海外ハイブランド勢力図!三大勢力と独立系の関係や日本アパレル勢も解説

海外ハイブランド勢力図!三大勢力と独立系の関係や日本アパレル勢も解説

記事更新日: 2022/11/07

執筆: 大山直美

誰しもが憧れる世界のハイブランドその裏に巨大勢力図があるのをご存知ですか?

私はヴィトン派!ディオール派!など、お気に入りのブランドがあるかと思いますが、実は、その多くは「同じブランドグループ」の仲間だったりするのです。

この記事では、ルイ・ヴィトン、グッチ、カルティエを代表とした三大勢力独立系の勢力図を、売上規模や特徴・強みなどと合わせて解説します。

グループ戦略の成功・失敗例に加え、H&M、GAPなどの海外アパレルSPA勢、日本のファッションブランドの関係性なども紹介していきますので、ぜひご参考になさってください。

ブランドグループとは?

有名ハイブランドの多くは、元々は1人のデザイナーや工房から立ち上がった独立した企業です。

しかしながら、1990年前後、銀行や投資会社保有のブランド株が多数売りに出され、そこに経営陣の陣取り合戦が相まって、大規模なブランド買収戦が起きました。

そして現在、海外ブランドには、3つの巨大コングロマリット(グループ企業体)が存在します。

ブランドグループ名 代表的な保有ブランド
LVMH LOUIS VUITTON、クリスチャン・ディオール、FENDI など
ケリング GUCCI、サンローラン、BOTTEGA VENETA など
リシュモン カルティエ、ピアジェ、クロエ など


コングロマリットとは、多業種の企業が買収や株式取得などにより繋がった一つの"企業集団"です。

上記の各グループも、ファッションだけでなく、時計や酒類など、多数のブランドを抱えています。

それでは、各グループを形成するブランドについて詳しく見ていきましょう!

世界三大ブランドグループの勢力図

世界三大ブランドグループ(LVMH、ケリング、リシュモン)と、それをとり巻くブランドの構図は以下のとおりです。

はじめてこのグループ構造を見た方には驚きかと思うのですが、実は、ルイ・ヴィトンとティファニーとタグ・ホイヤーとドン・ペリニヨンは、同じグループの傘下なのです。


売上高でみると1位のLVMHは8兆円超と圧倒的で、2位のケリングの約4倍です。

また、保有ブランド数も、LVMHは60種以上あり、ケリングの約10種を大きく引き離しています。

三大グループに含まれるブランド数は約100種で、街中のブランドはこの3グループにほぼ集約されているともいえるでしょう。

では、各グループはどのように形成され、どのような特色があるのでしょうか。

LVMH

画像出典元:LVMH公式HP

世界最大のブランドグループLVMH。LVMHとは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの略です。

1987年に、ルイ・ヴィトン社とモエ・エ・シャンドンを手掛けるモエ・ヘネシー社の合併により生まれました。初めは、レザー×ワインだったのです。

主要株主は、実はクリスチャン・ディオール(41.1%保有)で、そのオーナーである「フランス・ファッション界の帝王」ベルナール・アルノー氏が積極的なM&Aにより事業を拡大させ、35年に渡り経営を率いています。

アルノー氏は2021年のForbes世界長者番付で3位の大富豪で、現在73歳でありながら、80歳まで続投可能な決議を通すほどパワフルな人物としても知られています。

■特色
保有ブランド数は約60種、レザー、酒類、ジュエリー、時計、香水など幅広い
日本ブランドKENZO、スーツケースで有名なRIMOWAも傘下
免税店のDFSも買収し、販売網にも強み
デザイナーを変えるタイミングや話題作りが上手い
アジア地域の売上高が40%を占め、近年はアジア系モデルの起用も多い

 

 

 

ケリング

 画像出典元:ケリング公式HP


ケリング(KERING)は、世界第二位のブランドグループです。

流通業の大手企業群のオーナーであるフランソワ・アンリ・ピノーが設立したブランドグループPPRが商号変更して今に至ります。

PPR時代には、LVMHと「グッチ」買収の争奪戦を繰り広げ、結果グッチを手に入れたことで、現ケリングは第二位の地位を得るに至りました。

2007年には、プーマを買収し、ブランドグループ内では珍しいスポーツブランドの育成も手掛けていましたが、ラグジュアリーにフォーカスするため2018年に手放しました。

■特色
保有ブランド数は10種、レザー、ジュエリー、時計のほか、アイウェアも扱う
・ 2022年秋から、傘下全てのブランドで毛皮を使用しないと発表し話題に
税務問題が度々あり、グッチ、ボッテガへの追徴課税で約2,000億円を支払う
・ 若手ブランドの発掘が上手く、ステラマッカートニーもケリングに育てられた
・ グッチはミケーレ氏の就任以降復調し、近年ビリー・アイリッシュなどZ世代にも人気

 

 

リシュモン

 画像出典元:リシュモン公式HP

リシュモン(Richemont)は、世界第三位のブランドグループです。

南アフリカの実業家ヨハン・ルパートによって1988年にスイスで設立されました。

スイスの高級時計ブランドを中核に、ジュエリー分野にも強いといわれています。

2010年代はじめはウォッチ・ジュエリー市場の低迷の影響でリストラなども行われましたが、近年は復調し、2021年度はコロナ前超えの決算となりました。

■特色
保有ブランド数は約20種、ジュエリー、時計、ファッションブランドも
高級筆記具のモンブランも傘下
ECプラットフォームとのパートナーシップにも積極的で6社が傘下
ブランド間での成功事例の共有や人材移動にも近年乗り出している
・ 中国・台湾での業績が特に好調で2桁成長を続けている

 

 

独立系ブランドの概況

有名ハイブランドの多くが、世界三大グループの中に属している一方で、グループに入らず、単独でも知名度・収益を高く維持できている独立系ブランドも複数あります。

独立系最強のシャネル

 画像出典元:シャネル公式HP

「シャネル」は、1909年、ココ・シャネルが創業した、フランスのファッションブランドです。

古い伝統に捉われず、働く女性向けの服をデザインした歴史的な物語をご存知の方も多いでしょう。

歴史や知名度だけでなく、売上高も最強で、シャネル単体で約2兆円(21年12月期)の規模があり、これは最大のブランドグループLVMHの筆頭ルイ・ヴィトン単体よりも実は大きいそうです。

売上高が高い理由の一つに、シャネルはファッションだけでなく、収益性の高い化粧品ラインも強いことが挙げられます。

ケリングが近年、ビューティー市場に本格参入すると発表しましたが、これも独立系最強のシャネルの勝ち筋に倣ってのことかもしれません。

買収へは徹底抗戦のエルメス

 画像出典元:エルメス公式HP


「エルメス」は、ナポレオン3世に提供する馬具工房から始まった創業185年の老舗ブランドです。

そのブランド的価値ゆえ、2010年代初頭、LVMHからの買収の危機もありましたが、エルメスはこれに徹底抗戦し、4年間に渡る攻防の末、法廷で和解しました。

一方で、エルメス独自の買収戦略として、そのブランド価値を守るため、帽子を発注する工房や食器や靴のメーカーとは資本関係を結んでいます。

なお、ブランドアイコンでもあるバッグ「バーキン」は、イギリス出身の歌手ジェーン・バーキンと、偶然飛行機で隣の席に座った5代目社長が、彼女がボロボロの籠バックに物を詰め込んでいるのをみて何でも入るバッグをプレゼントさせてほしいと提案したことに由来するそうです。

グループを移動したステラマッカートニー

 画像出典元:ステラ・マッカートニー公式HP


ビートルズのポール・マッカートニーの娘であるステラが創業した「ステラマッカートニー」。

正確には現在独立系ではないのですが、グループ戦略の渦中で独自の道を進んでいるブランドの一つです。

元々は第二位のケリンググループに17年間所属していましたが、「次のステージに進むため」として2018年に独立。

しかしそのわずか1年後に、第一位のLVMHの傘下となったことが話題になりました。

サステナビリティを信念とし、バッグやウェアなどその製品の全てに、動物由来の皮革を使用していない点も、現代的ファッションブランドとして注目されています。

 

ブランドグループの成功例・失敗例

ブランドグループに入れば、資金面での安定や戦略面でのバックアップなど、多数のメリットを受けることができます。

しかしながら、全てが上手くいく訳ではなく、グループに入ったことで成功したブランドもあれば、グループ戦略の中で失敗したブランドもあるのが現実です。

この章ではその例を幾つか紹介していきます。

ボッテガの復活

 画像出典元:ボッテガ・ヴェネタ公式HP


「ボッテガ・ヴェネタ」は、レザーを細長く切って編み込む独自技法、イントレチャートを施した製品が人気のあるイタリアの革製品ブランドです。

『自分のイニシャルだけで十分(When your own initials are enough)』がブランドテーマでもあり、その網目模様からボッテガだ!とはわかりますが、商品にロゴを施さないのが特徴的です。

しかしながら、1980年代、当時の経営陣が『BV』というロゴを施したラインナップに刷新したことでブランドの勢いが急落、2001年、ついに経営難に陥っていたところを、ケリングが買収して立て直しを図りました

エルメスなどで活躍していたトーマス・マイヤーをディレクターに置き、ロゴなしのデザインへ回帰し、さらにラグジュアリー化戦略を図ったことで大復活に成功。

現在、マイヤーはボッテガを去りましたが、新ディレクターのダニエル・リーが生み出すコレクションは2020年頃から「#newbottega」とSNSで若い世代に人気となり、新たなムーブメントを生んでいます。

 

SNS投資・インフルエンサー獲得

ブランドマーケティングにおいては、その商品力ももちろん大切ですが、ブランドの世界観や、アイテムを持つことで得られる付加価値を、いかにプロモーションするかが重要です。

特に現代においては、デジタルマーケティングにどれだけお金をかけれるかが勝負です。

今や、影響力のあるインフルエンサーにスポンサー投稿をしてもらうには、1本数百万円単位の金額がかかりますし、そうなると資金力のあるブランドが有利なのです。

LVMHも、その収入の11%程(8千億円規模)をマーケティング予算に割いており、その半分がデジタルメディアに配分されているそうです。

・ルイ・ヴィトンのTikTokチャンネルが開設1年ほどでフォロワー数100万人を獲得
・K-POPグループBlackpinkのメンバーをティファニー、ディオールのブランドアンバサダーに

このような施策は、大手ブランドグループだからこそなし得た成果といえるでしょう。

プラダの買収策と手放し

今現在、プラダグループは、主要なプラダ、ミュウミュウ含め、6ブランドの比較的小規模のブランドグループです。

しかしながら、かつて1990年代には、大規模な買収戦略に乗り出し、グッチ、ヘルムート・ラング、ジル・サンダー、また、LVMHと共同でフェンディを傘下に収めるなど強気のM&Aを進めていました。

しかしながら、その後、経営難に陥り、それらをほとんど売却。多角化路線を変更し、現在の形に至ったのです。

また、プラダは、創業から100年以上の長きに渡り、同族経営を続けている珍しいブランドグループでもあります。

ナイロンバッグの大流行後には一時低迷もしましたが、近年、高級路線への回帰で復調したこともあり、2021年時点では「一族による経営を今後も維持していく考え」を表明しています。

その他のファッション業界勢力図

海外高級ブランドグループだけでなく、国内外のファッション業界には複数のグループ企業や、その勢力争いがあります。

この章では、注目すべき勢力図をみていきましょう。

四大アパレルSPA

ファッション業界の四大SPAをご存知でしょうか?

SPA=Speciality store retailer of Private label Apparelの略で、商品企画から生産、販売までのすべての工程を一貫して行う企業のことです。

そのビジネスモデルを活かし、最新トレンド商品を低価格ですぐに展開させるファストファッションブランド勢力が急拡大し、世界を凌駕する四大勢力となりました。

具体的なブランドとその売上高順位は次のとおりです。

順位 グループ名 (主要ブランド名) 売上高
1 インディテックス(ZARA) 3兆6000億円
2 H&M 2兆3876億円
3 ファーストリテイリング(ユニクロ・GUなど) 2兆1329億円
4 GAP 1兆9000億円

*売上高は各社22年10月時点での直近年度決算より(参照:WWDJAPAN Podcast 記者談話室

世界最大のSPAファッショングループはスペインを拠点とするインディテックス(ZARA)です。

2位のH&Mとともにファストファッションを代表するグループとして知られています。

2社とも傾向は似ていますが、生産方法については、H&Mは、賃金の安い国で生産して世界各地に輸送するのに対し、ZARAは本社スペインや近隣国での生産にこだわる点が異なります。

GAPは長らく世界3位のブランドでしたが、2017年に海外事業の伸びが顕著なファーストリテイリングがそれを抜き話題になりました。

なお、H&Mとファーストリテイリングの売上高は、世界高級ブランドグループ2位のケリングとほぼ同じ額です。

ナイキvsアディダス

 画像出典元:ナイキ公式HP

ナイキとアディダスは2強のように語られることもありますが、どちらが大きいのでしょうか?

売上高世界一位のブランドは「ナイキ」で、1990年から現在まで世界1位の座を守り続けています。

その額は約4兆3,000億円(22年5月期)で、これは、世界のブランドグループ、ケリングやリシュモンの約2倍、ZARAよりも5,000億以上大きいです。

それをNIKEのみで達成するのですから、そのブランド力の強さがわかるかと思います。

実は、売上高でみると大きな差があり、アディダスは約2兆7,000億円(21年12月期)で、ナイキとは1.5倍の開きがあります。

ナイキは早くよりDX化を推し進め、アプリによる直販モデルを確立できていたことから、転売対策やコロナ禍の影響にも強かったことも功を奏しました。

スニーカー市場は、コラボモデル合戦・SNS戦略など注目キーワードが多いので、今後も、両者の戦いを注視していきたいですね。

国内アパレルグループ

国内ファッションブランドの勢力図はどうなっているのでしょうか?

圧倒的1位なのは、前述の国際的SPA企業「ファーストリテイリング」ですが、2位は意外にも「しまむら」で、3位に2倍以上の差をつけています。

順位 ブランド名 売上高
1 ファーストリテイリング 2兆1329億円
2 しまむら 5,836億円
3 アダストリア 2,015億円
4 ワコールHD 1,728億円
5 ワールド 1,713億円

*売上高は各社22年10月時点での直近年度決算より

「しまむら」は、2009年ごろ益若つばささん発信の『しまラー』効果で若者への知名度を獲得し、その後もPB商品やコラボアイテムなどで堅調に業績を伸ばしています。

その次に、グローバルワーク、ニコアンドなどを展開する「アダストリア」、インナーウェアの大手「ワコールHD」が続きます。

アダストリアに比べブランド数が多く、少し高価格帯のアンタイトル、インディヴィなども展開する「ワールド」は、経営不振が続き2021年には最終赤字となっていましたが、ブランド閉鎖などにより2022年は黒字化に成功し、売上高順位も5位となりました。

なお、近年アパレル分野が堅調のワークマンの売上高は、全アイテム合計で1,058億円と、10位圏内に迫ってきているので、老舗アパレルグループ各社と新勢力の攻防が今後も予想されるでしょう。

まとめ

この記事では、ブランドグループの勢力図を、国内外の様々な視点で解説しました。

自分が好んで使っているブランドが、実は意外なブランドと同じグループであったなど、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

SNSの普及や、EC購入の比率が増えたことで、各ブランドの経営戦略は新たなステージを迎えています。

業界の勢力図も年々変化していきますので、今後の動きにもぜひ注目していきましょう。

 

画像出典元:o-dan

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