Salesforce中心の業務設計で倍増したリード数に対処!IT活用事例(株式会社Holmes)

Salesforce中心の業務設計で倍増したリード数に対処!IT活用事例(株式会社Holmes)

記事更新日: 2020/06/04

執筆: 吉田ひかる

社内の契約業務全般を最適化する契約マネジメントシステム「ホームズクラウド」を展開している株式会社Holmes。

ホームズクラウドは設立わずか3年目・社員数50名という規模で、三菱地所やTOTO、高島屋など幅広い業界で導入されており、順調な成長を続けています。

今回はそんなHolmes社が「どのツールにどれくらいの費用をかけて、どう活用しているのか」去年の夏にHolmes社に入社するや否やSalesforceをはじめとする社内ツールの仕組み化・再構築に大きく貢献した井上陽介さんに取材しました。

設立初期にツール構成を基盤化

ー早速ですが、Holmes社で営業活動にしている活用ツールとそれぞれの活用方法について教えてください。

設立初期から「Salesforce」を営業管理システムの主軸にしつつ、MAツールである「Pardot」を組み合わせてリード管理や商談管理を行っていました。徐々に、さらなる生産性向上を図るべく、名刺管理ツールの「Sansan」や、Salesforceが提供しているBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)の「Einstein Analytics(アインシュタインアナリティクス)」も活用するようになりました。

 

ーなるほど。では、それらのツールはどのように連携させているのでしょうか?

Salesforceを軸として、Pardot・Sansanを連携させています。さらにEinstein AnalyticsへはSalesforceとホームズクラウドをつなげて、両方のデータを流し込みつなげて見ています。

ツール連携のイメージ

ホームズクラウドから流しこんでいるのは、お客様がどのくらいホームズクラウドにログインしているのか、どの機能をよく活用しているのか、逆にどの機能は使われていないのか等のアクティビティデータです。それによってお客様の活用状況を可視化し、カスタマーサクセスの業務につなげています。

Salesforceのアカウントは営業本部(マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、イネーブルメント)のメンバーには全員に持たせています。

またSalesforce上では営業関係の管理のみならず売上の管理やお客様から寄せられた要望の管理についても行っているため、一部管理部門や開発部門のメンバーにもアカウントを持たせています。

ーSalesforceはいつから導入していたのですか?

弊社は2020年4月より設立4年目を迎え社員数も50名以上に拡大したのですが、設立当初のまだ社員数も数名しかいない状態のときにSalesforceを導入いたしました。

 

ー最初から導入しているのは珍しいですね。なぜですか?

もともと代表がSalesforceにすごく興味を持っていたのが大きな理由ですね。会社としてもベンチマークとしておいていたようです。

また、こういったプラットフォームとなるサービスについては導入できるのであればなるべく早いタイミングで導入し、基盤作りを進めていくのがいいと考えています。

完璧なフォロー体制でリード数の倍増に対処

ーそれらの組み合わせで、具体的にどのような効果が出たのでしょうか?

ありがたいことにHolmesにお問い合わせいただく件数が日々増加しておりますが、このリード数の急増にも対応できているのはこのタイミングで営業プロセスの「仕組み化」をしたからだと考えています。

2019年10月にとある大規模な展示会に参加しました。計3日間のイベントだったのですが、その3日間で前四半期に獲得したリードとほぼ同等のリード数を獲得することができました。

展示会にお越しいただいたお客様に対してどれだけ早くフォロー対応ができるかどうかというのがその後の商談化につながる鍵になると考えています。

そこで新たにSansanを導入し、展示会で獲得した名刺はその場で即スキャナでデータ化、Salesforce・Pardotへと連携を行いました。

そしてPardotのEngagement Studioによって翌日の営業開始時間には自動的にメールが送られるという仕組みを構築しました。

自動フォローで送られたメールをお客様が開封やメール内のURLをクリックした際に、インサイドセールスへと通知が飛ぶ様にしていたので、電話対応も即時行うことができました。

SF Pardotを使った”エンゲージメントスタジオ”の設計イメージ画面

 

ー営業を仕組み化するだけでここまで違うのですね。ちなみに、リードが倍増したことによって成約率はどう変化したのでしょうか?

大規模な展示会となってしまうとどうしても母数もかなり増えてしまうので全体の獲得リードに対する成約率でいうと大きく変化はなかったですが、今回目星をつけて初動対応したリードについては明らかに商談率は高くなっていました。

これも事前にしっかりと体制作りをした結果だと思います。

いずれにせよ、展示会等のイベント開催を行うにあたってはフォロー体制を事前に設計・構築しておくことは必須であるといえます。

Salesforce導入を成功させる秘訣と課題

ーSalesforceを活用するには慣れや経験が必要だというイメージがありますが、今後導入を検討している方々はどうしたらきちんと活用できると思いますか?

Salesforceに限らずの話ではあるのですが、何事もツールを導入する際は業務設計を先に行い、そこからツールに落としこんでいくということは非常に重要だと思います。

そして何よりも社内の人が積極的にツールを触り詳しくなることが大事です。

システム構築・導入となると外部のベンダーに依頼して行うことも多いかと思いますが、そうなると中の仕組みがブラックボックス化しかねない。決して外部に委託することが悪いことではないのですが、可能であれば自社内で業務設計を行い、中の仕組みや動きを把握しておくのがいいと個人的には考えています。

 

ーそんな中で、御社が導入を成功させた秘訣は何だと思いますか?

2点あると思います。

1点目はやはり、ツールに精通した人間を社内に置いたことだと思います。

私はもともとSalesforceの導入コンサルタントをしておりました。

なので、きちんと業務フローに沿った仕組みになっていなかったところや社内の人から要望を受けた箇所については自分で考えて自分で実装することができます。社内でPDCAを回しやすい状態にあったため、どんどん活用が進んでいったんではないかと考えています。

2点目は、システムに業務を合わせにいくという考え方が社内に浸透していたからかなと思います。

SaaSのプロダクトは、いろいろな会社の様々なビジネスの知見が集約されていると思っています。いわば世の中の会社のベストプラクティスの塊と言えます。そのためSaaSプロダクトが持っている仕組みにビジネスを合わせに行けば自然とビジネスが回っていくのではないかと考えています。

 

ーSalesforceを使用していて、課題に感じることはありますか?

業務上問題が出てきた場合、ツールの方に課題を感じてしまうことはよくあると思うんですが、実はそれツールの問題ではなくそもそもの業務フローの方に問題があるという場合も少なくありません。

弊社の場合は、ツールに課題を感じたときは業務フローの見直しをまず行うという考え方で動いています。まさにシステムに業務を合わせていくという考え方ですね。

一方で、データクレンジングの問題は常に抱えてはいます。

Salesforceを基盤として運用している以上、常に最新の正しい情報がSalesforceに登録されていることが理想ではあるのですが、データの重複や表記揺れがどうしても発生してしまっています。

今は見つけ次第手動で直している状況ですが、この辺りが自動でクレンジングされるといいなと思います。

 

業務効率より顧客視点という新発想でSlackからTeamsへ

ー営業関連以外で、ツールの使い方を工夫しているものはありますか?

コミュニケーションツールとしては現在もSlackを使用しているのですが、ある一時期試験的にMicrosoft Teamsに移行していた時期がありました。

 

ーコミュニケーションツールの移行は全社員にも関わる大きな変化だったと思いますが、なぜ移行したのですか?

弊社のようなスタートアップ業界にいると、コミュニケーションツールといえばSlackが当たり前という印象がやはり強いですが、世間的には、特に大企業では圧倒的にTeamsの普及率の方が高いという声を聞きます。

通常、ツール導入の選定基準は、使用感や見た目を重視するケースが多いと思います。

しかし、私たちHolmesは顧客視点にたって物事を考えるために同じツールであるTeamsへの試験的な移行を決めました。顧客視点だからこそ見えてくる課題があるんではないかと考えていました。

 

ーツールを移行することによってどういった点が異なってくると感じましたか?

SlackとTeamsで大きく異なる点としては、コミュニケーションのオープン度合いにあると考えています。ここがまさしく設計思想の違いになると思うのですが、Slackは基本的にコミュニケーションはオープンに行うべきだという思想のもとに作られていると感じます。

一方、Teamsは大企業によく見られるように縦割りの組織文化をそのままシステムに落とし込んだ形になっているように感じたためクローズドなコミュニケーションが基本となっていると思いました。

使用ツールがそのまま組織文化を作りあげることもあるので、提案の内容もそれを考慮した上で作ることができます。

現在はSlackに再移行していますが、ずっとSlackしか使ってこなかったら上記の違いについて知ることもできなかったと考えると、一時的でもTeamsに移行したことは非常に価値のあることだったなと確信しています。

 

ー費用の観点でSlackとTeamsを比較するとどうでしょうか?

費用について大きくは変わらないと思いますが、TeamsはOffice365を契約していると利用することができるのはかなり大きな点かなと思います。

  

「採用管理も営業活動と同じ」という発想

ー今後、導入を考えているツールはありますか?

先に述べたように、データクレンジング系のツールはあると便利かなとは思います。他は現状特にありません。

ただ、今後ツールの活用方法で新しい挑戦はしていきたいと考えています。例えば、自分の領域とは離れてしまうのですが採用についてもCRMと同じ発想で管理できていけるのではないかと思っています。

営業活動の流れは大まかにいうと「見込顧客獲得→見込顧客育成→商談化→商談交渉→成約」の流れで行われます。

採用管理についても「候補者募集→魅力付→面接→評価→内定」のような流れで行われており、両者のプロセスは非常に似ていることが分かります。

ということは採用管理も営業管理を同じようにCRM的に管理していけるんじゃないかと思っています。

現在、Holmesはコロナウイルスの影響下でも積極的にリモートでの採用活動を行なっておりますので、今後、採用チームとも上手く連携して、そのあたりの仕組み化を検討していきたいと思います。

  

まとめ:株式会社Holmesが使っているツール・サービス

*MA : Pardot

*SFA : Salesforce

*名刺管理 : Sansan

*BIツール : Einstein Analytics

*勤怠管理 : KING OF TIME

*経費精算 : ジョブカン経費精算

*会計ソフト: MF KESSAIマネーフォワード クラウド会計

*採用管理 : ジョブカン採用管理

*契約マネジメント : ホームズクラウド

 

ーやはり契約周りのシステムは自社のホームズクラウドをお使いなのですね。

そうですね、弊社内での契約業務はもちろん全てホームズクラウドを使用して行われています。

 

ー最後に将来の展望を教えてください。

現在「営業管理」といえばやはりSalesforceが一番最初に思い浮かばれると思いますが、同じくらいに、「契約マネジメントを行うのであればホームズクラウド」という認識が世に広まり、実際に多くの企業で導入されていることを目指していきたいです。

 

ーありがとうございました。

吉田ひかる

この記事を書いたライター

吉田ひかる

慶應義塾大学経済学部出身。いろんな人と出会って話をするのが好き。

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