ホラクラシー組織とは?ティール組織との違いやメリット・デメリットも

ホラクラシー組織とは?ティール組織との違いやメリット・デメリットも

記事更新日: 2021/04/07

執筆: 編集部

働き方が多様化し、組織のマネジメントに悩んでいる方もいるでしょう。

企業は働き方の変化に合わせて、組織形態を変えていく必要があります。そこで注目されているのがホラクラシー組織です。

当記事では、「ホラクラシー組織とは何か?」といった説明からティール組織の違いや導入のメリット・デメリットまで解説します。

当記事を読むことで、現代の働き方にマッチした新たな組織形態を理解し、自社の組織に活かせるでしょう。

ホラクラシー組織とは?

ホラクラシー組織とは、フラットな組織形態です。ここで感度の高い方は、「ティール組織やヒエラルキー型組織とどう違うのか?」と疑問に思うでしょう。

まずは、ホラクラシー組織の概要からティール組織・ヒエラルキー型組織との違いを明確に理解しましょう。

1. ホラクラシー組織の概要

ホラクラシー組織とは、社内に上司と部下などの上下関係や役職などの階級が存在しないフラットな組織のことです。

昨今、働き方の多様化に伴い、欧米企業を中心にホラクラシー組織の導入が勧められています。

ホラクラシー組織の特徴は、意思決定権が構成するメンバー全員にあることです。従来の組織では、社長などのマネジメント層に意思決定権が集中していました。

一方ホラクラシー組織は、意思決定権がそれぞれにあることで、大きな裁量権をもって仕事に取り組むことができます。ホラクラシー組織のメリットについては、後ほど詳しく解説します。

2. ホラクラシー組織とティール組織の違い

ホラクラシー組織と似た組織形態にティール組織があります。ティール組織とは、社内に上下関係や階級が一切ない次世代の組織モデルです。

ティール組織では、組織に関わる全ての人が目的に沿った思考・行動が求められます。それぞれのメンバーに対しての裁量権が大きいのが特徴です。

ティール組織はホラクラシー組織よりも抽象度が高く、ホラクラシー組織はティール組織の一部として考えられています。

3. ホラクラシー組織とヒエラルキー型組織の違い

ヒエラルキー型組織とは、階層構造になっている組織のことで、階級や役職が定められています。一方ホラクラシー組織は分散型で、「非階層型」な組織である点で異なります。

ヒエラルキー型組織では、マネジメント層に意思決定権が集中するのに対し、ホラクラシー組織では、管理職などのマネジメント層がいないため、意思決定権が各メンバーに分散されます。

ホラクラシー組織のメリット・デメリット

ホラクラシー組織のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。双方を理解し、自社との相性を確認しましょう。

ホラクラシー組織のメリット

ホラクラシー組織のメリットは、以下のようなものが挙げられます。

1. 生産性の向上

最大のメリットは、生産性の向上です。それぞれが自分で考えて仕事に取り組むことで、生産性を高めることができます。

上司からの指示で働くだけでは、生産性は限られてくるでしょう。一方で、各メンバーが裁量権をもって働くからこそ、生産性の向上が期待できます。

2. 主体性の向上

ホラクラシー組織では、一人一人の裁量権が大きいため、各メンバーが主体性をもって働けます。

コミュニケーションが活発化し、新たな事業や事業拡大にも繋がるでしょう。主体性の向上によって、生産性をはじめとする様々なメリットを期待できます。

3. 変化に対応しやすい

テクノロジーの発展に伴い、社会が変化するスピードは加速しています。それに応じて、企業として柔軟に変化していく必要があることは明白。

ホラクラシー組織は、各メンバーに意思決定権がある分、従来の組織形態よりも意思決定スピードが早く、変化に対応しやすいといえます。

変化に対応しやすい柔軟な組織は、企業としてのリスク回避へと繋がり、持続的な組織運営へと繋がるでしょう。

4. 多様性を受け入れやすい

ホラクラシー組織は、一人一人の考え方や行動を尊重するため、多様性を受け入れやすい組織です。むしろ、多様性を前提とした組織と言えるでしょう。

生き方が多様化する昨今、多様性を受け入れる重要性が高まっています。

多様性を受け入れることで、それぞれの自己実現に繋がり、ただ働くのではなく、ワークライフバランスの実現にも貢献するでしょう。

ホラクラシー組織のデメリット

ホラクラシー組織のメリットを説明してきましたが、デメリットがあるのも事実。ホラクラシー組織のデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

1. 導入が難しい

従来の組織形態から、ホラクラシー組織を導入するのは簡単ではありません。

ホラクラシー組織に向けた社内システムの変更や社内制度の設定、情報共有のルールなど導入までのコスト・時間がかかります。また、社員全員にホラクラシー組織について理解してもらう必要があるでしょう。

ホラクラシー組織では、メンバーそれぞれの主体性が重要なため、全員の理解なくして導入は難しいもの。

ホラクラシー組織には様々なメリットがありますが、導入するハードルは高くなっています。

2. 規模拡大が難しい

ホラクラシー組織では、一人一人が裁量権をもって行うため、情報管理が難しいという側面があります。そのため、「規模拡大が難しい」というのもデメリットです。

急拡大する飲食店では、フランチャイズ化し、規模を拡大するのが一般的でしょう。これは、本部と現場という従来の上下関係が存在する組織形態だからこそ、実現可能な規模拡大といえます。

とはいえ、ホラクラシー組織も規模拡大は可能です。まだまだ前例は少ないですが、次章で解説する導入ポイントを抑えることで、組織運営の成功率を高めることができます。

ホラクラシー組織を導入するポイント

ホラクラシー組織が、「現代の働き方に合ったフラットな組織形態」であることは理解いただけたでしょう。しかし、ホラクラシー組織は全ての組織に有効な万能薬ではありません。

導入するポイントを把握し、ホラクラシー組織の有効性を最大限まで引き上げましょう。

1. セルフマネジメント能力のあるメンバーで構成

ホラクラシー組織を導入する上で、最も重要なポイントです。そもそも、ホラクラシー組織は、構成メンバーにセルフマネジメント能力があることを前提とした組織形態。

セルフマネジメント能力がないメンバーがいると、ホラクラシー組織は成立しません

テレワークの導入などで、社員の生産性が可視化できるようなりました。導入するにあたり、各メンバーにセルフマネジメント能力があるのか、見極める必要があります。

2. 小さな単位で制度を導入

ホラクラシー組織のデメリットで説明したように、導入は簡単ではありません。小さな単位でホラクラシー組織を取り入れた制度を導入しましょう。

いきなり組織全体をホラクラシー組織にシフトするのは現実的ではありません。

組織の一部では、上下関係や役職をなくすなど、小さく始めるのが良いでしょう。そもそも、組織全体をホラクラシー組織に変える必要がない可能性もあります。

セルフマネジメント能力のある社員のみを対象にホラクラシー組織を導入するなど、実験的に小さくホラクラシー組織を取り入れてみてください。

3. 役割分担を明確にする

ホラクラシー組織を導入する際、役割分担を明確にしましょう。メンバーの裁量権が大きいからこそ、役割分担が曖昧になってしまうと、組織運営は難しくなってしまいます。

ホラクラシー組織には、役職や上下関係は存在しませんが、メンバーごとの細かい役割分担は必須。そのため、ホラクラシー組織には役割分担のルールや仕事の進捗を互いに把握できるシステムが欠かせません。

ホラクラシー組織の事例

日本企業では、実際にどういったホラクラシー組織があるのでしょうか。この章では、ホラクラシー組織の事例を3つ紹介します。自社で導入する際の参考にしましょう。

1. 株式会社ソニックガーデン

ソフトウェア開発企業のソニックガーデンは、全員がリモートワークの企業です。

上下関係はなく、業務や勤怠管理も一切ありません。ビジョンがあるものの、売り上げ目標はなく、業務は個人の裁量権に委ねられています。管理ゼロのホラクラシー組織です。

2. ダイヤモンドメディア株式会社

不動産業界向けのWebソリューションなどを手掛けるダイヤモンドメディアは、日本有数のホラクラシー組織です。

具体的には、肩書きがなく、働く場所・時間・休みは自分で決めることができます。同社は、ホラクラシー組織を一部で採用しているのではなく、企業そのものがホラクラシー組織として機能している数少ない事例です。

3. 株式会社アトラエ

アトラエは、求人メディアやビジネス版マッチングアプリなどを手掛けている企業です。

取締役以外は肩書きがなく、フラットな組織となっています。出勤時間や服装自由で、ホラクラシー組織を積極的に取り入れている企業です。

まとめ

ホラクラシー組織は現代の働き方にマッチした新たな組織形態です。

自社の環境やホラクラシー組織のメリット・デメリットを踏まえ、ホラクラシー組織の導入を検討しましょう。

まずは小さな制度から導入することがポイントです。

画像出典元:Pixabay

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