360度評価システムについて

360度評価システムとは?おすすめ15選を比較!無料でも使える?

記事更新日: 2024/02/07

執筆: 編集部

360度評価システムを活用することで、さまざまな評価項目によって客観的な評価に基づいた人材育成が可能です。

また、部下からの正直な評価により、管理者のマネジメントを見直す機会が生まれ、社内のコミュニケーションを促進することができます。

この記事では、人事評価に詳しい専門家のアドバイスを参考にしながら、360度評価システムの選び方やメリット・デメリット、利用する際の注意点を解説していきます。

この記事に登場する専門家

人事評価・タレントマネジメントに詳しい人事コンサルタント

曽和利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長 。株式会社リクルートで人事部ゼネラルマネジャーを務めたのち、不動産、保険など多数の業界で人事を担当。人事・採用に関する著書を10冊以上出版。企業の人事部へのアドバイスや就職活動者への活動指南を、日本経済新聞 電子版・yahooニュース個人など、各種メディアのコラムなどで展開する。「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされ、日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業、中小・スタートアップ、官公庁等、多くの組織に向けて人事や採用についてのコンサルティングを行っている。

 

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このページの目次

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360度評価システムとは?

360度評価は、1人の従業員を、上司や部下、同僚など複数の評価者により多面的に評価する人事評価の方法です。

人材育成を目的として実施され、モチベーションやエンゲージメントの向上効果も期待できます。

一方、様々な立場の人から回収を行うため、項目の設定や集計などが煩雑になりがちです。

この課題を解決してくれるのが「360度評価システム」です。

システム管理で計画から実施、フィードバック、評価結果の蓄積までの一連の流れを一元管理することができるため、工数や手間の削減が期待できます。

おすすめの360度評価システム5選

制度構築~運用までトータルサポート!『あしたのクラウド®️』

画像出典元:「あしたのクラウド®️」公式HP
 
 

特徴

あしたのクラウド®️は中小企業やベンチャー企業を中心に圧倒的な支持を得る評価システムです。大手企業での導入事例も多く、4,000社を超える企業に活用されています。

その豊富な実績から得たノウハウをシステムに反映しているので、人事評価そのものの精度を格段に高められます。

最適な評価方法に悩んでいる企業におすすめです。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1

 

料金プラン

初期費用 月額費用 無料お試し
要問合せ 45,000円~
(参考価格)
無料デモあり

 

実際に使った人の評判・口コミ

 

モニタリング項目は期日管理・目標管理・中間レビュー・評価・フィードバックの5つ。これらの合計得点で、評価者の能力を可視化できることに魅力を感じています。
(医療関連:従業員1,000人以上)

 

チームを組んで取り掛かる業務でも評価を個人ごとにする事で、パフォーマンスが向上しました。運用コンサルに相談できたのも便利でした。もう少し字が大きく表示されるとよいです。
(IT関連:従業員100人以上)

 

 

使いやすさが圧倒的!『HRBrain』

 画像出典元:「HRBrain」公式HP

 

特徴

人事評価から人材データ活用・タレントマネジメントまで、人材に関わる一連の業務を効率化できるシステムです。

人事評価だけでなく、総合的に業務改善したい企業に向いています。

シンプルなUIで誰にでも使いやすく、人事のスペシャリストの専任サポートが無料で利用できる点も魅力です。

目標管理システムをはじめて導入する企業や、エクセル管理からの移行を検討している会社などに特におすすめです。

 

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1

 

料金プラン

初期費用 月額費用 無料お試し
要問合せ 要問合せ 7日間

 

実際に使った人の評判・口コミ

 

社員ひとりひとりの目標が他の社員にも公開可能となっているため、互いに作用しあって、社員のモチベーション向上に役立っています。
(webサービス:従業員100人以下)

 

HRBrainは都内のタクシー広告でよく流れているので「タクシーでよく見るツールね」という感覚で社員が素直に受け入れて使ってくれて有り難かったです。新しいツールを嫌がる人も多いので。ただ最初は、人材管理システムを導入すると聞いて「管理が強まるのでは」と心配する社員がいました。
(IT関連:従業員30人以下)

 
HRBrain 含む人事評価システムの資料をDL

 

 

他システムとの連携が充実!『sai*reco』

画像出典元:「サイレコ」公式HP

特徴

従業員管理から人事評価、給与明細のデータ管理・帳票作成まで、人事業務を効率化できるシステムです。

評価精度を高めることはもちろん、評価に関わる業務の効率化を優先する企業に向いています。

ワークフロー機能が充実していて、社内申請の電子化・人事情報更新の自動化・評価運用の効率化・面談や研修などの履歴管理が叶います。

クラウド型給与計算システム、給与奉行クラウドと連携できる点も大きなメリットです。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1
   

 

料金

初期費用 月額費用 無料お試し
400,000円 100名以下:22,000円
100名超過:1名220円で積算
14日間


その他、システムメンテナンス費用が月額1,000円かかります。

実際に使った人の評判・口コミ

 

人事・管理職の人事評価業務負担を減らすために導入しました。導入前はエクセルで管理していたのですが、過去資料の管理が杜撰になっていました。導入後は過去の評価内容の管理も容易となり、電子上で評価シートのやりとりが行えるようになりました。
(コンサルティング:従業員50人以下)

 

月額は安いのですが、初期費用は他社と比べて高い点が導入時のハードルになりました。会社規模がまだ大きくないため、人員配置等のツールを活用しきれていません。人員配置の適正化を考えるレベルに達していないベンチャー企業にも対応した機能があればありがたいです。
(コンサルティング:従業員50人以下)

 

 

準備や集計の工数削減!『360』

画像出典元:「360」公式HP 

特徴

360(さんろくまる)は、回答画面がシンプルで使いやすく、準備や集計の工数削減もできる、360度評価に特化したフィードバックサービスです。

メール配信や自動集計機能を備えており、スマートフォンやタブレットからも回答や評価が可能で、回答者も管理者も使いやすいUIとなっています。

利用料金が発生するのはフィードバックを実施した1ヶ月間のみで、管理画面などの利用は自由に使うことができます。

2週間無料のデモ体験もできるので、検討中の企業は一度試してみると良いでしょう。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1

 

料金

初期費用 費用 無料お試し
11万円~ 実施ごとに44,000円~ 14日間

 

360 含む人事評価システムの資料を一括DL 

 

従業員エンゲージメント向上のためのワンストップツール!『Qualtrics EmployeeXM』


画像出典元:「Qualtrics EmployeeXM」公式HP


特徴

「Qualtrics EmployeeXM」は、クアルトリクス合同会社が提供するエクスペリエンスマネジメントプラットフォームの一つ。

従業員エンゲージメント向上のための調査や結果分析、改善のためのアクションまでを同一プラットフォームで行えます

また高度な統計分析機能を備えたインテリジェンスエンジンを搭載し、次に取るべきアクションを提示。

ユーザー企業が従業員エンゲージメントを高めるために理想的なPDCA サイクルを回せるよう、継続的にフォローします。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1

 

料金

Qualtrics EmployeeXMの料金プランの詳細は、問い合わせをする必要があります。

Qualtrics EmployeeXM 含む資料を一括DL 

 

その他のおすすめ360度評価システム

One人事[タレントマネジメント](旧スマカン)

画像出典元:「One人事[タレントマネジメント]」公式HP

特徴

One人事[タレントマネジメント]は組織内に分散しがちな人材情報をクラウド上で一元管理。

従業員の経歴やスキルを正確に把握することができ、経営層や人事担当者におすすめのクラウド型人材管理システムです。

データベースや評価シートの設計も簡単におこなえるシンプルな使いやすさが魅力。

人材管理や人材育成、人事評価などのタレントマネージメント機能だけでなく、労務や勤怠、給与などの人事業務をまとめて管理することができます。

対応可能な機能・評価制度

 タレント
マネジメント
MBO
(個人目標)
コンピテンシー OKR
(組織目標)
360度評価  1on1

評価フォームのカスタマイズ:可

料金プラン

  ベーシック +選べるパック +オプション
月額費用 50,000円〜 要問合せ 要問合せ
基本機能

人材一覧
各種シート
人材グルーピング
組織図
暗号鍵設定(別途機能)

評価パック
人事評価、目標管理
OR
スキルパック
スキル管理、目標管理

カスタマイズ
アンケート、ダッシュボード、クロス分析、エンゲージサーベイ、ワークフロー、その他

本契約の前に30日間無料で利用でき、無料期間中のデータの移行も可能です。

One人事[タレントマネジメント] 含む資料を一括DL  

 

スキルナビ



画像出典元:「スキルナビ」公式HP

 

特徴

「スキルナビ」は人材の採用・育成・評価・活用のすべてを見える化するタレントマネジメントシステム。

ひとつのプラットフォームで人材の管理業務とマネジメントをおこなうことができます。

初期導入の負担が少なく長期的に使いやすいという点も魅力で、10~20名程度の企業から大企業まで幅広く利用されています。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1
 
 
 
 

料金プラン

初期費用 月額費用 無料お試し
0円 40,000円~
(登録人数により変動)
要問合せ

 

 

thanks!





画像出典元:thanks!公式HP

 

特徴

thanks! はお客様のポジティブレビューや、従業員同士での「ありがとう」を、目に見える形にして社内ポイントを贈り合うしくみです。

たまったポイントをTポイントやAmazonギフト券に交換して報酬として提供することも可能。

従業員のパフォーマンスを数値化することで、顧客満足度アップのための改善施策にすばやく取り組みたい企業におすすめです。

料金プラン

  ベーシック スタンダード プレミアム
ダイレクトメッセージ・スタンプ
社内ポイント
お客様の声
(ポジティブレビュー)
有料オプション 有料オプション
導入サポート
習慣化サポート 有料オプション
表彰サポート 有料オプション 有料オプション


料金プランはすべて月額料金制です。

7日間の無料トライアルも用意されています。

 

HRMOSタレントマネジメント

画像出典元:「HRMOSタレントマネジメント」公式HP

特徴

HRMOSタレントマネジメントは、カスタマイズの自由度が高いことが特徴です。

目標設定や評価プロセスをサポートする機能も備えているので、自社の評価制度がうまくいかない原因を突き止め、自社に合った評価制度を構築できるでしょう。

HRMOS採用管理・HRMOS Coreとあわせて利用すれば、採用時から入社後までの情報を一元管理し、可視化できるようになります。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1

 

料金

初期費用 月額費用 無料お試し
498,000円 85,000円~ 無料デモあり

 

 

タレントパレット

画像出典元:「タレントパレット」公式HP
 
 

特徴

人材の評価メソッドを搭載しているのはもちろん、目標管理やスキル管理から人材データ分析・異動シミュレーション・従業員アンケート・組織診断・研修・適性検査・採用管理まで、あらゆることに対応してくれるシステムです。

料金が高いので小規模な企業には向いていません。従業員が数百人以上の企業におすすめです。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1
 

 

料金プラン

初期費用 月額費用 無料お試し
要問合せ 180,000円~ あり

 

実際に使った人の評判・口コミ

 

自己評価やモチベーション、社内外貢献情報などのアンケートを毎月実施しています。このアンケートから個別のコンディションを把握したり、評価面談にも活かしたりしています。
(派遣事業:従業員5,000人以上)

 

面談記録も評価の結果も全部タレントパレットに入力しています。過去・現在・未来を通してデータを閲覧できるので、新しく着任した上司でもすぐに部下の情報を確認でき、部下が「自分の意見や希望が引き継がれていない」と感じるような事態も防げます。
(IT関連:従業員2,000人以上)

 

タレントパレット 含む資料を一括DL 

 

Co:TEAM

画像出典元:「Co:TEAM」公式HP

特徴

Co:TEAMは、目標管理を簡単にするだけでなく、1on1を充実させる機能も搭載されたマネジメントツールです。

個人・チーム・全社の目標ごとの進捗や期日が可視化できます。

また、チャットツールの連携により、更新の催促や通知を自動化することで活用を浸透させることが可能です。

1on1で手間がかかりがちなフィードバックや日程の調整もこのツールで一括管理できるのが嬉しいポイント!

複数のツールで管理が複雑になっている企業やメンバーとのコミュニケーション不足に課題がある企業におすすめです。

対応可能な目標管理手法

MBO コンピテンシー OKR 360度評価 1on1
 

 

料金

初期費用 月額費用 お試し
10万円~ 1000円~/1ユーザー トライアルあり

※オプションにより初期・月額費用は変動いたしますので、詳細はお問い合わせ下さい。

実際に使った人の評判・口コミ

 

以前は各メンバーが目標を立てたり、ましてその管理は一切やってなかったのですが、目標ベースで行動できるようになって、明らかに動きが変わりました。
開発スピードは前回のインタビュー時よりも更に早まっていて、体感/データ共に約3倍強早くなったり、利益率も3%強改善しています。
(コンサルティング:従業員10~100人未満)

 

マネージャーからメンバーへのコミュニケーション量が導入前より85%へ減少(マネジメント負荷の削減に成功) しました。
Co:TEAMにより効率的なマネジメントを実現し、メンバーからマネージャーに対するアプローチ件数が導入前より約2倍に増加、特にマネージャーに「アドバイスを求めた」件数は約3倍に増加し、仕事への関心度が向上しました。
(IT・通信:従業員10~100人未満)

※Co:TEAM公式HP参照

 

HITO Talent

画像出典元:「HITO Talent」公式HP

特徴

HITO-BIという機能によって、全てのマスター情報や数値情報をその都度ニーズに応じた軸でクロス分析できるようになるシステムです。

また、条件を設定しておくだけで全データベースから該当者を自動的にピックアップできるため、人材の最適配置を効率的に行えるようになります。

大企業向けのシステムで、数万人規模の処理でもスピードが落ちないことを強みとしています。

対応可能な評価制度

MBO(目標管理) コンピテンシー OKR 360度評価 1on1
     

 

料金プラン

初期費用 月額費用 無料お試し
要問い合わせ 要問い合わせ 無料デモあり

 

 

HRベース


画像出典元:「HRベース」

特徴

HRベースは、管理職やチームのリーダーなど、リーダーシップやマネジメントに関する人事評価をおこないたい企業におすすめの360度評価・多面評価ツールです。

PM理論をベースに、業種や職種を問わず、また、女性管理職や各種ハラスメントにも対応しながら評価を行います。

多角的な視点分析で管理職の適正な選抜を行いたいと考えている企業にはおすすめの評価ツールです。

料金プラン

【初期費用】:20,000円

【アセスメント実施時の設定費用】:10,000円

【アセスメント費用】:被評価者の人数により変動します。詳しくは以下の記事でご確認ください。

 

スマレビ for 360°


画像出典元:「スマレビ for 360°」

特徴

組織状態の把握、従業員の定着率、従業員の満足度、多面評価などの調査を行い、企業の発展を持続的にサポートしていく社内アンケートツールです。

「スマレビ for 360°」は機能に加え、スピード面でも優れており、社内組織の課題解決と同時に業務の効率化を実現することができます。

料金プラン

基本料金は年間20万円~から利用できます。

分析サポート付きのプランは年間32万円です。

 

360°FEEDBACK(タナベ経営)


画像出典元:「360°FEEDBACK(タナベ経営)」公式HP

特徴

部門別フィードバックシートでは、どの部門から、どのように見られているかを一覧化することで、各部門同士の気づきが得られます。

個人別フィードバックシートでは、基本的なヒューマンスキルからリーダーシップ・マネジメントスキルまで多彩な評価項目が設定されている点が魅力です。

料金プラン

~10名まで:100,000円

~50名まで:200,000円

~100名まで:300,000円

※人数はフィードバック対象者です。

 

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360度評価システムの4つの選定ポイント

カスタマイズ性

360度評価は「能力の評価」や「行動評価」などに用いられることが多く、また、「コンピテンシー(ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性)評価」などにも活用されます。

しかしながら、何を高い能力・良い行動と見るかは、仕事や会社によって様々です

そのため、まずは測定する項目やそれに関する質問がどれくらい自由にカスタマイズできるかをよく見て選定しましょう。

人事コンサルタント 曽和利光

質問数やカテゴライズの可否、集計方法(加重平均などができるか)などをチェックしましょう。また、匿名性は、評価する側もされる側も気にするところなので、これが柔軟に設定できるがどうかも見ておくとよいでしょう。

 

人材データベースと連携できるか

360度評価システムは人材育成を目的としているので、その評価結果は、被評価者の技術や知識、意欲、組織連携力などを高めるために影響を与えるものでなくてはなりません。

そのため、人事評価結果に限らず、被評価者の適性検査の結果や勤怠、給与、または過去の経歴や実績など、あらゆる人材データベースに連携できるものがベストです。

さらに、評価結果は数値だけでなく見やすいグラフで表示でき、分析機能を持つものがおすすめです。結果を可視化することにより、過去の結果と比較し成長を実感することができれば、被評価者各々の意欲を高めることができるでしょう。

人事コンサルタント 曽和利光

結果を、タレントマネジメントシステム等の人材データベースに簡単に連動させることができると、経年の変化も見やすくなり、結果を利用した育成、評価、異動、昇進などができ便利です。

 

個人別や部門ごとにアウトプットできるか

360度評価の結果を個人別や全体、部門ごと等、どのようにアウトプットできるかどうかも重要です。

評価の結果は、経営や人事が組織の状況把握で使う場合もあれば、個々人がフィードバックを受けて行動改善をするために使うなど、企業によって利用目的が異なるためです。

見たい軸でのアウトプットが可能なのかどうか、また、自社の利用目的に対応できる帳票類などが充実しているかどうかもチェックするとよいでしょう。

人事コンサルタント 曽和利光

細かく出し分ける機能が搭載されていなくても、csvファイルでダウンロードができたり、加工しやすいExcelテンプレートなどがあるのであれば、それを活用するのもよいでしょう。

 

スマートフォン・タブレット対応のものか

評価のためのアンケート回答は、スマートフォンやタブレットなどで実行できるものがおすすめです。

スマートフォンやタブレットのように持ち運びができるデバイスから回答が可能なシステムを選べば、従業員は隙間時間にアンケートに回答することができます。

同時に管理者もいつでも回答状況を確認することができます。アンケートの実施・回答のハードルも下がり、回答率も上がるでしょう。

人事コンサルタント 曽和利光

360度評価はデータ収集が煩雑なので、マルチデバイスで収集できるようにしてあるとやりやすいです。また、後で集計しやすいよう、「誰が」「誰について」つけた評価なのかが簡単に入力できるようにしてあるとよいです。

 

360度評価システムを有効活用するために

360度評価システムの良さを十分に生かして有効活用するためには、次の点に注意しましょう。

評価項目を明確にする

誰の何を評価したいのかを明確にすることが重要です。

一般的には、管理職と管理職以下の従業員を評価する場合は、以下のような評価項目を設定します。

■管理職の評価
評価項目:「リーダーシップ力」・「組織作り力」・「部下育成力」・「自己啓発力」など
⇒主に部下を育成しながらチームをまとめ、成果を出していくマネジメント力を評価します。

■従業員の評価
評価項目:「主体性」・「業務遂行力」・「企業理念理解」・「協調性」など
⇒業務遂行のために必要な技術や知識を備えているか、技術や知識の習得のための工夫や努力をしているかなどを評価します。

 

人事コンサルタント 曽和利光

同時に「誰が誰を評価するのか」を決める際も注意が必要です。「組織ごとに機械的に決める」だけでなく、「組織を横断する」「経営や人事からつける人を指定してもらう」などの選択肢もあるので、組織の現状を踏まえて決定しましょう。

 

評価基準を明確にする

評価結果を分かりやすく提示するためには、評価基準を明確に伝えることもとても大切です。

アルファベットや数字など評価を表す手段はさまざまですが、単にA・B・Cを示すだけでなく、「何ができたからA」なのかを被評価者にできるだけ具体的にフィードバックするようにしましょう。

自己評価項目がある場合は、具体的な自己評価基準を明確に示すことにより、極端に低い自己評価を回避することができます。

評価点数だけでなくコメント欄を設ける

とくに評価点が低い項目に関しては、コメント欄を設けてフォローし、被評価者のモチベーションや意欲を削がないよう配慮することも大切です。

公平かつ適性な評価のためのルール作り

360度評価システムでは、上司が部下を評価するだけでなく、部下が上司を、また、同僚同士で評価することもあります。

どの関係性でも公平な評価が行われるよう、評価の目的と意義を評価者および被評価者に明確に伝えることは必須です。

公平かつ正直な評価をおこなうルールとして、たとえば、直属の上司以外の上司からの評価の機会をもうけたり、匿名での評価を徹底させるなど風通しのいい評価体制を構築しましょう。

360度評価システムのメリット3つ

相手の長所が見える・自身の行動が変わる

360度評価システムでは、ほとんどの従業員が評価者と被評価者を経験するので、他人を評価することで初めて長所に気づくことがあります。

筆者は日本語教師として、成人外国人学生を相手とする評価方法に約10年間四苦八苦してきた人間ですが、学生同士の評価を積極的に取り入れていました。

理由は、学生は教師からのアドバイスより、同じ学生からのアドバイスをより重視するからです。

このような学びの方法はアクティブラーニングと呼ばれ、360度評価システムは、このアクティブラーニングを取り入れた評価方法といえます。

お互いが評価し合うことにより、それぞれの長所に気づきあい、自身の行動を変えるきっかけができるので、コミュニケーションが円滑になり、仕事の生産性アップが期待できます。

人事コンサルタント 曽和利光

360度評価の最大の効能は「行動変容」だと言われています。自分を取り囲む人々からの評価の集合体は心理的インパクトがとても大きく、受け止めざるを得ないため、そこから行動を変えようとする傾向が強くなります。

評価工数の手間が省ける

360度評価システムは、評価項目作成~実施、フィードバック、結果の管理・分析まで、1つのシステム上で完結することができるので、評価に関わる人材や時間、手間を大幅に削減することができます。

中にはAIの添削を搭載したシステムもあり、今後評価の自動化・AI化が促進されることは確実です。

機械に任せられる部分は任せ、人間にしかできない評価のフィードバックなどに集中できるのがベストでしょう。

また、「360度評価機能」を搭載している人事評価システムもあるので、評価業務全体を効率化したい場合には、人事評価システムの導入を検討してみるのも手です。

コミュニケーションが円滑に

360度評価システムは、上司が部下を評価するのはもちろん、部下が上司を評価することも、また同僚同士での評価もあります。

年功序列制度が蔓延する社内では、部下は上司からの評価が気になり、思うように上司に意見を伝えられないことは日常的にありました。

しかし、360度評価ツールを利用すれば、上司からの一方的な評価に怯える必要もなくなり、さらには上司との対等な意見交換も可能になります。

360度評価システムのデメリット2つ

評価に主観が入る恐れがある

デメリットとして、評価が主観に偏る恐れがあることが挙げられます。

これを防ぐには、従業員に360度評価システムの目的を確実に伝え、どのようにつけるべきかを理解してもらう必要があります。

この点をおろそかにしてしまうと、好き嫌いなどの主観による評価が増えたり、場合によっては社内の派閥争いに評価が利用されるなど、組織が乱れる恐れもあります。

人事コンサルタント 曽和利光

評価の仕方は人によってぶれることが多く、「全員に厳しくつける」「中央によった評価ばかりする」などの傾向が現れます。そうすると、評価の精度が下がるので、事前にどのようにつけるべきか(「ある程度メリハリをつけて評価してください」など)も示すべきでしょう。

 

上司と部下の良い関係が築けなくなる

360度評価システムでは上司が部下に評価される機会もあり、場合によっては、部下からの評価を気にしすぎるあまり、部下に対し遠慮がちになったり、適切な育成ができない事態も考えられます。

部下にしてみれば、自分を教育してくれない上司を信頼することはできず、結果として、上司と部下の関係がうまくいかなくなる…という悪循環が生まれかねません。

そうならないよう、デメリットの1同様に、360度評価システムを実施する前に、その目的と意義をしっかりと従業員に理解してもらうことが大切です。

人事コンサルタント 曽和利光

どんな効果やリスクがあるのか、また、評価した結果がどのように処理されて個々人や会社にフィードバックされるのかを、きちんと明示した上でつけてもらうと、不安がなくなり、公正で実態を反映した評価がつきます。

 

結果の精度について理解が必要

360度評価は、「周囲からの評価で個人の行動を変化させる」効果の期待できる評価システムです。

しかしながら一方で、360度評価はハロー効果(一つの長所などによって他の側面の評価も一緒に高まってしまう心理バイアス)などの様々な心理バイアスに陥りやすい手法であるとも言われています。

そのため、精度にはバイアスや偏り、ブレが含まれ得ることを十分に理解する必要があります。

1回の評価結果の絶対値自体をすぐに機械的に何かに反映するというのではなく、あくまで人事や育成の参考値としたり、経年変化を見ていくようにするなどの注意が必要でしょう。

少しでも精度を高めるためには、360度評価を行う人全員に対しての評価者トレーニングを行うのも良いでしょう。

人事コンサルタント 曽和利光

報酬査定などで、他の目標管理などと併用して総合評価する場合は、360度評価をあまり大きな割合にするとリスクがあるので、2割程度までにとどめるのが適切でしょう。

 

360度評価システムは「つらい?」失敗例と対策

これまでの解説で触れたとおり、360度評価システムは、適切に運用ができれば、「相手の長所に気付いたり」「行動変容を促したり」と多数のメリットがあるシステムです。

しかしながら、多面的に複数人から評価を受ける手法ならではの弊害もあります。

結果を見てつらいと感じる」「評価に落ち込む」「モチベーションが低下してしまう」などの反応を示す従業員が一定数出てくる可能性があるのです。

よくある失敗例

360度評価を導入している企業ではどのような失敗が起こりがちなのでしょうか。

1. 忖度が起こって、コミュニケーション不全が起こる

まずひとつめには、お互いに「良い評価」をつけて欲しいがために、従業員の間で忖度が起こってしまうことです。

例えば、率直な意見を書いたら、自分も悪い評価がついてしまうのではないかと恐れて本音の評価を入力できなくなるなどがあります。

また、360度評価システム入力の際だけでなく、普段の業務においても、厳しい発言を控えるなどの反応が出てしまうこともあります。

2. 評価結果に落ち込んで、モチベーションが下がる

360度評価は、良い所だけでなく、今後改善したほうが「もっと良くなる」ポイントも入力を求められることが多いです。

しかしながら、本人の伸びしろのための意見であっても、その言葉の書き方や、本人の受け取り方によっては「否定された」と強く感じてしまうこともあります。

それによって、「つらい」「職場が楽しくない」「モチベーションが上がらない」などと感じてしまうこともあります

失敗に終わらせないための対策

上記のような失敗を生み出さないためには、どのような対策をすればよいのでしょうか

まず大前提としては、前章で解説した「360度評価システムを有効活用するために」を参考に、評価の目的や基準、意義を案内することが重要です。そのうえで、

  • フリーコメントなどの書き方を例を使って丁寧に案内する
  • 結果をデジタルに伝えるだけでなく、面談・アフターフォローの時間を設ける
  • 360度評価を人事考課や給与には反映させない、もしくは反映割合を下げる

などの対策を、導入前から備えておくと、ありがちな失敗への防止策となるでしょう。

まとめ

今回紹介した360度評価システムでは、従来の上司から部下に向けての一方的な評価方法を払拭し、従業員一人ひとりの多面的な評価が実現できます。

また、人事評価の一連の業務負担を大幅に軽減し、時間やコストの削減も期待できるでしょう。

360度評価システムを活用してみたいと考えている方は、ぜひ今回紹介したツールを始めとした360度評価システムツールの導入を検討してみることをおすすめします。

画像出典元:O-dan

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