振り返りフレームワーク『KPT』とは?有用性や手順、便利ツールも

振り返りフレームワーク『KPT』とは?有用性や手順、便利ツールも

記事更新日: 2020/09/17

執筆: 浜田みか

日々の業務の中で、行動を振り返る機会があります。そんなときに、有効なフレームワークが『KPT(ケプト)』です。

振り返りをすることで、新たな目標を設計したり、プロジェクトの進行をより効率的に進めたりできるようになるからです。

ただ意見を出し合うだけでは、結論がまとまらない。KPTを有効活用すれば、そうした事態も防げます。

今回は、振り返りのフレームワークである『KPT』について、KPTとは何かという基本的な部分から、KPTの有用性、事例、手順、メリットなどについて解説します。

プロジェクトメンバーを率いるリーダーや、職場を監督する立場にいる役職者の方にとって参考になる記事です。ぜひ参考にしてください。

KPTとは

KPT(ケプト)とは、振り返り作業を円滑に行うためのフレームワークです。KPTを用いることで、現状分析から、次にやることが明確になり、盲目的な行動を避けられます。

KPTとは

KPTは、もともとアメリカのプログラマーであるアリスター・コーバーン氏が発案したフレームワークが起源。

彼が提唱したキーワード『Keep these』『Problems』『Try these』をもとに、現在の形に考案しなおしたのが、永和システムマネジメント代表取締役社長・平鍋健児氏です。

KPTとは、次の3つの要素の頭文字を取ったフレームワークの名称です。

K=Keep:維持すること

P=Problem:抱えている問題

T=Try:解決策

上記3つの要素に現状を分類して定期的に分析することで、問題リスクを最小化して、成果がより早く得やすくなります。

KPTが適用できる事業規模は、個人単位から部署や事業単位までと幅広く、ビジネスのみならず個人的な取り組みにも用いることもできます。

KPTの必要性と効果

KPTは、業務やプロジェクトにおいて進め方を見直すために使われるフレームワークですが、業務内容や進捗を見直すためのものではありません。

仕事をどのように進めるのか、やり方そのものを見直すために使われるものです。

KPTをせずに仕事を進めると、抱えている問題に気づかなかったり、人間関係に忖度が働いて非合理的な進め方になったり、失敗やミスの揚げ足取りになったりしやすいもの。

それらは、業務を合理的かつ効率的に進めるうえで最も避けたいところです。

KPTを用いれば、業務における課題に対して参加者全員が向き合えるため、建設的なミーティングがしやすくなります。

そればかりではなく、失敗やミスを反省点としてポジティブに受け止められるようになるため、参加者それぞれが自らを向上させることにも繋がります。

チーム単位でおこなえば、チーム全体の士気が高まります。個人単位でおこなえば、個人のモチベーションアップはもちろんですが、失敗を失敗のままにせず、次の糧にしていけるのです。

これらのことから、KPTは振り返りを単なる振り返りで終わらせずに、次に繋げていくための材料として非常に有用なフレームワークだといえます。

KPTの事例

KPTは、国内企業でも活用されており、特に開発事業をおこなっているところでは、定期的にKPTを使ったミーティングがおこなわれています。

KPTはエンジニア職以外でも有効的で、人材育成の場面でも活用されています。

事例1:サイボウズ株式会社

サイボウズが提供している業務改善プラットフォーム『kintone』では、3ヵ月に1度のペースで、アプリの更新がおこなわれています。

その背景では、開発をよりスムーズにするためにKPTを使ったミーティングが定期的に実施されているのです。

更新頻度が高いということは、それだけ内部でも振り返りを高頻度におこなっているということ。サイボウズでは、KPTを用いて2週間に1度振り返りを実施しています。

以前は開発メンバー全員を交えておこなっていた振り返り作業でしたが、現在は4名1チームでの振り返りを実施。その内容を全体に共有する二段階方式に変更されています。

これは、KPTに参加するメンバーが多くなれば多くなるほど、発言できないメンバーも出てくるためです。

それでは振り返りに抜け漏れが出てしまいます。それを避けるために、少人数制にして、振り返り精度を高めているのです。

事例2:株式会社ソニックガーデン

リモートワーク専用ツールの開発販売を手掛けている株式会社ソニックガーデンでは、KPTを人材育成のシーンで活用しています。

リモートワークで新卒者を育成しているという株式会社ソニックガーデンでは、人材育成のゴールを「お客様から信頼感を得て、一人で仕事を持てるようになること」と定めています。

人材育成において重要になるのが、仕事のやり方・進め方です。自分の仕事の進め方がこれでいいのかどうか、メンターとなる先輩社員から教えてもらうだけでは身につきません。

新卒者自身が考えて、行動を繰り返して、やっと身につくもの。そのため、株式会社ソニックガーデンでは、毎週KPTを使った振り返りの時間を設けています。

通常、企業に入社すれば、教育係として先輩社員が専属で教えることが多いもの。ですが、株式会社ソニックガーデンでは、育成の義務を先輩社員に課していません。

これは、株式会社ソニックガーデンが一生のプレイヤーを育てるという理念に則したもの。管理職という企業風土がない、一般企業とは異なる社風があるためです。

KPTを用いた振り返りでも、取り組み方を教えるのではなく、改善の仕方を一緒に考えるというスタンスを貫いています。

そうすることで、自分で考えて行動する力が自然と身についていくと考えられているのです。

KPTの手順と進め方のポイント

KPTは、フレームワークに項目を単純に埋めていけばいいというものではありません。効果的に活用するためには、手順と進め方にポイントがあります。

KPTの準備

チームで振り返りをおこなう場合は、ホワイトボードを利用しましょう。個人でおこなう場合は、裏紙などの用紙やパソコンでもかまいません。

ホワイトボードを使うときは、あわせて付箋も用意します。『Keep』『Problem』『Try』ごとに色分けできるものが望ましいです。

紙やパソコンを使う場合は、『Keep』『Problem』『Try』それぞれで使う色を分けましょう。

KPTの手順

1. 線を引き、『Keep』『Problem』『Try』でワークスペースを区分けします。

2. 『Keep』『Problem』『Try』の順で項目を埋めていきます。

3. 書き出した内容を再度見直して整理し、表を完成させます。

4. 完成した表をもとにアクションを実行します。

5. 再び結果をKPTで振り返ります。

KPTは定期的におこない、なおかつ前回を振り返るKPTをおこなうのが最も効果が得やすいことから、PDCAサイクルを回る要領で実施していくのが望ましいといえます。

実施する際には、まず『Keep』で思い出し作業をおこないます。これを省くと、特に印象的な事柄しか思いつかないため、見落としが発生し、問題点の根本的解決に至らないことがあるのです。

『Keep』では、うまくいったことやこのまま維持していく事柄などを挙げていきます。

次いで『Problem』では、抱えている問題や課題を。

『Keep』と『Problem』から『Try』にあたる解決策や新たにチャレンジする施策を導き出していきます。

KPTの進め方のポイント

KPTを進めるに当たって、事例にもありましたが、大人数でおこなうのは避けたほうがいいでしょう。多くても5人ほどまでが望ましいです。

少人数がベストなのは、他の参加者との対立を避けるために、発言を避ける人や本音を語らない人が出てくるからです。

KPTにおいて重要なのは、参加者全員の意識が問題あるいは課題解決に真摯に向かうこと。

対人の構図になると、失敗やミスを一つの事柄として捉えにくくなり、結果的に導き出される『Try』の内容も、忖度したものになりかねません。

それでは、本当に解決すべき事柄が解決できず、KPTを効果的に活用できずに終わってしまいます。

また、KPTをおこなう間隔も重要なポイントです。せっかくKPTをおこなっても、次のKPTまでに時間が空いてしまうと、その期間に実施したことを思い出せなくなってしまいます。

忘れないうちに振り返ることも、KPTではとても大切なことなのです。よって、KPTを実施する日を予め曜日・日付・時間などで定めておき、定期的に実施できる状況を整えておきましょう。

それから、KPTではテーマを決めておこなうことも忘れてはならないポイントです。プロジェクトや業務には、いろいろな課題がつきもの。

それらを全て一度のKPTで解決しようとしても、答えが抽象的になってしまうなどして、本当に効果的な解決方法を導き出しにくくなってしまいます。

多岐にわたる業務の場合は、仕事の種類ごとにKPTを分けて実施するなどして、調整を図りましょう。

そして、最後に最も注意しなければならないのが、感情で語らないこと。特に『Keep』では、振り返って「良かったと思われること」を挙げていくため、つい感情論に走り勝ちになります。

チーム内での賞賛はモチベーションアップにも繋がりますが、ここは「今後も続けていく取り組みは何か?」という点を語る場面です。

KPTそれぞれの項目を挙げる際には、状態や感情ではなく、取り組みそのものについて考えるようにしましょう。

KPTのメリット

KPTのメリットについては、ここまでで何となく伝わった部分もあるでしょう。

雰囲気だけでなく、実際にどのようなメリットがあるのかを知ることで、KPTの有用性がより理解できるようになるはずです。

課題の早期検知

定期的にKPTを実施することで、抱えている問題が可視化されやすくなり、それに対する解決策も早急に打てるようになります。

課題の検知が遅くなるほどに、打てる施策も減り、解決が困難になるもの。KPTを活用することにより、課題や問題が顕在化する前に潰すことが可能になります。

業務推進の円滑化

チームで業務を推進する場合、メンバー間の人間関係は業務効率や進捗にも大きく影響を与えます。

本音や意見がぶつけられない関係であれば、お互いの腹を探り合ったり、トラブルを避けようと本来必要のない行動が増えたりするもの。

KPTを用いることで、お互いに仕事に対する意見が言いやすくなるため、各人の業務パフォーマンス向上にも繋がります。

理想的なチーム化

KPTで仕事の進め方を改善していくと、チームが同じゴールに向かっていけるようになります。

反対にKPTを使わずに漠然と仕事の取り組み方を改善しても、本来解決すべき問題を先送りにしてしまったり、メンバー間の揚げ足取りになったりして、チームワーク悪化の原因を作ってしまいかねません。

理想的なチームにしていくには、メンバー一人ひとりの意識が大切です。同じ課題を共有し、解決策について真摯に話し合う。

KPTを用いたミーティングでは、意識的にゴールをとらえられるようになるため、理想的なチームを育てるのにも有効です。

KPTに役立つツール

KPTを活用する際、アナログなツールを使うのもいいですが、それだけでは次回のKPTのためのログが残しにくくなります。

この課題を解決するには、付箋感覚で利用できるデジタルツールを活用するのがおすすめです。

ここからはKPTに役立つツールをご紹介します。

1. Trello(トレロ)

メンバー間で共有することを考えれば、共有機能があるのものが便利です。そこで、おすすめなのが『Trello(トレロ)』です。

無料で使えるうえに、スマホやPCとの連携もしやすく、Chromeユーザーであれば拡張ツールで簡単にTrelloを呼び出すこともできます。

2. Wistant(ウィスタント)

『Wistant(ウィスタント)』もおすすめです。Wistantは、マネジメントを支援するツールで、業務全体の進捗状況の把握管理や他のメンバーとのチャットも同時におこなえます。

リモートワークで必須となっている多様なコミュニケーションツールとも連携が可能で、SlackやChatworkをそのまま利用できる利点もあります。

また、この他にもKPTを行うなら社員一人一人の情報を一元管理し可視化できるタレントマネジメントシステムがおすすめです!

下記記事を参考に比較検討してくださいね。

 

まとめ

KPTは、仕事の進め方・取り組み方を振り返るためのフレームワークの一つです。

業務パフォーマンスが落ちたと感じるときに、KPTを使ってみることで、見えていなかった課題も見つけやすくなります。

個人的なパフォーマンス強化についても、KPTは非常に有用です。

振り返りは自身の棚卸しにも繋がりますから、改善の糸口が見えなかった問題への対応策の検討やモチベーションアップにも有効です。

KPTはさまざまなシーンにおいて、強力な効果を発揮してくれるはずです。ぜひ、活用してみてください。

画像出典元:Unsplash

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