次長の役割とは?部長・課長との違いや年収・次長止まりの人の特徴

次長の役割とは?部長・課長との違いや年収・次長止まりの人の特徴

記事更新日: 2022/06/27

執筆: 太田繙

次長とは、部長クラスの役職者を補佐する役目を持つ人物です。

地方公務員の場合は、最高クラスの役職者として扱われます。

次長職へ就くには業務経験や能力が必要なので、誰もが昇進できるわけではありません。

昇進したとしても、油断していると「次長止まり」といわれることも

今回の記事では、各組織における次長の立場や役割、年収、「次長止まりの人」の特徴を解説します。

次長とは?

「次長」は、部長(場合によっては課長)クラスの役職者を補佐する役割を持つ人物です。

公務員の場合は、次長クラスが組織の最高役職者になるケースもあります。

まずは次長の具体的なポジションや仕事内容について、「民間企業」「国家公務員」「地方公務員」での立場を解説。

次の表の役職名は「上部ほど立場が上」です。

民間企業では部長と課長の間

役職名 仕事内容
取締役会長 社長へのアドバイザー的な立ち位置。「名誉職」として扱われることが多い。
代表取締役社長 会社業務の全責任を背負う人物。会長は名誉職のため、社長が実務における実質的なトップ。ただし、会長を兼任する場合もある。
副社長 会社内でNo.2の立ち位置にある人物。社長の補佐だが、同等の権限を付与されることもある。
専務取締役 副社長同様、社長代理を務めることもある。
常務取締役 業務を遂行するうえで「現場のトップ」として扱われることが多い。社長補佐を務める場合もある。
取締役 専務や常務(役付取締役)以外の会社経営に携わる人物。平取締役とも呼ばれる。
本部長(事業部長) 本部におけるトップ。経営陣ではないが、経営層に近い考え方や行動が求められる。
部長(室長) 各部門や部署におけるトップ。
次長 部長の業務補佐を担当する人物。
課長 課の従業員および係長をまとめる人物。一般社員にとって最も身近な存在となる。
係長 数名規模のチームをまとめる役割を持つ人物。
主任 係長補佐をしつつ、一般社員をまとめる人物。
一般社員 役職がなく、会社内で最も数が多い。与えられた業務をこなす。


民間企業における次長は、「部長(室長)と課長の間」として扱われます。

部長は経営陣に近い立場にあるため、多くの業務を抱えており多忙です。

多忙な部長に代わって、次長が課長の取りまとめや部下同士の調整役を担当します。

 

国家公務員では官房三課長と部長(統括審議官)の間

役職名 仕事内容
事務次官 国家公務員におけるトップの役職。事務次官より上の大臣などは国会議員しか就けない。「事務方の長」として各部局や省庁を監督する役割を担う。大臣や長官の補佐を行うこともある。
(各省の名称)審議官 事務次官に次ぐ役職。各省に設置されており、「総務審議官」「外務審議官」など省名をつけて呼ぶ。
局長・官房長・政策統括官 省内におけるNo.3としては「局長」が当てはまる。ただし「官房長」「政策統括官」のどちらも、局長に相当するポジションとして認識されているので、同列に3つの役職が並ぶ。
部長・総括審議官 「部長」は民間企業と同じく部署やチームを統括する役割を持つ。「統括審議官」は審議官を管理する役割を持つ。
次長・審議官 部長(統括審議官)のサポート的な役割を担うポジション。政策調整や数名程度のメンバーを統一する役割を担う。
官房三課長 大臣官房に設置されている「人事・総務・会計」のそれぞれの課長職を指す。ひとつの役職名ではないので注意。
課長・参事官 民間企業の課長職に相当するポジション。
室長・調査官・企画官 室長に相当するポジション。事務の分担管理を目的として配置されている。「調査官→調査の役割」「企画官→企画の役割」が割り当てられる。
上席専門官・専門官・課長補佐 「専門官」とは、専門的な役割を分担された分掌官(特定の事務を複数の官で分担する)を指す。例えば、財務専門官や国税専門官がある。「上席専門官」は専門官の上位にあたるポジション。
係長・主査・専門職 部署を統一する役割を担う。
主任 民間企業の主任に相当する役割を担う。
係員 民間企業の一般社員に相当する役割を担う。


国家公務員における次長は、「官房三課長と部長(統括審議官)の間」として扱われます。

管理職としての立場もありつつ、実際の現場におけるメンバーの取りまとめや政策調整を実施することが多いです。

地方公務員では最高クラスの役職

役職名 仕事内容
部長(担当部長) 地方公務員では最高ランクのポジション。重要事項の決定や議会での発言を担当する。
次長 地方自治体によって具体的なポジションや役割は異なるが、基本的には部長に相当する権限を持つ。
統括課長 複数の課を統括する役職。課長(担当課長)を統率する役割を持つ。
課長・担当課長・専門課長 各課を統括する役職。「専門の課を統括する」という意味合いから、担当課長や専門課長とも呼ばれる。
課長補佐 課長を補佐する。
係長・主査・担当係長・次席 地方自治体によって呼び方は異なるが、民間企業における係長相当の役職。
主任 数名のメンバーをまとめる立場の人物。主事よりもやや大きめの仕事を任されるが、業務内容自体に特段の違いはない。
主事 民間企業においては一般社員に相当する。


地方公務員において、次長は「最高クラスの役職」として扱われます。

地方公務員の役職名や具体的な順番は各自治体で異なるため、一概に同じではありません。

いずれの場合も、各課への指示出しや議会対応など幅広い仕事を任されるため、広い視野をもって業務に従事していく必要があるでしょう。

次長の主な3つの役割とは?

次長の主な役割や仕事内容は以下の通りです。

1. 部長(あるいは部長に準じる役職)の補佐

2. 職場環境のチェック

3. 上層部と現場の擦り合わせ

 

1. 部長(あるいは部長に準じる役職)の補佐

次長は、ひとつ上の役職である部長クラスの補佐として動くことが多いです。

部長クラスになると、複数のグループを管理したり、経営層としての働きを求められたりします。

業務が多岐にわたるため、部長はかなり多忙です。

次長は、多忙な部長クラスの人物に代わり、現場の監督や業務調整などを補佐する重要なポジションといえるでしょう。

2. 職場環境のチェック

次長は管理職ですが、部長に代わり実際の現場を監督する役割も担います。

一般社員が働きやすい職場環境を整えるには、次長が現場の実情を知り、上の立場へ伝えることが重要です。

とはいえ、次長が目立ちすぎると課長クラスの人物が動きにくくなります。

目立ちすぎないよう配慮しつつ、現場の社員が動きやすいようサポートすることが欠かせません。

3. 上層部と現場の擦り合わせ

組織内において、上層部と現場では見ている視点が異なるため、意見の食い違いが発生します。

食い違いを放置すると現場社員の不満発生や職場環境悪化につながるため、両方の立場で動ける次長の働きが大切です。

現場には上層部の意向を伝え、上層部には現場の実情や要望を通すことで、両者の意向を擦り合わせて仕事の円滑化を図ります。

部長・課長との違いは?

次長は、部長(および部長に準じる役職)・課長(および課長に準じる役職)の間に位置することが多いです。

両者とは、それぞれ以下の違いがあります。

部長との違いは「現場・上層部の視点を持ちやすい」点

部長は各部門や部署の長ですが、役割としては経営陣に近い点もあります。

経営陣に近い立場のため、現場の実情把握が難しく社員の希望を汲み取れないこともあるでしょう。

次長の場合は、現場のサポートもしつつ経営陣に近い部長の意向も吸収できるため、現場・上層部、双方の視点を持ちやすいです。

お互いの事情を把握できれば、部下のケアもできますし、現場の実情を汲んだうえで部長のサポートもできます

 

課長との違いは「上層部の意向も汲みやすい」点

課長は現場の取り仕切りがメインのため、上層部の意向に触れる機会は多くありません。

上層部の意向を知る機会が少ないので、現場の実情を伝えられずストレスが溜まることもあるでしょう。

次長の場合は、現場で動きながら上層部の意向も汲みやすい立場にあります。

上層部の意向をもとに課長と動くことで、円滑な仕事の流れを実現していきましょう。

 

次長になれる年齢や年収は?

次長になる年齢や年収は、「民間か公務員か」「所属企業の基準や考え」によって異なるため、一般的な数値を紹介します。

次長になれるのは平均40歳ごろ

次長は業務経験が必要なので、入社後15年程度経過してから就くケースが多くみられます。

豊富な業務経験に加えて、本人の能力や実績も必要です。

地方公務員は、次長が最高クラスの役職であり、50代後半で就く人もいます。

年収は700~1,000万円

次長の年収は、700〜1,000万円ほどで推移します。

会社にもよりますが、次長クラスは責任も大きく業務も幅広いため、年収は伸びやすい傾向です。

経営層に近い部長クラスのサポートも兼ねており、現場と上層部、両方の意向を調整する次長の役割は大きいといえます。

「次長止まり」と言われてしまう人の特徴は?

ある程度の能力や実績があれば次長に昇進できますが、以下に該当する人は、より高い役職を目指すのは難しいかもしれません。

1. 責任感があまり持てない

2. 社内コミュニケーションが不足しがち

3. 見ている視座がそれほど高くない

 

1. 責任感があまり持てない

次長は、現場と上層部、両方の現状を把握しつつ動く役職です。

そうはいっても「部長クラスのサポート」なので、仮にミスをしても上司がフォローしてくれます。

上司の存在に頼り、責任感を持たない働き方をしていると、より重責を担う役職には就けないでしょう。

2. 社内コミュニケーションが不足しがち

昇進するには、周囲の信頼を得ながら協力して仕事を進めることが必要です。

社内コミュニケーションをあまりせず、ワンマンで仕事を進める人は、出せる成果にも限界が出てきます。

成果が伴わず、社員とのコミュニケーションを取る努力もなしに、次長より上の役職に就くことは難しいでしょう。

3. 見ている視座がそれほど高くない

次長より上の役職では、経営層に近い役割を求められます。

会社全体に視野を広げる必要があるため、自分の仕事や現場を見ているだけでは昇進できません

次長の段階で、身近な職場環境に目を向けながら、より大きな視野を持って全体を把握するよう意識しましょう。

まとめ

次長は、経営層と現場、両方の視点が求められる重要なポジションなので、昇進には業務経験とそれに見合った能力が必要です。

次長昇進後もできるだけ社内コミュニケーションを心がけ、業務での成果を出していくことで、社内からの信頼も得られ、より重責を担う役職への道が開けます

次長昇進後もさらに上の役職を目指したいという人は、油断せずに広い視野を持ってこの先の業務にあたりましょう。

画像出典元:Pixabay

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