TOP > SaaS > 人事 > 社内教育・研修 > 研修の目標設定方法とは?設定の目的やすぐに使える例文を研修別に解説
研修における目標設定は、受講者のモチベーション維持や自己管理能力の向上、さらには研修の成果を適切に評価する上で必須です。
「研修の成果を最大限に引き出したい」「研修によって組織全体の生産性を向上させたい」と考える担当者は、効果的な目標設定の方法とポイントについて理解しておきましょう。
本記事では、研修における目標設定の方法や重要性、研修ごとの具体的な目標設定事例をご紹介します。
このページの目次
研修で確実な成果を期待するなら、目的の明確化と適切な目標設定は必須です。
目標を設定すべき理由や、目標の設定方法について見ていきましょう。
研修における目標は、目的達成のために必要とされる具体的行動や受講者の到達度を測る指標です。
研修の主旨に沿った目標を設定できれば、受講者のモチベーションが切れたり学習の方向性がブレたりする心配がありません。
研修内容の定着を促しやすく、高い研修成果を得られます。
研修における目標の精度を高めるには、以下のポイントを踏まえることが必要です。
「研修受講者が習得すべき知識」「スキル」「態度」などを研修前に明確にしておくことで、受講者は「何を期待されているのか」「何を目指して行動すべきか」を念頭に置きながら研修に臨めます。
研修目標は、「研修内」「研修後」の2軸で設定することがマストです。
研修内目標を設定することで、受講者は研修における学習の焦点を定めやすくなります。
受講者自らが目標達成に向けて自律的に学習を進めることが可能です。
また研修後目標は、受講者が研修で得た学びを実践に移していく上で必要となります。
研修内容によっては、効果が出るまでに時間を要するケースは少なくありません。
受講者に継続的な実践を促すためには、中長期的な目標を設定することが必要です。
研修で目標を設定することは、研修効果をより高める上で必須です。
研修前に目標を設定することが、非常に重要なプロセスとされる理由をご紹介します。
どれほど有益な研修でも、「なぜ研修を受けるのか」があいまいな状態では、受講者がモチベーションを維持できません。
研修の目標を設定しておけば、受講者は「何を学ぶべきか」「どのような成長を期待されているか」を理解できます。
受講中は目標達成に必要な情報に集中しやすく、学習の効率・意欲の向上を期待できるでしょう。
研修目標は、スキル獲得までの進捗を測定する上での重要な基準です。
受講者が自分の研修達成度や成長を正しく測定できれば、現状の課題・足りないスキルが明確になります。
受講者は研修で学んだ内容に基づいて改善プランを策定・実行しやすく、着実なスキルアップが可能です。
明確な研修目標を設定することで、受講者は業務に必要なスキルや知識を効率的に習得できます。
受講者1人ひとりの職務遂行能力が向上すれば、組織全体の生産性も自ずと向上していくはずです。
また研修目標を設定することは、受講者に組織のビジョンと戦略を共有する上でも有益です。
「チーム間・部門間の意思疎通がスムーズになる」「協力体制が強化される」などのメリットがあり、組織全体のパフォーマンスが向上します。
受講者の主体性を引き出したい場合、受講者自身に研修目標を決定してもらうのも1つの方法です。
受講者に研修の目標設定を促す際、注意したいポイントをご紹介します。
研修の目的は、企業の現状や課題によって異なります。
受講者に研修目標を設定してもらう前に、研修目的を明確にしておきましょう。
研修目的には、以下のようなものがあります。
研修の目的が明確に示されれば、受講者は主催者の意図に沿った研修目標を設定することができます。
受講者が決めた研修目標は、研修中に発表してもらいましょう。
受講者が自分の目標を言語化して口に出すことで、目標に対する意識や責任感が高まります。
研修に対する積極的な姿勢を促進しやすく、高い研修成果を得やすくなるはずです。
また受講者同士で研修目標を共有することは、他者の業務への取り組み方や意識・意欲を知るよいチャンスとなります。
受講者がお互いに刺激を与え合うことで、研修への期待感が高まったり受講者間のやりとりが活発になったりといった効果も期待できるでしょう。
研修を社員のスキルの底上げや組織全体の生産性向上につなげるためには、企業課題や事業計画を踏まえた目標を設定することが必要です。
ここからは、目標設定の具体例を研修テーマ別にご紹介します。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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新人研修は、「ビジネスマナー」「社会人としてのマインドセット」「業務を遂行する上で必要なスキル」の獲得を主旨とするものが一般的です。
新人研修を実施することにより、新入社員が円滑に組織に溶け込み、即戦力として活躍できるよう促すことができます。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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コミュニケーション研修は、「受講者が円滑なコミュニケーション能力を身に付け、業務効率を向上させること」を主旨としています。
コミュニケーション研修を実施するときの注意点は、階層によって研修内容を最適化すること。
求められるコミュニケーションの内容や質は、新入社員・中堅社員・管理職によって異なります。
対象者を明確にした上で、研修の目標を設定してください。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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コンプライアンス研修は、法令や社会規範を遵守する重要性を理解してもらうために実施する社員研修です。
受講者の法令遵守意識を向上させること、適切な倫理的判断能力を育成すること、違反リスクを認識させることなどを目的としています。
コンプライアンス研修も、社員の階層に合わせて内容を変えることが必要です。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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2020年6月に「改正労働施策総合推進法」が施行され、事業主にはパワハラ防止措置が義務付けられました。
企業におけるハラスメント研修は、「ハラスメントのない職場」を実現するための取り組みの1つとして実施されています。
職場におけるハラスメントはさまざまありますが、「パワハラ」「セクハラ」「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」は法令で対策の必要性が明言されているハラスメントです。
研修ではこれらのハラスメント対策を中心に、受講者が当事者意識を持てるような目標を盛り込みましょう。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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情報セキュリティ研修は、情報漏えいの防止・インシデントへのスムーズな対応を実現する上で必要です。
研修では、社員に「セキュリティ意識の向上」「情報セキュリティポリシーについての理解と遵守」「インシデント発生時の対応力向上」を促せる目標を設定しましょう。
なお自社に情報セキュリティの専門部門がない場合は、研修を外部の専門家に委託するのがおすすめです。
情報セキュリティの脅威や最新技術は日々変化しており、古い情報では役に立ちません。
プロのサポートの下、自社の課題やニーズにマッチした目標を設定することで、研修の精度が向上します。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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職種別研修とは、職種ごとに求められるスキルや知識を習得するための研修です。
目標を決めて定期的に実施することで、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に対応できる社員を育成できます。
職種別研修の目標を設定するポイントは、理論だけでなく実践的な内容を取り入れることです。
受講者が研修内容を実務でアウトプットすることで、学んだ知識やスキルが確実に定着します。
研修内目標 |
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研修後目標 |
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マネジメント研修は、管理職やチームリーダーを対象とする研修です。
「部下を効果的に育成・指導し、チーム力を最大限に引き出す」「部下を牽引できるリーダーシップを養う」などを主旨としており、受講者はマネジメントの基礎知識・スキルの習得を目指します。
マネジメント研修の目標は、受講者の課題・ニーズに応じて設定することが重要です。
同じ管理職でも、階層によってマネジメントの内容や対象は異なります。
受講者の現状に合わせて、研修内容を選択しましょう。
SMARTの法則とは、Specific(具体的である)・Measurable(計測できる)・Achievable(達成である)・Relevant(関連性のある)・Time-bound(期限が明確である)の5要素で構成されるフレームワークです。
1981年にジョージ・T・ドランによって提唱されて以降、目標管理の基礎となる手法としてさまざまな研修に導入されています。
SMARTの法則を踏まえることにより、研修の主催者はより具体的かつ達成可能な目標を設定することが可能です。
自社のニーズや課題に応じて必要な要素を抽出し、研修目標を最適化しましょう。
SMARTの法則に含めたい要素と、研修における目標事例をご紹介します。
「Specific(具体性)」とは、目標がどれだけ具体的かつ明確であるかを示す要素です。
あいまいで漠然とした目標では、受講者に行動の変容を促すことができません。
研修で期待される成果を明確に示すことで、受講者は具体的な行動計画を立てやすくなります。
例えば「新規顧客の増大」を目的する研修の目標は、「新規顧客獲得件数を増やす」ではなく「3カ月以内に新規顧客を3件以上獲得する」などとすべきです。
「Measurable(計量性)」は、目標達成度の測りやすさを示す要素です。
研修の目標が達成されたかどうかは、客観的視点に基づいて判断されなければなりません。
人によって評価のばらつきが発生しないよう、数値や具体的な指標を入れて示すことが必須です。
例えば目標を「顧客あたりのARPUを上げる」としてしまうと、「ARPUを5%上げた人」と「ARPUを200%上げた人」がどちらも「目標達成」と評価されてしまいます。
「110%」と具体的な数値を入れることで、公平かつ正確に目的達成度を評価することが可能です。
「Achievable(達成可能性)」は、目標達成が可能であるか・現実的であるかを示す要素です。
目標達成のハードルが高すぎると、受講者のモチベーションが上がりません。
受講者が目標達成に向けて努力できるよう、現実的な数値を設定しましょう。
注意したいのは、達成可能性が人材・予算・時間などの資源や、市場動向・競合状況によって左右されることです。
目標を設定するときは、現状分析や過去データの検証を十分に行いましょう。
部署・チーム・個人ごとの状況を理解し、達成可能性を適切に測ることが重要です。
「Relevant(関連性)」は、その目標が組織全体の戦略やビジョンと整合性がとれているかを示す要素です。
具体的かつ実現可能な目標を設定しても、組織の成長や発展に寄与しないものは意味がありません。
個人やチームの目標を設定する場合でも、組織のビジョンや目標と関連付けることは必須です。
企業のビジョンや事業戦略と関係する目標を設定することで、受講者は自身に課せられた役割の重要性を認識できます。
研修におけるモチベーションが高まり、より高い研修成果を得やすくなるはずです。
「Time-bound(期限)」は、目標達成の期限を明確化する要素です。
目標を確実にクリアするためには、具体的な行動計画が必要となります。
目標に期限を設定することで、受講者は期限から逆算して行動計画を立てたり、進捗状況を正しく把握したりすることが可能です。
四半期や月などといった区切りの良い期間を設定すると、進捗状況の確認が容易になります。
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研修における目的設定は、研修効果を最大化する上で必須です。
研修の種類や社員の階層に合わせて、最適な目標を設定してください。
また「SMARTの法則」は、目標設定の精度を高める上で重要なフレームワークです。
目標設定に活用することで、目標達成度を測りやすくなる・受講者のモチベーションを維持しやすくなるなどのメリットがあります。
目標設定では積極的に取り入れ、組織全体の成長・成功につながる研修を実現させましょう。
画像出典元:O-DAN