海外企業と電子契約を行う際の注意点は?海外対応の電子契約システムの選び方を解説

海外企業と電子契約を行う際の注意点は?海外対応の電子契約システムの選び方を解説

記事更新日: 2025/04/07

執筆: Mai Nemoto

海外企業との契約を効率的に進めるには、電子契約の活用が欠かせません。

しかし、日本に電子契約に関する様々な法令があるように、国をまたぐビジネスでは、その国のルールに従う必要があります

本記事では、海外企業と電子契約を結ぶ際の注意点や、海外対応の電子契約システムの選び方を詳しく解説します。

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海外における電子契約の普及状況と署名制度

コロナ禍をきっかけに、日本でも紙の契約書からデジタル化への移行が加速しました。一方で、押印文化のない国々では、以前から電子契約書が広く導入されています。

ここでは、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにおける電子契約の利用状況をご紹介します。

アメリカ

アメリカでは電子契約が広く普及しており、法律やルールが明確に定められている国の1つです。

1999年には「統一電子取引法(UETA)」が制定されており、日本よりも早い段階で法整備が進められました。

2000年には、電子署名や電子契約が紙の契約書と同じ法的効力を持つという点を明確に規定した、「ESIGN法(ESIGN Act)」が制定され、アメリカ全土で適用されています。

一方で、「統一商事法典(UCC)」という商取引のモデルルールがあり、州ごとに適用の仕方が異なるため、電子契約を締結する際は各州の法律を確認する必要があります

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、1999年に「電子署名指令」が発布され、電子署名に関する統一的なルールが整備されたことで、EU全体で電子契約の導入が進みました。

さらに2014年には、「eIDAS規則(eIDAS Regulation)」が採択され、EU加盟国間での電子署名・電子契約の相互承認が可能となったのです。

この規則により、電子署名を用いた契約の信頼性が向上し、EU域内での電子取引の利便性が大幅に高まりました。

しかし、EU内でも一部の取引では電子契約が認められない場合があり、国によって適用される法律や規制が異なるという点には注意が必要です。

アジア圏

アジア各国では、電子契約に関する法整備が進んでいますが、各国の商習慣や社会的な背景に影響を受け、規制や普及には差があります

中国では、2005年に「電子署名法」が施行され、電子署名に法的効力が与えられました。

特に国内市場向けのビジネスでは、政府認定の認証機関による法定電子署名が求められるケースが多く、電子契約を導入する際には注意が必要です。

シンガポールでは、1998年に「電子取引法(Electronic Transactions Act)」が制定され、電子契約の法的効力が正式に認められています。

政府主導でデジタル化を積極的に推進した結果、電子契約の活用が広く進んでいます。

その他にも、マレーシア・タイ・台湾・韓国など、アジア各国で電子署名に対する法律が制定されています。


海外企業との間で電子契約を導入する際の注意点

電子契約は国際ビジネスを円滑に進める手段として注目されていますが、導入するにはポイントを抑える必要があります。

続いては、海外企業と電子契約を締結する際に注意すべき点について解説します。

電子契約に関する法律の違いがある

日本では、電子署名法・電子帳簿保存法・デジタル改革関連法などに準拠する必要があるように、取引先の国によって電子契約に関する法律や制度は異なります

例えばアメリカの電子署名制度は、連邦法のESIGN法、各州が採択するUETA法によって規定されており、要件を満たせば手書き署名と同等の法的効力を持つことが認められています。

EUではeIDAS規則によって各種トラストサービスが規定されています。eIDAS規則では、電子署名はレベル分けがなされており、最も厳格なレベルの電子署名は手書き署名と同等の法的効力が認められています。

さらに、中国では特定の契約において法定電子署名が求められ、政府認定の認証機関による電子署名でなければ有効とみなされない場合があります。

海外企業と電子契約を結ぶ際は、「どの国の法律が適用されるのか」「その国の法律で電子契約が有効と認められるのか」を事前に調査し、国際取引に詳しい弁護士へ相談した上で進めましょう。

取引先の国に関する文化・商習慣の違いを理解する

海外企業との電子契約を導入する場合、法律だけでなく、取引先となる国の文化や商習慣を理解し、尊重することが重要です。

国によっては、電子契約よりも対面での契約や紙の書面を重視する文化があり、契約前の交渉や信頼関係が重要視され、電子契約書だけでは誠意が伝わらない可能性があります。

また、言語の違いや契約に対する考え方の違いも思わぬ誤解を招く要因となるため、注意が必要です。

特に、曖昧な表現を好む文化と、明確な契約を重視する文化の違いにより、契約不履行と見なされ、法的トラブルに発展するリスクも考えられます。

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海外企業と電子契約するメリット

海外企業とのビジネスを効率的に進める上で、電子契約は重要な役割を果たします。

ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

  • 契約業務の短縮
  • 郵送コストの削減
  • 契約書の一元管理

契約業務の短縮

電子契約を導入することで、書類の準備から締結完了までの業務時間を大幅に短縮できます

例えば、日本からアメリカへEMS(国際スピード郵便)で発送すると、到着までに約11〜18日ほど日数が必要ですが、電子契約書であれば瞬時に送信・確認・署名まで可能です。

また、署名漏れ・書類紛失といったリスクを軽減し、修正や再送の手間を最小限に抑えられるため、業務の効率化とスムーズな取引が実現できるのです。

郵送コストの削減

契約書のやり取りにかかる郵送コストを削減できるという点は大きなメリットです。

例えば、日本からアメリカへEMS(国際スピード郵便)で送る場合、1,200円〜3,900円ほどかかります。

さらに郵送方法・重量や大きさ・オプションによって異なり、署名漏れや修正が発生する度に発生します。

電子契約書であれば、契約書をオンライン上で送信するだけで完了するため、配送中のトラブルやリスクも回避できます。

契約書の一元管理

紙の契約書の場合は、保管場所の確保や破損・紛失リスクがあり、必要な書類を探し出すのに時間がかかります。

電子契約であれば、全ての契約書をデジタルで一元管理ができ、検索や参照といった作業もスムーズに行えるのです。

クラウド上で契約情報を管理するため、時間や場所を問わずにアクセスが可能となり、テレワークを導入している企業でも業務効率化に繋げられます。


海外対応の電子契約システムを選ぶポイント

海外企業との契約を効率的に進めるためには、自社に合った電子契約システムを選ぶ必要があります。

導入前に下記の4つのポイントを確認しましょう。

  • 英語以外にも対応可能か
  • 契約件数とのコストパフォーマンスを比較
  • 高いセキュリティ機能
  • 海外の法律に対応しているか

英語以外にも対応可能か

海外企業との取引では、英語以外の言語が使用されることも多いため、システムが複数の言語に対応しているかという点は重要なポイントです。

日本語対応のみの場合は、相手企業にとって負担が増えると同時に、契約内容の誤解が生まれるリスクがあります。

将来的に取引先が増えることも考慮し、英語以外の言語にも対応可能なシステムを選定しておきましょう。

契約件数とのコストパフォーマンスを比較

紙の契約書には、郵送費・印紙税・印刷費・保管費などがかかりますが、電子契約システムを導入することで、これらのコストを削減できます。

一方で、電子契約システムにも月額料金などの費用がかかるため、契約件数に応じて費用対効果を考慮する必要があります。

料金形態はシステムやオプション機能によって異なるため、必要な機能を明確にし、自社にとって最も費用対効果の高い選択をしてください。

高いセキュリティ機能

契約書には機密情報が含まれるため、システムに高いセキュリティ機能が備わっているか確認しておきましょう。

セキュリティ対策の1つの目安は、「ISO/IEC27001」という国際規格に準拠しているかという点です。

この規格は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の標準を定め、組織が情報を適切に管理するためのフレームワークを提供しています。

その他に、システムに暗号化技術や認証タイムスタンプなどの高度なセキュリティ機能が搭載されているかを確認し、安心・安全な契約締結ができる状態にしてください。

海外の法律に対応しているか

前述した通り、取引先の国によって電子契約に関する法律や制度は異なり、海外の法律に準拠したシステムを選ぶことが重要です。

契約を締結する国の法律に準拠していないシステムの場合、契約無効や法的なトラブルに発展するリスクが高まります。

海外企業との電子契約において豊富な実績があるかという点は、あらかじめ確認しておきましょう。

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まとめ

電子契約を海外企業との取引に活用することで、契約書のデジタル化が進み、スムーズな契約締結や郵送コストの削減が可能になります。

一方で、日本でも電子署名法などに準拠する必要があるように、取引先の国によって法律や商習慣が異なる点には注意が必要です。

今回ご紹介したポイントを参考に、自社に適した安全な電子契約システムを選び、安心して海外取引を進めてみてください。

画像出典元:O-DAN

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