サクセッションプランとは?メリットや導入手順、おすすめツール6選

サクセッションプランとは?メリットや導入手順、おすすめツール6選

記事更新日: 2024/02/07

執筆: 編集部

「サクセッションプラン」とは、経営者もしくは経営に関わる重要ポストに将来的に就任する人材をあらかじめ選出・育成し、現職者から後継者へスムーズに交代するための、後継者育成プランを指します。

帝国データバンクによる「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」によると、2019年の後継者不在率は65.2%。

同調査結果内で日本政策金融公庫の行った調査結果も言及されており、「後継者難」を理由とする廃業が全体の約3割に迫るという結果が出ています。

以上のことから後継者を選出・育成するサクセッションプランは、企業を継続していく上で重要と言えます。

また企業のビジョン・将来性を見越した上で後継者を選び、育成することで、企業の成長にも繋がるでしょう。

本記事ではサクセッションプランの概要やメリット・デメリット。その他導入手順やタレントマネジメントシステム6選について解説します。

サクセッションプランとは

サクセッションプランの概要

「サクセッションプラン」とは、経営者もしくは経営に関わる重要ポストに将来的に就任する人材をあらかじめ選出・育成し、スムーズに現職者から後継者へ交代するための後継者育成プランを指します。

冒頭でも触れましたが、後継者が不在のために廃業を検討する企業が多いことが調査によりわかっています。

経営者の高齢化による引退や、不測の事態となった場合に後継者が決まっていなければ、企業は大きな痛手を負うこともあるでしょう。

そのため、経営者や経営に関わる重要ポストに就任する人材を、あらかじめ選出・育成しておき、後継者問題を解決することがサクセッションプランの一番の目的です。

その他にも優秀な人材流出を防いだり、企業を成長させることができます。

従来の人材育成や後任登用との違い

これまでも企業では、企業戦略として人材育成や後任登用を行っています。

サクセッションプランとの違いは

  • 「あらかじめ後継者候補が決まっているかどうか」
  • 「後継者となる育成計画を受けているかどうか」

という点です。

サクセッションプランと人材育成との違い

「人材育成」とは、個人の能力を伸ばして企業の業績を伸ばす育成方法です。「サクセッションプラン」ではそれに加えて、経営者としての観点も含めて育成します。

経営戦略やリーダーシップ等、経営者や経営に関わる人材として必要なスキル・知識を獲得していくことにより、スムーズに現職者から後継者に交代することができます。

サクセッションプランと後任登用の違い

従来であれば、現職者から直属の部下または周囲の人材が後任となる「後任登用」が一般的でした。

しかしサクセッションプランでは直属の部下という概念はなく、選定され育成された後継者が選ばれます。

候補者は、長い期間を経て後継者に育成されるので、経営者としての視点を持てるようになります。

企業が成長するためにどのような施策を行うべきか、企業の方向性を定め、リーダーシップをとって舵取りを行えるようになるのです。

また育成教育中は企業の創業者の想い等も併せて教育していきます。後継者は企業として何を重要視するべきなのかを理解でき、企業成長にも繋げることができるようになります。

サクセッションプランのメリット

後継者不在問題が解決できる

サクセッションプラン一番のメリットは後継者不在問題の解決です。

後継者が不在であれば黒字であっても廃業せざる得ません。これまで企業存続・企業成長のために一生懸命してきた戦略も、後を継ぐ人材がいなければ失われてしまいます。

サクセッションプランでは、後継者候補となる人材に企業の理念・ビジョンや戦略を引き継ぐことができます。早い段階から長期的に育成することにより、スムーズに現職者から後継者へと交代することが可能です。

優秀な人材流出を防ぐ

サクセッションプランでは、優秀な人材流出を防ぐ施策ともなります。

早い段階で経営者層の候補と決まれば、仕事に対するモチベーションも向上します。

また、現段階では選ばれていなくても「自分も将来経営者層となるかもしれない」と思うと、やる気を出して仕事に取り組める従業員も増えるでしょう。

仕事に対する意欲も上がり、結果経営にも良い影響となることが期待できます。

必要なスキルや要件を満たすことで候補となれるので、サクセッションプランの活用は、優秀な人材流出を防ぐことに繋げられるのです。

早い段階から後継者を育成できる

サクセッションプランでは若い従業員でも、必要な要件を満たせば後継者の候補となることができます。

早い段階で後継者候補が選出できれば、その分将来を見越して長期的に経営者としての観点を持つように育成していくことが可能です。

長期間の育成により、企業理念を深く理解し、企業成長をもたらしてくれる人材となることが期待できます。

サクセッションプランのデメリット

人材育成まで時間がかかる

サクセッションプランでは、長期に渡って育成することが必要になります。

将来の経営者・経営に関わる人材として、後継者候補が企業の理念やビジョンを深く理解するには時間がかかるうえ、育成のためのプランの準備や資金等も必要となります。

しかし、育成に時間がかかる分、結果的に良い経営者となってもらうことが可能なので、一概にデメリットとは言いきれません。

選考から外れた社員のモチベーション低下

候補者が選定され、周囲の従業員が選考から外れたことを知ると、モチベーションが低下してしまうことも考えられます。

選考から外れた従業員のモチベーションを保つための施策も必要となります。

外れた従業員にはわからないように、直接的には伝えない等の配慮が必要です。

サクセッションプランの導入手順

1. 経営戦略・経営課題を明確にする

企業で要となる経営戦略や経営課題を明確にしましょう。

サクセッションプランでは、企業理念に加えて経営戦略や経営課題を含めた上で選考し、育成のプランを立てる必要があります。

2. 後継者候補となる基準を明確化して、人材を選出する

経営戦略・経営課題を明確にした後は後任者の基準を明確化します。基準となるものがなければ、主観的に候補者を選ぶことにも繋がります。

後継者候補を選ぶときには、客観的に人材を評価できるような基準を明確化しましょう。

その他にも、企業理念をどのように思っているか等のヒアリングをして、企業に対する思いなども把握することが重要です。

3. 後継者候補を育成する

将来の経営者や経営層となれるよう、人材を育成します。

企業理念や創業者やこれまでの後継者となった人物の思いは、経営する上で重要です。

企業が正しい方向に成長できるように、仕事・思考の能力向上の教育や実地研修の他にも育成計画として取り入れていきましょう。

必要なスキル・経験の獲得等を行い、最終的に適切なタイミングでポストに登用します。

サクセッションプランの事例

サクセッションプランは、実際に大手企業も導入しています。

1. 花王

花王は「花王ウェイ」という経営理念等を基に、実績や貢献度・目標を評価。

そのうえで、それぞれの評価基準に合った優秀な社員をサクセッションプランで後継者候補として選定します。

花王では、サクセッションプランは3つに分かれています。

  • 今すぐに後任となれる人材(1名)
  • 1〜3年で後任として育成する人材(2名まで)
  • 3〜5年で後任として育成する人材(3名まで)

後継者候補として挙げられた中から、適切な人材が選ばれる仕組みです。

「1.今すぐに後任となれる人材」の1名は必須で、常に配置しておくことにより、不測の事態となった場合でもスムーズに後継者に交代できます。

2. 日産

日産は外国人をトップとして起用するなど、グローバル人材マネジメントを行っています。

人材に投資し、育成することが企業にとって重要であるという考えのもとで行われ、サクセッションプランが実行されています。

サクセッションプランは2000年より開始され、キャリアコーチと呼ばれる役職の人物が世界各国から後継者候補を探し出し、NACと呼ばれる人事委員会に提案。

その上でグローバルに活躍できる後継者候補を決め、育成計画のプランニングが行われています。

サクセッションプランに役立つ人事評価システム6選

後継者候補を選ぶときには、従業員を適切に評価する必要があります。しかし、全員を客観的に判断するのは難しい部分もありますよね。そこで、役立つツールとして6選をご紹介します。

これらのツールは「タレントマネジメントシステム」としても知られており、日々の仕事の取組や成果等客観的に評価ができるようにサポートしてくれるシステムです。

1. ベンチャーから大企業まで!『HRBrain』 

画像出典元:「HRBrain」公式HP

特徴

個人目標シートの記入から評価オペレーションまでをクラウド上に一元管理し、見える化することで、評価基準が統一され、公平な評価が可能になります。

また使いやすいシンプルなデザインも特徴の一つです。PC操作のレベルによって設定を変えられるため、職場に即した使い方が叶います。

 

機能

  • 目標・評価記録を簡単検索
  • 多種テンプレートを完備
  • 集約した人事データを可視化・分析
  • 集計作業を完全自動化

料金プラン

  • 初期費用 要問い合わせ
  • 月額費用 要問い合わせ(従業員数によって変動)

 

HRBrainの資料を無料ダウンロード 

 

2. 導入実績3,000社超え『あしたのクラウド』


画像出典元:「あしたのクラウド」公式HP

特徴

あらゆる評価シートに対応しており、評価フローの全てを管理できるため工数を劇的に削減できます。

目標設定から面談・評価・査定までを全て一元管理できるため様々なツールに手をだす必要がなくなります。

また管理職人材の育成もシステムでサポートします。被評価者を数値化し、課題をあぶり出すことで管理職育成につなげます。

機能

  • 評価・査定情報を一元管理
  • 「評価軸別」「評価者別」「部署別」など様々な切り口で評価分析可能
  • 評価者モニタリング機能
  • 初期構築・設定と運用をサポート

料金プラン

  • 初期費用 従業員数によって変動
  • 月額費用 45,000円〜(従業員数によって変動)

 

 

3. 人事コンサルティング第一人者の監修『MINAGINE』

画像出典元:「MINAGINE」公式HP

特徴

ベンチャー企業や中小企業に対して実施したコンサルティングのノウハウを活かして開発された人事システムです。

評価リスト作成時も、丁寧なヒアリングとコンサルティングをもとに数ある項目から各企業に最適な評価リストを提供します。

さらに、システム導入後も評価項目は何度でも変更可能なので、異動や組織の変更にも柔軟に対応することができます。

機能

  • システム上で社員の活動目標を管理
  • 進捗状況の適時確認
  • メンタルヘルス未然防止のためのチェック機能
  • 自動で警告を送信するアラート機能

料金プラン

  • 初期費用 10,000円〜(30名以下)
  • 月額費用 3,000円〜

 

4. 1,800社に選ばれる『カオナビ』

画像出典元:「カオナビ」公式HP

カオナビは株式会社カオナビが提供するシステムで約1800社に選ばれています。システムでは、スキルや評価、性格やモチベーションなど、個人の深いデータを管理できます。

それぞれのデータから、優秀な人材を把握し、サクセッションプランに組み込むかどうか検討することが可能です。

特徴

  • スキル・評価から、キャリアプランやストレスチェック・性格診断等を一括で管理できる
  • 従業員を深く理解できることで、各個人の能力向上に役立てられる
  • 専用アプリがある

料金プラン

プランは「データベースプラン」「パフォーマンスプラン」「ストラテジープラン」に分かれており、利用したい機能により選ぶことができます。

その他、利用する人数を基に金額が決定します。

5. 人材情報を見える化!『CYDAS』

画像出典元:「CYDAS」公式HP

人事評価をする上で、評価制度があいまいだったり、複雑だと正確な評価は難しいですよね。そこでCYDASでは人材情報を見える化し、人材マネジメントを簡単に行えるようにしています。

社員自身も情報入力できるため常に最新の状態に保つことが可能です。

特徴

  • スキルや経歴・これまでの評価等を一元管理できる
  • 直感的でわかりやすい操作性。グラフなどで、個人の過去の成績等もわかりやすくなっている
  • 過去の分析から、最適な配置にすることが可能。サクセッションプランの候補者選定にも役立つ

 

6. 管理が簡単!『HRMOS CORE』

画像出典元:「HRMOS CORE」公式HP

大手企業も導入する人材管理システムで、組織情報の管理が簡単に行うことができます。別システム「HRMOS採用」も活用することで、HRMOSCOREと自動連携することも可能です。

特徴

  • 人材活用を幅広く手掛けるHRMOS(ハーモス)の人材管理システム
  • 従業員の情報を一元化することで、データも取り出しやすく、人事に関する手間を大きく減らすことができる
  • キーワードでの絞り込みから、簡単にリスト作成が行うことができるので、サクセッションプランの後継者候補選出にも役立つ

料金プラン

問い合わせが必要。

 

まとめ

サクセッションプランは企業の後継者のみならず、企業成長にも重要な役割を果たします。

経営者に適した人材が選ばれることになれば、リーダーシップを発揮し、企業を正しい方向へ導き、プラスとなる結果を残せることになるのです。

そのためには、サクセッションプランの正しい理解と活用が重要です。経営戦略の一部として、取り入れてみてはいかがでしょうか。

画像出典元:Pixabay

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