飲食店チェーンの従業員がSNSに投稿した不適切な動画で全店が一時休業に追い込まれるという事件がありました。
この事件によって、従業員のコンプライアンス意識の欠如が企業にいかに大きなダメージを与えるかが再認識され、コンプライアンス研修を導入する企業も増えています。
この記事では、コンプライアンス研修の目的や内容、効果的な実施方法を分かりやすく解説しています。
おすすめする研修会社も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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コンプライアンス(compliance)は、comply(応じる・従う・守る)という動詞の名詞形で、「法令順守」と訳されています。
しかし、コンプライアンス=法令順守と捉えるだけでは、「企業のコンプライアンスとは?」と問われることの意味・内容の多くを取り逃がしてしまいます。
この問いの1つの模範解答は、企業の経営者や従業員が次のような意識をもって経済活動を行なうことです。
(1) 法令やルールなどをどのように守ったらよいか(規律性)
(2) 良識ある行動とは、どのような行動か(良識性)
(3) どこまですれば正直で真心のこもった誠意ある行動と思われるのか(誠実性)
(4) だれにも正しいと納得してもらうには、どのような行動をすべきか(公正性)
(5) 思いやりのこもった自発的な行動は、どうあるべきか(主体性)
コンプライアンス研修の目的は、このような意識をもって行動することの意味やそれに反した行動の例、その場合のリスクなどを認識することにあります。
コンプライアンス意識の重要性が認識されてきた背景には、コンプライアンス違反によって大きなダメージを受けた企業の事例があります。
2000年代では、次のような事件がマスコミを騒がせました。
2010年代では、SNSでの動画拡散・炎上という新しいリスクも登場しています。
この他にパワハラ・セクハラの告発を受けるリスクは、どのような企業も抱えていると言ってよいでしょう。
このようなコンプライアンス違反によって企業がどのようなダメージを受けるのかを、事例をもとに認識することもコンプライアンス研修の重要な目的です。
日本のコンプライアンス違反の特徴は「会社のためにした」という事例が多いことです。
経営者が意識的に行なったケースもあるし、従業員が上の意向を「忖度」して行ったというケースもあります。
したがって、コンプライアンス研修の対象は従業員とは限りません。
など、さまざまなレベルを対象にする研修があります。
コンプライアンス研修の内容は誰を対象にするかによって違いますが、項目の多くは共通しています。
一般的なコンプライアンス研修の内容は次のようなものです。
研修のスタイルには、講師の話を聞く座学のみのものや、ロールプレイよる演習や討議を採り入れるものなどがあります。
2020年代のコンプライアンス研修で必須とされているが、情報セキュリティとセクハラ、パワハラなどのハラスメントです。
全ての業務にコンピュータが関係し、多くの顧客情報・経営情報がそこで管理されている現代の企業にとって、情報セキュリティは最も重要なコンプライアンスです。
とくに顧客情報の外部への漏えいは大きな社会的批判を浴びるので、情報管理に関するコンプライアンス意識の研修は多くのプログラムに含まれています。
研修では、個人情報に関するガイドラインなどの知識を学ぶほかに、情報管理、コンピュータ管理の一部を外注している会社では、業者との節度ある付き合い方なども項目の1つになっています。
セクハラ・パワハラの告発を予防するためのコンプライアンス研修では、具体的にどのような言葉や仕草がハラスメントに当たるのかを学びます。
ハラスメント意図のあるなしをパフォーマンスの基準にしていると、いつ「ミー・ツー」(私もされた)と告発されるか分らないからです。
お酒の席でのハラスメントもよく問題になっているので、会社を離れての同僚、部下との付き合いも研修項目になります。
コンプライアンス研修には、講師を招いて行なう授業形式の研修、動画教材をオンライで学ぶ研修、社外で行なわれるセミナーへの参加などがあります。
教材を用意して講師を派遣する外部業者によるコンプライアンス研修です。豊富な知識と経験を持つ講師による研修は、書籍などによる学習では得られない深い理解を得ることが期待できます。
できれば、用意された教材だけでなく、自社の実情に合った独自のコンテンツを盛り込むことが望まれます。
研修日程は2時間、半日、1日、2時間ずつの3日間など、さまざまなプログラムがあります。費用もプログラムによって5万円~20万円などさまざまです。
外部の業者が作成した動画をオンラインで視聴する研修です。クラウド型のサービスなら自社のパソコンをそのまま利用することができます。
オンライン研修は、動画を使用して集合研修もできるし、社員がPCやスマホを利用して自己研修もできるのがメリットです。
外部業者が制作した多数の動画の中から自社に合うものを自由に選ぶこともできます。
費用は5万円くらいからあり、無料体験期間を用意している業者もあります。
経済団体や業者が開くセミナー、講習会に参加するコンプライアンス研修もあります。他社の社員も参加します。
コンプライアンス研修を実施するときは、次のような点に注意しましよう。
コンプライアンス研修を提供している会社から、講師派遣型、公開講座型、e-ラーニング型の研修をご紹介します。
ジャイロ総合コンサルティング(東京都中央区)は、講師派遣による次のようなコンプライアンス研修を行なっています。
各研修は講義の他に演習やグループディスカッションを含むカリキュラムになっています。研修時間は3時間~半日で、研修内容は企業の特性に合わせたカスタマイズが可能です。
要相談
人材支援、人材育成のサービスを提供している人援隊(東京都港区)では、「コンプライアンスとは何か」の基礎から学べるコンプライアンス研修を提供しています。
講座では、以下の効果が期待できます。
研修の内容・時間は、要相談となります。開催日時についても、柔軟に対応してくれます。
要相談
詳細につきましては、以下の記事をご参照ください。
株式会社インソース(東京都千代田区)は、次のようなテーマの1名から参加できる公開講座を全国各地で開催しています。
公開講座の他に講師派遣にも対応しています。
・公開講座参加費用:13,000円(半日)~
株式会社PHP研究所(京都市)は、e-ラーニングによるコンプライアンス研修「ケースで学ぶ 実践!コンプライアンス」を提供しています。この研修(4時間)で学べるのは次のようなことです。
・提供価格:5,000円(サービス期間2ヶ月)
コンプライアンス研修は、コンプライアンスの意味や、違反事例、違反による企業リスクなどを学ぶものです。
研修のスタイルには、講師を招いて社内で行なう、インターネットで提供される教材で学ぶ、社外の公開講座に参加するなどがあります。
外部の業者に研修を委託するときは、自社の業務やリスクに詳しい業者を選ぶことが肝心です。
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