ECサイトには「使い方がわからない」「返品したい」「商品が届かない」など、さまざまな問い合わせが寄せられます。
ECサイトを順調に運営して収益を増やすには、こうした問い合わせに適切に対応することが大切です。
しかし実際には、解決すべき課題が多く、理想通りの対応ができていないというケースが珍しくありません。
本記事では、ECサイトへの問い合わせに関する課題を明らかにしたうえで、対応のポイントや効率化する方法を解説します。
このページの目次
ECサイト運営の成否を決める重要な要素の一つが、問い合わせ対応です。
その理由と重要性について解説します。
購入した商品について、わからないことや不満がある場合、顧客はできるだけ早く解決策を知りたいと考えます。
問い合わせに対して、迅速に丁寧な回答を得られることで、顧客は安心して商品を利用でき、ECサイトへの評価が上がります。
一方で、対応が遅かったり、適切な回答を得られなかったりすると、顧客は不満を抱き、競合へ乗り換える可能性が高まります。
問い合わせ対応の質が高いほど、顧客満足度が向上し、再購入の意欲も高まります。
リピーターを獲得できれば、売上の安定に加え、ブランド価値の向上や競争力の強化にもつながります。
顧客からの問い合わせには、商品・サービスへの要望や苦情も含まれます。
しかし、これらは商品やサービスを改善するヒントとして活用できます。
また、丁寧な対応を受けた顧客が好意的なレビューを発信すれば、新規顧客の獲得にもつながります。
問い合わせ内容を事前に想定できれば、より的を射た対応が可能になります。
そこで、ECサイトによく寄せられる問い合わせの種類を紹介します。
顧客が購入を検討している段階では、商品やサービスに関するさまざまな問い合わせが寄せられます。
特に多いのが、スペックや使い方、価格、契約期間、保証などに関する問い合わせです。
適切に対応するためには、自社商品への理解を深める研修を行ったり、質の高いマニュアルを作成したりして、対応の精度を高めることが欠かせません。
商品やサービスを購入した直後は、配送状況の確認や注文内容の変更、返品やキャンセルといった問い合わせがよくあります。
これらの要望に、迅速かつ柔軟に対応するためには、工場や倉庫、配送業者、金融機関との連携がスムーズに行えるシステムの構築が不可欠になります。
商品やサービスを購入後、一定の時間が経過した後に、クレームや不具合、修理に関する問い合わせが発生することもあります。
特に、クレームへの対応を誤ると、不満が増幅してトラブルに発展する恐れがあるため、十分な注意が求められます。
これを回避するには、対応マニュアルの整備やオペレーターの育成が大切です。
ECサイトへの問い合わせ内容や、その対応方法がわかったとしても、必ずしも実行に移せるとは限りません。
ここでは、運営現場においてありがちな問い合わせ対応の課題について解説します。
問い合わせ件数が想定以上に多く、現場のスタッフだけでは対応しきれないケースです。
問い合わせ内容も多岐に渡るため、場合によっては仕入れ先や生産部門、営業や開発部門など、各所への確認が必要になることもあります。
その結果、対応に時間がかかり、相手を電話口で待たせたり、返答が遅れたりすることで、顧客満足度の低下につながってしまうのです。
対応するスタッフの経験やスキルが一定でないことも、よくありがちな課題です。
スキルが不足していると、時間がかかるだけでなく、誤った対応をしてしまう恐れもあります。
経験豊富なスタッフばかりに仕事が集中する属人化も起こり得るでしょう。
この状況を改善しなければ、経験豊富なスタッフの過重労働だけでなく、優秀な人材が育たないといった事態にもつながりかねません。
問い合わせに関する情報がスタッフ間で十分に共有されなければ、対応品質が下がり、ミスが生じます。
対応状況やプロセスをデジタルで一元管理し、全スタッフに共有できれば、こうしたミスは防止できます。
スタッフ間で情報共有やフィードバックできるミーティングの場を設けるのもよいでしょう。
ECサイトの問い合わせ対応を改善するには、いくつかのポイントがあります。
特に以下の3点に注力すれば、問い合わせへの対応品質向上が期待できます。
ECサイトへの問い合わせでは、初期対応が非常に重要といわれています。
クレームや疑問、修理希望など、どのようなケースでも、最初の対応で曖昧さを残さず解決へ導くことが理想です。
待たされるほど顧客のストレスがたまり、感情的になって話が複雑化する恐れがあります。
そのため、日中は電話対応を可能にしたり、夜間や早朝、休日でもチャットやメールを活用したりして、スピードと正確性を両立した対応を心がけましょう。
クレーム対応では、具体的な解決策を提案することが重要です。
以下のフローが基本となります。
事実確認では、購入履歴や過去のやり取りを参考にし、クレームの背景を正確に把握します。
次に、顧客の要望(返品や交換など)をしっかりと理解します。
最後に、その要望に基づいた解決策を提示し、顧客が納得した時点でクレーム対応が完了します。
問い合わせ対応の質は、現場スタッフのスキルに大きく左右されます。
そのため、研修制度を充実させたり、経験豊富なスタッフが丁寧に指導したりして、新人のスキルアップと育成を行う必要があります。
対応マニュアルは常時アップデートして、最新かつ最良の対応方法を整備することが重要です。
ECサイトへの問い合わせ対応を効率化するには、以下の5つの方法が有効です。
問い合わせ内容は、その都度データとしてストックし、原因を分析のうえ最良の解決策を策定します。
その内容をFAQとして自社サイトで公開したり、マニュアル化して対応に活用したりするとよいでしょう。
クレームは傾向を分析し、商品やサービスの改善につなげることで、クレームの発生頻度を下げることができます。
FAQやヘルプページを充実させると、ユーザーによる自己解決率が向上し、問い合わせ件数を削減できます。
これらのブラッシュアップにあたっては、以下の点に注意します。
チャットボットにFAQの回答をあらかじめプログラムしておけば、24時間・365日いつでも対応が可能です。
AI自動応答は、オペレーターの代わりにAIが電話やチャットで回答します。
問い合わせ内容を学習して対応精度が高まるのが大きな特徴です。
有人対応に比べて顧客の待ち時間を短縮できるので、途中離脱による機会損失を減らす効果を期待できます。
問い合わせ業務をデジタルで一元管理できるのが、問い合わせ管理システムです。
電話、メール、SNS、LINEなど複数のチャネルを一元管理できるため、対応漏れや遅延を減らせます。
他にも、以下のような機能があります。
サービスによって特徴や料金が異なるため、自社にあったシステムを選択する必要があります。
ECサイトの問い合わせ対応は、専門業者に委託することもできます。
具体的には、以下のような業務を任せられます。
問い合わせ対応のほぼすべてを委託可能なため、その分の人的リソースを他の重要業務に割り当てることができる点がメリットです。
ECサイトでは、問い合わせ対応の質が向上すると顧客満足度がアップするだけでなく、リピーター獲得や売上増加、サービス改善といった効果も期待できます。
本記事を参考に、ぜひ自社の課題を洗い出し、効率化する方法を実践してみてください。
画像出典元:photoAC
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