カスタマーサポートを設置していない企業は、新規顧客が付いても離れやすい状態です。
顧客の購入前後をしっかりとサポートし、顧客との企業の信頼関係をより強固なものとしましょう。
本記事では、カスタマーサポートの役割・必要性や、設置によるメリット・デメリット、業務効率化のポイントやコツを紹介します。
適切なカスタマーサポートを提供できれば固定顧客も増え、企業の成長・売上アップにつながるでしょう。
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質の高いカスタマーサポートを持つ企業は顧客とのつながりが強く、固定顧客・リピーターを増やしやすいといわれます。
まずは「カスタマーサポートとは何なのか」を理解しましょう。
カスタマーサポートとは、商品やサービスに対する顧客の不安・疑問・不満を解消する業務です。
企業にとっては顧客とダイレクトにつながる数少ない部門であり、カスタマーサポートの対応が製品・サービスの評価に反映されることもあります。
自社で提供する製品・サービスがどれほど優れていたとしても、全ての人が正しい知識を持ち、問題なく使えるとは限りません。
顧客に高いレベルで購入体験を提供するには、購入前も購入後も、企業は適切に顧客をフォローする必要があるのです。
質の高いカスタマーサポートを持つ企業は、必然的に顧客満足度も高くなります。
商品やサービスへの信頼も高まり、顧客を「またこの会社の商品やサービスを購入しよう」という気持ちにさせるでしょう。
商品やサービスを購入した顧客の疑問・不満はそれぞれに異なります。カスタマーサポートは、顧客ニーズを適切に把握してスムーズな解決につなげることが必要です。
カスタマーサポートがどのような業務を行うのか、具体的に見ていきましょう。
カスタマーサポートは、顧客の問い合わせについて電話やチャットで応対します。
問い合わせ内容は多岐に渡るため、担当者は製品・サービスについての幅広い知識が必要となるでしょう。
ダイレクトに顧客の問い合わせ・不満を受け付けるのは、顧客が抱える不満・疑問を早急に解消するためです。
誠実な対応を受けることで、顧客は商品・サービス、引いては企業への信頼感を高めます。
企業が市場で存在感を発揮していくためには、新規・既存どちらの顧客も手放せません。
カスタマーサポートが顧客ニーズに適切に対応できれば、企業の販路は自ずと拡大していきます。
顧客から寄せられた質問・意見等をまとめるのも、カスタマーサポートの業務です。
具体的には、顧客から問い合わせの多い内容はFAQを作成してHPに掲載したり、問い合わせの多い内容について解決までのノウハウ等を手引きとしてまとめておいたりします。
ホームページにトラブル・疑問の解決方法が書いてあれば、顧客はわざわざ電話やチャットをする必要がありません。
商品やサービスをスムーズに使いこなすことができ、満足度が高まります。
一方、顧客対応のノウハウがまとめられていれば、同じような問い合わせがあったときの対応がスムーズです。
企業にとっては「顧客に不満を抱かせにくい」「解決のために不要なリソースを割く必要がない」などのメリットがあるでしょう。
知識の属人化を防げば、サポート業務はよりスピーディーかつ高品質なものとなります。
カスタマーサポートでは、顧客情報と問い合わせを連動させ、情報を一元的に管理します。
問い合わせがあった場合は、都度内容を入力して情報を更新。解決までに時間がかかるものは進捗状況を記載し、解決までの道筋が分かるようにしておきます。
顧客情報を一元的に管理しておけば、過去の履歴や、担当部署・担当者が一目瞭然です。
これにより顧客対応はより一層スムーズになり、顧客からの信頼を得やすくなるでしょう。
カスタマーサポートは、言葉的には「カスタマーサクセス」に似ています。一方、業務内容で見ると「ヘルプデスクと違いが分からない」という人もいるでしょう。
実際のところ、カスタマーサポートとこれらの違いは何なのでしょうか?違いについて、具体的に見ていきましょう。
カスタマーサクセスとは、顧客に成功体験を提供できるよう、企業として積極的にアプローチすることをいいます。
近年は市場のグローバル化・デジタル化が進んでおり、競合との差別化が難しい状態です。
企業は使い方のアイデア・コツなどを提案するなどして積極的に顧客に働き掛け、顧客の満足度を高める必要があるのです。
カスタマーサポートが「顧客からのアプローチ」であるのに対し、カスタマーサクセスは「企業側からのアプローチ」です。
両者は言葉こそ似ていますが、内容は大きく異なります。
ヘルプデスクは、テクニカルな支援業務が一般的です。主にIT業界に設置されるサービスで、社外向けだけではなく社内向けの業務もあります。
ヘルプデスクで扱う内容は、「起動方法・操作方法に関する疑問」「システムトラブルのヘルプ」などが一般的です。
これに対し、カスタマーサポートは業種を問いません。テクニカルな質問・トラブルへの対応だけではなく、購入前から購入後まであらゆるフェーズをカバーします。
ヘルプデスクと比較すると、対応はより広範囲となるでしょう。
カスタマーサポート業務は企業が成長していく上で必要な業務です。設置によるメリットは大きいといえますが、デメリットに見える部分もあります。
カスタマーサポート業務のよい面・気になる面を見ていきましょう。
カスタマーサポートを設置すると、顧客の不満・不安を解消できます。
顧客は「よい買い物をした」「よい企業に会った」という満足感を得やすく、リピーター化・ファン化しやすくなるでしょう。
リピーター化・ファン化した顧客は企業のほかの商品・サービスにも興味を示すため、売上アップ・サービスの新規契約が期待できます。
カスタマーサポート業務は、顧客の声をダイレクトに聞くチャンスです。
顧客が問い合わせてきた内容を分析すれば、「商品・サービスについて、顧客が不満を感じるのはどの部分か」「どのようなことが分かりにくいと感じているか」などが分かります。
データに基づいて改良を加えれば、製品・サービスが市場ニーズに最適化されます。
製品・サービスの質向上がさらなる顧客獲得につながり、売上アップが期待できます。
カスタマーサポート業務によって顧客の満足度・信頼度が上がるのは、「顧客対応が良かった場合」のみです。
顧客の問い合わせに対し適切な対応ができなかった場合は、顧客によい購入体験を提供できません。
顧客からの信頼は失われ、企業イメージまで悪くなる恐れがあるでしょう。
カスタマーサポート業務の担当者は、「企業の代表」として適切な言葉遣い・態度・知識が必要です。
企業は顧客満足度を高められるよう、担当者の育成・教育から力を入れなければなりません。
カスタマーサポート業務への問い合わせの中には、いわゆる「クレーム」も多く含まれます。
担当者は厳しい言葉を直接浴びることとなり、大きなストレスを感じることもあるでしょう。
クレーム処理を一担当者に押し付けてしまうと、担当者の負担が大きくなり過ぎます。
手に負えなくなったら上司に代わるなど、クレーム処理にはチームで対応する体制が必要です。
カスタマーサポート業務は、電話やチャットを通した顧客対応業務です。商品・サービス知識だけではなく、「対人スキル」が問われるシーンも多いでしょう。
カスタマーサポートに向いているのは、どのような人なのでしょうか?特徴について紹介します。
カスタマーサポート担当者は、他人の感情に引きずられないことが必須です。どのような相手に対しても、常に同じ温度で接することができる人が向いています。
サポートを求める人は、不安・怒り・不満などを抱えてコンタクトしてくことがほとんどです。
相手の感情に合わせて対応してしまうと、顧客に不信感を植え付けてしまいます。相手が尖った態度で接してきても冷静に対応し、相手を落ち着かせることが必要です。
また、サポートを求める人の中には、何も分からないままに電話を掛けてくる人もいます。
説明しても全く理解してもらえなかったり何度も同じ話をさせられたりするケースがありますが、「疲れた」「何で分からないんだろう」といった気持ちを相手に感じさせてはいけません。
相手を適切な理解に導く、忍耐強さも必要です。
カスタマーサポートは顧客と直接やり取りをする業務です。いわば「会社の顔」ともいえるため、言葉遣いや話し方がきれいな人が好ましいでしょう。
対面式の接客の場合、言葉が足りなくても表情や態度で顧客の信頼を得ることが可能です。しかし、受電による接客は言葉の印象で全てが決まってしまうため、話し方がより重要な要素となります。
話し方はある程度カバーできるものの、とっさのときには素が出てしまうこともあるものです。常にきれいな話し方ができる人の方が、ストレスなく仕事をしやすくなります。
好印象のカスタマーサポート担当者とは、一を聞いて十を知る人です。相手が何を求めているかを察知して迅速な対応を取れる人は、カスタマーサポートに向いているでしょう。
顧客によっては、商品・サービスの状況についてうまく説明できないことがあります。
このようなとき、「○○のような状態でしょうか?」「△△でお困りということでしょうか?」と先回りできる人は好印象です。
また、想像力があれば、顧客の気持ち・不安も理解しやすくなります。対応が自然に親身なものとなり、顧客からも信頼されるでしょう。
業務の決まりをきちんと守り、分からないことをそのままにしない…、業務に対し真摯な気持ちを持てる人は、カスタマーサポート業務に向いています。
カスタマーサポート業務では、企業の商品・サービスについて多くの知識を蓄えなければなりません。
同時に顧客対応のマニュアル・流れについても知っておく必要があり、最初のうちは覚えることが膨大です。まじめにコツコツ学んでいける人は、業務に慣れるのも早いでしょう。
顧客対応は、あいまいな対応が許されないことが多々あります。顧客の問い合わせに対し、思いつきや当てずっぽうで答えると後に大きなトラブルとなるかもしれません。
仕事に真剣に取り組めるまじめな人はトラブルがなく、上司・仲間・さらには顧客からも信頼されます。
カスタマーサポート業務の大部分は、事前の研修でカバーできます。
どの業種でも1週間から数カ月程度の研修期間が設けられているため、未経験者でもカスタマーサポート業務に当たることは可能です。
ただし、実際の業務がスムーズに行くかどうかは、個人の資質によるところが大きくなります。
例えば、臨機応変な対応力・クレームにめげない切り替えの早さがある人は、ない人よりも業務遂行がスムーズです。
同じ未経験からスタートした人でも、カスタマーサポート業務が楽しくて仕方ない人・苦痛になってしまう人に分かれることはあるでしょう。
商品・サービスに対する顧客の満足度・信頼度を上げるには、適切なカスタマーサポートが不可欠です。
とはいえ、どのような対応が顧客にとって「適切」となるのでしょうか?
業務を遂行する上で抑えておきたいポイントを紹介します。
顧客は、自ら問い合わせてくるほどに商品・サービスについて解決したい問題を抱えています。対応はスピーディーなほど好ましく、高い顧客満足度につながるでしょう。
たとえ急ぎの案件でなくても、長い間保留にされたり部署をたらい回しにされたりすれば、ないがしろにされているようで腹が立つものです。
商品・サービスそのものよりも対応の遅さにクレームを付けられることもあるでしょう。
顧客の多くは、長く保留音を聴かされることを好みません。すぐに返答できない案件は折り返すなどをし、顧客に「待たされている」感を与えないことが重要です。
顧客情報は一元的に管理して、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴を一目で分かるようにしておくのがベターです。
該当顧客から問い合わせがあった場合にスムーズに対応しやすく、購入履歴・問い合わせ履歴を踏まえた対応が可能になります。
例えば顧客が何かを語る前に、担当者の方から「このたびは○○をお買い上げくださってありがとうございました。」と言えれば、顧客の態度も軟化するでしょう。
あるいは、「前回は○○が担当しましたので、○○におつなぎしましょうか?」と提案されれば、顧客も安心します。
「自分は顧客として大切に扱われている」と実感させることが、顧客満足度につながるのです。
定期的にオペレーター業務の振り返りを行えば、担当者の情報がアップデートされます。
その時々に多い問い合わせ・クレームに対応しやすくなり、顧客対応がよりスムーズになるでしょう。
例えば新商品やサービスがリリースされれば、それらに関する問い合わせが増えると予測されます。
事前に問い合わせを予測しておけば、顧客が求める情報をスムーズに提供できます。
カスタマーサポート業務は負担が大きく、企業規模によっては十分なリソースを用意できないことがあります。
カスタマーサポートを効率化したい場合、どのような方法があるのでしょうか?
カスタマーサポート業務を効率化するためのポイントを紹介します。
カスタマーサポートを内製化した場合、社員への業務負担が大きくなり過ぎるケースがあります。
カスタマーサポートが自社のコア業務を圧迫すると感じた場合は、外注で業務を丸投げすることも検討すべきです。
ただし、外注は「社内にノウハウが蓄積されない」「情報漏えいのリスクがある」などのデメリットもあります。
「丸投げはなるべく避けたい」という企業は、自社で設備・場所等を用意して、業務のみを外注するのがおすすめです。
チャットボットとは、AIを活用した自動会話プログラムです。事前にシナリオを用意したり返答の設定をしたりしておけば、顧客の問い合わせに機械が自動で応答します。
簡単な質問に人手を割く必要がなく、人的リソースを温存しやすくなるでしょう。
また、チャットボットなら24時間365日の対応が可能です。長期休暇や年末年始などの問い合わせにも対応でき、顧客満足度向上につながります。
ただし、全てをチャットボットで対応すると、顧客のニーズに対応しきれません。チャットボットは、有人対応への切り替えがスムーズなものを導入しましょう。
ヘルプデスクツールとは、顧客からの問い合わせ対応を自動化できるツールです。
ツールによってどのような機能を持つかはことなりますが、カスタマーサポート業務では以下のような機能を持つツールがおすすめです。
ツールを導入すれば、カスタマーサポート業務が一気に効率化します。
ただし、ツールの選定を慎重に行う必要があるほか、適切な社員教育も不可欠です。
ヘルプデスクツールの効果を享受するためには、短期間で導入を進めるのではなく、ゆっくりと時間をかけなければなりません。
カスタマーサポートは、企業と顧客のエンゲージメントを高め、顧客のリピーター化・ファン化に有益です。
競合他社と差別化を図れる部分でもあるため、サービス品質にはしっかりとこだわりましょう。
特に注意したいのは、担当者の知識・コミュニケーションスキルです。
顔が見えないカスタマーサポート業務では、声のトーン・言葉遣いで大きく印象が変わります。担当者一人一人が高い対応スキルを持つことが、企業全体の印象を高める上で重要です。
カスタマーサポート業務の品質を担保できない場合は、外注・サポートツールの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
顧客に質の高いカスタマーサポートを提供することが、企業の存在感を高めることにつながるでしょう。
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