形式がRPAツールに対応していない場合があります。
また帳票作成機能や、給与明細を添付したメールの送信機能があるかといった点も確認しておくとよいでしょう。
さらに、自社にあったRPAの選び方や導入効果を知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
RPAをとことん活用するためのポイントは、以下の3つです。
Point 1:業務フローの可視化を行う
Point 2:小さな定型業務から取り入れる
Point 3:空いた時間の使い方を決めておく
それぞれのポイントについて解説します。
まずはすべての業務を洗い出し、業務フローの可視化を行います。
業務内容が正確に可視化されていなければ、どの業務をRPAで自動化するべきかの判断ができません。
業務の洗い出し作業は非常に手間と時間がかかりますが、RPAに落とし込むには作業手順を細かく把握する必要がありますので、忘れずに行うようにしましょう。
RPA導入の際は、小規模で比較的手順が簡単な定型業務から取り入れるとよいでしょう。
小さな定型業務からテスト運用を始めることで、自社での導入効果が可視化できるほか、経理部の作業における課題や導入範囲の見直しが可能です。
また導入時のリスクも最低限に抑えることができます。
RPAの導入によって業務が自動化されると、その分だけ従業員の手が空くことになります。
ただ単に経理担当者の仕事が楽になっただけでは、RPAの導入が成功したとはいえません。
そのため、これまで定型作業に時間を費やしていたせいで疎かになっていた業務を洗い出しておき、企業成長のために着手すべき業務へ人材ソースを割くことが重要です。
この記事では、RPAで経理業務をとことん効率化させるためのポイントや活用事例、導入後のメリット、ツールの選び方について解説しました。
RPAは定型作業が多い経理業務との相性が良く、経理業務を自動化することで作業ミスの削減やコア業務へ集中できるなど、さまざまなメリットを受けられます。
RPA導入の際はスモールスタートを意識するとともに、あらかじめ業務フローの可視化を行なっておくことで、効率的な運用を実現できるでしょう。
画像出典元:photo AC
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