メールマーケティングは実施しやすく効果も出やすいため、マーケティング施策としてはとっつきやすくおすすめの施策です。
ただメールマーケティングの現実をお伝えすると、ビジネスマンのメール受信数は平均50通/日、仕事関連で受信したメールのうち開封するのは69%と、普及しているがゆえの難しさがあることもまた事実です。
本記事ではそんなメールマーケティングについて、見込める効果やスタートまでの手順、失敗しないために押さえておきたいポイントまでご紹介します。
このページの目次
メールマーケティングとは、文字通りメールを活用したマーケティング手法です。
自社の登録会員にメールコンテンツを送り、商品やサービスを認知・購入してもらうために用いられるマーケティング施策の1つです。
メールマーケティングでは、リード育成と相性が良いといえます。
リード育成では、自社サービスへの興味関心・購買意欲を高めるために中長期的にアプローチを行っていく必要がありますが、普及率・継続性を鑑みてもメールマーケティングは適した施策の1つです。
メールマーケティングにはメールマガジンも含まれるため、実際にはほぼ同じものです。
実際には「メールマーケティングという大きな括りの中にメールマガジンという施策がある」と考えた方が、より正確といえます。
メールマガジンのコンテンツは、新商品やキャンペーン情報などどちらかというと不特定多数の人を対象とした一般的なものであり、内容によっては特定の性別・年代・好みの層には訴えかけない場合もありましす。
メールマーケティングは見込み客や既存客それぞれのニーズに応じたメールを適切なタイミングで配信するので、メールマガジンよりも、問い合わせや商品購入などのアクションに結びつきやすいという利点があります。
メールマガジンは会員に対して自社のいいイメージを伝えエンゲージメント(自社に対する信頼度)を高めるという効果があります。
メールマガジンもメールマーケティングで使えるメールの種類のひとつです。後ほど紹介する他の種類と並行して利用することで相乗効果を期待できます。
後に紹介するメールマーケティングツールを利用すれば、自社の登録会員を属性ごとに分けてセグメント化することができます。またメールの開封率やURLクリック数などの効果検証もできます。
こうしたツールはたくさんあり、月額利用料が数千円程度というサービスもあります。
テレアポ・チラシ・Web広告などマーケティング施策にはいろいろな方法がありますが、そうした方法と比較しても低コストで導入・運用ができるというメリットがあります。
メールマーケティングでは自社の登録会員を、性別・年齢・閲覧履歴・購買履歴などのデータをもとに分類し、それぞれの会員に適した内容のメールを、適切なタイミングで送ることができます。
例えば、誕生日が登録されていれば、その誕生日に特別な割引クーポンが付いたメールを配信するということも可能です。
特定の層をターゲットにしたマーケティングが行なえるというメリットがあります。
メールマーケティングツールを利用すれば、開封率・URLクリック率などの効果検証が行なえます。
数値に基づいた分析を行うことで、より効率的にマーケティング戦略を組み立てることができます。
効果検証については後ほど詳しく解説します。
メールを受信することをすでに許可している見込み客や顧客にメールを配信するので、コンバージョン(資料請求や商品購入など目的達成につながる行動をとってもらうこと)しやすいという利点があります。
高い効果を期待できるツールですが低コストで導入できるので、ROI(投資対効果)が高いマーケティング施策です。
登録会員すべてに、新商品やキャンペーン情報など同じ内容を一斉配信するメールマガジンは、コンテンツの自由度が高いというメリットがあります。
自社の認知度を深めたり、エンゲージメントを高めたりできる効果があるので、昔から使われている方法ですが、今でも一定の効果を期待できます。
会員登録してくれた日を起点とし、ユーザーに次のアクションを促すメールを段階的に送るするという方法です。
例えば、商品購入時に新たに会員登録したユーザーに以下のようなステップメールを送ります。
最初から目的を設定しそれを達成するようなシナリオを用意します。そして、その目的を達成するように配信日と内容を考えたメールを段階的に送るのがステップメールです。
登録会員の離脱を防ぐ、購買意欲を高めるという効果を期待できます。
セグメントメールとも呼ばれるこのメールは、登録会員を「設定した条件」ごとにセグメント化し、そのセグメントに適したメールを配信するという方法です。
30代・女性・東京都在住・会社規模50人~100人など細かい条件を設定しセグメント化するためには手作業での仕分けでは無理があります。ですからメールマーケティングツールを使うのがおすすめです。
ターゲティングメールにより、登録会員にとってより興味のある情報が受け取れるようになるので、メールの開封率や記載されているURLのクリック率が上がるという効果が期待できます。
一定期間アクションのない登録会員に対して何らかのアクションを促すメールです。
登録会員が休眠会員になる条件として、タイトルだけで不要と判断されている、メールが迷惑メールフィルタでふるい分けされているなどの理由が考えられます。
こうした状況を改善するために、メールの差出人表記を変更する、タイトルを工夫するなどの方法があります。
もし休眠会員がこれらの方法により何らかのアクションを取れば、先ほど紹介したステップメールやターゲティングメールで休眠状態からの復活を促せるでしょう。
メール配信から登録会員をコンバージョンまで導くことがメールマーケティングの最終目標です。
最終目標であるコンバージョンにどれくらい繋がっているのか、どれくらいコンバージョンすれば成功といえるのか把握するためにも事前にKPIを設定しておきましょう。
メール配信におけるKPIは以下の4つに分けられます。
どれも重要な指標なので、以下で詳しく解説します。
メールをたくさん配信してもユーザーに届かなければ次の段階につながりません。ですからまず到達率を考えなければなりません。
到達率は以下の式で計算できます。
到達したメールの数÷メール総数×100=到達率
到達率の低い原因として無効なアドレスに送り続けていることが挙げられます。無効なアドレスにメールを送り続けていると受信側のサーバーからスパムメールと判定される可能性があります。そうなるとその他の有効なメールアドレスへのメールもブロックされる可能性が出てきます。
高い到達率を維持するために無効なアドレスは配信リストから削除しましょう。
メールが届いても、次に障害となるのがそれが開かれるかどうかです。HTMLメール形式で配信すれば開封率が測定できます。
開封率は以下の式で計算できます。
到達したメールの数÷開封されたメールの数×100=開封率
平均値:15~20%
開封率を上げるカギはメールの「タイトル(件名)」です。
ユーザーの目に留まり、気を引くようなタイトルにすれば開封率は上がります。
また先ほどの成功事例でも紹介したように、配信する時間もポイントです。登録会員の行動を分析しメールを開いてもらいやすい時間帯に配信できるでしょう。
クリック率はメールに記載されているURLがクリックされた割合です。
(クリックされた数÷配信成功数)×100=クリック率
平均値:2~3%
開封されたもののクリックされなかったということは、「その会員には必要な情報ではなかった」と推測できます。
そこから出発して「この会員にはどんな情報が必要なのか」ということをもう一度分析していきましょう。
導き出した仮説をもとにもう一度最アプローチしていくことが重要です。
メールマーケティングにより資料請求や商品購入などの最終目標が達成された割合です。
(コンバージョン数÷配信成功数)×100=コンバージョン率
目標値:1%
(コンバージョン数÷クリック数)×100=コンバージョン率
コンバージョン率を上げるためには会員との信頼関係を築くことが大切です。
会員登録後すぐに個人的にメールでキャンペーン紹介をしたり、商品の売り込みをすれば、信頼関係がまだ築けていないので会員が離れていく可能性が高まります。
ターゲティングメールなどで役立つコンテンツを段階的に配信し、信頼関係を築いてから、キャンペーンやセール情報を配信すればコンバージョン率を上げることができるでしょう。
またメールマーケティングから実際の成約までに至った成功事例、成約に至らなかった失敗事例それぞれを分析し、そこから原因を探り次に施策に活かすという方法もあります。
KPIが決まったら、送付先のメールアドレスを設定します。
送信数がどれくらい必要なのか、という点を明らかにするためにも先ほどのKPIは重要になってきます。そのためには最終目標から逆算して各種目標を設定していきましょう。
その月の最終目標(=コンバージョン数)が10件と仮定します。
以下の条件で配信すると仮定しましょう。
目標コンバージョン数5件/月
↓
コンバージョンポイントに250人
↓
クリック数12,500
↓
開封数83,333件
↓
送信数92,593
上記の条件ではひと月に約9万件のメール送信が必要ということがわかりました。
上記の数字が把握できるだけでも、今後の方針が決めやすくなります。
送付先のアドレス数が足りない場合はアドレスの獲得に、送信回数が少ない場合は月のメール配信数を増やす、など次の行動が見えてくるため、目標から逆算して送信数の設定をしましょう。
実際に送付するメールの内容や送信先を決めていきます。
ステップメールでは、送信するメール内容はあらかじめ決まっています。
そのため、メールアドレスを登録したユーザーの次の動きや、求めている情報に沿った内容で配信するメールを作成する必要があります。
ステップメールの作成方法の詳しい解説は以下の記事もぜひ参考にしてください。
メールの訴求内容とターゲットの属性が一致していることが必須の条件です。
極端な例ですが、自社の売りたいサービスが男性向けの商品にも関わらず、女性に向けて商品のアピールをする、といったことは避けるべきです。
CVに繋げたいものとターゲット属性が一致するように、内容を設定していくと考えやすいかもしれません。
メールマーケティングでは高頻度で改善を繰り返しながら、大量のメールを送付するため、メールの管理を助けてくれるツールを導入することをおすすめします。
メール配信システムを使うことで、単にメールを送るだけではなく、セグメンテーションや到達率の計測、といった効率を高めながらのメール配信も可能になります。
メール配信を行った後は、KPIをはじめとした成果を確認しましょう。
メール配信ツールやマーケティングオートメーションといったツールを使うことで、到達数や開封数、クリック数、コンバージョン数は簡単に把握できます。
KPI目標に対しての進捗や、進捗が芳しくない場合はその原因などの分析を行いましょう。
成果の分析を行う過程で集まったデータや問題点はそのまま次の施策の改善に活かしましょう。
KPIで設定した各種目標のうち、どこがボトルネックになっているのかを把握することで的確な改善施策をうつことができます。
メールマーケティングではメールの送信と同じくらいに、継続的な改善が重要です。
継続的な改善を行うためにも、分析に必要な「開封数」や「クリック数」といったデータも自動的に取得してくれるツールを利用することを強くおすすめします。
WiLL Mailは高機能を比較的安価に使うことができる、コスパの良さが魅力です。初期費用も無料なので気軽に導入することができます。
また、感覚的に操作できる点でも非常に利用者の評価が高く、たとえばHTMLメールの作成では、メルマガ作成にかける時間が導入前の4分の1になったという評判もあります。ドラッグ&ドロップのマウス操作だけで簡単に作ることができるため、専門知識も必要ありません。
分析機能では開封・クリック・コンバージョンの分析をグラフやヒートマップを用いて比較することもできます。
ヒートマップを活用すれば、多数のユーザーが注目している部分とそうでない部分が浮き彫りになるため、バナーを張る位置や、レイアウトなどの検証しながらユーザーの行動を分析することが可能です。
配信数に応じた従量課金制の料金プランを導入しているため、無駄な出費を抑えて導入することができるのも大きな魅力と言えるでしょう。
「WiLL Mail」の料金プランは月間配信数に応じた従量課金制です。
プレミアムプランとシングルプランがあり、シングルプランで定額課金の場合には以下のような料金体系となります。
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初期費用 | 月額費用 | 登録アドレス数 |
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初期費用 | 月額費用 | 登録アドレス数 |
無料 | 1,800円~ | 500件~ |
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