専務とは?常務との違いや仕事・役割・給料を徹底解説!

専務とは?常務との違いや仕事・役割・給料を徹底解説!

記事更新日: 2022/01/06

執筆: 編集部

専務は「専務取締役」として経営方針の決定等重要な役割を果たす役職となります。しかし、専務は会社法により定められた職位ではないため、その序列など分かりにくい点も多いでしょう。

ここでは専務と常務の違いをはじめとして、専務の仕事や役割、給与など徹底的に解説していきます。

専務とは?どんな仕事をするの?

専務とは「専務取締役」のことを意味し、社長の補佐を担う

「専務」とは基本的に「専務取締役」のことを意味し、社長の補佐を担う役職です。

会社法では企業は経営側と従業員側に分類することができますが、「専務取締役」は「取締役」とあるよう社長や副社長と並んで経営側、役員という立場になります。

つまり企業にとって経営に携わる非常に重要な役職であることが分かります。

経営方針を決定・執行

専務は社長や副社長と共に、経営方針を決定・執行。経営方針を決定するにあたり業務全体の管理を行ないます。

経営方針とは、会社が向かうべき方向性を示したもので、顧客に対してどのようなサービスをどのような姿勢で提供していくのか、それを実現するための方法や考え方です。

経営方針を決めることが会社の戦略を明確にすることになり、社員全員が同じ目標に向かって進むことができるようになります。

専務はこの経営方針を実現するべく、業務全体の指揮や管理を行います。

ナンバー2と呼ばれることも

専務はナンバー2と呼ばれることもあり、現場よりも社長に近い立ち位置で職務を行ないます。

会社にとって最も重要な経営方針を決定したり、業務全体を指揮するといった役割から社長に次ぐ立場となっている人も多いです。

「専務」という役職は、会社法で定められていない

専務は会社法によって定められている職役であるわけではありませんので、どのような業務を行うか明確に決まっているわけではありません。

そのため専務の仕事内容は各企業ごとのルールにより、異なる部分が多いと言えるでしょう。

一般的な役職の順番

これらは一般的な役職の順番であり、すべての企業に共通しているものではありません。役職に関しては会社法により定めがないため、企業によりその順番が異なることもありますので注意しましょう。

専務の役割

専務は社長の補佐として企業全体の業務管理や監督を行います。具体的な仕事内容は、企業により異なります。

企業全体の業務管理や監督

専務は社長から選任された役員として社長の補佐を行ないます。

企業全体の業務管理や監督を行うことで、企業全体を把握し経営における意思決定を行う立場です。専務は取締役として取締役会に参加し、経営に関する決定を行う権限があります。

専務と常務の違い・どちらが上なのか?

専務と常務の違い

専務と常務は、管理する領域が違います。

「専務」が企業全体の業務を管理するのに対し、「常務」は日常業務の執行を管理しています。

常務とは

常務とは「常務取締役」のことを意味しています。

「専務取締役」同様に、「取締役」となりますので、従業員ではなく役員となります。

また専務同様、「常務執行役」や「常務執行役員」が設けられている企業もありますが、「常務執行役員」は役員と名の付くものの、役員ではなく従業員となります。

基本的には専務が上の立場

専務と常務では基本的には専務の方が上の立場となります。

英語でも専務は「senior managing director」、常務は「managing director」と呼ぶことからも、専務が上で常務が下であることが分かります。

しかしどの企業でもトップを意味する法的根拠のある「社長」とは違い、専務と常務は企業によってその立場が入れ替わることがあるため注意が必要です。

これは会社法により職位の順列が定められていないためで、専務と常務のどちらが上であるという明確な規則がないためです。そのため企業ごとに自由に職位を決定することができる仕組みになっています。

そのため一般的に専務が上で常務がその下であることが多いとは言えるものの、企業によってはその立場が逆転していることもあります。

明確な職位の順列はないもののどちらも役員であることに変わりはないため、専務と常務をまとめて「役付き取締役」と呼ぶこともあります。

専務の給料・福利厚生

専務の給料に規定はない

専務が受け取ることができる報酬は厳密に言えば給与ではなく役員報酬となります。役員報酬は、定期同額給付、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれかの方法で受け取ります。

一般的には「定期同額給付」といって、毎月一定の金額を受け取ることが多いです。従業員が毎月一定の給与を受け取るのと同じスタイルです。

従業員の給与同様、役員報酬は企業により異なります。金額については企業の規模や業績等に大きく影響を受けるものですが、その企業の社長よりは少ないものの、従業員と比べると高く、数千万円の報酬を得ている専務も少なくないと言われています。

専務は福利厚生を提供する側

福利厚生とは企業が従業員に対し、健康維持や生活を向上させるために設けた制度のことになります。

この福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つの種類があります。法定福利厚生は健康保険や雇用保険、厚生年金等の社会保障のことで、法定福利厚生は住宅手当や通勤手当、健康診断費などのことです。

このどれもが企業が従業員に対し設けている制度となり、専務(専務取締役・専務執行役)は従業員ではなく役員であるため福利厚生を提供する立場となります。そのため原則的に専務は福利厚生を受けることはできません。

専務には雇用契約がないため労働基準法の適用なし

専務は従業員ではありません。そのため雇用契約が結ばれていません。

雇用契約が結ばれていないということは、労働基準法が適用されません。役員という立場は簡単に言えば個人事業主と同様のものであり、企業と準委任契約を行なっているにすぎません。

そのため職種や従業員数により特別に加入が認められるケースもありますが、基本的には労働災害補償保険も下りません。さらに雇用契約がないということは、仮に失業した場合でも失業保険は下りません。

そのため役員はリスクに備え個人で保険に加入するなど万が一に備えておく必要があります。

専務の種類

専務取締役

単に「専務」と言った場合には「専務取締役」のことを指します。

社長から選任される役職のことで、経営方針の決定などを行ないます。そのため企業全体の業務を管理、監視し、社長の補佐を行ないます。

専務執行役

「専務執行役」は大手企業など従業員数の多い企業で設けられることのある職位です。

「専務取締役」が社長から選任されるのに対し、「専務執行役」は取締役会にて選任されます。職位や職務内容は「専務取締役」と同じです。

企業規模が大きく専務取締役1人で業務を管理し社長の補佐を行うことが出来ない場合に選任されることが多いです。大手企業では複数人の専務執行役がいることも珍しくはありません。

専務執行役員

「専務取締役」と「専務執行役」は役員であるのに対し、「専務執行役員」は役員と名前がつくものの「役員から指示を受ける従業員」のことを指しています。

「専務取締役」を含め執行役や執行役員は必ず企業に設けなければならないものではありませんので、企業によってはその役職自体が無い場合もあります。

まとめ

専務は会社法によって定められた職位ではないため、序列や仕事の内容等は会社ごとに大きな違いがあります。

しかし執行役員会にて会社の経営方針を決定できる権限があるという点は一致しているため、会社にとって重要なポストであると言えるでしょう。

専務は従業員ではなく役員として契約を結ぶため、労働基準法外であり、福利厚生を受けることもできません。そのため一般的に従業員より給与も高くなりますので、自分自身でリスク等に備える必要があります。

画像出典元:Pixabay

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