部署とは?課との違いや組織図から見る内部構造

部署とは?課との違いや組織図から見る内部構造

記事更新日: 2022/03/31

執筆: 河野亜希

企業や行政などの組織では、担当する業務や役割を表す単位として「部署」という言葉を使うことがあります。

組織図上には「部」や「課」などの表記があっても、「部署」という表記がありません。

では、この「部署」とは、どのようなケースで使われているのでしょうか。実は「部署」とは、少人数の課をまとめたものを指しますが、企業や組織によってその概念が異なる場合があるのです。

今回は「部署」がどのようなものなのか、また、組織図上における部署の単位、主に使われている部署名やその役割などについて、詳しく紹介します。

この記事を読んで、ぜひ部署に関する理解を深めてください。

部署とは?

企業や官公庁などの組織では、担当する業務や役割に応じて分けた単位のことを「部署」と呼ぶことがあります。

部署とは、少人数の課がまとまったものを指していて、企業や組織の規模によって部署の数や配属人数が異なります。

「課」との違い

企業や組織の規模にもよりますが、一つの課に所属する人数は数人から20名程度としているところがほとんどです。

一般的に企業や組織には複数の「課」が存在し、それらの課を業務や役割ごとにまとめたものを「部署」と呼んでいます

部署の概念は企業や組織によって異なるケースがあり、規模の小さな企業では、部署の中に課を置かずに運営する場合もあります。また、いくつかの課だけを設置して部署を置かないところもあります。

そのため、人数の大小で部署や課を判断するよりも、肩書きや組織図から判断すると間違いはありません。

「部所」「部門」との違い

「部署」に似た言葉に「部所」という表現があります。

「部所」は「部署」と同じ意味合いで使われていることが多く、研究施設や開発期間などで別の場所に建物を設置しているところでは、その建物のことを「部所」と呼んでいます。

「部所」という表現を使うことによって、意図的に「場所」や「位置」を強調させているのです。

「部門」も「部署」と似たイメージがある言葉です。「部門」とは、複数の「部署」を集めて統括するところです。

そのため、カテゴリー別に「課」→「部署」→「部門」の順にまとまりが大きくなります。支店や事業所を持つ大企業では、本社に「部門」を、支店や事業所に「部署」「課」を設置する傾向があります。

組織図からみる部署の単位

企業や組織によって違いはありますが、通常部署の単位は、「局」や「部」を上位に、その下に「課」や「室」があり、さらに下に「係」を置くケースが多くなっています。

ただし、この単位は法令で定められているものではありません。そのため「部」の上位に「課」や「室」を置いても問題はありませんし、間違いでもありません。

しかし、一般的な企業や組織では、部長の下に課長、係長を置いていますし、組織図上も「部>課>室>係」と設置するのがほとんどです。

また、部署の単位の名前に「営業所」や「〇〇チーム」、「〇〇グループ」という名称を使う企業もあります。

官公庁の場合は、部署の単位を統一的に使用するケースがほとんどで、「部>課・室>班>係」の順で設置されています。

各部署のトップは管理職という位置づけであり、企業の場合は取締役などの役員が部長以上の役職を兼務することもあります。

このほか、企業では、総務部や人事部などに勤務する者を「総合職」と、その他の社員や職員を「一般職」と分けるケースが大半です。

組織図とは

組織図とは、企業や組織の内部構造について、一目でわかるようにしたもののことです。

部署間の相互関係や、指揮命令系統が把握できるように構成されていて、所属する従業員の氏名や顔写真、連絡先などの個人情報を掲載するケースもあります。

通常組織図は、企業や組織の外部に向けて作成するものと、内部向けに作成するものに分けられます。

外部向けのものは、株主や取引先などの企業の関係者に会社の骨子を示すために、内部向けのものは、組織構成を最適化させ、自社の従業員に対して組織内における自身の立ち位置を認識させるために使用されます。

 

主な部署とその役割

いくつもの課を統括的にまとめる「部署」には数多くの種類があり、それぞれに業務や役割が異なります。

ここでは、さまざまな名称の部署とその役割について、詳しくご紹介していきます。

一般的に使われている部署

一般的な企業においてよく使われている部署は、次のとおりです。

部署名 主な役割・業務内容
総務部 会社や従業員に関して包括的管理を行う部署のこと。会社の管理運営、他部署のサポートなどを行っている。
法務部 会社運営に関する法的な問題を取り扱う部署のこと。会社のコンプライアンスを担当していて、社内監査、訴訟対応のほか、社内文書や契約書等の管理も行っている。従業員が平等に勤務できるように取り締まりを行っている。
人事部 採用業務、新人教育・社内研修のほか、社内の人事異動計画などを行う部署のこと。人事の調整及びキャリア育成を目的とした教育・訓練等を行う。
経理部 会社運営におけるお金に関する業務を行う部署のこと。主に経費精算、帳簿の記帳などといった金銭に関わる業務を行っている。
営業部 企業の商品・サービスの販売活動を行う部署のこと。売買契約を締結することによって、会社の売上や利益獲得を担っている。
マーケティング部 企業経営におけるマーケティング関連業務を担当する部署のこと。自社の商品・サービスが市場で売れ続けるために必要な仕組みづくりを担っている。
社長室 基本的に社長業務のサポートを行っている部署のこと。一般的に、企業の中枢という位置づけがなされている。
秘書室 企業の役員を担当する秘書が所属する部署で、大手企業のみに存在している。通常は、複数の秘書で複数の役員の秘書業務を担当する。

 

専門分野を統括している部署

企業が提供する商品やサービスについて、それらの知識に加え、独特の技能を要する部署については、次のとおりです。

部署名 主な役割・業務内容
情報システム部 企業や従業員が使用するサーバーの管理やパソコンのメンテナンスを行う部署のこと。社内システムの運用や管理も行っている。
製造部 自社商品・サービスを効率良く製造する部署。製造過程における安全性の確認や製造方法の改善も行っている。
品質保証部 自社商品・サービスが規定の品質を有しているかどうか、調査する部署のことである。
購買部 自社商品・サービスの生産に必要な原材料を購入する部署のこと。
物流部 企業で製造した商品を顧客に搬送する業務を行っている部署のこと。製品の数、量、搬送先などに応じて、効率的に搬送するための計画を立てている。

 

開発・生産関連の部署

企業の商品やサービスを開発し、生産する業務などに関連する部署は、次のとおりです。

部署名 主な役割・業務内容
開発部 新しい自社商品・サービスの開発を行う部署のこと。商品化に向けてさまざまな研究を重ね、現在顧客が求めているものから10年先を見据えた基礎研究まで、さまざまな開発を日々行っている部署である。
知的財産部 自社商品・サービスに関する特許の取り扱いを行う部署のこと。特許出願のほか、自社商品の特許侵害や、他社商品の特許を侵害しないようチェックしている。
生産技術部 企業規模や業種によって違いはあるが、主に顧客のニーズを具体化させて、商品・サービスを生み出す部署のことである。商品化できれば、高品質な商品を効率的なラインで実現化するようにしている。
生産管理部 商品・サービスの生産に関する管理全般を行う部署のこと。事前計画のとおり製造がなされているかなどのチェックを行っている。

 

部署名のグローバル化

外資系企業やIT企業など、グローバルに展開する企業では、部署名もグローバル化して対応しています。

「コーポレート課」など耳慣れた部署名もありますが、「リスクマネジメント本部」「スマートソリューション事業部」「イノベーション&インキュベーション部」「ヒューマンキャピタル部」といった、単語の意味を知らなければ業務内容が想像つかない部署名まで存在するのです。

さまざまな変化に伴って、部署名のみならず、企業名まで変えているところもあります。

今後も社会情勢や時代の変化に伴い、部署名を変えていかなければならないという可能性もあります。時代の流れに沿って、柔軟な対応が求められることにもなるのです。

まとめ

企業や組織の業態や規模などにより、配置する部や課などの部署に違いがあります。

一つの企業や組織が成立するには、配置された部署それぞれが分担して業務を行えるようにすることが重要です。

今回の記事を参考にして、部署に関する理解を深めて、今後のビジネスやスキルアップなどに活かしてみてください。

画像出典元:Unsplash、Pixabay

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