ヘルプデスクはカバーすべき範囲が広く、担当者への負担が大きい業務です。
業務に関する深い知識が必要なのはもちろん、相談者と円満にやり取りするためのコミュニケーションスキルも求められます。
ヘルプデスク業務が自社のリソースを圧迫していると感じたら、アウトソーシングを検討しましょう。
本記事では、アウトソーシングできるヘルプデスク業務やアウトソーシングのメリット、さらにはアウトソーシング先の選び方について紹介します。
ヘルプデスクをアウトソーシングすれば社員の負担を減らせる上、業務の品質向上・効率化を実現しやすくなりますよ。
このページの目次
ヘルプデスクの業務負担軽減を考えたとき、アウトソーシングという選択肢があります。
ヘルプデスクのアウトソーシングについて、概要を紹介します。
アウトソーシング(Outsourcing)とは、いわゆる「外注」です。業務の一部を外部事業者に発注し、委託することをいいます。
近年は、テレワークの普及やデジタルトランスフォーメーションの推進により、企業内での業務分担の明確化・業務整理が進んでいるといわれます。
多くの企業は業務効率化・スリム化を図るため、アウトソーシングの活用を本格化させました。
アウトソーシングの普及に伴い、対象分野の裾野はますます広がっています。
ヘルプデスクのアウトソーシングを請け負う企業・個人も増加しており、自社に最適なサービスを探すのは難しくない状況です。
ヘルプデスクをアウトソーシングした場合、主に以下の運用形態があります。
常駐型とは、アウトソーシング先の企業が業務専門の担当スタッフを派遣して、常駐しながらサービスを提供するスタイルです。緊急性の高い事案・イレギュラーな事案への迅速な対応が期待できます。
一方、センター集約型とは、アウトソーシング先の企業に電話・メール等を直結させ、サービスを提供してもらうスタイルです。自社に業務用のスペースを確保する必要がなく、まさに業務を丸投げできます。
このほかに「365日・24時間対応型」などもあるので、自社のニーズに合わせて選びましょう。
一口に「ヘルプデスク業務」といっても、内容は多岐に渡ります。ヘルプデスク業務でアウトソーシングできるのは、どのような業務なのでしょうか?
アウトソーシング可能なヘルプデスク業務について、詳細を紹介します。
社内ヘルプデスク業務とは、社内のIT環境に関する質問・トラブルに対応する業務です。
ヘルプデスクに寄せられる問い合わせは、主に「ローカルに関するもの」「サーバーに関するもの」「ネットワークに関するもの」に大別されます。
質問の内容は、「PCの扱い方」といった簡単なものから「サーバーの運用保守」といった専門的なものまでさまざま。対応する社員には幅広い知識が求められます。
アウトソーシングを活用すれば、全ての社内ヘルプデスク業務を一括で委託可能です。常駐型・センター集約型のどちらでも対応できます。
顧客からの質問・トラブル相談の内容について確認し、速やかに担当部署に回す業務です。
顧客からの問い合わせを一元的に管理することで、多様なトラブル・疑問を迅速な解決に導きます。
アウトソーシングした場合、「受付部分だけを委託する」「テクニカル・製品サポートまで含めて委託する」などの方法があります。
製品やサービスについて、顧客からのIT関連の疑問・トラブル解決をサポートする業務です。
具体的には、ハードウェアの使い方・トラブルに関する質問や、ソフトウェアの操作方法などについて答えます。
関連するハードウェア・ソフトウェアへの深い知見が必要となるほか、顧客の状況を適切に把握するためのヒアリングスキルも必要です。
テクニカルサポート業務についてもアウトソーシング可能ですが、委託先はどこでもよいというわけにはいきません。
ハードウェア・ソフトウェアの知見が深く、スキルのある企業を見極めましょう。
ヘルプデスクのアウトソーシングを検討する企業によっては、「アウトソーシングで人件費をコストカットしたい」と考えるところもあるでしょう。
実際のところ、ヘルプデスクのアウトソーシングには、どのくらいのコストがかかるのでしょうか?
ヘルプデスクのアウトソーシング費用について紹介します。
ヘルプデスクのアウトソーシング費用は、「単なる窓口業務」と「テクニカルサポート業務」では料金が大きく異なります。
ヘルプデスクの料金相場は、業務内容の難易度・業務量に比例すると考えましょう。
以下は、アウトソーシングで月100~1,000件の問い合わせを処理してもらった場合の料金相場です。
実際のところ、ヘルプデスク業務を受注する企業は、具体的な金額を提示してないことがほとんどです。これはつまり、「見積もりしないと正しい金額が算出できない」ということ。
正確な料金を知りたい場合は、まず問い合わせして見積もりを行いましょう。
ヘルプデスクをアウトソーシングした場合、以下の2種類の料金形態があります。
固定型は、月額費用が固定されている料金形態です。問い合わせ方式や件数の上限等については契約で定めるのが一般的で、問い合わせの処理件数が問い合わせの範囲内なら、料金はかかりません。
一方、従量型は問い合わせ件数に応じて金額を支払う料金形態です。問い合わせが多ければ高額になりますが、少ない場合はコストを安価に抑えられます。
問い合わせ数が多い・毎月一定の問い合わせ数がある企業なら固定型、問い合わせ数が少ない・問い合わせ数が月ごとにバラつくなどの企業は従量型がよいでしょう。
業務負担の大きいヘルプデスクをアウトソーシングすれば、自社の業務・経営の効率化を図りやすくなります。
ヘルプデスクをアウトソーシングするメリットについて、具体的に見ていきましょう。
ヘルプデスクをアウトソーシングすれば、問い合わせやトラブル対応に社員を充てる必要がなくなります。自社の大切な人材を無駄遣いせずに済むでしょう。
本来、企業の発展に貢献しそうな優秀な社員は、コア業務にのみ集中すべきです。
しかし社内リソースが不足している場合、優秀な社員をヘルプデスクに回す必要が出てくるかもしれません。
アウトソーシングを活用すれば、負担の大きいヘルプデスク業務は外部リソースに丸投げできます。
優秀な社員をコア業務に集中させることができ、理想的な事業戦略を実現しやすくなります。
ヘルプデスク業務は対象範囲が広い上、緊急性・重要度が高いものが少なくありません。
対応を任された社員は常に緊張を強いられることとなり、肉体的・精神的に疲れやすくなります。
また、問題が解決せずに残業・休日出勤が続けば、社員のモチベーションが下がります。業務負担に耐えられなくなれば、退社を口にする社員も出てくるかもしれません。
ヘルプデスクをアウトソーシングすれば、社員は社内外から寄せられる面倒事に煩わされることがなくなります。「自分が本来すべき業務」に集中できるため、モチベーションは下がりません。
高いレベルで業務を遂行できるようになれば、企業の利益獲得に大きく貢献してくれるはずです。
ヘルプデスクについて「担当部門を作って内製化しよう」と考えた場合、人材の確保・育成のためのコストがかかります。
一定のスキルになるまでには時間もかかり、ヘルプデスクがうまく機能しないこともあるでしょう。
アウトソーシングなら、ヘルプデスクを担当するのは「その道のエキスパート」です。
人材育成のためのコストは、一切かかりません。時期やタイミングに合わせて人員調整もしやすいため、固定的に人員を配置するよりは、安価かつ効率的といえるでしょう。
アウトソーシングの企業は、ヘルプデスク業務について豊富な知識・ノウハウを持っていることがほとんどです。
他社との差別化を図るべく最新のツール・技術を活用している企業もあり、自社でヘルプデスク業務をまかなうよりも、はるかに高品質なサービスを提供できるでしょう。
ヘルプデスクの対応力が上がれば、企業のイメージアップにもつながります。
ヘルプデスクをアウトソーシングした場合、少なからずリスクも存在します。
アウトソーシングを検討する際は、リスクについても理解しておかなければなりません。
ヘルプデスクをアウトソーシングすると、機密性の高い重要な情報まで共有しなければならないケースがあります。
場合によっては個人情報の開示が必要なこともあり、情報が外部に漏れてしまうリスクは高くなるでしょう。
ヘルプデスクをアウトソーシングする際は、「万が一情報漏えいがあった場合、どのようなダメージを被るか」を具体的に想定しましょう。
あまりにもリスクが大きいと判断される場合は、「問題のない部分のみアウトソーシングする」「内製化する」などを検討しなければなりません。
ヘルプデスク業務を外部に丸投げするということは、業務のノウハウが社内に残らないということです。
今後企業が「ヘルプデスクを内製化しよう」と考えたときは、ゼロから始めることとなるでしょう。
ヘルプデスクをアウトソーシングする際は、委託先との密なやり取りが必須です。
問題があればすぐに共有してもらい、自社内にある程度のノウハウが蓄積されるようにしておきましょう。
先述の通り、アウトソーシング企業の料金形態はさまざまあります。企業の実態にそぐわない契約を結んでしまうと、アウトソーシングでも高額な費用がかかる恐れがあるでしょう。
コストを抑えたヘルプデスクのアウトソーシングを実現するには、適切な現状把握が必要です。
問い合わせが少ないのに高額な定額型を選択したり、問い合わせが多いのに1件が高額な従量型を選択したりするのは避けましょう。
まずは複数社から見積もりを取って、詳細な提案を受けることをおすすめします。
ヘルプデスクのアウトソーシングサービスを選ぶ際は、「この企業のサービスを導入して問題解決できるだろうか」と考えましょう。
信頼性の低い企業を選んでしまうと、後々大きなトラブルになってしまうかもしれません。
ヘルプデスクのアウトソーシングで、チェックしていポイントを紹介します。
ヘルプデスク業務は範囲が広く、自社のニーズとアウトソーシング先のニーズが合致しないケースも少なくありません。
委託先を探す前に「どんな業務をアウトソーシングしたいか」を明確にしておきましょう。その上で、対応してくれそうな企業をピックアップするのがベターです。
アウトソーシング企業によっては、ニーズの高い業務をまとめたプランを提供している場合があります。
また、イレギュラーな業務が多かったりニーズがコロコロ変わったりする企業なら、オーダーメイドプランを提供してくれるアウトソーシング企業がよいでしょう。
理想的なヘルプデスクを実現できるよう、サービス内容の比較・検討は必須です。
アウトソーシングで最も気を付けたいのは、情報漏えいリスクです。
アウトソーシング企業を見るときは、情報管理の方法やセキュリティ対策がどうなっているのかを必ず確認しましょう。
また、情報管理やセキュリティ対策が徹底していても、人による情報漏えいリスクは別問題です。
アウトソーシング企業とコンタクトを取るときは、担当者の態度・口調・考え方等も厳しくチェックしておきましょう。
「だらしない」「いい加減」などと感じられた場合、企業の雰囲気が社員に反映されているのかもしれません。
客観的に見て信頼できない社員がいるところは、避けた方が無難です。
ヘルプデスク業務を任せるなら、実績のある企業の方が安心です。アウトソーシング企業がどのような企業の担当をしてきたのか、チェックしましょう。
実績ゼロの企業よりは、中小規模でも実績が多い企業の方が安心感があります。
ただし、数々の大手企業を相手にしてきたようなアウトソーシング企業は、コストも高額です。自社のニーズ・規模・予算と比較して、バランスのよい企業を瀬宅してください。
一般にヘルプデスクは業務範囲が広く、対応する社員には幅広い知識と知見が必要です。
加えて相談内容は緊急性の高いものが多く、担当社員にかかる負担は大きいといえます。
社員の様子をチェックして「業務が回っていない」「ヘルプデスク業務が負担になっている」と感じたら、現在の業務分担を見直してみることをおすすめします。
人材不足の企業では、ヘルプデスクを無理に内製化するのは悪手です。アウトソーシングを活用して切り離してしまった方が、社員にムダな負担をかけずに済むでしょう。
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