SaaSのNRR(売上継続率)とは?計算方法とNRRの戦略を解説!

SaaSのNRR(売上継続率)とは?計算方法とNRRの戦略を解説!

記事更新日: 2021/03/31

執筆: 編集部

NRR(売上継続率)は、サブスクリプションビジネスを展開する上で重要な経営指標の一つです。

この記事では、NRRの概要、計算方法、NRR戦略について解説します。

NRRの計算に必要なMRR(月額経常収益)についても説明します。

NRRを計算して100%を下回った場合は、カスタマーサクセスに注力しましょう。

この記事を読むことでNRRに対する理解が広がり、成長性のあるSaaSビジネスが学べます

NRR(売上継続率)とは

NRRとはNet Revenue Retention、あるいはNet Retention Rateの頭文字を取ったもので「売上継続率」と呼ばれています。

NRRは、SaaSのようなサブスクサービスの「繰り返し発生する収益」をどのくらい維持しながら拡大しているかをパーセンテージ(%)で示します。

NRRのパーセンテージから、今月獲得した売上が来月や来年どの程度の売上になるのか予測できるKPI(指標)です。

SaaSビジネスでは新規の顧客獲得のハードルが高いため「リピーターの収益」が重要な収益源となります。

NRR100%超を維持できていれば安定したSaaSを提供し、継続的な売上が見込めると判断できます。

逆に、NRRが100%を下回っている場合は、新規顧客が獲得できていない、解約する顧客が増えたなどの理由分析と改善策の実施が必要です。

NRRにはMRR(月間経常収益)の計算が必要

NRRを計算するにはMRRというKPIが必要です。

MRRとは、Monthly Recurring Revenueの頭文字を取ったもので「月間経常収益」を指します。

MRRは、毎月決まって発生する収益や売上のみを計上します。

初期費用など、単発で発生するものは含みません。

MRRは以下の方法で算出されます。

MRR = 顧客数 × 月額料金
  • 料金プランが複数あるときは、各料金プランの顧客数と月額料金を上記の式に当てはめて合算します。
  • 年間契約の場合は、年間料金を「12」で割ったものを月額料金として計算します。

 

NRR計算に必要なMRR

Expansion MRR アップセル、クロスセル、料金プランのアップグレードによって増えた顧客収益
Downgrade MRR 料金プランのアップグレードなどのダウンセルによる減収
Churn MRR 解約により減ったユーザーの減収

※Expansion MRRにUpgrade MRRやNew MRRが含まれています。

NRR(売上継続率)の計算方法

NRRの計算式

NRR = (月初のMRR + Expansion MRR) --(Downgrade MRR - Churn MRR)÷月初の合計MRR

 

NRR計算例1:動画配信サービスの場合

月初の合計MRR:500万円

継続しているユーザーからの収益合計

Expansion MRR:150万円

継続ユーザーが月額プランを上げたり、新規ユーザー獲得によって増えた収益

Downgrade MRR:30万円

継続ユーザーが月額プランを下げたことによる減収

Churn MRR:20万円

サービスを退会したユーザー分の減った収益

「NRR計算例1」の場合は、下記の計算式でNRRが算出できます。

(500万円 + 150万円 )-( 30万円 - 20万円) ÷500万円 = 1.2


「NRR計算例1」場合は、月末のMRRは600万円、NRRは120%と算出されるので、次年度の同月のMRRは720万円になると予測されます。

NRR計算例2:携帯電話サービス

月初の合計MRR:500万円

先月から継続しているユーザーからの収益

Expansion MRR:80万円

先月から通話プランを上げたユーザーや新規契約ユーザーからの収益

Downgrade MRR:50万円

先月から通話プランを下げたユーザー分の減収

Churn MRR:80万円

解約したユーザー分の減収

「NRR計算例2」場合は、下記の計算式でNRRが算出できます。

(500万円 + 80万円)-(50万円 - 80万円) ÷500万円 = 0.9


「NRR計算例:2」の場合は、月末のMRRは450万円、NRRは90%となり、100%を下回っています。

「NRR計算例:2」はNRRに対して何の施策も打たないでいると、次年度の同月のMRRは405万円まで下がってしまうことが予測されます。

NRRは「なぜ継続したのか」「なぜ離脱したのか」という顧客の継続理由と一緒に考えるべき数値です。

NRRを計算して100%を下回った場合は、NRR向上の戦略を考えていきます。

NRRの戦略はカスタマーサクセスに注力

カスタマーサクセスとは

NRRの維持・向上の戦略では、カスタマーサクセスが最重要課題とされています。

カスタマーサクセスとは、ユーザーがサービスを利用する中でメリットや成功体験を得て、サービスを信頼しリピーター(継続)になる一連の流れを指します

カスタマーサポートとは目的が違う

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは「顧客への対応」と言う点では同じですが目的が違います

【カスタマーサクセスの目的】
  • 能動的に顧客に対して働きかけて問題を発生させない
  • 顧客の成功体験、満足度を上げ、継続率をあげることが主な目的
【カスタマーサポートの目的】
  • 受動的に顧客の要望を満たす
  • 顧客の疑問や不満の解決によって顧客満足度の向上が目的

NRRの維持・向上には、自社のSaaSサービスがカスタマーサクセスを提供できるかを分析しましょう。

カスタマーサクセスの具体策

価格設定の見直し

NRRが低い場合は、顧客がサービスと価格のバランスに満足していない可能性があります

サブスクリプションサービスでは、複数プランや契約期間による料金体系などを含めて戦略を綿密に練っておく事が重要です。

フリーミアム(基本機能無料)を提供している場合は、無料トライアルに切り替え収益化を検討しましょう。

サービス内容の見直し

NRRの低下の原因がサービス内容やユーザーニーズ、市場、ターゲットなどにないか見直していきます

また、サービスの使いやすさやサービスの認知度アップなども並行して行っていきます。

見落としがちな「分かりにくいサービス案内」

カスタマーサクセスで意外と見落としがちなのが「サービスの詳細が分かりにくい」という点です。

ユーザーから「サービスに興味があるけど料金形態が分かりにくい」「サイトのどこに情報が掲載されているのか分からない」など基本的な訴求が出来ていない事も多くあります。

価格やサービスの見直し以前に「ユーザーにサービス案内のカスタマーサクセス」を提供できるかをチェックしましょう。

YouTubeのカスタマーサクセス

広告を飛ばして視聴したい層向けに「有料プレミアムプラン」を提供し始めた

  • ユーザーにとっては「広告なしで快適に視聴できる」
  • YouTube側は「有料プレミアムプランの収益が見込める」
SmartHRのカスタマーサクセス

労務管理システム導入後のサポート業務を明確に細分化・担当制にした

  • ユーザーにとっては「自社を理解してサポートしてくれる安心」
  • SmartHR側は「対象企業のサポートに専念でき継続ユーザーの安定収入が得られる」

 

 

有名企業のNRR

NRRを公開している国内企業は少ないのですが、株式や資金調達の場面では色々なKPIを判断材料にする事も多くなってきています。

Chatworkの決算説明資料では、NRR127%と公開しています。

以前マネーフォワードがNRR131%と公開した事もあります。

他社のNRRは、自社が提供するSaaSサービスと比較して「NRR戦略」「サービス内容」などが参考になります。

有名企業のNRRやNRRが高いSaaS企業のIR情報を確認してみましょう。

NRR分析に活用するMAツール

1. BtoB:セールスフォース社の製品と連携するなら『Pardot』


画像出典元:「Pardot」公式HP

おすすめしたい企業

  • ハイスペックでMAを導入したい企業
  •  セールスフォース社の製品を導入している企業
  • 顧客数が5万以上、自社メディアのPVが50万以上の企業

 

強み

  • セールスフォース社の各種ツールと連携可能
    SFAツールSalesForceと連携すると商談管理までカバーできることが強みです。
  • 高確度なスコアリング機能
    顧客別にリードスコア・行動スコア・行動履歴が操作画面上に常に表示されるため、リアルタイムに進捗を確認できます。
  • 世界の5,000社以上で導入
    世界的なツールです。英語・日本語両方で表記可能なので、海外に支店がある企業は全社的に利用でき、便利です。 知名度が高いだけでなく、セキュリティ面でも評価されています。

 

弱み

  • 操作性への評価が分かれる
    小難しいという意見・使いこなせたという意見が共に一定数存在します。導入前に操作デモを試すことをおすすめします。
  • CSSやHTMLの知識が必要
    設定・運用をスムーズに行うためにある程度の知識が必要。セールスフォース社のツール利用に必要なスキルを習得するとグローバル共通資格が発行されます。このことからも、運用にはある程度の知識が必要なことが分かります。
  • 価格が高い
    リード数が5万を超えてくる企業でないと効果は実感できないでしょう。

 

操作画面

 

 

発生する費用

初期費用 Growth Plus Advanced 無料お試し
0円 150,000円/月 300,000円/月 480,000円/月 ×


マーケティングチームと営業チームの効果的な連携を実現できるSalesforce Engage for Pardotを利用する場合は、月6,000円/1ユーザーが必要です。

実際に使った人の評判・口コミ

利用方法などのドキュメントやナレッジが多くあるため、割とすんなりと利用できました。たまにレスポンスが悪いことがあります。

(IT関連:従業員500人以上)

大量のデータを管理できる点は便利です。貴重な顧客データを個人スタッフが管理するリスクから解放されます。ただ、ルールが多いので、使いこなすまでに時間がかかります。

※参照:「Pardot」公式HP

 

2. BtoC:安心して導入できるのは業界シェアNo.1『b→dash』


画像出典元:「b→dash」公式HP

おすすめしたい企業

  • 社内にエンジニアがいない企業
  • 段階的に機能を増やしていきたい企業
  • 顧客数が1~5万、自社メディアのPVが5~10万の企業

 

強み

  • 導入形態を選べる
    データマーケティングに必要な機能をフル導入するも良し、自社に必要な機能だけを選んで導入するも良し。導入する上での柔軟性が高いことが魅力。
  • UI/UXの使いやすさ
    2019年度グッドデザイン賞受賞したデザイン性の高い操作画面です。プログラミング知識がなくても自由にデータを処理・加工・活用可能。アルバイトでも使いこなせるとの声もあります。
  • 業界初のテクノロジー「Data Palette」を搭載
    社内に点在するデータの取込・統合・変換・活用が叶います。

 

弱み

  • ツール専任者が必要
    操作性の高いツールなので、特別な知識は必要ありませんが、非常に細かくシナリオ設定ができるので、ツールの機能を使いこなすためには最低でも1人は先任者をおきましょう。
  • 価格が高い
  • 無料お試しがない
    デモ画面を試すことはできます。

 

操作画面



 

発生する費用

初期費用 月額費用 無料お試し
要問合せ 300,000円 ×

 

実際に使った人の評判・口コミ

長年蓄積した膨大なデータを活用すべく、 データマーケティングツールb→dashを導入した。今までできなかったOne to Oneマーケティングをスポーツ領域で実現できました。

(球団)

非常に使いやすいです。ただ最初の設定に時間がかかります。

(広告関連)

※参照:「b→dash」公式HP

b→dashの資料を無料ダウンロード

 

 

3. BtoB & BtoC:直感的なインターフェース『MAJIN』


画像出典元:「MAJIN」公式HP

おすすめしたい企業

  • 初めてMAを導入する企業(専任の担当が並走してくれる) 
  • Excelで顧客情報を管理している企業(Excel並みの簡単操作) 
  • 顧客数1万以下、自社メディアのPV5万以下の企業

 

強み

  • 簡単で分かりやすいUI
    独自開発機能「シナリオキャンバス」により、シナリオ作成から運用まで全ての業務を1つの画面で操作可能。
  • シナリオ設計が高機能
    リードの獲得から分類までを完全に自動化できます。
  • 10万円でフル機能装備
    月額10万円の1プランで明瞭です。オプション機能をつけることもできますが、7~8割の企業はオプションなしで運用しています。

 

弱み

  • ランディングページは作成できない
    自社HPを作成したい場合は、別のツールを利用する必要があります。キャンペーン専用ページなど、期間限定のページを多く作る企業にとっては不便でしょう。
  • 自動連携できるのはちきゅう・LINEのみ
    ちきゅうと連携すれば、MA~CRMまで一気通貫した顧客管理が可能です。
  • 運用開始までは3カ月
    導入までの3カ月でスコアやラベルルールの設計をするので、事前に設計内容を熟慮しておく必要があります。

 

操作画面

 


 

発生する費用

初期費用 月額費用 無料お試し
100,000円 100,000円 30日

オンラインサポートは無料です。

導入時のサポートや導入後のコンサルティングには費用が発生します。
(スタートダッシュサポート:200,000円 コンサルティング:月1,000,000円)

実際に使った人の評判・口コミ

 

稼働開始までの設定項目が少なく使いやすかったです。他のサービスとの連携ができないところが不満です。

(製造業:従業員500人以上)

 

cookie状態の匿名顧客から、実名化した見込顧客までコミュニケーションでき、役立っています。ただ、ランディングページを作れないのが不便。キャンペーンなどでページを作りたい時もあるので、そこは改善してほしい。(製造業:従業員500人以上)

※参照:「MAJIN」公式HP

 

4. BtoB特化:上場企業での導入率No.1『List Finder』


画像出典元:「List Finder」公式HP

おすすめしたい企業

  • 初めてMAを導入する企業(専任の担当が並走してくれる) 
  • Excelで顧客情報を管理している企業(Excel並みの簡単操作) 
  • 顧客数が1000〜1万以下、自社メディアのPVが5万以下の企業

 

強み

  • 低価格
    月額3万円台から利用可能。スモールスタートしたい企業にぴったり。
  • 配信レポートが充実
    メールの開封率やクリック率だけだなく、配信した顧客の中にどれだけホットリード・ワームリードがいるかを一目で確認可能。他ツールにはない機能です。
  • セールスも活用できるUI
    多くの導入企業が、マーケ部だけでなく営業現場でも活用しています。引き継いだリードの動向をセールスが継続的に確認し、さらなるリードの質向上につなげています。
  • 導入後6ヶ月間のコンサルティングが無料
    専任のコンサルタントが並走してくれるため、より自社に即した運用スタイルを見つけられます。テクニカルサポートも無料。FAQサイトや定期的な勉強会、個別相談会など、万全のサポート体制。

 

弱み

  • 自動連携できるのはSalesforce・Sansanのみ
    データをCSV出力するひと手間を挟めば、他のツールにデータをインポートすることは可能です。
  • シナリオ設計機能やコンテンツ分析機能は未搭載
    マーケティング業務をトータルで自動化することはできません。顧客数1万を超えてくる企業は機能面で物足りなさが残るでしょう。
  • デザイン性に欠ける
    知識がなくても簡単にフォーム作成できますが、デザイン性は期待できません。

 

操作画面

 

 

発生する費用

初期費用 ライト スタンダード プレミアム 無料お試し
100,000円 39,800円~/月 59,800円~/月 79,800円~/月 20日


PV数・顧客データ数に応じて、課金される従量課金制ですが、基本プランでも50,000PV・顧客数5,000件まで管理できるので、ほとんどの企業が39,800円で運用できています。

サポート費用は無料です。

実際に使った人の評判・口コミ

 

メール配信業務を効率化したかった。また、Webサイトのリニューアルの時期が重なったので、アクセス分析が簡単に行えるList Finderを選びました。

(経営コンサルティング:従業員約30人)

 

「使いやすさ」と「コスパ」が 乗り換えの決め手です。(システム開発:従業員約600人)

 

 

5.  BtoB & BtoC:LINEでマーケティングを行っているなら『Liny』


画像出典元:「Liny」公式HP

おすすめしたい企業

  • LINE公式アカウントを使っていて、成果が出ている企業
  • LINEともだち数が500を超えている企業
  • LINE運用負担を軽減したい企業

 

強み

  • 低価格
    月額5,000円から利用可能。最低プランでもチャットボットによる自動対応がついてくるので、かなり利便性が高いです。
  • プランが明確
    用意されている3プランの違いが明確で、どのプランがふさわしいかを判断しやすいです。顧客数の増加に伴ってプランをアップでき、無駄がありません。
  • 機能が充実
    機能がかなり充実しています。セグメント配信、顧客行動のスコアリングなど、MAとして必要な機能はおおむね搭載。LINEでも十分にマーケティング活動が行えることが分かります。
  • デザイン性が優れている
    顧客管理画面・作成画面・実際に表示される画面、全てカラフルでデザイン性が高いです。楽しく作業ができるUIです。

 

弱み

  • 月額5,000円プランは限定的
    5,000円のプランは月に1,000通までしかメッセージ配信ができないので、長く使っていく上では不十分。早いタイミングでプランアップが必要になるでしょう。月額39,800円かかることを想定した方が良いです。
  • LINE以外には使えない
    メールやその他SNSを使ったマーケティング活動はできません。それらも並行して行いたい場合、別のMAツールを導入する必要があり、結果的に割高になる可能性があります。
  • アプローチできる顧客が限られる
    LINEを使っていない顧客へのアプローチができません。

 

操作画面

 

 

 

発生する費用

初期費用 スタート ベーシック プレミアム 無料お試し
49,800円 5,000円/月 39,800円/月 69,800円/月 3ヵ月


1年間の最低契約期間があります。

 

実際に使った人の評判・口コミ

 

顧客にあわせたオリジナルの画面を作成が簡単にできる。他ツールと比較してLinyに決めた理由は使いやすさ。

(ブライダルプロデュース)

 

スタッフ1人でも設計・運用可能です。直感的に操作できるので、急に配信が必要になった時でも2時間でコンテンツを作成できました。(県庁担当者)

 

 

各ツールの機能比較表

起業ログおすすめ5選の機能をまとめるとこのようになります。

Pardotやb→dashがフル機能装備なのに対し、MAJIN・List Finder・Linyは機能に制限があることがわかります。

自社に必要な機能を明確にした上で、ツールを選びましょう。

まとめ

NRRについて解説してきました。

SaaSビジネスにおいては、リピーターを売上を維持する事を重視しています。

NRRの数値から「企業とサービスの成長性」が見えるため、出資者なども注目しているKPIです。

NRRの計算方法を理解し、カスタマーサクセス戦略でNRRの向上と維持をする事が安定したサービスの提供と収益になります

NRRのようなSaaSのKPI分析にはMAツールが最適です。

分析する場合は、MAツールの導入を検討してみましょう。


画像出典元:O-DAN

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