[違法?合法?]ペーパーカンパニーとは?節税のカラクリを解説

[違法?合法?]ペーパーカンパニーとは?節税のカラクリを解説

記事更新日: 2019/12/26

執筆: 編集部

ペーパーカンパニーを作れば節税になるという話があります。節税し資産を有効に活用したい経営者にとって魅力的な話です。しかし個人事業主や中小企業の経営者でもペーパーカンパニーを設立し節税できるのでしょうか。この記事ではペーパーカンパニーで節税するからくり、それが違法なのか合法なのかを説明します。正しい知識を身に着ける参考にしてください。

ペーパーカンパニーとは?

ペーパーカンパニーとは「法人登録はされているものの事業活動の実体がない会社」のことです。

ペーパーカンパニーは具体的に以下のような目的を持った会社を指します。

  • 悪徳行為の隠れ蓑として使うためのダミー会社
  • 脱税や粉飾決済に利用するためのオフィスすらない幽霊会社
  • タックスヘイブン(日本より法人税が安い租税回避地)に設立される金融取引や資産保有のための会社

 

ペーパーカンパニーに関する身近なニュース

ペーパーカンパニーを節税に利用した有名なニュースに「Google」の租税回避があります。

Googleは租税回避の一環として、2016年にタックスヘイブンのバミューダのペーパーカンパニーに159億ユーロ(2兆1,500億円)を移管し、その年に数十億ドルの節税に成功しました。

Googleの利用した租税回避の方法は、「ダブル・アイリッシュ」「ダッチ・サンドイッチ」と呼ばれる2つを利用したものですが、違法ではありません。

ペーパーカンパニーを違法な行為に利用した例としては元日産の会長カルロス・ゴーンのニュースがありました。

日産の資産を自分に還流させ、私的に流用するために、ペーパーカンパニーを利用していたという事件です。

こうしたペーパーカンパニーにまつわるニュースを見ると、ペーパーカンパニーの利用は脱税や背任など事件とつながる可能性があることが分かります。

ペーパーカンパニー設立のメリットは?

ペーパーカンパニー設立のメリットは「節税」です。次の5つの分野で節税が可能といわれています。

1. 法人税などの減額

2. 消費税の還付が受けられる

3. 消費税の免税や税負担の軽減が受けられる

4. 交際費を増やせる

5. 不動産売却を利用し利益を減らすことができる

 

ペーパーカンパニー設立のデメリットは?

ペーパーカンパニーを利用し、こうした5つの分野で節税することは、経営者にとってお金を残せるのでメリットしかないように思えます。

しかしデメリットが2つあります。

1. 事業活動のないペーパーカンパニーであっても法人住民税を支払わなければならない

2. 毎年決算を行う必要がある

ペーパーカンパニーには節税というメリットはありますが、維持費や事務処理が必要というデメリットもあるわけです。

節税の仕組みは?

ペーパーカンパニーでは5つの分野で「節税」できると紹介しましたが、どのような仕組みでそれらが可能なのか次に説明したいと思います。

1. 法人税などの減額

法人が出した利益に応じて課税させるのが「法人税」です。

中小法人(資本金や出資金が1億円以下の法人)には、利益が800万円以下なら、法人税や地方法人税、事業税などの軽減措置が利用できます。

ペーパーカンパニーを利用し、利益を分散させることで、法人税などの税金を減額させることが理論上可能です。

800万円を分岐とした法人税の税率の違い

ペーパーカンパニーを利用し利益を分散させて、本社の利益を800万円以下にすれば、法人税がどれくらい節約できるのか理解するために、税率の違いを表にしました。

開始事業年度 平28.4.1以後 平30.4.1以後 平31.4.1以後
800万円超 23.4% 23.2% 23.2%
800万円以下 15% 15% 15%

このように本社の利益を800万円以下にすれば、かかる法人税率を大幅に節約できます。

2. 消費税の還付が受けられる

商品の仕入れを免税事業者(売上が比較的小さい消費税の納付義務が免除されている事業者)のペーパーカンパニーが行ない、その商品を課税事業者の本社に通常の販売価格よりも高い値段で販売します。

本社はその商品を通常価格で外部に販売すれば、支払った消費税が外部より預かった消費税より高くなるので、その分の差額が還付されます。

具体的な数字を挙げた例が次のものです。

消費税の還付に関する一例

【本社がペーパーカンパニーに支払った消費税】
  支払総額 消費税
商品仕入 2,000万円(税抜) 200万円

【本社が外部販売で預かった消費税】
  売上総額 消費税
売上 1,500万円(税抜) 150万円

外部に対する売上で預かった消費税が150万円、商品仕入れのためにペーパーカンパニーに支払った消費税が200万円ですから、払い過ぎた50万円分が還付されるという仕組みです。

3. 消費税の免税や税負担の軽減が受けられる

本社とペーパーカンパニーで売上を分散させれば、消費税の免税が可能です。

消費税は、その課税期間に係る準備期間における課税売上高が1,000万円以下ならば免税事業者となれます。

つまり消費税を納税する必要がなくなるわけです。

課税売上高が5,000万円以下の中小事業者ならば、簡易課税制度の適用対象となります。

簡易課税制度の適用対象となれば、仕入の記録や計算などの事務的負担が軽減され、場合によっては税負担が軽くなります。

4. 交際費を増やせる

資本金もしくは出資額が1億円以下の中小法人については、年間800万円以下の交際費全額が経費として認められます。

ペーパーカンパニーと合計すれば、2社分つまり1,600万円まで交際費を経費として計上できることになります。

5. 不動産売却を利用し利益を減らすことができる

価格が下がった土地などの不動産をペーパーカンパニーに売却し、その不動産売却損を計上して利益を減らし節税とする方法です。

例えば、300万円の利益がある会社が、購入価格500万円の不動産を、200万円でペーパーカンパニーに売却しました。

すると300万円の不動産売却損が出ます。これを決算に加えて計上すれば、利益が0円ということになります。

こうした行為は「合法」それとも「違法」?

ペーパーカンパニーを利用し節税することは、法人住民税を払わければならないとしても、お金を残せるのでメリットしかないように思えます。

しかし、事業活動のないペーパーカンパニーとのこうした取引は、あくまで「法の隙間をついた行為」であり、脱税などの「違法行為」とみなされます。

海外にペーパーカンパニーを設立して節税するのは?

タックスヘイブンに投資目的のペーパーカンパニーを設立し、租税回避をするという大企業などが用いる方法があります。

しかし、タックスヘイブン対策税制の改正により、実体のない海外子会社を利用しての租税回避や給与、配当の受け取りなどをする行為に対しては規制が厳しくなりました。ですからこれも賢い方法とはいえません。

まとめ

ペーパーカンパニー設立のメリットは「節税」です。理論上は法人税や消費税の節税、経費の追加計上、不動産売却損を利用した本社の利益の圧縮などが可能でした。

会社設立自体に問題はありませんが、ペーパーカンパニーを利用した節税方法は合法ではなく、脱税とみなされる違法行為です。

ペーパーカンパニー設立にも、法人住民税の支払いや決算の必要がありました。

節税にも使えず、経費と時間がかかるだけの幽霊会社を設立することには意味がありません。

経費の計算など節税につながる知識を蓄え、健全な節税スキームを立てる方が、違法な節税方法を身に着けるよりも大切です。

起業ログでは、経費の計算や正しい節税方法なども紹介しています。どうぞこちらの記事も参考にしてください。

画像出典元:pixabay

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