会社設立時の資本金の決め方 | 失敗しないための注意点を徹底解説!

会社設立時の資本金の決め方 | 失敗しないための注意点を徹底解説!

記事更新日: 2019/01/03

執筆: 松村圭祐

「会社設立時の資本金」には特別な意味があることを知っていますか?

資本金は制度上1円から設定できますが、会社設立時には特別な税制や融資の制度があるんです。ご自身の事業にとって最適な資本金額を決めるために、これらの細かな要素を知っておく必要があります。

会社にとって設立のタイミングは1度しかありませんから、失敗しないように注意点を抑えておきましょう。特に、複数人で出資する際には絶対に注意すべきポイントがあります。

今回は会社設立時の資本金の決め方、失敗しないための注意点を解説します!

資本金とは?

簡単に言うと、資本金とは事業を始めるための元手のことです。資本金が尽きれば事業を続けられませんし、多ければ様々な事業を展開できますから、会社の体力や規模の指標となります。

また、株式会社の場合では株主が出資をしたお金であり、銀行からの融資や事業の売上げは含みません。会社設立時においては、社長や役員などの個人的な預金が基本的な資本金の中心になります。

資本金を決めるために知っておくべき4つの要素

資本金を決めるために知っておくべき要素は4つあります。初期投資と運転資金、信用、許認可制度、税制です。ここでは1つ1つを詳細に解説していきます。

1. 初期投資と運転資金

会社設立初期にはオフィスの契約やパソコンのような備品など、様々な初期投資が必要になります。これらは設立時の資本金から支払いをする必要があります。

以下に具体的な初期費用の項目を例示します。

初期費用の項目

  • オフィス・実店舗を取得する費用
  • 改装・設備工事費
  • 備品費用(PC、オフィス家具など)
  • 広告費用


また、事業を続けていくためには、商品の仕入れや人件費など多くの運転資金(ランニングコスト)が必要になります。事業が軌道に乗ってからは、事業の利益をそういった資金に回すことができますが、創業初期には利益は安定しないことが多いでしょう。

以下に具体的な運転資金の項目を例示します。

運転資金の項目

  • 人件費
  • オフィスなどの家賃
  • 仕入れの原価
  • その他経費


上記のコストの資金源として会社設立時の資本金が使用されます。

一般的には資本金として、初期費用+3~6カ月分の運転資金を用意しておくのが良いと言われています。

もちろんオフィスが要らない業種などでは初期費用が安くなることなどもありますから、ご自身の事業計画との綿密な擦り合わせが重要になると言えます。ただ、予想通りの利益を出せなかったり、着金のタイミングが遅かったりと、予想外の事態が起こることを想定しておきましょう。

2. 取引先や銀行などへの信用面

資本金は企業の体力や規模の指標となりますから、対外的な信用に大きな影響を与えます

具体的にはどのような場面で信用が必要になるかを解説していきます。

取引先に対する信用

取引先や顧客が大企業の場合、資本金が一定水準以上でなければ交渉が難航することもありますから注意しましょう。逆にBtoC企業の場合には、資本金は顧客獲得にあまり影響しません。

金融機関に対する信用

資本金は法人口座開設や創業融資の審査に影響します。

資本金が少ないと法人口座開設の審査に通りづらくなります。法人口座を開設するのであれば、最低でも100万円は資本金を用意すべきです。


また創業融資を受ける場合においても、資本金が多いことは重要です。

会社設立時は売上げや実績がまだありませんから、融資金額の基準は資本金を元に決められることが多いです。一般的に、資本金の2倍程度の融資を受けることができることを知っておきましょう。

日本政策金融公庫の行っている「新創業融資制度」は会社設立時に多く利用される制度であり、創業支援として無担保・無保証人での融資を受けることができますのでぜひチェックしておきましょう。

出典元:日本政策金融公庫HP

日本政策金融公庫の新創業融資制度については、以下の記事で詳細に解説しています。

3. 事業の許認可を取得する

許認可が必要な事業の場合、資本金がその要件になっている場合があります。届け出る行政機関は警察署、保健所、都道府県庁など様々であり、ご自身の事業が必要とする許認可については必ず調べておく必要があります。

一例として、一般建設業で500万円、第一種旅行業では3,000万円が必要となります。

4. 税制を考慮する

資本金が多いほど税負担は大きくなります。結論から言うと、資本金は1000万円未満にするのが良いと考えられます。では、具体的に注意しなければならないポイントを見ていきましょう。

1つ目は、消費税法です。資本金1,000万円未満の新設企業は2年間の消費税が免税となります。これは非常に大きな節税メリットとなります。

2つ目は、法人住民税の均等割です。均等割というのは、その地域の法人住民税を均等に負担する税金であり、決算時に毎年一定額負担することになります。そして、この均等割額が資本金等の額と従業員数によって決まるのです。後述しますが、ここで「資本金等」というのは「資本金」と「資本準備金」の合計額を指します。

地域ごとに多少の差はありますが、従業員50人以下の場合、資本金等1,000万円未満では約7万円、1,000万円から1億円では約18万円になります。つまり、毎年11万円の均等割の節税が可能になるのです。

なお、資本金が1,000万円以上の場合には、「資本準備金」という形で積立てることができます。この場合、資本金には計上されないため、均等割の節税はできませんが消費税免税のメリットは受けることができます。

資本金の決め方のまとめ

資本金の決め方について詳しく説明してきました。重要なポイントを表にまとめましたのでおさらいしましょう。


資本金に関わる4つの要素

これらの要素を考慮して実際に自分の事業計画を作りこみ、資本金を決定しましょう。一般的には税制を考慮して資本金1,000万円未満にすることがおすすめです。

設立初期は思っていたよりも売上が出なかったり、着金が遅くなるなど、様々なアクシデントが起きるものですから、計画よりも資本金を消費してしまうことは多いです。可能な限り余裕を持ちましょう。

似たような業種の開業例も大変参考になります。

中小機構の「業種別開業ガイド」ではそれらの情報を検索することができます。知り合いの起業家に相談するのも良いでしょう。


出典元:中小機構HP

資本金が十分に集まらないときは?

資本金を決めても、必要な現金を十分に集めることができない場合もありえるでしょう。またできることなら、準備する現金は少ないに越したことはありません。

そんなときに使えるのが「現物出資」という方法です。

車やパソコンなど、ある程度の価値がある資産を「現物資産」とみなして資本金の一部とすることができるのです。

もちろん現物出資も良いこと尽くしではありません。現物出資については以下の記事で解説していますので、検討する方は以下の記事を参考にしてください。

 

信頼できる税理士に相談しよう

資本金についての計画を立てたら、信頼できる税理士に相談し、詳細を詰めていきましょう。税理士は多くの事例を見てきていますから、客観的なアドバイスを貰えるはずです。

なお、税理士の当てがない場合には、これを機に探してみるか、紹介してもらうことをオススメします。

会社設立には定款の作成などの様々な手続きが必要であり、それらは税理士に依頼することが望まれます。また、今後も税理士への相談が必要な状況は多いためです。

途中で資本金が不足してしまったら?

事業を続けるうちに、資本金が不足してしまったらどうなるのでしょうか?

資本金が不足すると、設備投資や仕入れが滞りますから、事業がうまく回らなくなります。会社設立当初には銀行からの融資を増やすことも難しいです。その場合には、役員の私財を「役員借入金」として会社に貸付けることができます。

ただし、「役員借入金」は融資として計上されますから、赤字が続いて資本金が尽きれば債務超過になるリスクは免れません。債務超過になると銀行からの融資はさらに難しくなりますので、絶対に避けなければなりません。

借入れた資金を資本金に振替える(DES : Dead Equity Swap)ことも可能ですが、実際には税金がかかる場合もあり、手間もかかりますから、なるべく避けるべき方法と言えます。

複数人の時には慎重に

あなたは複数人で起業しようとしていますか?

ここまで、資本金の額の決め方を解説してきました。事業形態によって必要な資本金に違いはあるものの、一般的には1,000万円未満でなるべく多く準備することが望ましいです。1人の場合はこれで問題ありません。

問題は複数人による出資の場合です。株式会社において資本金の出資額は、すなわち、保有する株式数のことを意味します。

つまり、複数人で出資する場合、その額によって株式の持分が決まってしまうということなのです。

株式会社において、株式の持分は非常に重要です。会社の経営権が決まるということもありますが、重要なのは、将来的なエグジットの際に決定的な利益の差を生みだすということです。

例えば、3人で起業し、4:3:3の割合で出資をしたとします。順調に会社が大きくなり、ついにM&Aでエグジット。1億円で会社を売却するとなった場合の売却金は、株式比率と同じく、4,000万、3,000万、3,000万となります。

これは最初の資本金出資額で決定することなのです。たとえ、筆頭株主である4の割合の社長がほとんどの事業を頑張ってきたとしても、関係ないのです。

また、エグジットで得られる金額によっては新たな問題が発生します。4の割合の社長が会社を大きくして上場したいと思っていたとしても、M&Aでの売却金が欲しい3の割合の社長2人によって、望まない売却を議決される場合もあるのです。


複数人で出資した際のトラブル例

経営者は目の前のビジネスに集中しがちになってしまいますが、会社の売却や上場など将来の大切な局面では株式の持ち分が最も重要です。最初に適当に決める経営者が多いですが、ここで後々の大きな後悔をしてしまう経営者が多いのが実情です。

起業する際には将来どういうビジョンで会社は成長し、どういう選択肢を歩む可能性があるかを想定する事が大切です。そうすると、資本金の比率の重要性がわかりますよね。

会社設立時の株主構成については、以下の記事も参考にしてください。

 

資本金の払込み方法

資本金払込とは、会社設立時の資本金を発起人名義の銀行口座に振り込むことです。資本金が実際にあることを法務局に対して証明するために必要な手続きです。

資本金の額が決定したら、すぐに資本金払込というわけではありません。定款を作成し、無事にそれが認証されたあとに、資本金払込を行います。

今回は参考までに、大まかな流れを紹介します。


1. 発起人名義の個人口座を作る

会社設立前はまだ会社名義の口座は作れませんので、発起人名義の個人口座に資本金を入金します。なお、必ずしも新しい口座を作る必要はなく、すでに使用している口座でも問題ありません。

2. 口座に入金する

続いて、口座に資本金を入金しますが、注意点が2点あります。1点目は入金日を定款認証日より後にする必要があることです。認証前だと登記の際に受理されない場合があります。

2点目に、入金者名を明記して「振込」をする必要があることです。「預入」ではなく「振込」です。次のステップで通帳のコピーを作成しますが、その際に重要となります。なお、発起人が1人の場合には「預入」で入金しても問題ないです。

3. 通帳のコピーを作成する

続いて、通帳のコピーを作成します。以下の項目が載ったページをそれぞれコピーしてください。通常、表紙の表裏と入金内容のページになります。

  • 銀行名と支店名
  • 銀行印
  • 入金内容(入金日、入金者名、入金額)

4. 払込証明書を作成する

最後に、払込証明書を作成します。これは発起人から資本金が払込まれたことを証明する書類であり、登記の際に提出します。

全ての書類が完成したら、払込証明書、通帳のコピーをホチキス止めします。また、各ページの境目に会社代表者印を押印してページの差し替えを防ぎます。これを契印と言います。

製本ができたら資本金の払込みは完了となります!

資本金払込のやり方、払込証明書の作成は以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

会社設立時の資本金は、事業を進めていく上で最も重要な要素です。

まずは、ご自身の事業計画をしっかりと作り込み、必要な資本金を算出しましょう。払込みまで細やかな注意点もありますから、税理士や経験者に相談をしつつ会社設立を達成しましょう!

また、複数人で起業する方は、最初の資本金比率が後々の株式比率として重要になってきます。大きな後悔をしないためにも、目の前のビジネスに集中するだけでなく、将来のビジョンを共有しておきましょう!

画像出典元:Burst

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