新たなコミュニケーションツールとして注目されているAI(人工知能)。
中でも、人手不足の解消や、迅速な顧客対応が実現可能な「対話型AI」は、多くの企業が導入検討を進めています。
現在、さまざまなサービスが提供されているため、自社で活用できるサービスの絞り込みに悩んでいる方も多いことでしょう。
本記事では、対話型AIの代表的なサービスを比較しながら紹介します。
対話型AIの活用事例や導入するメリットなどについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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このページの目次
対話型AIとは、人同士が自然に話すように対話をして、自然言語によるコミュニケーションが可能な技術のことです。
文法や意味を理解し、文脈を把握するなど、言語処理に関する大量のデータを学習しているため、音声入力やテキスト入力を認識して柔軟な回答を生成することができます。
対話型AIは、すでに多くの企業で導入されていて、さまざまな活用方法で効果を上げています。
ここでは、対話型AIを活用する3社の事例をご紹介します。
宅配便を中心とした物流事業大手のヤマト運輸では、2020年11月から法人顧客向けに「AIオペレーター」を導入。
LINE CLOVAの音声認識、音声合成に会話制御の仕組みを組み合わせることで、自然な対話応答が可能となりました。
集荷依頼の電話をかけると、自動音声ガイダンスによる「集荷」「再配達」「その他のお問い合わせ」の案内があり、「集荷」を選択するとAIオペレーターにつながるようになっています。
AIオペレーターの導入により、集荷依頼をする顧客の待ち時間が短縮され、ストレスの軽減につながるという効果がありました。
その結果、2021年4月から個人向けのサービスも開始し、さらなる顧客サービスの向上を目指しています。
日本のスナック菓子メーカーのカルビーでは、営業時間外の顧客からの問い合わせ対応のためにチャットボットを導入しました。
元々、顧客からの問い合わせや意見・感想は、貴重なコミュニケーションの一つとして、すべて自社員のみで対応していたカルビー。
顧客からよりフレキシブルに意見・感想を得られる環境を作ることと、時間外の問い合わせにしっかりとタイムリーに対応するために、導入を決めました。
以前は高齢層中心だった問い合わせでしたが、チャットボット導入後は、気軽に話しかけられると若年層からの問い合わせが増加し、幅広い年代の声を集められるように。
多岐に渡る問い合わせに対して、AIの自然言語処理機能で正確に意味をとらえることにより、時間外でも確実に対応できるようになりました。
情報サービス事業大手のNTTデータでは、東京電力エナジーパートナーの電力供給サービス受付関連業務において、2021年3月からNTTドコモが提供する「AI電話サービス」の導入を開始しました。
高い音声認識技術を持つNTTドコモのAI電話サービスは、自然な会話を可能にするため、問い合わせやサービスの予約などの受電業務のほか、商品の案内、在宅確認、災害時の一斉連絡といった架電業務が行えます。
2020年8〜11月に行った業務検証において、電力供給サービス受付業務の応対件数のうち75%(応対件数310件中233件)を人を介せずAI電話サービスのみで完結させることができたという結果が出ました。
さらに、1件当たりの電話応対時間を70%短縮できたことから、本格導入を決定。
顧客の応対時間や受付待ち時間の大幅短縮が実現できました。
月額費用
生成品質
特徴
Bing
OpsAI
Google Bard
ChatSonic
Notion AI
画像出典元:「Bing」公式HP
BingはMicrosoftが提供する検索エンジンで、追加機能として対話型AIサービスを実装しています。
Web検索結果を回答に反映できるのが大きな特徴の一つであり、検索ボックスに質問や話題を入力すると、自然な言葉で対話するように答えてくれます。
ただし、Bingを利用するには、Microsoft Edgeブラウザを導入し、Microsoftアカウントでのログインが必要です。
無料で利用が可能です。
画像出典元:「OpsAI」公式HP
OpsAIは、業務効率化や自動化を支援するAI搭載のプラットフォームです。
特に運用現場に特化した設計がされており、複雑なデータ処理や分析作業を自動で迅速に行うことが可能です。
これにより、人手不足の課題解決や運用の安定化・負担の軽減を図ることができます。
また、OpsAIは、リアルタイムでのデータ監視や分析を行い、即座に最適な対策を提案するため、意思決定の迅速化やリスク軽減に貢献します。
OpsAIは、アカウント換算で月980円からの料金プランとなっていますが、状況や導入プランによって異なります。
契約期間は6ヶ月~、利用開始は利用料の決済確認後から可能となります。
トライアル | ベーシック | ビジネス | |
初期費用 | 99,000円/回 初期環境設定(専用テナント構築)/導入勉強会/プロンプト作成講座 |
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月額利用料 | 9,900円/月 | 29,000円/月 | 49,000円/月 |
機能 | ID発行:5名まで 追加ID:1,980円 GPT-4o使用 搭載Opsチャット利用 自社専用チャット作成5個 50万トークン付与 |
ID発行:20名まで 追加ID:1,450円 GPT-4o使用 搭載Opsチャット利用 自社専用チャット作成無制限 150万トークン付与 |
ID発行:50名まで 追加ID:980円 GPT-4o使用 搭載チャット利用 自社Chat作成無制限 300万トークン付与 |
(税別)
AI活用の専属人材による活用支援・成果を最大化させたい企業向けのプランがあります。
月額利用料150,000円(税別)~で、定例MTG/自社チャット作成支援/活用事例勉強会/AIトレンド共有会/個別チャット対応などの内容となっています。
こちらも複数のプランがあるので問い合わせてみるのが良いでしょう。
画像出典元:「Google Bard」公式HP
Google Bardは、2023年4月に一般公開されたAIを活用した対話型の検索サービスです。
Googleが開発した大規模言語モデル「LaMDA」により、さまざまな質問に対して自然に文章を生成し、柔軟な回答が可能となっています。
現時点で、Googleアカウントでのログインが必要ですが、Googleツールとの連携が可能であり、Googleユーザーにぴったりのサービスと言えます。
無料で利用可能です。
画像出典元:「Chatsonic」公式HP
Writesonicのサービスの一部として提供されているChatsonicは、画像生成機能、音声コマンド機能、テキスト生成機能、ライティングの提案機能などを持つ対話型AIサービスです。
高度な音声認識技術により正確に音声入力を解析して、自然で流ちょうな対話で、適切な回答を提供します。
使いやすさを重視したインターフェースやオプションも豊富に備えているため、自社のニーズに合わせた設定が可能です。
Chatsonicには3つの料金プランがあり、無料トライアルも可能です。
ビジネスとエンタープライズでは、GPT-3.5、GPT-4、GPT-4.32Kの生成品質が選択可能で、品質により月間最大生成ワード数が異なります。
年払いにすると、月額利用料が割引になるプランもあります。
無料トライアル | 無制限 | ビジネス | エンタープライズ | |
月額利用料 | 0ドル | 20ドル~ | 19ドル~ | 1,000ドル~ |
生成ワード数 | 1ユーザー 10,000語/月 |
無制限 | 1ユーザー 200,000語~(GPT3.5)/33,333語~(GPT4.0) |
要問合せ |
(税表記なし)
画像出典元:「Notion AI」公式HP
Notion AIは、タスク管理アプリNotionのワークスペース上で利用可能な対話型AIサービス。
システム基盤はGPT-3であり、人間が書いたような自然な文章を数十秒〜数分で自動生成が可能となり、業務効率化・生産性向上が期待できます。
ただし、現時点では正確性に欠ける部分も見られるため、人の手によって修正や加筆をしなければならない可能性もあります。
Notion AIは、Notionの料金プランにオプション追加で利用可能となります。
無料トライアルもあるため、お試しで利用してからの導入が可能です。
フリープラン | プラスプラン | ビジネスプラン | エンタープライズプラン | |
Notion AI/1ユーザー | 10USドル | 10USドル (年払い 8USドル) |
10USドル (年払い 8USドル) |
10USドル (年払い 8USドル) |
月額利用料/1ユーザー | 無料 | 8USドル | 15USドル | 要問合せ |
(税表記なし)
画像出典元:「Perplexity.AI」公式HP
Perplexity AIは生成系AIサービスの一つで、アカウントを作成しなくても、公式URLにアクセスするだけですぐに利用できます。
回答元となるソース情報を明記してくれるため、情報が正しいかどうか、スムーズな確認が可能です。
日本語対応となっていますが、英語よりも精度が低く、事実と異なる回答をすることもあるので注意しましょう。
無料で利用可能です。
画像出典元:「SmartRobot」公式HP
音声認識、音声対話、自然言語分析、知識検索などの機能を統合したSmartRobotは、台湾のインツミット株式会社が開発した対話型AIサービスです。
台湾では500社を超える導入実績があり、主要銀行の80%が採用しています。
各種SNS、スマートスピーカーを用いた音声認識での活用、デジタルサイネージや人型ロボットなどさまざまなデバイスに対応、用途に応じた柔軟なカスタマイズも可能です。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「ChatGPT」公式HP
OpenAIが提供するChatGPTは、学習データに含まれる大量のテキスト情報から自然言語処理を行う対話型AIサービスです。
汎用性が高く、文章生成、翻訳、質問応答などさまざまな用途で利用できるため、幅広い分野での活用が期待されています。
APIが公開されているため、さまざまなAIツールに導入されているのも大きな特徴の一つです。
ChatGPTには、無料プラン(GPT-3.5)と月額20ドルの有料プラン(GPT-4)があります。
画像・音声の生成機能を利用したいのであれば、有料プランをおすすめします。
画像出典元:「SnoopStein」公式HP
SnoopSteinは、X(旧Twitter)の投稿に対してAIが返信する形式のチャットボットです。
利用している生成品質はGPT-4で、ツイートにSnoopStein(@snoop_stein)をタグ付けすると、AIに関する情報のほか、洞察に役立つ思考などを提供します。
SNSに投稿するような感覚で利用できるため、AI初心者でも気軽に始めやすいサービスの一つです。
Xのアカウントがあれば利用可能ですが、詳細は問い合わせが必要です。
画像出典元:「YouChat」公式HP
検索エンジンYou.comの一部として利用可能なYouChatは、入力したキーワードに対して自然な文章で回答し、その回答からそのまま対話を続けることができます。
常に、ネット上の最新ニュースや情報を引用しているため、時事的な分野が得意で、論理的な推論を使用した問題解決にも適切な回答をします。
生成されたコンテンツに対して責任を負わないことを明言しているため、注意しておきましょう。
YouChatには、無料・有料の2つの料金プランがあります。
現在、期間限定でキャンペーン中ですので、有料プランが通常より安い金額で利用可能です。
無料 | ユープロ | |
月額利用料 | 0ドル | 9.99ドル |
(税表記なし)
画像出典元:「AIチャットくん」公式HP
AIチャットくんはLINE Official Accountの一つで、LINEでトークするように友達感覚で対話が可能なサービスです。
日本語に対応し、質問回答はLINE通知で知らせてくれるため、AIをより身近に利用することができます。
面倒な登録は不要で、LINEの友達追加をするだけで簡単に始めることができるため、AI初心者にも使いやすいサービスと言えます。
AIチャットくんには、毎日5通までチャットできる無料プランと、チャット無制限の有料プランの2つの料金プランがあります。
有料プランを年払いにすると、年間9,800円で利用可能となるため、頻繁に利用したい場合は年払いでの利用がおすすめです。
無料プラン | 有料プラン | |
月額利用料 | 0円 | 980円 |
チャット数 | 5通/日 | 無制限 |
(税表記なし)
顧客はメールやフォームにより、24時間いつでも問い合わせができますが、企業の営業時間外であれば、翌営業日まで回答を待つ必要があります。
しかし、対話型AIサービスを利用すれば、迅速に顧客の疑問や問い合わせに対応できるようになり、サービスの提供時間を拡大することが可能です。
多くの顧客との対話を同時に処理できることから、大量のリクエストにも対応可能となり、顧客満足度アップにもつながることでしょう。
対話型AIサービスを活用すれば、企業の人手不足の解消も期待できます。
コールセンターなど、オペレーターの人員が不足すると、顧客の待ち時間が長くなり、顧客満足度を下げてしまうことになりかねません。
対話型AIサービスを導入して対応すれば、効率的に対応件数を増やすことが可能となり、人手不足によるオペレーターの負担を軽減することができます。
対話型AIサービスにルーチンワークや重複作業を任せてしまえば、業務の大幅な効率化が実現可能です。
担当者の業務負担が軽減されるため、高度なタスクに集中することが可能となります。
その結果、企業の生産性向上だけでなく、競争力アップにもつながり、大きなメリットとなることでしょう。
サービスの導入後、業務の改善点を洗い出し、PDCAを回していくためにも、効果検証は極めて重要なポイントです。
成果の確認や顧客の動向に応じた見直しを定期的に行うことで、対応力と顧客満足度のアップにつながることでしょう。
導入後のサポート面についても、しっかりと比較するようにしましょう。
専任のサポート担当者を置くところもあれば、営業担当が兼任しているところもあります。
トラブル発生時に慌てないためにも、事前に確認しておいてください。
セキュリティが万全かどうかも、極めて重要なポイントとなります。
事前にセキュリティガイドブックの提出を依頼する、もしくは、自社で準備したセキュリティチェックシートを送付して回答してもらうなど、しっかりと確認しておきましょう。
対話型AIサービスへの注目が急速に高まる中、現在ではさまざまなサービスが公開されています。
特にカスタマーサービスの分野での定着が進み、他社に先駆けて導入した企業は、大きな成功を収めています。
業務の効率化を目指すのであれば、自社に見合う対話型AIサービスの導入をぜひ検討してみてください。
画像出典元:O-dan