ブランディングとは?正しい意味を完全理解!実践方法や事例も紹介

ブランディングとは?正しい意味を完全理解!実践方法や事例も紹介

記事更新日: 2022/10/12

執筆: 編集部

ビジネス用語として頻繁に出てくる「ブランディング」

基礎用語でありながら、どこか曖昧で認識に差が出てしまうこともしばしば。

そんな「ブランディング」の意味をわかりやすく解説していきます。記事後半では実際にブランディングを実践するために必要な基礎知識もまとめてあります。

ブランディングとは?

つまり一言でいうと?

ブランディングとは、企業が(顧客にとって)価値のあるブランドを構築するための様々な活動を指します。

商品のデザインやロゴマーク、キャッチコピーなどブランドを構成するための要素を磨き上げ、商品の差別化・イメージアップをしていく活動がブランディングです。

そして、「〇〇といえばあの商品」「このマークは〇〇会社の商品だ」という意識を消費者の頭の中、そしてターゲット市場の中に浸透させることがブランディングの目的になります。

マーケティングとの関係性、違い

マーケティングとは一言でいうと「お客さんが商品を買いたくなるような仕組み作り」の事です。

具体的には、ヒット商品を生み出すための商品企画や宣伝広告、売場作りなどがあります。

そのマーケティング活動の中のひとつがブランディングです。

ブランディングをして、他商品との差別化・商品のイメージアップを図る事で「商品を買いたい」と思わせるのです。

マーケティング

お客さんに商品を買ってもらうために行う取り組み全体のこと

ブランディング

お客さんに商品を買ってもらうために、商品の差別化・イメージアップをする取り組みのこと

そもそもブランドとは?

そもそもブランドという言葉の意味を確認しておきましょう。

ブランドとは、形のない価値、消費者が商品に対して持つ共通のイメージ、ということです。

「スターバックス」と聞いたら全員が「あぁ、あのちょっと高めのおしゃれなコーヒーショップね。」と認識する。このように、消費者の中に共通して存在するイメージがブランドなのです。

ブランディングはなぜ必要か


企業のマーケティング活動において、ブランディングは「必ず取り組まなければならない施策」という訳ではありません。

ではなぜブランディングの重要性が謳われているのでしょうか。

それは、ブランディングを行うと企業の販促活動が円滑に回りやすくなるというメリットがあるからです。

ブランディングを実施するということは、お客さんの頭の中に「〇〇と言えばあの商品」というイメージを根付かせるということです。

つまり、そのイメージが浸透していれば多額の広告費用を払う必要がなくなり、その分商品開発や顧客サービスにお金をかけられるようになります。

また、ブランドが確立されれば「価格競争」の波から離れて、あわよくばプレミア価格*で商品を販売することができます。

*プレミア価格とは市場の平均価格よりも比較的高い値段で商品を販売すること

ブランディングが自社に与えるメリットは他にもいくつかあります。

優秀な人材確保

ブランディングで自社の認知度が高まることで、優秀な人材が集まりやすくなります。

取引時の優位性

ブランド力が高いと、取引や交渉の場で優位に立てる可能性が高まります。

ブランド力の高い企業との取引であれば実績に繋がるため、交渉が進みやすくなるからです。

以降は、実際にブランディングするにあたって、知っておきたい基本知識と実践手順を紹介していきます。

ブランドが持つべき価値

実際に「ブランド」に成り上がるためには、その商品(サービス)にいくつかの価値を生み出すことが重要です。

1.機能的価値

これは商品の機能面や品質面での強みの事を指します。

例えば、スマートフォンの新商品では容量が増えたり、液晶部分が大きくなったりというような改善が見られますよね。

これは各社企業の、商品の「機能的価値」を上げるための取り組みと言えます。

しかし残念ながら、機能面だけで競合と差別化するのは非常に困難な事です。

なぜなら、機能面は競合の研究により、いつかは他社に真似されてしまうことが多いためです。

真似されてしまった結果、各社商品が似たり寄ったりの状態になり、最終的には価格競争に巻き込まれかねません。

ただ、この機能的価値は消費者に選ばれるためには最低限必要な要素なので、この価値を高めつつ、以降の2つの価値を見出していきます。

2.情緒的価値

情緒的価値とは消費者の感情に訴えかける価値の事で、Apple製品が良い例です。

Apple製品を使う人の中には「スティーブ・ジョブズの理念が好き」「持っているだけでかっこいい」などの理由で商品を購入する層がいます。

このように「世の中を〇〇にしたい!という想いから作った商品です」といった理念やストーリーを持ち、消費者に伝えることで情緒的価値は生まれていきます。

情緒的価値はいわば「ファン作り」です。

そのブランドに情緒的価値を感じた消費者はファンとなって、同じ会社の商品を継続的に購入するようになります。

その結果、市場の価格競争に巻き込まれず、安定した収入を得られる可能性が高まるわけです。

3.自己表現的価値

ブランドを作るために最低限必要な要素は「機能的価値」「情緒的価値」の2つですが、そのブランドを更に強固なものにするために、「自己表現価値」という価値が重要になります。

自己表現価値とは「〇〇な自分を表現するために商品を使う」という状態の事で、商品自体が「消費者自身」を構成する要素になっているという事です。

これは、特にファッションブランドで表現されやすい価値です。

情緒的価値と少し混乱してしまうかもしれないので、整理しましょう。

・情緒的価値

「その商品を使うとき、私は〇〇な気分になれる」と思わせる価値

・自己表現的価値

「その商品を使うとき、私は〇〇であると思わせる価値

高級ファッションブランドを愛用するセレブ達にはこの自己表現的価値を求めて商品を購入する人が多いと言われています。

相手に対して「私はこういう価値観を持っている」と表明するだけではなく、そのブランドを使っている自分に心地よくなれる、という価値の提供にもなります。

この自己表現的価値を生み出し提供することが、ブランドを長生きさせ、より強固なものにしていくための要素となります。

知っておこう!ブランドを作るための3つの要素

市場・社会の中でブランドを作り上げていくための3つの要素を紹介します。

1.普遍的なイメージ

時代や状況によって変わらない、普遍的なブランド価値やイメージの事を「ブランド・アイデンティティ」と言います。

これはブランド名称、ロゴ、カラーやブランドメッセージなどが当てはまります。

2.言葉やデザインに落とし込んだもの

ブランド・アイデンティティを、言葉や目に見えるものに落とし込んだものを「抽象的ブランドメディア」と言います。

コピーや社是、スローガン、また製品デザインのコンセプトなどがこれに当てはまります。

製品デザインのコンセプトとは、例えば無印良品ならば「全ての商品をシンプルで洗練されたデザインに統一」されているように、商品をデザインする上で、指標となるコンセプトの事を言います。

3.クリエイティブにして世に送り出すもの

コピーやスローガンをさらにクリエイティブに落とし込んだものが「可視的ブランドメディア」と言います。

クリエイティブとは、テレビCMやポスター、OOH*など企業の広告活動に用いられる制作物の事です。

*OOHとは駅ポスターなどの交通広告や、ラッピングカー・街中のポスターなど、屋外広告全般を指す言葉です。

以上の3つがブランドを作り上げていく上で必要となる要素です。

どのようにして、自社のブランドが消費者に認知されるようになるのか、何となくイメージできたでしょうか。

いよいよ実践。ブランディングの手順

ブランディングを行うためにはまず、自社商品が「戦う場(市場)」を決めるために環境分析を行いましょう。

環境分析では主にPEST分析・SWOT分析・3C分析という3つのフレームワークがあります。

段階によってどの分析をしていけば良いのか、順番に説明していきます。

外部環境を把握する

まずは自社を取り巻く外部環境を調査し、参入しようとしている市場の動向を把握しましょう。

ここで使うのがPEST分析という方法です。

PEST分析は、自社を取り巻く外部環境が、現在または将来どのような影響を与えるのか、把握・予測するための手法です。

PEST分析

  • (Political) 政治動向はどうなるのか
  • (Economic)景気の流れ
  • (Social)   現在の社会情勢と今後の予想
  • (Technological) テクノロジーの発展
 

自社の強み・弱みを洗い出す

外部環境の把握・予測をして参入する市場を検討した後は、いよいよ自社分析を行います。

今までの実績データを用いて、事実ベースで自社の強みを洗い出します

また同時に自社の弱み部分も把握しておきましょう。

自社の強み・弱みを調査する際は「機能的価値」「情緒的価値」のそれぞれの面でどんな特徴があるのかを考えていくと、現状把握しやすくなります。

ここで一般的に用いられる手法が、SWOT分析や3C分析です。

SWOT分析

SWOT分析で目標達成のために自社が置かれている状況の現状把握を行います。

  • (Strength)   ユーザーが自社製品を選ぶメリット
  • (Weakness)自社の弱み自社の弱み、苦手なことを把握
  • (Opportunity)ビジネスチャンスになりそうな環境変化、競合の対応の仕方を把握
  • (Threat) 自社の強みを打ち消してしまう危険性のある環境の変化を把握

3C分析

3C分析で、自社の価値を明確化していきます。

  • (Company)  自社の強みと弱みの整理
  • (Competitor) 競合の研究、競合との違いを知る
  • (Customer)  顧客のニーズや不満はどういったものがあるのか洗い出す

他社の強み・弱みを把握

ブランディングの特に重要なポイントは、他社と自社を比較し、徹底的に分析して違いを明確にすることだと言われています。

そのために、次は競合の分析をおこなっていきます。

他社の強みを把握した上で、その領域で戦う実力が自社にはあるのか、逆に他社の弱みとしている領域で戦うことで自社に勝算はあるのか、といった部分を整理していきます。

ナンバーワンになれることを見つけ出す

他社の強み・弱みを把握した上で、自社がナンバーワンになれる特徴を明らかにします。

この「ナンバーワンの特徴」が見えてきたら、ターゲットユーザーのニーズやライフスタイルにどう絡めていけるのかあらゆる観点から考察していきましょう。

ブランドを作るための3つの要素を決めていく

環境分析を踏まえた上で、上記で紹介した「ブランドを作るための3つの要素」を順番に決めていきます。

1.ブランド名称、ロゴ、カラー

自社ブランドがどのような強みを持っているか考え、消費者に持って欲しいイメージやブランド価値を設定します。

2.コピーやスローガン

ブランドアイデンティティが決まったら、それをコピーやスローガンなどの言葉でどう表すか、デザインのコンセプトはどうするかといった、より具現的な部分に落とし込んでいきます。

「自社のナンバーワンの特徴」をどう表現して、ターゲットユーザーに響かせるのか、という部分もブランディングの中では非常に大切なポイントです。

ターゲットユーザーのライフスタイルやニーズに刺さるような「言葉」を作り出しましょう!

3.クリエイティブの作成とメディア選び

スローガンやコンセプトを元にいよいよクリエイティブを作成していきます。

また、テレビCMで打ち出すのか、SNSを活用したプロモーションを行うのか、雑誌など紙媒体で打ち出すのかといったメディアの選定を行います。

特徴をコピーに落とし込んだり、メディア選定をしていくのは非常に難易度の高い作業です。

メディアによってユーザーの特性や価格、クリエイティブとの相性も違うため、この段階で「広告代理店」に相談するのも一つの手です。

まとめ

競合と差別化し、顧客ロイヤリティーを獲得するために必要なブランド。

その「ブランド」を構築する活動がブランディングということです。

モノやサービスが溢れる市場の中で、価格競争に巻き込まれる事なく、優位的に継続して商品販売するためにもブランディングの実践を検討してみてはいかがでしょうか。

画像出典元:「O-DAN」

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