チャーンレート(解約率)は、サブスクビジネスが継続した収入を得るために特に注目されている用語です。
今回はチャーンレートの用語を解説し、計算式と計算例についても解説します。
チャーンレートには「顧客ベース」と「売上ベース」の2つに分類されています。
SaaSビジネスでは細分化した4つのチャーンレートを使い分けて解約による売上の影響を数値で分析しています。
SaaSのようなサブスクサービスの成長には「リピーターと新規を増やして全体契約数を増やすことが必須です。
サービス開始直後は新規が大事ですが、ある程度顧客が増えてきたらいかに解約数を減らすかが重要になってきます。
チャーン対策のカスタマーサクセスと一緒に確認していきましょう。
このページの目次
チャーンレートとは、解約率、顧客離脱率、退会率とも呼ばれるKPI(経営指標)です。
SaaSリピーターからの売上が重要なSaaSビジネスでは、チャーンレートが売上を左右するKPIとして重視されています。
チャーンレートが示すパーセンテージによって、企業やサービスの成長性まで見えてくるKPIです。
チャーンレートは、顧客数ベースと売上ベースの2種類に分かれています。
SaaSビジネスでは、さらに細分化したチャーンレートを使い分けています。
カスタマーチャーンレートは、顧客数やユーザー数をベースに計算するチャーンレート(解約率)です。
顧客数(全ユーザー)に対し、一定期間に解約したユーザーや有料会員から無料会員にダウングレードしたユーザーの割合をカスタマーチャーンレートが示しています。
アカウントチャーンレートとは、取引先の会社数をベースに計算するチャーンレート(解約率)です。
カスタマーチャーンレートとアカウントチャーンレートは「顧客数で計算するか」「取引先数で計算するか」が違うチャーンレートで、計算式は同じです。
カスタマーチャーンレートとアカウントチャーンレートで計算したチャーンレートがKPIとなるのは「均一料金」「1種類の料金プラン」が条件です。
「同じ条件の契約しているカスタマーやアカウント」で計算しなければ成長性を示すKPIにはなりません。
複数の料金プランのSaaSを提供している企業向けのチャーンレートです。
レベニューチャーンレートでは、解約だけでなく有料会員から無料会員への変更によって利益が発生しなくなった顧客も「解約顧客」に含めて計算します。
売上の予測や大まかな解約率を確認する場合はグロス・レベニューチャーンレートを見ます。
売上への影響を詳細分析したい場合はネット・レベニューチャーンレートで見ます。
一般的にレベニューチャーンレートは、グロス・レベニューチャーンレートの事を指します。
グロスレベニューチャーンレートの場合は「解約・損失」に焦点を置いているチャーンです。
解約する人を減らす施策や原因を見極めるために使われるKPIです。
ネットレベニューチャーンレートは、損失額と拡大した額の合計をベースに計算するチャーンレートです。
既存顧客のアップセル施策の影響が含まれるため、今後の自社サービスや企業の成長性を詳細に分析・把握するためのチャーンレートです。
カスタマーチャーンレート =今月失った顧客数/前月の顧客数
カスタマーチャーンレートの場合は「先月まで継続していたユーザー10人のうち、2人解約したのでカスタマーチャーンレートは20%」とシンプルな計算で出せます。
アカウントチャーンレートも「顧客数」の部分を「取引会社数」に置き換えて計算できます。
グロスレベニューチャーンレート = 一定期間失ったMRR/期間前のMRR×100
ネットレベニューチャーンレート=(一定期間に失ったMRR-アップセルなどのMRR) /期間前のMRR×100
MRRは月間経常収益のことで、計算式は「提供している月額料金プラン×顧客数」です。
一定期間とは通常は「月初」「前年」の事を指して計算します。
例えば2021年2月1日でユーザ数が1,000であり、2021年2月28日でユーザ数が950であった場合以下のように求められます。
カスタマーチャーンレート=一定期間で解約したユーザ数 /期間前ユーザー数 ×100
カスタマーチャーンレート = (1,000 - 950) / 1,000 ×100 = 5(%)
今回の例であれば2021年2月の1か月間で5%のユーザを失ったと計算できます。
例えば2021年2月1日で収益金額が500万円あり、2021年2月28日で440万円であった場合以下のように求められます。
グロスレベニューチャーンレート = 一定期間失ったMRR/期間前のMRR×100
レベニューチャーンレート = (500 - 440) / 500 ×100 = 12(%)
今回の例であれば2021年2月の1か月間で12%もの収益を失ったと計算できます。
例えば2021年2月1日で収益金額が500万円あり、2021年2月28日で600万円であった場合以下のように求められます。
ネットレベニューチャーンレート = (一定期間に失ったMRR-アップセルなどのMRR)/期間前のMRR×100
レベニューチャーンレート = (500 - 600) /500 ×100 = -20(%)
このように場合によってはレベニューチャーンレートはマイナスの値となります。
レベニューチャーンレートはマイナスの値ということは、ネガティブチャーンが上がり「リピーターからの収益が向上している」状態です。
ネガティブチャーン(Negative Churn)とは、解約により収益が減少したものの、既存顧客のアップセルなどにより、最終的に収益が増加している状況を指します。
ネットレベニューチャーンレートがマイナスとなった状態をネガティブチャーンです。
収益の増加は新規顧客の獲得が注目されやすいですが、実際はアップセルやクロスセルなどの既存顧客の単価アップでも実現可能です。
必ずしも新規顧客数を増やさなくとも増収を実現できることをネガティブチャーンの数値が示しています。
カスタマーサクセスとは、自社のサービスなどを通じて顧客満足度を上げることです。
継続的に満足してもらえるような施策を実施して、継続的な課金などを促します。
サブスクリプション型のビジネスでは、カスタマーサクセスが重要です。
カスタマーサクセスが無ければユーザーは課金する意味を失い、チャーンレートの悪化に繋がります。
カスタマーサクセスでは「ユーザーの要望の一歩先を進むこと」が大切です。
要望が出てから対応するのではなく「これからユーザーはこのようなサービスを求めるだろう」と先読みして提供しなければなりません。
NRRが低い場合は、顧客がサービスと価格のバランスに満足していない可能性があります。
サブスクリプションサービスでは、複数プランや契約期間による料金体系などを含めて戦略を綿密に練っておく事が重要です。
フリーミアム(基本機能無料)を提供している場合は、無料トライアルに切り替え収益化を検討しましょう。
NRRの低下の原因がサービス内容やユーザーニーズ、市場、ターゲットなどにないか見直していきます。
また、サービスの使いやすさやサービスの認知度アップなども並行して行っていきます。
カスタマーサクセスで意外と見落としがちなのが「サービスの詳細が分かりにくい」という点です。
ユーザーから「サービスに興味があるけど料金形態が分かりにくい」「サイトのどこに情報が掲載されているのか分からない」など基本的な訴求が出来ていない事も多くあります。
価格やサービスの見直し以前に「ユーザーにサービス案内のカスタマーサクセス」を提供できるかをチェックしましょう。
画像出典元:「Pardot」公式HP
初期費用 | Growth | Plus | Advanced | 無料お試し |
0円 | 150,000円/月 | 300,000円/月 | 480,000円/月 | × |
マーケティングチームと営業チームの効果的な連携を実現できるSalesforce Engage for Pardotを利用する場合は、月6,000円/1ユーザーが必要です。
利用方法などのドキュメントやナレッジが多くあるため、割とすんなりと利用できました。たまにレスポンスが悪いことがあります。
(IT関連:従業員500人以上)
大量のデータを管理できる点は便利です。貴重な顧客データを個人スタッフが管理するリスクから解放されます。ただ、ルールが多いので、使いこなすまでに時間がかかります。
※参照:「Pardot」公式HP
画像出典元:「b→dash」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
要問合せ | 300,000円 | × |
長年蓄積した膨大なデータを活用すべく、 データマーケティングツールb→dashを導入した。今までできなかったOne to Oneマーケティングをスポーツ領域で実現できました。
(球団)
非常に使いやすいです。ただ最初の設定に時間がかかります。
(広告関連)
※参照:「b→dash」公式HP
画像出典元:「MAJIN」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
100,000円 | 100,000円 | 30日 |
オンラインサポートは無料です。
導入時のサポートや導入後のコンサルティングには費用が発生します。
(スタートダッシュサポート:200,000円 コンサルティング:月1,000,000円)
稼働開始までの設定項目が少なく使いやすかったです。他のサービスとの連携ができないところが不満です。
(製造業:従業員500人以上)
cookie状態の匿名顧客から、実名化した見込顧客までコミュニケーションでき、役立っています。ただ、ランディングページを作れないのが不便。キャンペーンなどでページを作りたい時もあるので、そこは改善してほしい。(製造業:従業員500人以上)
※参照:「MAJIN」公式HP
画像出典元:「List Finder」公式HP
初期費用 | ライト | スタンダード | プレミアム | 無料お試し |
100,000円 | 39,800円~/月 | 59,800円~/月 | 79,800円~/月 | 20日 |
PV数・顧客データ数に応じて、課金される従量課金制ですが、基本プランでも50,000PV・顧客数5,000件まで管理できるので、ほとんどの企業が39,800円で運用できています。
サポート費用は無料です。
メール配信業務を効率化したかった。また、Webサイトのリニューアルの時期が重なったので、アクセス分析が簡単に行えるList Finderを選びました。
(経営コンサルティング:従業員約30人)
「使いやすさ」と「コスパ」が 乗り換えの決め手です。(システム開発:従業員約600人)
画像出典元:「Liny」公式HP
初期費用 | スタート | ベーシック | プレミアム | 無料お試し |
49,800円 | 5,000円/月 | 39,800円/月 | 69,800円/月 | 3ヵ月 |
1年間の最低契約期間があります。
顧客にあわせたオリジナルの画面を作成が簡単にできる。他ツールと比較してLinyに決めた理由は使いやすさ。
(ブライダルプロデュース)
スタッフ1人でも設計・運用可能です。直感的に操作できるので、急に配信が必要になった時でも2時間でコンテンツを作成できました。(県庁担当者)
起業ログおすすめ5選の機能をまとめるとこのようになります。
Pardotやb→dashがフル機能装備なのに対し、MAJIN・List Finder・Linyは機能に制限があることがわかります。
自社に必要な機能を明確にした上で、ツールを選びましょう。
チャーンレートにはカスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートがあります。
それぞれユーザー数を利用した指標・収益を利用した指標となっていて、両方を組み合わせて利用するべきです。
近年はサブスクリプション型のビジネスが増えていますので、継続的に収入が得られるかどうかは企業にとって重要です。
そのため、安定性を判断する基準となるチャーンレートは必ず理解しておきたいものです。
画像出典元:burst
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