少子高齢化や労働力不足などの背景から、日本でも生産性向上や業務効率化に役立つRPAやマクロなどの自動化ツールの導入が進んでいます。
RPAもマクロも、定型的な業務を自動化する技術という点で似ているように見えますが、実際には様々な違いがあります。
この記事では、RPAとマクロの違いを、それぞれの特徴や適している業務と共に徹底比較していきます!
このページの目次
RPA(Robotic Process Automation)とは?
ソフトウェアロボットを使用し、人間が行う定型的な業務を自動化することができる技術。
データ入力、ファイルの移動、タスクのスケジューリングといった、どんな企業でも発生する定型的な業務を自動化することに適しています。
RPAは、PC上にある異なるシステム、ブラウザ、アプリケーションを横断的に操作ができるため、幅広い業務の自動化ができるという点が大きな特徴です。
RPAを導入するメリットは、定型的な業務の自動化の他に、ヒューマンエラーの削減、業務の処理速度の高速化、業務の精度向上などがあります。
また、最近では人口知能(AI)や機械学習などの最先端技術と組み合わせることで、定型的な業務だけでなく、より高度な業務も自動化できるようになっています。
マクロとは?
特定のアプリケーション内での操作を自動化する機能で、そのアプリケーションに組み込まれたプログラム言語を使って作成される。
特にMicrosoft Excelの自動化に利用されることが多く、Excelのデータ集計、フィルター、分類などを自動化することができます。
マクロとセットで良く耳にするExcel VBAは、Excel上でマクロを作成するためのプログラミング言語のことです。
マクロはRPAとは違い、特定のアプリケーション上でのみ機能するため、異なるアプリケーションを横断的に自動化することはできません。
マクロはRPAと比較して、より単純なタスクの自動化に利用されるものの、プログラミング言語を使って作成する必要があるため、ある程度ITの素養を持っていないと使いこなすことが難しい側面もあります。
RPAとマクロの違いは、以下のような点が挙げられます。
RAP | マクロ(Excel) | |
自動化範囲 | 複数のシステムに対応可能 | Excelのみ |
開発難易度 | 低~高い | 高い |
大量データ処理速度 | 速い | 遅い |
コスト | 幅広い(数万~数十万円) | 安い |
拡張性 | 高い | 低い |
RPAは、複数の異なるシステムやアプリケーションを横断して自動化することが可能です。
例えば、Excelに登録した顧客情報をCRMに登録する、Webサイトからデータを収集しExcelに入力するなど、ツール毎に範囲は異なるものの複数のシステムやアプリケーションを横断して作業する業務を自動化できます。
一方マクロは、特定のアプリケーション内の自動化に限定されます。
例えば、Excelであれば同じVBAを利用できるMicrosoft Office内での作業の自動化にとどまります。
RPAは、ノンプログラミングで開発できるツールが多数あり、ITバックグラウンドのない初心者であって開発に参加できる難易度の低いものが多いです。
特に視覚的でわかりやすいUI、操作を録画するだけでスクリプト作成してくれるものなど、使いやすいツールが多数提供されています。
一方マクロは、Excel VBAなどのプログラミング言語を利用して開発するため、RPAと比較すると開発の難易度は高めになります。
RPAは、サーバー型やクラウド型のものは、大量データを高速で処理できると言われています。
これは、RPAが複数のタスクを同時並行でで実行することができるためで、大量のデータを処理する場合でも、比較的短時間で処理を完了することができます
一方マクロ(ここではExcelVBA)では、そもそものPCのスペック、関数の使用量、画面表示の切り替えなど様々な要素が組み合わさると遅くなる傾向にあります。
現在は、PCの性能向上により、大量のデータを処理する場合でも、RPAとマクロのどちらを使用しても処理速度に大差が生じないケースもあります。
どのような業務を自動化したいのか、そのデータの種類や処理方法、使用するPCのスペックなどを考慮して自動化ツールを選択する必要があります。
コストに関しては、RPAはデスクトップ型、サーバー型、クラウド型など種類も豊富で、それぞれ初期費用と月額費用を払う形のものが多いです。
RPAの価格帯は、月額数万円のものから、初期費用も月額費用も数十万円かかる高度なものまで幅広いです。
一方、マクロに関しては、Excelマクロであれば、Excelさえあれば元から搭載されている機能のため、Excelのサブスクリプション代(1ユーザー税込715円/月~)のみ支払えば利用できます。
RPAは、繰り返し同じ手順で行うルーチンワーク(例えばデータ入力、ファイルの移動、電子メール送信)、異なるシステム・アプリケーション間の大量のデータ収集、変換、移動などの業務に適しています。
【RPAに適した業務の事例】
編集部に寄せられた様々なRPAツールに対する多くの口コミの中から、実際にRPAをどんな業務に導入したのかの事例ご紹介します!
IT
251人〜500人
交通費のワークフロー入力の自動化
出張の際の交通費のワークフローを作成する際の手順を自動化した際に、入力する項目の数を変更するなど柔軟に変更できてその変更も数分で反映されたので、助かりました。
IT
251人〜500人
各店舗の売上情報の送信・計算・発注の自動化
それぞれの店舗から送ってもらった売り上げの情報をまとめて計算する過程を自動化して、グラフなども含めて書類にまとめられるようになるところが決め手となりました。自社製品の売り上げの情報の送信はもちろん、店舗に並べる自社製品の発注も自動化できてミスなく商品の仕入れを行えるようになります。
IT
101人〜250人
年末調整書類の自動化
年末調整などの複雑な業務も自動化できるようになるところです。税金の計算式を登録して入力するまでの作業を自動化できて、年末調整に必要な資料をより短期間でミスなく作成できるようになるところが決め手となりました。
各RPAツールに寄せられた口コミを見ると、やはり会計・経理、人事など管理部門の業務を自動化しているケースが多かったです。
逆に言えば、RPAでできることは、現時点だと管理部門の業務が多いということが言えます。
一方マクロは、主にExcelなどの表計算ソフトウェアにおいて、数式や関数、フィルタリング、並べ替えなどの操作を自動化するのに適しています。
また、特定のファイル形式やデータ形式に合わせた処理を行うことも得意です。
【マクロに適した業務の事例】
マクロ(VBA)は、基本的にMicrosoft Office製品の自動化という限定的な範囲があります。
自動化したい業務がMicrosoft Office製品がメインであればマクロでOKですが、その他のシステム・アプリケーションと横断的に自動化したい場合はRPAを選択しましょう。
マクロはPCの性能を超える大量データの処理や含まれる関数の量などによって、処理速度に影響が出ると言われており、一般的には大量データの処理が発生する業務を自動化するならRPAの方がおすすめです。
一方、マクロは、大量ではないデータの数式や関数などの演算処理を自動化したい場合にはスムーズに行えるのでマクロを選ぶのが良いでしょう。
マクロはVBAというプログラミング言語を使って構築される機能であるため、ある程度プログラミングスキル・知識がないと使いこなすまでに時間がかかります。
一方RPAは、動作を録画するだけで自動でスクリプト(指示)作成してくれるツールもあるため、もし社内にIT担当者やプログラミング知識があるスタッフがいないという場合は、RPAの方がおすすめです。
サポート体制も、業務自動化には非常に重要な要素で、Microsoft365(Office含むMicrosoft製品のパッケージ)の場合は24時間年中無休で電話・オンラインのサポートがついてきます。
一方RPAは、ツールによって英語のみのサポート・FAQのみのものから、ヘルプデスクや代理でスクリプト作成してくれるサービスがあるものまでまちまちです。
トラブルが発生した際に、どの程度のサポートが受けたいのかもきちんと社内で確認し、適当なものを選びましょう。
自動化の作業を行うのは少人数で、コストは当面はかけられないということであれば、価格が安いのはマクロの方です。
現在、一般法人向けのMicrosoft365の料金プランは、最もシンプルなもので1ユーザー税込715円/月から利用できます。
一方RPAは、ツールによりコストは幅広く、月額数万円のものから、初期費用も月額費用も数十万円の高額のものまであります。
何人でどのような業務を自動化したいのかにもよりますので、事前に見積もりを取った上で検討しましょう。
ここまでみていくと、初心者でもある程度使いこなせる、複数のシステムやアプリケーションを横断的に自動化できる、大量のデータを処理するのにも適しているという点で、RPAは一度試してみても良いなと思う方も多いと思います。
ここからは、無料トライアルで試せるおすすめのRPAツール5選をご紹介します。
WinActorは、Windows端末上のアプリケーションの操作を学習し、自動実行するソフトウェア型ロボット。
利用できるアプリケーションに制限はなく、あらゆる業務を自動化します。
Windows上で操作可能なアプリケーション、個別の業務システムを利用した業務をシナリオ(ワークフロー)として学習し、ユーザのPC業務を自動化します。
国内で開発されたパッケージのため、日本語でのサポート体制に優れ、安心して利用できます。
NTTアドバンステクノロジーが開発、グループで長年利用し、ノウハウが詰まったソリューションということで信憑性も高いです。
料金は企業の要望をヒアリングした上で決定されます。
下記資料請求ボタンからWinActorの資料をダウンロードすることが出来ます。詳細をご確認ください。
【無料】WinActorを含むRPAの資料を一括ダウンロード
画像出典元:RoboTANGO 公式HP
RoboTANGOは、導入前の目的設定~操作方法の勉強会・シナリオ作成まで充実したサポートが魅力的なRPAです。
売上データ集計・アンケート結果のレポート・給与計算業務などの一般的な事務作業に対応しており、業務の効率化や生産性の向上を図ることができます。
行動をそのままトレースできる録画機能を搭載しているので、RoboTANGOなら初心者にも簡単にロボットづくりができます。
UIPathの最大の特徴は、無料のトライアルが2つ用意されており、気軽に使い始められることです。また、直感的に操作が可能で他のRPAと比較しても使いやすいツールです。
UiPathのロボットは、迅速で正確に機能し、SAPやCitrixといったワークフローを把握し処理していきます。
ローカルだけではなくクラウドまで、またあらゆるアプリケーションからOCR技術まで対処可能です。
60以上の行政機関や民間企業も信頼されているUiPathのプラットフォームを使用しているため、信頼性も高く、安心して利用できます。
ワークフロー総研所長 兼 株式会社エイトレッド 代表取締役社長
ワークフロー総研所長 岡本康広によるUiPathの総評
1994年株式会社ソフトクリエイトに入社。2018年、株式会社ソフトクリエイトホールディングスがM&Aした株式会社エートゥジェイの代表取締役副社長に就任。そして、2019年に株式会社エイトレッド代表取締役社長に就任。2020年よりワークフロー総研所長も兼務。
UiPathは中小企業から大企業まで幅広い企業で利用できるRPA
画像出典元:ASTERIA Warp Core 公式HP
データ連携に強みがあるRPAといえば、ASTERIA Warp Core(アステリア ワープ コア)です。
14年連続国内No1シェア*「ASTERIA Warp」のエントリーモデルであり、シンプルでカンタン操作が特徴です。
ドラッグアンドドロップでアイコンを並べ、詳細設定を選択、というように、マウスベースで簡単にデータ連携処理を設計できます。
GoogleドライブからCSVへ、や、CSVからPCA会計DXへ、といった頻出する処理は「フローテンプレート」として提供されており、すぐに適用することができます。
そして特筆すべきはExcelとの親和性!
Excelアダプターを追加するだけで、ワークシートからのデータ抽出・データ書込みが可能となり、データ集計を自動化します。
日常的な業務をExcelベースで行っていて、月次で複数ファイルからデータを集計・レポートを作成している、といったような企業は、自動化の恩恵を充分に受けることができます。
*テクノ・システム・リサーチ「2ソフトウェアマーケティング総覧 EAI/ESB市場」より
プラン | 月額費用 | 初期費用 | 対象機能 |
Warp Core | 3万円~ | 無料 | 基本機能 |
Warp Core+ | 6万円~ | 無料 | Core機能の他、データベース連携、PDF処理、メール送受信など |
【無料】ASTERIA Warp Coreを含む資料を一括DL
画像出典元:ipaSロボ公式HP
通常業務におけるパソコンのマウス・キーボード操作を画像認識技術により記録し、業務を自動化するのがipaSロボです。
国産のRPAツールで、操作もいたって簡単です。
条件分岐やループ処理のコマンドをセットするだけなので、システム専門部署がない企業でも速やかに導入できます。
あらゆるアプリケーションを自動化するため、ipaSロボがあるだけでパソコンで行うほぼ全ての定型業務の自動化が実現します。
初期費用は0円、基本料金は96,000円〜(実行版は33,000円〜)です。
詳しくは資料請求よりお問い合わせください。
この記事では、RPAとマクロの違いについて解説してきました。
どちらも定型業務を自動化する上で非常に有効ですが、自動化したい業務内容の性質やそのツールを使う人によってRPAの方が適しているか、マクロが適しているか、良く見極める必要があります。
そのためには、両社の特徴をよく理解し、比較検討することがポイントです。
(画像出典元:イラストAC)
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