ヘルプデスクはエンジニアじゃない?業務の比較や得られるやりがいについて解説

ヘルプデスクはエンジニアじゃない?業務の比較や得られるやりがいについて解説

記事更新日: 2025/04/07

執筆: Mai Nemoto

ヘルプデスクは、IT領域の問い合わせに対応するため、エンジニアと混同されることがありますが、実際は異なる職種です。

本記事では、ヘルプデスクとエンジニアの違い、エンジニアへの転向について解説します。

ヘルプデスクが「やめとけ」と言われる背景、得られるやりがいについても紹介しているので、キャリアパスにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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ヘルプデスクはエンジニアじゃない?

まずは、ヘルプデスクとエンジニアの違いを整理し、それぞれの業務について解説します。

あわせて、エンジニアにはどのような職種があるのかについても詳しく見ていきましょう。

【結論】ヘルプデスクはエンジニアではない

ヘルプデスクは、サポート業務を中心とした職種であるため、エンジニアとは異なります。

どちらもIT業界で専門性を求められる重要な役割ですが、業務内容・必要なスキル・責任範囲という面で違いがあります。

ヘルプデスクの主な業務

ヘルプデスクは、システムやソフトウェアといったIT領域において、社内外のユーザーをサポートし、円滑な利用を促す役割を担います。

社内からの問い合わせを迅速に解決すれば、業務の停滞を防ぎ、効率的な業務進行を促すことで、企業の利益に貢献します。

また、社外からの問い合わせであれば、商品・サービスに関する問題解決をサポートすることで、顧客満足度や信頼の向上が実現します。

さらに、顧客から受けるリアルな声を分析すれば、商品・サービスの改善や新しい開発にも活かせます

ヘルプデスクに必要なスキル

ヘルプデスクには、取り扱う商品・サービスの知識以外に、下記のようなスキルが必要です。

コミュニケーションスキル
  • 問い合わせ内容を正確に理解し、わかりやすく説明する
Office系ソフトのスキル
  • 特にエクセルを活用したデータ整理や集計、分析
パソコンやOSのスキル
  • ハードウェアやソフトウェア、セキュリティに関する知識
  • パソコンや周辺機器の接続方法、アプリのインストール方法
ネットワークのスキル
  • LANやWANなどのネットワーク接続の基本
  • ネットワークセキュリティに関する最新知識
トラブルシューティングスキル
  • 迅速かつ的確に問題を診断し、解決策を提示する

そもそもエンジニアにはどんな職種があるのか?

エンジニアとは、ITシステムの開発や運用、インフラの構築などを担う技術職を指します。

大きく分けて4つの分野があり、さらに担当する業務の範囲によって職種が分かれています。

  開発エンジニア Web系エンジニア インフラエンジニア その他ITエンジニア
主な仕事 システムやソフトウェアの設計・開発 WebサイトやWebアプリケーションの開発 ITインフラの構築や管理・運用 社内システムの管理や営業技術支援・セキュリティ対策
職種
  • システムエンジニア(SE)
  • プログラマー(PG)
  • 組込みエンジニア
  • アプリケーションエンジニア
  • フロントエンジニア
  • バックエンドエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • サーバーエンジニア
  • データベースエンジニア
  • 社内システムエンジニア(社内SE)
  • セールスエンジニア
  • セキュリティエンジニア

エンジニアの主な業務

エンジニアには多くの職種がありますが、その中でも社内SEは、ヘルプデスクと比較的近い業務を担当します。

ヘルプデスクは、パソコンやソフトウェアの操作方法、ネットワーク接続の問題など、日常的なITトラブルへの対応が中心です。

一方、社内SEは主に自社のシステムやインフラの設計・構築・運用・改善を担う職種であり、社内で使用するアプリケーションやツールの開発、ネットワークやサーバーの管理が主な業務です。

障害やトラブルが発生した際には、より高度な技術力が求められることもあります。

エンジニアに必要なスキル

社内SEは、IT機器の管理からシステムのプロジェクト推進まで、幅広い業務を担っており、習得すべき知識も広範囲にわたります。

ハードウェアや社内システムに関する理解、システム開発の流れに加えて、システム開発を外部に委託する場合は、ベンダーマネジメントの能力も必要です。

また、社内業務をサポートするためにシステムの企画・立案を行う必要があり、各部署の業務内容や最新のIT技術を把握した上で、活用方法を考える力が求められます。


ヘルプデスクからエンジニアへの転向は可能?

ヘルプデスクからエンジニアへのキャリアチェンジは可能です。

ヘルプデスク業務で培った基礎や問題解決能力を活かし、さまざまな分野のエンジニアへとキャリアを広げることができます。

ただし、エンジニアにはより専門的な知識やスキルが求められるため、どの分野に進みたいか明確にした上で必要なスキルを身につけておきましょう。

  • インフラエンジニア
  • 開発エンジニア
  • セキュリティエンジニア

インフラエンジニア

インフラエンジニアは、ITインフラの設計・構築・運用を担当する職種です。

ヘルプデスク業務で培ったハードウェア管理やトラブル対応の経験、ネットワークやサーバーの基礎知識は役立ちますが、インフラ全体の設計や運用管理のスキルが求められます。

特に、システムを最適に構築し、安定して運用するための能力が求められるため、実践的な経験を積みながら学ぶことが重要です。

インフラ関連の資格であるCCNA・LPIC・AWSを取得すると、専門知識があることを証明でき、未経験からの転向でも即戦力として評価される可能性が高まります。

また、インフラ機器は海外製品が多いため、英語のマニュアルを読解できるスキルがあると、業務の幅が広がるでしょう。

開発エンジニア

開発エンジニアは、システムやアプリケーションの設計・実装・テストを担当する職種で、企業の業務効率化や新しい商品・サービスの提供を支える役割もあります。

ヘルプデスクで培ったソフトウェアやシステム基礎知識、エラー対応やログ解析の経験は役立ちますが、開発エンジニアとして働くためにはプログラミング言語の取得が不可欠です。

仕様に基づいてコードを書く技術に加えて、要件整理をした上で最適な設計を考案するスキルも求められます。

個人でプログラムを作成したり、プラットフォームを活用してコードを公開するなど、ポートフォリオを作成しておくと採用の可能性が高まるでしょう。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、システムやネットワークの脆弱性を診断し、情報漏洩やサイバー攻撃の防止対策を講じる職種です。

企業の情報を守る重要な役割であるため、高度な専門知識と分析力が求められます。

業務内容は、セキュリティポリシーの策定やリスク分析、ファイアウォールや侵入検知システムの運用、脆弱性診断ツールを用いたテストの実施が含まれます。

ヘルプデスクでウイルス対策や不正アクセス対応の経験があれば役立ちますが、ネットワークセキュリティの暗号技術・認証システムなどの高い専門的知識が必要です。

常にセキュリティの最新動向を把握し、攻撃方法や防衛策を理解することが不可欠となります。


ヘルプデスクが「やめとけ」と言われる背景

ヘルプデスクとエンジニアは異なる職種ですが、どちらもITに関するサポート業務において重要な役割を担っています。

ではなぜ、「やめとけ」と言われるのでしょうか。

考えられる5つの理由について解説します。

  • クレーム対応がある
  • タイムマネジメントが難しい
  • 業務範囲が広くイレギュラー対応も多い
  • 知識のアップデートが負担
  • 年収がアップしにくい

クレーム対応がある

ヘルプデスクの業務では、問い合わせ対応時にクレームを受けるケースも少なくありません。

自社の商品やサービスに問題が発生した場合、ユーザーの苛立ちが直接向けられることがあります。

クレーム対応が続くとストレスが蓄積され、うまく発散できないまま抱え込んでしまうと、心身に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

タイムマネジメントが難しい

ヘルプデスクは、複数の問い合わせを同時に処理する必要があり、スケジュール管理が難しい職種です。

電話やチャットでの問い合わせでは、リアルタイムでの対応を求められることが多く、1件の対応が長引いてしまった場合、他の問い合わせにも影響が出る可能性があります。

緊急性の高い案件が重なると、その中で優先順位を判断しつつ、対応が終わるまで残業を余儀なくされることもあるでしょう。

業務範囲が広くイレギュラー対応も多い

ヘルプデスクの業務は、マニュアル通りの内容にとどまらず、幅広い領域に関わることが求められます。

IT機器やソフトウェアの基本的な使い方から、システムやネットワークのトラブルまで、多岐にわたります。

さらに、イレギュラーな問い合わせが頻繁に発生するため、臨機応変に対応する力も必要です。

予想外の問題に対応するのが苦手な人にとっては、負担の大きい仕事と感じることがあります。

知識のアップデートが負担

IT技術は常に進化しているため、ヘルプデスクの業務では常に最新の知識が求められます。

新しいソフトウェアやシステムが導入されるたびに、操作方法やトラブルシューティングを学ぶ必要があります。

自発的に勉強する意欲があれば問題ないですが、学び続けることが負担になる人にとっては厳しいと感じる可能性もあります。

年収がアップしにくい

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、ヘルプデスクで働く人の平均年齢は40歳・平均年収は558.3万円です。

システムエンジニア(基盤システム)の平均年齢が41.8歳・平均年収が684.9万円であることを踏まえると、ヘルプデスクの方が給与水準が低いことがわかります。

「未経験可」の求人も多く、一次対応やマニュアル化された業務をこなすだけでは、年収アップはあまり期待できません

ヘルプデスクのやりがい

ヘルプデスクの仕事には大変なことが多いですが、やりがいを感じられる場面も多くあります。

続いては、ヘルプデスクのやりがいについて3つご紹介します。

  • 問題解決時に感謝される
  • 幅広い商品・技術知識が得られる
  • 企業イメージに貢献できる

問題解決時に感謝される

ヘルプデスクは、社内外の問い合わせを通じてユーザーとコミュニケーションを取るため、「ありがとう」と直接言われる機会があります。

緊急のトラブルを迅速に解決できた際や、ユーザーの疑問点を解消できた際は感謝され、達成感を得られるでしょう。

幅広い商品・技術知識が得られる

ヘルプデスクの業務では、様々なシステムやソフトウェアに触れる機会が多いため、幅広いIT知識を習得できます。

インストール・設定・運用・操作方法・トラブル対応・マニュアル作成などを通じて技術力が身につき、成長チャンスが多い環境といえます。

企業イメージに貢献できる

ヘルプデスクで社外からの問い合わせに対応する場合は、企業と顧客を繋ぐ窓口の役割を果たしており、対応の質が企業の評価に直結します。

丁寧で的確なサポートを提供すれば、顧客から感謝され、企業の信頼やイメージアップに貢献することができるでしょう。

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FAQ

Q1. ヘルプデスクはエンジニアじゃないですか?

ヘルプデスクはITに関する問い合わせ対応を行いますが、エンジニアとは異なる職種です。

トラブルシューティングやシステム管理は行いますが、システム設計・開発などは対応しません。

Q2. ヘルプデスクからエンジニアへの転向は可能ですか?

はい、可能です。

ヘルプデスクの経験を活かして、インフラエンジニア・開発エンジニア・セキュリティエンジニアへのキャリアチェンジを目指せます。

ネットワークやプログラミングなどの専門知識を深めることで、転職市場での評価が上がり、より良い条件やポジションを見つけやすくなります。

Q3. ヘルプデスクに向いている人は?

ヘルプデスクは、コミュニケーション能力が高く、問題解決が好きな人に向いています。

また、ITの基礎知識があり、マニュアルにはないイレギュラーなトラブルにも柔軟に対応できる人が活躍しやすいでしょう。

画像出典元:O-DAN

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