電子契約システムのワークフロー機能で何ができる?メリットや選定ポイントを解説

電子契約システムのワークフロー機能で何ができる?メリットや選定ポイントを解説

記事更新日: 2025/04/07

執筆: 川崎かおり

電子契約システムのワークフロー機能を使用すれば、申請や承認の工程をシステム上で自動化できます

「複数の部署が契約プロセスに関与している」「扱う契約書が多く稟議書の承認が追いついていない」などの課題を抱える企業は、ワークフロー機能付きの電子契約システムを導入することにより、状況の改善を期待できます。

本記事では、電子契約のワークフロー機能のメリットや注意点、ワークフロー機能を搭載している電子契約システムをご紹介します。

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電子契約システムのワークフロー機能とは?

電子契約システムのワークフロー機能とは、契約書の作成から承認、締結までの一連の流れを自動化できる機能です。

承認ルートを事前に設定しておけば、自動的に承認依頼が通知されます。

各承認者は自身の電子署名を用いて承認するだけでよく、最終承認まで人の手が入るフェーズを省略できるのが特徴です。

システムによって細かな違いはありますが、電子契約のワークフロー機能を利用した場合、契約業務は以下のような流れとなります。

  • 申請者が電子契約書を作成する
  • 申請者が承認ルートを設定する
  • システムが承認者に対し承認依頼を送信する
  • 全ての承認者が承認した後、契約書に電子署名が付与される
  • 契約締結後、契約書が電子データとして管理される

ワークフローシステムとの違い

企業の業務プロセスを管理するツールとして「ワークフローシステム」があります。

電子契約のワークフロー機能とワークフローシステムとの主な違いは、以下の通りです。

  ワークフロー機能 ワークフローシステム
主な機能 契約書の作成、承認、締結、管理 申請・承認・決裁の進捗管理、プロセスの自動化
適用範囲 契約関連業務に限定 業務プロセス全般
活用例 契約書の稟議や電子署名による契約業務の自動化 経費精算、勤怠管理、旅費申請などの申請・承認プロセスの自動化
コスト負担 小さい 大きい


電子契約のワークフロー機能は、契約業務にしか対応しません。

一方でワークフローシステムは、申請・承認が必要な業務全般に対応できます。

ワークフロー機能を活用する3つのメリット

ワークフロー機能付きの電子契約システムを導入することにより、契約業務の効率化・透明性の向上を実現することが可能です。

ここからは、契約業務にワークフロー機能を使用するメリットをご紹介します。

承認ルートの明確化

ワークフロー機能を使えば、契約書の申請から承認までのプロセスを一元管理できます。

流れが可視化されるため、誰がどの段階で承認を行うのかの把握が容易です。

契約業務の透明性と効率が向上し、進捗状況を適切に管理できます。

契約フローの電子化

ワークフロー機能は、契約の申請から承認、締結までのプロセスをシステムが管理します。

各プロセスの承認者には必要なタスクが自動で通知されるため、担当者が手動で連絡したりフォローしたりする必要がありません。

承認者がタスクをこなせば遅延なく次のアクションが実施され、承認・決裁サイクルの流れがスピードアップします。

ガバナンスの強化

ワークフロー機能の使用により「誰がいつどの決裁を行ったのか」の確認がスムーズになります。

承認についての責任の所在が明確化することで、不正行為や情報漏えいの抑制、さらにはスムーズな調査・監査対応が可能です。

また契約業務がシステムによって自動化されれば、承認漏れや業務の属人化が起こりにくくなります。

企業のリスク管理体制が強化されることも、ガバナンスの向上に有益です。


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電子契約のワークフロー機能を利用する際の注意点

ワークフロー機能付きの電子契約システムは、「使いこなせないリスク」「自社の契約業務とミスマッチになるリスク」があります。

電子契約のワークフロー機能の利用を検討している企業が、注意すべきポイントをご紹介します。

操作方法を社内に周知する必要がある

担当者が業務フローの変更に不安を感じてしまうと、誤操作や意図しない情報漏えい・契約違反のリスクが高くなります。

電子契約のワークフロー機能の効果を最大化するためには、全ての担当者がシステムの機能を適切に理解し、正しく操作することが必要です。

担当者への効果的な周知方法としては、研修やグループセッションなどが有効です。

システム導入直後は問い合わせも増えるため、問い合わせ窓口を決めておくこともおすすめします。

利用できない契約書もある

法律により公正証書での作成が義務付けられている契約書については、電子化が認められていません。(2025年3月時点)

以下の契約書について電子化したいと考えている企業は、ワークフロー機能付きの電子契約システムを導入しても、期待する効果を得られないリスクがあります。

契約書の種類 根拠となる法令
事業用定期借地契約 借地借家法23条
企業担保権の設定または変更を目的とする契約 企業担保法3条
任意後見契約書 任意後見契約に関する法律3条


また電子契約が認められている契約書でも、相手方の同意を得られない場合は電子化できません。

電子契約に移行するときは、取引相手にも電子契約のメリットを丁寧に説明し、理解を得ることが必要です。

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ワークフロー機能搭載の電子契約システム選定ポイント

ワークフロー機能付きの電子契約システムを導入したい場合、「承認ルートの設定」「承認条件の設定」「アクセス制限」「既存システムとの連携可否」をチェックしておきましょう。

それぞれのポイントについて、詳しくご紹介します。

複数の承認ルートが設定可能か

重要度の高い契約においては、複雑なチェック体制を取る企業も少なくありません。

複数の部署が関与する契約業務を自動化するなら、多彩な承認ルートに対応できる電子契約システムが必要です。

このような電子契約システムなら、企業や部署、契約書の種類に応じて適切な承認フローを選択することができます。

各自のワークフローに合わせて契約プロセスを柔軟に管理することが可能です。

承認条件の設定が可能か

承認条件の設定が可能な電子契約システムであれば、契約の種類・重要度に合わせた柔軟な運用を実現できます。

契約内容やリスクレベルに合わせて承認者を変更したり、追加の確認プロセスを設けたりしたい場合も、システム上で条件を変更するだけで対応することが可能です。

例えば「3人のうち1人だけの承認があればよい」「承認者が不在のときはスキップする」などを自由に設定できる電子契約システムなら、契約業務の停滞や遅延のリスクを抑制できます。

アクセス制限が可能か

契約書には企業秘密や取引条件など、機密性の高い情報が含まれています。

セキュリティ面を重視したい企業は、役職や部署・責任範囲に応じてアクセス制限を細かく設定できるかをチェックしてください。

特に機密性の高い人事関連やM&A関連の契約書などを扱う場合でも、情報漏えいによる法的リスクを回避しやすくなります。

既存システムのとの連携・一元管理が可能か

SFA、CRM、会計管理システムなどを運用している企業は、連携の可否を確認しましょう。

既存システムと連携できる電子契約システムなら、契約書の作成情報・更新情報を同期できます。

業務プロセスが自動的に連携することで、重複作業や入力ミスのリスクを低減することが可能です。

契約情報のリアルタイム性・整合性・一貫性を確保しやすく、確認に手間がかかりません。

契約書管理にかかる時間や工数が減ることで、業務効率が向上します。

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ワークフロー機能を搭載している電子契約システム5選

1. クラウドサイン

画像出典元:「クラウドサイン」公式HP

契約締結から契約書管理まで自動化できるクラウド型の電子契約システムです。

ゲスト契約にも対応しており、アカウント登録をしていない相手とも契約を締結できます

ワークフロー機能は標準搭載されており、契約業務の進捗管理はスムーズ。

申請者が契約書の作成時点で書類の送付順を設定すれば、順番に確認依頼のメールが送信される仕組みです。

申請者による契約書の閲覧、進捗状況の確認、確認依頼のリマインドにも対応しており、契約締結までのプロセスを適切に管理できます。

料金

  Light Corporate Business Enterprise
月額費用 11,000円 30,800円 要問合せ 要問合せ

(税込)

2. マネーフォワード クラウド契約

画像出典元:「マネーフォワード クラウド契約」公式HP

契約書の作成から管理までのプロセスを一元管理できるクラウド型電子契約システムです。

契約審査における社内・取引相手のコミュニケーションをシステム上に保管できるため、契約合意に至った流れまで適切に把握できます。

ワークフロー機能は複数の承認ルートに対応しており、契約書に適した承認ルートの設定が可能です。

また契約書の承認状況はシステム上で可視化されるため、進捗管理の手間もありません。

細かいアクセス権限の付与にも対応しており、情報漏えいのリスクを低減できます。

料金

  契約締結のみ フル機能
初期費用 無料
月額費用 2,980円 要問合せ

(税抜)

3. freeeサイン

画像出典元:「freeeサイン」公式HP

契約書の作成から承認・管理・保管までを自動化できるクラウド型電子契約システムです。

ひな形やテンプレートを使った契約書作成機能・AIによるレビュー機能などを搭載しており、電子契約前後の業務を効率化できます。

申請者が契約書を作成して承認者を設定すると、該当するユーザーに「承認依頼」のメールが送信される仕組み。

承認者はメールに添付されたURLからワークフローにアクセスし、手続きを行います。

全ての承認が完了すると申請者に通知メールが送付されるため、契約業務の依頼から承認・完了までが非常にスムーズです。

料金

  Starter Standard Advance / Enterprise
年一括払い 5,980円 / 月
(71,760円 / 年)
29,800円 / 月
(357,600円 / 年)
要問合せ
月払い 7,180円 35,760円

(税抜)

ワークフロー機能が利用できるのは「Advance / Enterprise」プラン。

4. Shachihata Cloud

画像出典元:「Shachihata Cloud」公式HP

あらゆる印鑑・帳票に対応できる電子印鑑サービスです。

ワークフロー機能を利用したい場合は「ワークフロー充実セット」を選択しましょう。

電子印鑑の標準機能に加え、承認ルートの設定や可視化・アクセスユーザーの制限を実行できます。

ワークフロー機能では「スキップ」などの複雑な条件設定にも対応できる上、最大30名までの一斉承認依頼が可能です。

承認にかかる担当者の手間や負担を軽減し、契約業務・承認業務を効率化できます。

料金

「ワークフロー充実セット」
月額費用:330円(税込) / 利用者

5. 電子印鑑GMOサイン

画像出典元:「電子印鑑GMOサイン」公式HP

「1件当たりの送信料は110円(税込)」という、コスパの良い料金設定で人気を集める電子契約システムです。

手軽な立会人型(契約印タイプ)と、法的有効性の高い当事者型(実印タイプ)の電子署名に対応しており、契約書の重要度に合わせて電子契約を選択できます。

ワークフロー機能は標準搭載されていますが、簡易な機能しかありません。

承認者を固定したい場合はオプションの「セキュリティ・内部統制パック」、契約内容や部署ごとに承認フローを設定したい場合は、「契約レビューパック」の利用をおすすめします。

契約レビューパックなら、柔軟な承認フローを複数作成できるほか、承認ステータスの一元管理や、契約に紐づくコミュニケーションの履歴・経緯の管理も可能です。

料金

  お試しフリープラン 契約印&実印プラン
(立会人型&当事者型)
月額費用 無料 9,680円

(税込)


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既存のワークフローシステムと連携できる?

自社でワークフローシステムを運用している企業は、API連携が可能な電子契約システムを選択しましょう。

システム同士がシームレスにつながれば、システム間のデータ交換が容易です。

契約業務の自動化が促進され、業務フローがより一層スムーズになります

電子契約システムのAPI連携についての情報は、各サービスのホームページやヘルプページに掲載されているのが一般的です。

気になる電子契約システムが見つかったら、まずは自社システムとの連携可否を確認してください。

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まとめ

ワークフロー機能付きの電子契約システムを導入すれば、契約書の承認プロセスを自動化できます

承認の遅延や承認漏れによる契約締結の遅れ・トラブルを抑制しやすく、企業の利益損失を防ぐことが可能です。

このたびご紹介した電子契約システムは導入企業も多く、電子契約機能も充実しています。

それぞれのワークフロー機能や既存システムとの連携可否を精査して、自社の契約業務効率化につながる電子契約システムを見つけてください。

画像出典元:O-DAN

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